NHK杯2006 女子シングル SP

2006年12月 1日

BShiと地上波で観戦(ただし受像機は通常のTV)。やはりNHKの放送は落ち着いて見ていられる。ただ地上波では民放の真似をして日本の3選手の演技の前に紹介VTRを流していたのが気になった。


キム・チェファさん:ラ・クンパルシータ

3回転ジャンプはトウループとサルコウ、と難度は低めながら丁寧なスケーティングが印象に残る演技。傍らで微笑む濱田コーチが相変わらず美しい。彼女をフレームアウトさせたカメラマンに石をぶつけたくなる。


レスリー・ホーカーさん

長年の恋人と結婚したそうで笑顔が印象的な選手。中間のスローパートの音楽は「レ・ミゼラブル」のファンティーヌが歌うメロディーだと思う。この役を歌う予定でいた本田美奈子さんのことを思い出してほろりとさせられた。


トゥグバ・カラデミルさん

フリップの着氷に失敗しコンビネーションにできず。しかし次のサルコウの後にダブルトウループをつける機転はなかなかのもの。丁寧な滑りが印象に残ったがもう少し動きに切れがあるとなおよかったと思う。おそらく母国ではこの競技のパイオニア的存在なのだと思われる。さらに成長してトルコ女性の美しさを世界にアピールして欲しい。


浅田真央ちゃん:ショパン ノクターン 第2番

めずらしくステップからのルッツで着氷が不安定。カメラの角度からはわかりづらかったのだけど空中で軸が斜めになっていたらしい。本人曰くこれで緊張が解けたとのことで、その後はいつもののびのびとした真央ちゃんの演技を披露してくれた。本来は4分を超えるの曲の後半部分だけを使用しているのでドラマティックな抑揚には乏しいが、見た後にじわりと感動が胸にしみてくるプログラムに仕上ったと思う。TESが40点を越えたというのは過去にあっただろうか。驚異的な点数でSP首位のスタートを切った。


ファン・ダンさん:ニーノ・ロータ ロミオとジュリエット

のびやかで丁寧に滑っていていい演技だったと思う。衣装がもっと品のいい色合いならなおよかった。音楽はTVの字幕でもISUのバイオグラフィーでもチャイコフスキー作となっているけどこれはニーノ・ロータの誤り。


村主章枝さん:ラヴェル ボレロ

スケートカナダの時はあまりボレロらしくは見えなかったけど今回は素晴らしいボレロに仕上っていたと思う。細身のシングルスケーターでもこの曲を踊りこなせるということを証明できた、そんな印象を受けた。特にプログラムの最後、高速のアップライトスピンからストレートラインステップにかけての盛り上がりはこの曲ならではの醍醐味を味わわせてくれた。ステップは両手足で巧みに音符を拾っており、技術的な難度の面ではどうかわからないが曲調の表現という点では最高のものだったと思う。

解説の佐藤有香さんも仰った通り真央ちゃんに決して引けをとらない内容だったと思うが、点数で及ばなかったのはスポーツなので仕方のないところ。村主さんはいつもPCSのTR(技のつなぎ)が低く抑えられているけど、やはり動きの少ないルッツの助走が原因なのだろうか。明日のフリーではジャンプの構成をどう変えてくるのかも注目される。


中野友加里さん:SAYURI

めずらしくコンビネーションスピンでバランスを崩す。本人にも原因がよくわからないようだ。全体としては中国大会の時よりもずっとのびのびと滑れていたし、表情もやわらかかった。あのミスはどこか調子が悪かったわけではなく、むしろ調子がよすぎて魔がさしてしまったのではないかと思う。明日はトリプルアクセルに挑戦してくるかも注目される。


ジェンナ・マッコーケルさん

イギリスの選手の演技を見るというのは非常にめずらしいと思う。動きに少し優美さが欠けていたという印象を受けた。地上波ではカットされていた?


ベアトリサ・リャンさん

ルッツの着氷は非常に危なかったが何とかこらえダブルトウループもつけた。しかしフリップでは転倒してしまう。全体には力強さを感じさせる演技だったと思う。


クリスティーヌ・ズコフスキさん

3回転–3回転を予定したコンビネーションジャンプは初めのトウループの着氷が乱れ二つ目のトウループがダブルに。全体に一つ一つの技を丁寧にこなそうとしているのは伝わってくるが、同世代の高い技術を持った選手達と競い合っていくには何か印象に残る技が必要になってくるのではないか、と思った。


アリーナ・マルティノワさん

長い足をまっすぐに高く掲げたスパイラルは迫力満点。ただ全体にはやや長い手足を持て余し気味の演技に見えた。恵まれた体型であることは間違いないのでそれをいかせるように成長していって欲しい。次代のロシアのエースとしての活躍が期待される。トリノオリンピックにヴォルティコワさんの代替でこの人を派遣できなかったのはやはり年齢制限の問題だったのだろうか?


