グランプリファイナル2006 男子シングル フリー

2006年12月17日

トップ選手が集まっているだけにハイレベルな戦いが期待されたファイナル。しかし始まってみるとライザチェクに続きジョニー・ウィアーがフリーを棄権して4人の争いに。しかもそのうち高橋選手とプレオベール選手が体調不良と冴えない試合になってしまった。特に高橋選手はSPの出来が非常によかっただけに残念。体調管理もアスリートの大切な仕事とはいえ気の毒な結果だった。


織田信成選手:チャイコフスキー 交響曲第4番

SPが彼らしくない出来だったので心配したけど、フリーは持ち味が出ていい演技だった。挑戦すると公言していた4回転ジャンプを回避したのも好結果につながったのだろう。最後のダブルアクセルの着氷が乱れたほかは大きなミスはなかった。初のグランプリファイナルの表彰台は今後の飛躍に向けて大きな自信になることと思う。


アルバン・プレオベール選手

ジャンプには安定感のある選手だが、今回は二つ目のトリプルアクセルで転倒してしまった。それでも持ち味のユーモラスな表現で楽しませてくれた。彼も体調がよくなかったそうだけど、あまりそういうことは感じさせず、痛々しい演技にはならなかったのは大したものだと思う。


高橋大輔選手:オペラ座の怪人

昨日深夜の時点でリンクから自力でキス&クライに戻れなかったなどというショッキングなレポートが伝えられていたのでかなり覚悟をして見たのだけど、実際見た印象はそれほどひどいものではなかった。体調不良という事実を先に知ってから見たせいもあり、むしろそんな状況でよくこれだけの演技ができたものだと驚かされた。冒頭の4回転トウループも何とか降りていたし、二度のトリプルアクセルもクリーンだった(加点ももらえている)。明らかに様子がおかしくなったのはループの着氷で乱れた後からだったろうか。胸を押さえるような仕草が目立ち、苦しそうな表情を浮かべるようになった。ストレートラインステップの最後は演技にならなくなってしまった。

それでも地元ロシアの観衆は熱狂的な拍手で応えていた。思うにロシアのスケートファンにはやや淡泊な表現のジュベールよりも彼のような濃厚な味わいの演技の方が好みに合うのではないか。明らかに何かトラブルがあったにも関わらず最後まで演技を続けたことへの賞賛という面もあっただろうが、モスクワでの世界選手権で後半"へたれて"しまった時とは全く違った印象を与えることはできたと思う。この大きな大会に万全の状態で臨めなかったのは気の毒だが、それでも2位に入ったという自信を胸に今後に向けて調整して欲しい。


ブライアン・ジュベール選手:ロミオとジュリエット

注目された4回転ジャンプは最初のトウループからのコンビネーションは決まったがサルコウはトリプルに、二度目のトウループは転倒で成功したのは一つだけだった。ロシア大会にくらべるとやや物足りない内容ではあったが、それでも地力のあるところを見せつけての優勝。毎日新聞が彼の「この試合は、欧州選手権と世界選手権の練習のつもり」という発言をいち早く伝えていて、最初に知った時は少しカチンときた。ただネットでは見られないのだけど今朝の朝日新聞の報道だと「ライバルたちの棄権や自滅に助けられての優勝では素直に喜べない」という趣旨で発言したようにもとれる。翻訳によるニュアンスの変化ということもあるので、このあたりの解釈には慎重さが必要だと思う。

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うーん・・、結果を知ってて見て映像・・・。痛々しい感じでした。(><) こんな状

コメント

大ちゃん、あの状況で本当に良く頑張りましたよね(号泣)精神的にかなり成長したのを確信し、とても嬉しかったです。ジュベールも
本調子ではなく、ランビエール、バトルなどが出ていませんでしたが、何だか大ちゃんが世界のトップに立てる日が来るのではないかと期待したりしましたし。ステップでヘロヘロになってレベル1だったのは悲しかったですが、ジャンプを何としても降りると言う意気込みを感じました。美姫ちゃん共々大事をとってエキシビジョンには出ないということで、残念ですが、ゆっくり休んで全日本に臨んで欲しいです。ショートでは良い演技のわりに観客の反応が微妙な感じもしましたが、フリーでは頑張っている様子に心打たれた方が多かったのか、日本と同じくらい拍手が大きくて良かったです。今回の演技を見て「高橋選手はなかなかやるな」と思われた方(選手も含め)が多いと良いなと思います。

ジュベールの発言は、私も最初ちょっとカチンと来たのですが、悪気はないものと思いますし、訳し方もありますよね。(良い解釈の記事が読めないのが残念です)

-> モモさん

高橋選手、立派だったと思います。つらくなるのを覚悟して見ていたのですが、実際にはむしろ結構感動しました。あれだけの精神力があれば、仰る通り世界の頂点に立つ日がいつかやってくるかも知れませんね。地元観衆にも強い印象を残したし、ライバルの選手たちにも手強いと思わせたのではないかと思います。

ジュベール発言については詳しく説明した記事を探したのですが見つけることができませんでした。でもあの記事の解釈にはとらわれない方がいいように思います。

皆調子が悪い中で全員が精一杯頑張った大会だったと思います。
ジュベールの事ですが
http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2006121700010
こちらを見てわかるように
「欧州選手権に向けてもいい準備になった。」→「この試合は、欧州選手権と世界選手権の練習のつもり」と対立させるために煽ったのかなーと・・・。
どっちにしろ、どの選手もやはり世界選手権を目標に練習してると思うので特に気にしませんでしたが。

-> acaさん

はじめまして。コメントありがとうございます♪

困難な状況でも最善を尽くした選手たちに賛辞を贈りたいですね。ジュベール発言は最初に聞いた時はライバル選手たちを練習台と見做すかのような態度に腹が立ったのですが、ご紹介の記事だと穏当な表現になっていますね。意識して挑発しようとしたとも考えにくいのであまり気にしないことにしようと思います。

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