スケートアメリカ2006 女子シングル フリー

2006年10月29日

地上波放送にて観戦。真央ちゃんのまさかのミスの連発は残念だったけど、今回に関しては安藤さんの優勝はうれしかった。真央ちゃんやマイスナーさんも出ているこの大会でパーソナルベストを更新しての優勝は自信になると思う。


キーラ・コルピさん:オペラ座の怪人

ジャンプでミスが出たほか全体に少し体が重そうで動きに切れがなかった。SPではミスがありながらもなかなか印象的な演技を見せてくれたことを思うと残念な出来だった。でも少しずつ自分の表現のスタイルを築きつつあることは感じさせた。


ミラ・リョンさん:テラコッタ・ウォリアーズ

カナダのマナカナちゃんことミラ・リョンさんのプログラムはオリンピックでも滑ったもの。映画音楽からといいながら中盤に「私のお父さん」が出てくる理由は不明。元気が持ち味のミラさんだけどちょっと動きが重たかった感じ。得意の片手ビールマンスピンは健在だった。


ミシェル・カントゥさん:マイ・フェア・レディー

多分初めて見る選手。メキシコの選手自体見るのが初めてだと思う。プログラムにルッツがなく、フリップではダブルで転倒、とジャンプの技術にほかの選手と格段の差があるのは明らか。しかし演技の質としてはなかなかで、私の好みのタイプかも知れないと思った。特にステップなどはしっかりと曲に合わせて踊れていて好感が持てた。


ヴァレンティーナ・マルケイさん:アディオス・ノニーノ

こちらも初めて見る選手。やはりジャンプに見劣りがするがそれなりに雰囲気のある演技だったと思う。


浅田真央ちゃん:チャルダーシュ

冒頭のステップからのトリプルアクセルがシングルになったほかジャンプでミスを連発。スピンなどでもキャンベルカップの時の雑な感じが戻ってしまいまさかのロースコア。やはりあのアクセルの前のステップは無謀だし必要なかったように思う。昨日の荒川さんのコメントを聞いた時点でこういうことも起こり得るリスクのある選択だと感じたがその通りの展開になってしまった。

真央ちゃんの今シーズンの最大の目標が来年3月の世界選手権での優勝だとするなら、今は着実に実績を積み重ねてジャッジの心証をよくし、PCSやGOEでの加点が得やすい状況を作ることが大事なはず。しかし真央ちゃんは常に新しい挑戦をしていかないと気が済まない性質なのだろう。これまで圧倒的な天才ぶりを発揮してきた真央ちゃんだが、昨シーズンのジュニアの世界選手権がまさにそうだったように、守りの立場に立った時に適切なモティヴェーションをつかみ損なうと自滅してしまうという弱点が明らかになってきたと思う。

そうはいっても誰しも弱点はあるし、挫折も経験するもの。今回の結果をあまり過度に心配することもないだろう。


エミリー・ヒューズさん:シルヴィア

SPとは対照的にピンクと紫の中間のような色の衣装で登場。こういう華やかな色合いはこの選手の場合少し品がなく見えてしまうのでもう少し地味目の衣装の方がいいと思う。演技の中身はというとルッツとフリップでことごとくトウを突き損ねて空回りしてしまっていたので、靴に何かトラブルでもあったか、足の状態に問題でもあったのではないかと思う。いつもの元気のよさがややかげってしまったようだった。


キミー・マイスナーさん:ガリシア・フラメンコ

キャンベルカップで挑戦して失敗したトリプルアクセルを封印し、冒頭にトリプルルッツ–トリプルトウループのコンビネーションジャンプを成功させるなどほぼノーミスの演技で真央ちゃんを抜き2位に。昨シーズンの世界選手権の演技があまりにもジャンプだけ、という内容だったので何となく踊れない選手というイメージを持ってしまっていたが、今日の演技はなかなかよかったと思う。特に両腕や肩の動きなどに思いがけず色気を感じてしまうようなところもあり、決して表現力に欠けているわけではないことを見せてくれた。


