ロシア大会2006 女子シングル フリー

2006年11月26日

SPを終えて恩田さん、澤田さんともに表彰台も狙える位置につけてはいたけど、実際に恩田さんが3位となったのはうれしい驚きだった。NHK杯も女子は日本選手が3位以内に入ることが確実な情勢なのでグランプリシリーズ全てで日本選手が表彰台に登ることが確定したといっていいだろう。実に驚くべきことだと思う。


澤田亜紀さん:Paint it black

澤田さんらしい溌剌とした演技。中国大会の時は音楽が重た過ぎて澤田さんには合わないのでは、とも思ったけど今回は違和感なく見ていられた。フリップがダブルになりコンビネーションにできなくなるミスはあったものの、後半でトリプルフリップを成功させさらにダブルトウループを二つつける機転のよさを発揮してミスを取り返した。フリーだけなら3位の好成績。シニア一年目のシーズンながら実績のある選手達の集まるこの大会でこれだけの成績をおさめたのは自信になるだろう。


サラ・マイヤーさん:プライドと偏見 菊次郎の夏

ルッツからの3連続のコンビネーション、フリップからのコンビネーション、単独のフリップと難度の高いジャンプを次々と成功させて波にのった。2度目のルッツがダブルになるミスはあったものの完成度の高い演技を披露してくれた。随所にかわいらしい仕草の入った振り付けでまるで氷上の妖精のようだった。全く関係のない映画2本の音楽を使用したプログラムだったが無理してつないだような印象はなく、この人の持ち味をいかした清楚な美しさの際立つプログラムだったと思う。スケートアメリカでのこのプログラムを見ることができなかったのが今さらながら惜しまれる。


ユリア・シェベシュチェンさん:Otonal

冒頭サルコウがダブルになった時点で調子の悪そうなのが感じられる。中国大会優勝の要因となったルッツも一つ目がステップアウト、2度目がシングルと不発に終わる。それでもSPの貯金がいきて総合2位に入りファイナル進出を決定した。


恩田美栄さん:レッド・ヴァイオリン

全体にジャンプの着氷に流れがないのが気になったもののミスを最小限に抑えフリー2位、総合では3位につけた。今大会は日本選手の表彰台が危惧されていたが底力を発揮してくれた。トリプルループは手をついてこらえたように見えたけど転倒ととられてしまっていた。トリノのフリーでのサーシャのフリップよりはよかったように思ったのだけど。


エレーナ・ソコロワさん

成功した3回転ジャンプはループとトウループが一度ずつ、とトップ選手らしからぬ内容。コンディションはやはりよくない様子。それでも地元観衆の大きな声援のせいもあって見ていて引き込まれる場面も少なくなかった。ベテラン選手ならではの表現がジャンプの構成の貧弱さを救った格好になり、総合で4位に入った。


期待していたシズニーさんはフリー10位と大きく崩れてしまった。フリップがシングルになったのを皮切りにジャンプのミスが続出したらしい。中盤以降はことごとく転倒した上にダウングレードされてしまっている。スピンでもレベルをとりこぼしているのも気がかりなところ。この大会は優勝候補の一角とも見られていたのにこんな結果になってしまったのは残念でならない。

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コメント

 恩田さん、おめでとう! 2001〜2004年まで4回連続でファイナル出場を決めてきたすごい恩田さん(ただし2002年は棄権)には、ファイナルへ行けなくて残念でした、というべきなのでしょうか? フリーのレッドバイオリン、ご自身でやりたくて曲を決めたというだけあって、良かった。日本の審判ならPCSも点をもう少しあげるのじゃないでしょうか。ショートの方は、曲を変更してくるのか(穏やかな春の海では高いジャンプに入りにくそうにも見えますが)、それともジャンプの練習に没頭するのか、どうするのか、、、全日本での変身に期待してます。
 サラ・マイヤー、お美しいですね。ジャンプもいい線いってた。これが好調の原因か。スピン、スパイラル、レベルが高く、とても美しかったが意外にも加点がついてない。厳しくなってきたか。
 アリサ・シズニー、デニス・ビールマンのビールマンスピンは本当はこういう技だった、と思い出させてくれる。彼女が出場する試合は、今後も、スピン、スパイラルとも他の選手は加点を抑えられちゃうでしょうね。ショートでのカメラワークはお粗末で足先しか見えず。。。フリーでは放映されず。。。「007」が潜んでいた今大会、秘技を隠そうという秘密工作でもあったのか(笑)
 澤田さん、しっとりした演技もできるよ、と言ってるみたいだった。