日本の3選手が上位を占める予想通りの展開だが3人ともそれぞれ個性的な演技を披露してくれてうれしかった。この中の誰かがファイナルに進めなくなるのは残念。明日はみな悔いのない演技ができるよう祈りたい。

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NHK杯*二日目(ダンス、女子)

今日もへろへろになるつつも、インターネットカフェからのレポートです。(^^) ア

コメント

おはようございます。ブログの紹介、ありがとうございます。
ハイビジョンの解説と実況はどなただったのでしょうか?
関係者のところに、五十嵐さんの姿を発見!
もしかしてハイビジョンの解説をされてるのかな?
と思いましたが、違ったのですね・・・(^^;)
でも五十嵐さんには、今後も何かの形で関わっていただきたいなあ〜
と思いながら見てしまいました。
真央ちゃんの点数は、男子でもなかなか出ない点数ですよね。
今日は問題のフリー、ところでチャルダッシュの意味って??
前から気になってたのですが・・・・・・(((^^;)

こんにちは〜。またまたTB不具合で送れない模様です。お返しできずすみませんm(__)m
sashaさんへ。ハイビジョンの解説は、実況は森中アナ(たぶん)。アイスダンスは樋口先生、女子は有香ちゃんです。「チャルダッシュ」はハンガリーの代表的な民族舞踊で、酒場を意味する「チャルダ」が語源ではないかと言われています。徐々に速くなるのが特徴で、村によって「リッペントゥシュ・チャルダッシュ」「ソトマリ・チャルダッシュ」などいろいろあります。真央ちゃんが使っているのはモンティの曲ですね。詳しくは↓をどうぞ。
http://www.worldfolksong.com/songbook/classical/csardas.htm

こんにちは。
またTBが出来ない状態になってしまいました。

記事そのままをコメントします。

ビックハットは満員で、一つの技が決まる度に拍手拍手で大いに盛り上がりました。
解説の佐藤有香さんも番組の始まりはいつになく興奮気味で、日本の女子選手に期待をしているといった感じでしたね。


浅田真央ちゃん : ショパン ノクターン 第2番

めずらしく一番最初・・ の、ステップからのルッツで軸が斜めになってしまい 着氷が不安定になってひやっとしました。
しかしこれで緊張が解けたということであとの演技はのびのびしていました。
ともすれば短調になりがちなこの曲に、軽やかに優雅に舞う演技にはアメリカ大会で観たときのような感激が新たに湧いて、見終えたあとも余韻が残り、繰り返し何度でも見たくなる、そういう素敵な真央ちゃんのノクターンの演技でした。

自己更新記録を出して、笑顔も覗かせ、フリーの演技に望みます。

村主章枝さん : ラヴェル ボレロ

遅まきながら、初めて村主さんが表情のアーチストと呼ばれるゆえんがわかりました。
ラヴェルの ボレロをここまで芸術的に表現できる選手にはじめて出会った気がします。
点数よりももっと深く芸術的な感動を与えてくれました。どこがとかいうのではありませんね。全体的に観た感想です。
順位とか、メダルの色とかでなく、村主さんのボレロは私の心にずっと残ると思います。
常に観客を楽しませる術を彼女はいつも研究しているようですね。
新採点とかそう言うのを超えて、村主さんの演技は観客の心に残るでしょう。

中野友加里さん : SAYURI

中野さんにしては珍しく、序盤のコンビネーションスピンでバランスを崩してしまいましたね。得意の足返えスピンでバランスをくずし足を付いてしまいました。
佐藤有香さんも「今やらねばならないことを、きっちりやってから、次のことを念頭に置かないとこういうことになってしまう。」とおっしゃっていましたね。

コーチの佐藤信夫・佐藤久美子夫妻も関大アイスアリーナのこけら落とし公演で、「見かけによらず、おっちょこちょいなので、もう少し落ち着いてくださいよ。」と常日頃から、注意なさっておられたそうですが・・。

しかし中国杯の時のような堅さは感じられなかったので、フリーの演技に期待しましょう^^

-> sashaさん

ご質問は美輪@brownycatさんが答えて下さった通りです。ペアの解説は有香さんでした。五十嵐さんは関係者の中に姿が見られましたか。解説者も世代交代ということなのでしょうがこれからも何らかの形で関わっていただきたいですね。

チャルダーシュはハンガリーの伝統音楽ですがマジャール族ではなくロマ族(いわゆるジプシー)のものですね。真央ちゃんの演技はロマ風の煽情的なダンスではなくかわいらしい感じですがこれもなかなかいいかな、と思って見ています。


-> 美輪@brownycatさん

詳細なご回答ありがとうございました。森中アナウンサー、民放の放送をたくさん見た後では感動すら覚えますね。さすがにNHK、安心して楽しめます。


-> tattiさん

TBうまくいかないようですみませんでした。全文をコピペしなくてもアドレスを張り付けて下されば自動でリンクしますのでよかったらそうしてみて下さい。

村主さんの「ボレロ」は素晴らしかったですね。ライバルの荒川さんとは違った表現力でファンを魅了してきた彼女の持ち味が最高にいかされた演技だと思いました。

>美輪さま>sergeiさま。
私のつたない質問に、丁寧に答えてくださり本当にありがとうございます。
酒場が語源ですか〜〜〜
およそ真央ちゃんとはかけ離れたイメージなのに、
真央ちゃんが滑るとどうしてみな、しっくりおさまるのでしょうね(^^;)
去年のカルメンも同様でしたが、彼女には不可能を全て可能にしてしまう
不思議な力があるように感じてしまいます。

-> sashaさん

酒場が語源とは私も知りませんでした。昨シーズンの「カルメン」もロマの女性の物語なのでそれが今シーズンにいかされている、という面もあると思います。大人の女性へと成長しつつある難しい時期だと思いますが真央ちゃんらしく軽々と乗り越えていってくれそうですね。

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