安藤美姫さん:メンデルスゾーン ヴァイオリン協奏曲 ホ短調

安藤さんのフリープログラムについては以前からメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲という情報を得ていたのだけど少し前にチャイコフスキーという情報が流れて一体どっちなんだと思っていた。やはり最初に聞いた通りメンデルスゾーンだった。

冒頭のトリプルルッツ–トリプルループのコンビネーションジャンプをクリーンに決めたほか、安藤さんらしく次々に華麗なジャンプを成功させて圧倒的な点数で優勝。スケートにかける意気込みを感じさせる素晴らしい演技だった。ステップで少しバランスを崩したのが唯一のミスといえるだろうか。しかし決して手拍子をもらいやすいような曲調でもなかったにもかかわらず後半になると客席から自然に拍手が湧き起こっていた。SPでもそうだったがそれだけ見る人に伝わってくる演技だからこそだろう。このモロゾフ振付けのステップは新生安藤美姫の象徴ともいえるかも知れない。

昨日のインタビューでフリーの方はまだ十分に滑り込めていないと語っていたように、曲調と演技を調和させる点などはまだこれからといったところだろう。しかしともかく競技を続けたいという強い気持ちをもって臨んだシーズン最初の試合で優勝という成果を得たことは素晴らしいと思う。キス&クライでカメラに映ったと気づいた時に浮かべた自然な笑顔がとても輝いていた。

気になるのは二つ目のジャンプにサルコウを配置していること。今シーズンは4回転は封印、と語っているけど、この位置にサルコウがあるということはことと次第によっては入れてくることも可能になっている。今は新生安藤美姫のスタイルを確立することが第一で、4回転に無理して挑戦する必要は全くないが、本人はやはりどこかに未練を感じているはず。このあたりは門奈コーチやモロゾフともよく話し合って、しっかりと意志統一して競技に臨んで欲しい。


浅田舞さん:白鳥の湖

新調した衣装が間に合ったようで白い衣装での白鳥の演技。フリップとトウループで転倒するなどジャンプにミスが出て会心の演技とはいかなかった。持ち味の美しさは出せていたと思う。もう少し実績を積めば点数も出やすくなると思う。


地上波でスケートアメリカを見る人の多くはコアなファンではなく、昨日のSPを見ていなかった人も多かったことだろうから、安藤さんと真央ちゃんのSPの演技を放送したのは悪くないと思う。ただ、演技を放送する人の選択には少し疑問を感じる。サラ・マイヤーさんはオリンピックで入賞し、この大会でも4位の好成績だった。特に私はこの人の演技を楽しみにしていたのでカットされてしまったのは残念だった。


それはともかく今大会は男女シングルで日本選手が優勝し、大いに盛り上がった。特に安藤さんは昨シーズンの苦しくつらい経験をずっと見てきたので素晴らしい再スタートを切ることができたのは自分のことのようにうれしい。心からおめでとうといって上げたい。

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コメント

こんばんはっ!
TBありがとうございました! TB返しさせていただきました(^^)

テレ朝さんの放送はそうそう悪いものでもないんですが・・・サラ・マイヤー選手や、男子SPのアルバン・プロベール選手のカットは全くどういう意味があるのかわからなかったですね(;^^A

それにしても、初戦から内容が濃かったですし、日本選手大活躍で良かったですねっ!(^^)
安藤美姫選手の吹っ切れたようなぶんぶん振りには感動させてもらいましたっ!(^^)


-> Dotaさん

かなり多くの選手の演技を見せてもらえたのでその点はよかったのですが、放送する選手を選ぶ基準が理解できませんでしたね。でも男女シングルで日本選手が優勝と盛り上がりましたね。今後がますます楽しみです。

安藤さんの復活優勝は本当にうれしかったです。これからさらに活躍してくれそうですね!