-> やまぼうしさん

恩田さん現役続行を示唆したらしいですね。今回の結果を受けてまだ自分には向上していく余地がある、と感じたのでしょうか。ベテランの決断に要注目ですね。

サラさんこれといった必殺技はないけど地道に努力してきた成果がでましたね。清楚な美しさが氷の上で映える選手なのでますます活躍して欲しいです。

シズニーさんはジャンプの調子が戻りかけているかと思ったのにまたも惨澹たる結果で残念です。身長が伸びてバランスがとりにくくなっているのかな、とも思いました。

澤田さん今回は"でこぴん"がなくて残念。田村コーチがたたいて上げればよかったのに。^ ^

 恩田さん若いですよ。まだ2*才ですよ!(お誕生日もうすぐですけど)。スルツカヤ様もブッテルスカヤ様も26歳で世界を制覇してますからね。自分のやりたい曲をどんどんやったらいいと思います。
まだやり残したこといっぱいあるはず。
 ところで、今期の恩田さん、調子っぱずれで、変ですね。ステップとかは良くなってるみたいですけど。スピンとかで取れるはずのレベルを落としている点も気になります(荒川静香コーチが付いていればもっと点を稼いでいるはず)。特にジャンプがおかしいですね。高さはあるんですけど、膝が急に硬くなっちゃたような、変はジャンプですよ。特にSPは変です。「春の海」は穏やかだったり急に早くなったりで難しいですよ。ゆっくりしたところで曲調に合わせてるうちに急に早くなって、それで曲の流れに合わせようと意識し過ぎてるうちに、時間の余裕が無くなってタイミングを外してるようにも見えます。BGMのようにして演技した方がいいんじゃないでしょうか。
早く曲を変えた方がいいかも。

 澤田亜紀ちゃん、デコピンなくても自分の演技ができて良かった。
 西日本選手権で見たときにゃ、フリーでジャンプが2つ続けて失敗し、リンクサイドから濱田コーチが活を入れてまして、その後、意地で立て直した場面がありました。
 よしっ、これで大丈夫だ、GPSは活躍するぞ、って思ってたら。。。
 中国カップでは悪いところが全部出ちゃったと言って、自信がなくなっちゃったように見えて。どうなっちゃうかなぁ、と思ってたら。。。
 ロシアカップでは本来の演技に戻ってきました。ひとつひとつの技を大切に、つまり、ひとつの技が駄目でも次の技があるさ、って感じで、今持ってる力を伸び伸びを発揮できるようになった。ひとつ壁を乗り越えましたよ。地方大会から観てきた者として、感慨深いです。

恩ちゃん3位よかったですね!本当にうれしいです。亜紀ちゃんも緊張がほどよくほどけて、いい演技ができて本当によかったです。
今回二人に共通して私が思ったのは、「選曲」ということ。恩ちゃんSP「春の海」はやはり合わないと思います。SPは短いだけに、きりっと締まったスピーディーな曲が合うように思います。亜紀ちゃんのフリー曲「黒く塗れ!」も、ちょっとアレンジがスローで荘厳すぎて、すべりのスピード感を殺してしまっている。二人ともスピード感のある演技ができる人ですから、これは考え直してもらいたいなと思いました。

-> やまぼうしさん

そうですね、恩田さんまだまだ若いですよね。確かに今はジャンプがおかしくなってしまっているように思いました。成功しているものでも着氷後に流れがないんですよね。セベスチェンさんの活躍を見るとジャンプさえしっかり決めればそれなりに国際舞台でも通用することがわかるのでしっかり立て直して欲しいです。

澤田さんは中国大会では頭が真っ白になってしまって自分が何をやっているかわからない状態で滑っていたみたいですね。初めてのGPSで冷静さを失っていたのでしょう。今回はフリップを失敗した後で2度目には成功させてコンビネーションもつけるなど、落ち着いて演技できていたのだと思います。若いだけに成長が早いですね。


