ジダン 最後のプレーは“ヘディング”

2006年7月10日

ワールドカップの決勝戦、夜中に起き出してはみたものの睡魔には勝てず、特に後半以降は半分寝ながらの観戦になってしまった。それでも一応夢うつつで見たおぼろげな記憶を頼りに感想を書いておこうと思う。

安定した守備によってここまで勝ち上がってきた両チームの対戦だけに、得点の匂いのあまり感じられない比較的地味な試合になったと思う。それでも双方とも少ないチャンスを活かして一点ずつを取り合い、120分の戦いがスコアレスにならなかったのはよかったと思う。フランスはアンリが開始早々に相手選手と激突して脳震盪を起こしたのが響いたのではないだろうか。イタリアは流れの中では大きなチャンスは作れていなかったが、セットプレーは迫力満点だった。ピルロのコーナーキックの蹴り方は無造作で、集中して蹴っているようには見えないのだが素晴らしい精度でフランスディフェンスを脅かした。もう一点入ってもおかしくないと思わせるものがあった。

PK戦はじゃんけんみたいなものなので論評するのは虚しいが、フランスは120分終了時点でアンリ、ヴィエラジダンという中心選手が欠けていたことが残された選手達の心理状態に影響した可能性はあると思う。


ジダンの“ヘディング”には驚いたが、先ほどNHKのニュースを見ていたらジダンの親族が「マテラッツィがジダンの出自について侮辱する発言があった」と主張しているという。私も見ていて一旦大事に至らずに別れようとした直後に突如ジダンが激昂しているのでその可能性もあるなと思っていた。今のところジダンの側の関係者からの証言しかないので真相は不明だが、もし真実なら相手選手も処罰するべきだろう。

そのジダンだが大会のMVPに選ばれたという。これには少し疑問を感じる。「ヘディング」のことはともかく、彼は時折卓越したテクニックで得点チャンスを作り出したが、周りの選手達に支えられてそうしたプレーをしてみせたのであってチームを支える活躍をしたわけではない。MVPというのはフランスならテュラムマケレレ、ヴィエラ、イタリアでいえばブフォンカンナヴァロマテラッツィといったチームを中心になって支えた選手が受賞するべきだと思う。


イタリアはこれまでの試合で「強い」と感じさせられることがなかったので優勝はやや意外な感じがする。しかしフランスもそうだがこうした長丁場の戦いでは安定した守備が重要であることを感じさせる結果になったと思う。ガットゥーゾやマケレレの活躍を見るにつけ、日本代表にもこうした選手が必要だったのではないかという思いを強くさせられる。

優勝はしたもののイタリアの国内リーグではこれからが大変なようだ。あまりスポーツ・ファンを失望させるようなことは起こして欲しくないものだ。

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コメント

イタリアはジンクス通りの優勝になりましたね。
ジダンの頭突きにはまいりましたね。よほど厳しいやりとりがあったのでしょう。4年後日本も活躍してほしいですね。出場枠減るのかな。

アジア枠の減少はかなり危惧してるところです。
その上今度は、オーストラリアもアジア予選に加わるはずですし。

ジダンの頭突きもショッキングでした。
前日に読んだ新聞で「彼の欠点は、カッとなりやすいところ」
とあったのが、まさか次の日現実になろうとは。
でも日を追うごとに報道され始めていますが、
もしも差別的な言葉に対する報復であるのならば、
ジダンはその事を世界に明確にするべきだと思います。
でないと、今回FIFA会長が代表の主将達に
宣言させた事の意味がなくなりますから。


今回唯一救われたのは、ジーコが敗因としてあげていた
「体格の問題」が必ずしも日本人の問題ではないという事が
イタリアの選手によって証明された事。
カンナヴァロなどは宮本選手とほぼ同じくらいの背格好ですね。
勿論、身体能力や体の強さなどは考慮すべきですが、
それにしてもジーコの言葉は、必ずしも当てはまらないなあ・・
と思ったのでした。

-> アキラさん

ジンクスというのは82年の大会でも八百長問題に揺れていたイタリアが優勝したことを指すのでしょうか。本当に不思議なものですね。

ジダンとマテラツィの間には何かよほど深刻なやりとりがあったのでしょう。FIFAによる厳正な調査を望みます。

アジア枠の問題があるので韓国、イラン、サウジアラビアも応援していたのですが残念な結果に終わりましたね。ただ次から同じグループで争うことになるオセアニア代表のオーストラリアがベスト16に入っているので、そのことも加味して割り振られるといいですね。


-> sashaさん

オーストラリアの活躍によってオセアニアの枠を増やし、それをアジア枠に編入するという措置が採られることを望みましょう。そう都合よくいくかわかりませんが。

ジダンの事件は世界中が見てショックを受けた出来事なので、うやむやにせずに厳正な調査が行われるといいですね。


そうですね、イタリアの選手達は必ずしも体格的に恵まれているというわけではないのに立派な成績を残しましたね。日本代表と一番違ったのはやはり守備の意識だったように思います。イタリアの戦いぶりは見ていて決して強いとは感じなかったのですが、危なげのない試合運びが印象的でしたね。オシムには攻撃と守備のバランスのとれた戦術をチームに授けて欲しいです。

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