サラのフリーカットには開いた口がふさがりません。サラは日本にとってはジャパンオープンにも来てくれましたし、成績も残している選手なのに、何故放送されなかったのか疑問です。繰り返し日本選手の演技をリピートする時間があるのなら、放送して欲しかったです、、、。
と放送にはかなり文句が言いたくて仕方がありませんが、選手の演技は素敵でしたし、シングルのアベック優勝は本当に嬉しいです。来週は、スケカナで、男子は大輔君、女子は村主さんとこれまた優勝が狙えるメンバーなので、とても楽しみです。大ちゃんは、ランビとジョニー君に是非競り勝って欲しいです。男子は3人とも好きななのですが、やはり地元と言うこともあり、大ちゃんを一番応援します。この前のキャンベルではミスが続いたので、是非その挽回をしてもらいたいです。

美姫ちゃんのフリーですが、
私も2つ目のジャンプにサルコウがきてるのは
もしかしたらここで4回転・・・?と思わざるを得ませんでした。
でもスコア表を見ると、3サルコウでは加点評価されてますし、
決して無理して4回転を入れないで欲しいと思います。
モロゾフがついてるので大丈夫だとは思いますが・・・
静香ちゃんの時にも、OPで無理して3−3はとばせませんでしたものね。
そしてあのストレートラインステップ!
私もふっと、ヤグディンを思い出してしまいました。
あれだけ激しいステップをすると、どうしても体力を消耗しますが、
最後まで頑張ってノーミスでいけたのは本当に素晴らしかったです。

-> モモさん

何でサラさんがカットされてしまったのかは理解し難いところですよね。下位の選手でも放送されていたのに…。

でも素晴らしい演技がたくさん見られて初戦から楽しませてもらいましたね。スケートカナダも楽しみです。地上波では放送されない地域もあるのが残念ですね。優勝する力のある日本選手が参加するので全国のファンに見てもらえるといいのですが。高橋選手は靴はもうなじんだのでしょうか。今度はミスのない演技を見せてくれるといいですね。


-> sashaさん

あの位置にサルコウを配置したのは安藤さんの意欲とプライドに配慮したモロゾフの思いやりなのかな、と思いました。当面は自分のジャンプを取り戻すことに専念して、無理な挑戦をして自滅するようなことだけは避けて欲しいですが、本人に意欲があるならどこかで挑戦してみるのも悪くはないと思います。例えば来年の世界選手権でSPを終えて2位につけて、4回転を成功させれば逆転優勝の可能性がある状況で練習でやってみたら感触がよかった、というような場合には思い切って挑戦してみてもいいと思います。ただそこで失敗してもその後の演技に支障が生じないように周到に準備しておく必要があるでしょうけど。そうした点について周囲とよく話し合い、冷静に判断ができることが大切でしょうね。

あのステップはモロゾフ独特のものですね。夕方のニュースでエキシビションの映像を見たのですが、エキシビションとは思えないような本格的なステップでした。このままいけば安藤さんがステップでレベル4を取れる日がいつかやってくるかも知れない、なんてことを思ってしまいました。

大ちゃんの様子がすごく気になりますが、、、。スケカナの投票、相変わらず表が集まらずですが、今日男子は終了予定です。今の所は、私が入れたのも含めわずかにジョニー君がリードですが、ランビは最近どうなのか分からないと言うのと、去年のシリーズは後になればなるほど調子が上がってきたのもあってか、思ったほど票が伸びてない感じです。確実な演技が出来れば、4回転が3人の中で一番確立が高い、ランビが有利かなと思うんですが、この前のキャンベルの様子と、応援の意味も込めてジョニー君に1票入れました。

先ほどBSでやってたエキシビを少し見たのですが、相変わらず謎が多かったです。ダンスはほぼ無音なんですが、日本に馴染みのあるメンバーだとかなり解説がうるさい上に、何故にエキシビまで真央ちゃんと美姫ちゃんの試合のリプレイをするのでしょうか、、、。ここでもサラはカットでした。順位はエミリーより上なのに、何故でしょう、、、。

-> モモさん

投票してきましたよ。ランビエールに一票です。希望としては高橋選手かジョニーに優勝して欲しいのですが、やはりランビエールは強そうな気がします。


エキシビション、やはり謎の多い放送でしたね。何位までの選手が出場したのか把握していないのですが、サラさんは出たのでしょうか。エミリーはもしかすると地元選手なので特別に出場したのかも知れません。

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