グランプリファイナル2006 女子シングル フリー

2006年12月18日

男子に引き続き女子も波乱の展開に。安藤さんも高橋選手と似たような症状、真央ちゃんもどうやら万全でなかったらしい。何とも見ていて切ない大会になってしまった。

放送は例によってシェベシュチェンさんの演技をカット。ペアとアイスダンスは2時間の枠で12組全てのカップルを放送したのになぜ地上波でのシングルは10選手の演技を放送できないのか、考えると腹が立つ。


村主章枝さん

日本勢の中では最もフリーの順位がよかったのでまずまずいい演技だったのかと期待して見たのだけど、ルッツからのコンビネーションの次に跳んだフリップがダブル、次のトウループがシングルと冴えないスタート。キャメルスピンでバランスを崩す場面もあり、サルコウもダブル。全体に元気のない演技になってしまった。村主さんも体調不良だったらしい。


サラ・マイヤーさん

見ていて切なくなるような演技が多かった中で清楚な美しさでほっとなごませてくれたのがこの人の演技。腕の動きが表情豊かで見惚れてしまう。解説のみどりさんも指摘されていたように彼女にとてもよく合ったプログラムだと思う。ジャンプの細かなミスは気にならなかった。

彼女のファイナル進出には組み合わせに恵まれたという面があり、3位に入ったのも周りの自滅に助けられたからでもある。それでも派手な大技を持たない選手でもこうした大きな大会で表彰台に上がれるということが示されたのは何だかうれしいような気もする。


キム・ヨナさん:ヴォーン=ウィリアムズ あげひばり

最初にヨナさんが優勝という結果を知った時にはこうした勝ち方では素直におめでとうとはいいにくい気分だな、と感じていた。でも実際に演技を見てみるとやはり素晴らしい出来だったと思う。腰の状態は万全ではなく、彼女のベストの演技というわけではなかったかも知れないが、難度の高いジャンプの構成に加え、あの独特のしなやかな表現はグランプリファイナル優勝に恥じない演技だった。

周りの自滅に助けられた結果でもあり、本人も優勝できたのは「真央がミスしたから」と語っているそうだけど、参加した3つの大会全てに安定した力を発揮できたからこそ得られた栄誉といっていいだろう。世界のトップ選手の仲間入りを果たしたことを証明する結果であり、これを自信にしてさらなる進歩を遂げて欲しい。


安藤美姫さん:メンデルスゾーン ヴァイオリン協奏曲 ホ短調

深夜にオンラインリザルトを見ながらフリーでシェベシュチェンさんより低い点が出た時には目を疑った。一体彼女に何が起こったのか、と心配になったが、高橋選手と同じく体調不良だったとのこと。最初のルッツがシングルになったのを皮切りにジャンプがことごとくすっぽ抜けてしまった。インタビューでは少し笑みを浮かべていたが、あまりの悔しさに笑うしかなかったのだろう。控え室では泣きじゃくったという切ない情報も伝えられている。

今シーズン見違えるように復活を果たした安藤さんにはかなり肩入れして応援してきたのでこの結果は私にもショックだった。とても残念だけど過ぎたことは仕方がないので全日本や世界選手権でこの悔しさを晴らして欲しい。


浅田真央ちゃん:モンティ チャルダーシュ

安藤さんが下位に沈んだのを見た時点で真央ちゃんの優勝を確信したのだけど、真央ちゃんまでが失速してしまった。冒頭のトリプルアクセルが回転不足で両足着氷の末に転倒。その後も全く真央ちゃんらしくないミスの連続だった。ルッツでの転倒なんて真央ちゃんにしては考えられないミス。コンビネーションジャンプの予定もいともあっさりと諦めてしまっていた。

最初のトリプルアクセルで失敗するとそれを後に引きずってしまう、というのはこれまでも指摘されてきた欠点だけど、それにしてもあまりにひどい出来だった。ほかの選手たちと違って真央ちゃん本人はいわなかったけど、周囲からは風邪をひいていたという証言も出ているらしい。

インタビューでは泣きそうなのをこらえながら話しているのがはっきりとわかり、聞いている方も切なくなってしまった。これまで何度かの真央ちゃんの敗戦はたまにはこういう経験をするのもいいのではないか、と思える内容だったけど、今回は見ていてかわいそうになった。でもまだまだ若い選手なのだからこれを乗り越えて強くなっていって欲しい。


それにしても怪我、アクシデント、体調不良と波乱に満ちた大会だった。その昔チャイコフスキーが交響曲第6番「悲愴」の初演のためにこの町を訪れて、生の水を飲んでコレラに罹り亡くなったというエピソードを思い出してしまった。みんなこの後の大会参加に支障が生じなければいいのだけど。

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コメント

女子フリー、日本は3人とも体調を崩していたそうで、ちょっと見ているのがつらかったですが、それでも最後まで観戦しました。
☆真央ちゃん、ちょっとくらいミスしても、「世界」の2位ですから、堂々としてほしいです。それに、真の「世界一決定戦」は世界選手権です。がんばれ!
☆村主さん、安藤さん、怪我がなくてそれがよかった。全日本まであとわずかなので、特に安藤さん、早く体調が戻るといいです。
☆Get Sportsで、荒川さんが、噂にとらわれないで冷静に不調の分析をしてましたけど、結局、体調や精神状態がよくないと、前かがみになって視線がいつもと変わってしまったり、おなかに力が入らないので踏み切りがおかしくなったりと、練習のときできていたことが急にできなくなる、なんてことがあるんだそうですね。技術的には何にも問題ないので、一番大事なのは気持ちの切り換えだそうです。地方大会を見てると、そういう選手をみかけますもんね。一流選手でも、まだ若いと、そういうこともあるんだな、と思いました。

真央ちゃんのインタビュー、最後は完全に涙声になり
たった16歳の女の子がここまでおいつめられているのかと思うと、
本当に辛い気持ちになりました。
でも私が感心したのは、散々だった内容にもかかわらず
どの日本人選手もちゃんとキッス&クライで自分の点数を確認した事です。
特に外国人選手に多いのですが、点数が出ない内容だってわかっていると
点数も見ずに引き上げてしまう選手が多いじゃないですか、
現実から目を背けずちゃんと向き合った皆に拍手を送ると同時に
今は少しでも休養して、と言いたい気持ちでいっぱいです。

-> やまぼうしさん

荒川さんの分析は見ていなかったのですが、技術に破綻が生じたわけではないでしょうから、後は気持ちを切り替えてこの後のシーズンに臨むことが全てでしょうね。みんな悔しいだろうと思うけど、あまり思いつめずに、体調管理の甘さなど反省するべき点があれば反省して、万全の状態でこの後の大会に臨んで欲しいですね。


-> sashaさん

長野オリンピックの時に納得のいく演技ができなかった元世界チャンピオンが点数を確認せずにキス&クライから立ち去ってしまって、有香さんが「残念です」とコメントされていたのを思い出しました。今回の日本選手たちは堂々とした態度で立派でしたね。どこかおかしいということが明らかな高橋選手などはインタビューはパスしてもよかったと思うのですが、質問に淡々と答えていて驚かされました。真央ちゃんはつらいのを必死でこらえていて、トップアスリートというのは身体的な能力だけではなくて気持ちの上でも強くないとやっていけないんだな、とあらためて感じさせられました。次は笑顔の真央ちゃんが見たいですね。

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