全日本選手権2006 女子シングル SP
2006年12月28日
澤田亜紀さん
濱田コーチの"でこぴん"を受けての演技。フリップがステップアウトし、次のフライングシットスピンでバランスを崩す。それでも彼女らしい元気のいい演技だった。今日はカメラが濱田コーチの姿を映してくれたのでご満悦だった。
安藤美姫さん:リムスキー=コルサコフ シェエラザード
男子の高橋選手と同じくグランプリファイナルで体調を崩したが、高橋選手が世界選手権出場の内定を得たのに対し安藤さんは全日本での活躍が求められることとなった。その意味でどんなコンディションで臨めているのかが注目されたが、今日のSPを見る限りでは特に問題はなさそうだった。シーズン序盤の好調時に比べると動きにやや切れがなかったような気がしたが、ジャンプも全て華麗に決めており、安藤さんらしい演技だったと思う。ストレートラインステップの最後の部分でわずかにバランスを崩していたようにも見えたが大きな減点にはならなかっただろう。今シーズンの復活への意気込みの全てを明日のフリーにぶつけて欲しい。
武田奈也さん
長い手足をいかしたのびやかな演技。解説の荒川さんは身長で抜かれたことにショックを受けたのだそうだ。
浅田真央ちゃん:ショパン ノクターン第2番
真央ちゃんらしいノーミスの演技。全く隙のない完成されたプログラムに仕上ったと思う。フリーの「チャルダーシュ」の方は今シーズンまだ会心の演技をできたことがないので、明日はどこまで完璧に近づけることができるか注目される。インタビューでは「(ステップからの)トリプルアクセルを決めてノーミスの演技をして200点を達成して優勝したい」とどこまでも強気な言葉を並べていた。頼もしい16歳!
恩田美栄さん
プログラムを「春の海」から変えてきていた。やはりあの曲は本人としても滑りづらかったのだろうか。私としてはもう少しこだわって挑戦して欲しい気持ちが強かったので少し残念。しかしその甲斐あってかノーミスの演技で上位に食いこんだ。明日のフリーはことによると現役最後の演技になるかも知れない。悔いのない演技で締めくくって欲しい。
村元小月さん
ジュニアの全日本選手権優勝の選手。同じくジュニアで活躍中の哉中(かな)さんのお姉さん。演技を見るのは初めてだったけど、しなやかで丁寧なスケーティングが印象に残った。ステップでの転倒などもあったけどなかなか存在感のある選手だと思った。ここでも濱田コーチの笑顔が見られてうれしかった。
太田由希奈さん:チャイコフスキー 白鳥の湖
待ちに待った由希奈さんの試合での演技。これを見られただけでも感慨深い。ジャンプはかなり難度を落とした構成にしていたが、それが功を奏してノーミスの演技。細かくいうとサルコウの着氷はやや危なかった。この構成にしては比較的高いTESがでていたのでおそらくダウングレードはされていないと思うが、されたとしてもおかしくない内容だったと思う。スピンではビールマンポジションを採り入れていたが、これも回転が不足していたのではないかと思う。
しかしそんなことより何より、やはり彼女の演技は別格の美しさだった。日本の女子はレベルが高いので素晴らしい演技には見慣れてしまっているが、世界のトップ選手達の中に交じっても一際美しいと思った。一人だけ別の次元で演技をしているような印象だった。この人が競技会に戻ってきてくれただけでもうれしくなる。
心配していた点数だがTESに関しては予想より高かったのに驚いた。ジュニアのトップ選手にも劣るようなジャンプの構成ながらこれだけの点数が出るというのはやはり彼女の演技の質の高さによるのだろう。その半面PCSは低過ぎるのではないかと思う。あの演技にこんな点がつくのならPCSの存在意義とは何なのだろうかと思ってしまう。
しかしともかく由希奈さんの元気な姿が見られて満足だった。インタビューでは高い声でにこやかにうれしそうに話していた。フリーの方が多く練習してきたとのことなのでどんな「火祭りの踊り」になるのか楽しみ。明日はジャンプはサルコウとトウループだけ、というわけにはいかないはずだけど、今の力を全て出し切れるよう祈りたい。
浅田舞さん:ピアソラ Oblivion〜Libertango
舞さんらしい優雅な演技。持ち前のしとやかな美しさにスケール感が加わりつつあるように思う。スパイラルなどは特にポジションの美しさに加えて迫力を感じさせる。スピンではビールマンポジションでの回転が不足していたようだった。
中野友加里さん:SAYURI
今シーズンはここまでまだ会心の演技をできていなかったが、今日は一番の出来ではなかったかと思う。ジャンプの巻き足は相変わらずだが難度の高い構成を全て成功、NHK杯では思わぬミスの出たスピンも安定していた。グランプリファイナルの出場を逃した分、コンディションの調整はうまくいっている様子。明日もこの調子なら世界選手権出場にも手が届くかも知れない。トリプルアクセルの成否も注目される。
村主章枝さん:ラヴェル ボレロ
ルッツからのコンビネーションのダブルトウループの着氷の流れが悪いな、と思って見ていたら続くフリップは回転が足りず両足で前向きに降りてしまった。間違いなくダウングレードされているだろう。全体にNHK杯の時のような躍動感に欠けていたと思う。いつも大事な試合には万全の状態で臨んでくる村主さんだが、今回はハードなスケジュールのせいもあってか少し動きが重たそうに見えた。それでもフリーではベテランらしく勝負強さを発揮しそうな気がする。世界選手権の切符は中野さんと競り合う位置にいるが、意地の張り合いが楽しみでもあり、少し切なくもある。
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