「誰でもピカソ」ちあきなおみさん特集
2007年2月16日
今日放送の『誰でもピカソ』はちあきなおみさんの特集。不注意で初めの方を少し見逃してしまったけど十分楽しめる内容だった。
ちあきさんは裏声が苦手だったそうで決して音域は広くなく、迫力のある声量で聴き手を驚かすような歌手でもなかったが、その圧倒的な表現力は聴く人の心をとらえてはなさない。うまい歌手は世の中に数多くとも、これほど人の心の奧の陰影を細やかに歌で表現できる人はなかなかいないだろう。随所に演劇的な感性が光るのも特徴的だ。特に「朝日のあたる家」などは舞台がニューオリンズということもあってどうしてもブランチ・デュボアを思い出してしまう。
ゲストの船村徹さんを交えてのスタジオトークもおもしろかった。船村さんはちあきさんのために書いた「矢切の渡し」が現在細川たかしさんの歌唱によって知られていることに複雑な心境だという。櫓を漕いで進んでいく和船の揺れるリズムを意識して作ったのに細川さんの歌には船外機がついている、と語っていた。逆にいうとそうしたリズムを丁寧に再現できるのはちあきさんしかいない、ということなのだろう。
彼女が歌手活動を停止してしまったことは日本の音楽の豊かさを失わせたといっても過言でないだろう。また歌手として私たちの前に戻って来て欲しいという船村さんの熱烈なラヴコールはちあきさんに届いただろうか…。
追記:17日0時10分
ZAKZAKにちあきさん夫婦の経営していた喫茶店についての記事があった。
コメント
弊ブログにコメントありがとうございました。
ちあきさんの「矢切の渡し」もいいですね。
歌うというより語るという感じがあって、いいなあと思います。
細川たかしさんのものより私は好きです。
ちあきなおみさんの歌は、人生の裏側を知り尽くしたかのような味わいがありますよね。
実は「隠れファン?」で、VIRTUAL CONCERTシリーズの「朝日のあたる家」や「ハンブルグにて」などのCDを愛聴しています。
復帰コンサートが実現したら、飛んで行きたいところですが。。。
-> ピースうさぎさん
コメントありがとうございます♪
ちあきさんて歌っていながら芝居をしているような感覚があるんですよね。歌の世界をそのまま再現してくれるので、聴いているとどっぷりとそこに浸ってしまいます。
-> ミナコヴィッチさん
隠れファンでいらしたのですか、別に隠れなくてもいいと思うのですが。^ ^
ちあきさんは歌の主人公の感情を知りつくした上でそれに成りきったかのような歌を聴かせてくれますよね。本当に復帰してくれたらどんなにみんな喜ぶことか…。今どうしてらっしゃるんでしょうね。
ちあきなおみ、太田由希奈で検索していたらたどりつきました。ちあきなおみさんを音域が狭く声量のない歌手だというのはあまりに認識不足で、ちょっとびっくり。このテレビで取り上げられなかった歌をお聞きになるチャンスがあれば考えは変わると思いますよ。
-> 風花さん
はじめまして。コメントありがとうございます♪
「音域が狭い」というのはゲストの船村徹さんがひばりさんとの比較で「ちあきくんは裏声が苦手なのでそのことに気をつけて作曲しなきゃならない」といった趣旨のことを(狭いというような露骨な言い方は避けていましたが)仰っていたのを参考にして書きました。「声量云々」については、ちあきさんはオペラ歌手のように朗々と声を張り上げるような歌い方はせず、また私の好きなちあきさんの曲は聴く人にしみじみと語りかけるような歌い方のものが多いのでそのように書きました。決してちあきさんの声量が不足していると思っているわけではありません。いずれの表現もちあきさんの歌は技術的なことよりも歌の世界に深く没入した迫真の表現力にその本領がある、ということを強調したかったためのもので他意はありません。不快にさせてしまったとしたらご容赦下さい。
ちあきさんについてはリアルタイムではあまりよく知らなくて、活動を停止してしまってからその評判を耳にして関心を深めるようになったので確かに十分認識できてはおりません。ですから先日の『誰でもピカソ』やNHKBSの特集などはちあきさんの歌について知るのにとても助けになりました。ボックスセットなども聴いてみたいのですがおいそれと手を出せるものではないので、またああいった番組で多面的に紹介してくれることに期待しています。
由希奈さんのファンでもいらっしゃるのでしょうか、彼女も一時はスケートを辞める気になっていたそうですが戻って来てくれてよかったですね。ぜひ一緒に応援していきましょう!
ちあきさんの声域について正確には知りませんが、ひばりさんほどには広くなかったとしてもプロの歌手として不足ないだけの広さは十分にあったと思われるので、"狭い"というのは適切でなかったかも知れません。その部分を含めて表現を少し改めておきました。