-> 美輪@brownycatさん

恩田さん澤田さん、フリーだけなら2位と3位ですから立派な成績ですよね。うれしい驚きでした。


「春の海」についてはあちこち見ているとどうもやはり評判がよくないですね。確かに滑りやすいとはいえない曲で、本人も見直しを示唆したともとれる発言をしていました。

ただ私としては今の恩田さんのポジションを考えると真央ちゃんや安藤さんなど伸び盛りの選手と3つしかない世界選手権代表の切符を争うことに躍起となるよりも、日本の音楽もフィギュアスケートに合わせられるということを証明するような先駆的な役割を担って欲しい、という希望もあります。以前に滑った吉松隆さんの曲(これはあまり伝統を意識した作品ではありませんでしたが)を使ったプログラムが気に入っていたので、恩田さんには相応しい役回りではないかという気がするのです。


「黒く塗れ」に関しては中国大会の時は音楽が重た過ぎて澤田さんの元気のよさを殺してしまっているようにも見えましたが、今回は一つ一つの技が決まって元気よく滑れていたのでそれほど違和感はありませんでした。でも澤田さんに似合うかというとやはり少し違う気がしますね。今は本人の魅力が一番生きる音楽で演技させて上げたいですね。

恩田さん、スローで優雅も舞も得意なんだと思います。
2002-03年の特にSP「Love in Slow Motion」はうっとりする素晴らしい舞でした。LPのチェロコン・メドレーも後半部分は優雅。その後、アメリカ、カナダへ移り、派手な振り付けに変わって驚いた。たしかに、去年の全日本の演技はパワフルで良かったけど、僕は、どちらかというと、あの頃のシーズンの恩田さんの方が好みです。成績もついてきてた。だから、恩田さんがスローなナンバーを演ることに、私は、異論氷論(笑)ありません。「春の海」は緩急両方ありですけどね。

気になる「春の海」、恩田さんは、中部→カナダ→ロシアと滑ってきてる。なのに私はロシアしか見てなかった。それだけで氷論しちゃあまずかったですね。それで、中部ブロック大会の成績をチェックしてみました。このときは、SPで60.12(34.96+25.16)と高得点出してました(ただし日本の審判)。おそれ入りました。中部では冒頭の3Lz+2T,3Fも失敗なし。直後のフライング・シットスピンもレベル4。エンディングのコンビネーションスピンもレベル4。良いときもあれば悪いときもある、というコメントに納得。中部以後はフリーに力入れてたんでしょうね。

それでも「春の海」は大冒険。この曲は好きなんですよ。できれば、ルールの制約がないアイスショーで観たいな、って思います。
 恩田さんは曲をちゃんと聞いてすべるスケーターと思います(本来なら「音楽との調和」の点は高くていいはず)。それが逆に弱点になっちゃって、スパイラルの一つの姿勢が3秒を切ってしまったり、スピンの一つの姿勢が2回を切ってしまうんじゃないだろうか。
 それに、「春の海」は、穏かな海を表現してるロングトーンの時間が長いのが難点、その間、恩田さんは「つなぎ」の演技をしているだけ。だから、得点が絡むジャンプ、スピン、スパイラルをしかける時間が押されてしまって、忙しくなっちゃう。ニコルさんは、振り付けの手直しをしてくれるだろうか。。。日舞を思わせるような演技は、とてもいいと思う。外国人なのにね、二コルさん。
 「春の海」どうなるか、期待と不安がいっぱいです。

-> やまぼうしさん

恩田さん、ブロック大会の時は好調だったようですね。ジャンプさえ成功して流れのある着氷ができれば十分高い点は出ると思います。

恩田さんってあまりドラマティックにならずに静かに美しく流れていくような曲が似合うような気がするんですよね。だから「春の海」も技が一つ一つ決まれば印象に残るプログラムになると思うのです。でも確かに難しい曲で、大冒険には違いないですね。

今の真央ちゃんや安藤さんにはこういう冒険は難しいでしょうから、恩田さんがこの難しい曲をどんなプログラムに仕上げてくるのか楽しみでもありました。全日本では昨年みたいに最高の演技で感動させてくれるといいですね。

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