歌への感受性を欠いたauのTVCM
2006年9月20日
ここ数日来auの顧客満足度というテーマをアピールするTVCMが盛んに放映されているのだが、最初にこれを見た時は思わず耳を疑ってしまった。BGMに何と「Satisfaction」が用いられているのだ。
演奏は BENNIE K によるカヴァーだが、原曲はいわずと知れた Rolling Stones のロック史に残る名曲。歴史の浅いロックの世界では"古典"といっても差し支えないだろう。普通短く「Satisfaction」と呼ばれるこの曲だが正式なタイトルは「(I Can't Get No) Satisfaction」であり、このフレーズは歌詞の中でも何度となく繰り返される。二重否定が用いられているが、要は「満足できない」と歌っているのだ。CMでもこの言葉ははっきりと聞き取ることができる。
「市場で金を出せば手に入るお仕着せの商品では自分は決して充足を得ることはない」とシニカルに歌うこの曲を顧客満足度というテーマを訴えるCMに起用するとは理解し難い神経だ。おそらく"customer satisfaction"という英語から短絡的にこの曲を連想してしまったのだろうが、歌に込められた思いへの感受性の欠如を露呈した、恥ずべきCMだと思う。
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雑感
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