ジャンプの見分け方 サルコウ

2007年3月13日

ジャンプの見分け方、最後に取り上げるのはサルコウである。例によって反時計回りの選手を基準にするので、時計回りの回転をする選手の場合は右と左が全て逆になるということを念頭において読んでいただきたい。


サルコウとは左足のインサイドで後ろ向きに滑りながらトウを突かずに跳ぶジャンプである。3種類あるエッジジャンプのうちの一つである。実際に跳ぶ際には左足を軸にターンをし右足を自然に前に出しながら踏み切るのが普通である。両足の前後関係からジャンプの回転と同じ方向に体をひねった状態になるのでトウループに次いで易しいとされている。見た目にも助走から踏み切りに至る動作の流れがとてもスムーズに感じられるジャンプである。

比較的難易度の低いジャンプであることから4回転を跳ぶ選手もいる。今のところ競技会での4回転ジャンプの成功例はトウループとサルコウしかない。女子で唯一4回転ジャンプを成功させた安藤美姫さんが跳んだのもこのサルコウである。


見分ける際には前述の通り助走から踏み切りへと至る動作の流れが最もスムーズなジャンプだということを意識しておくとわかりやすくなると思う。重要なポイントは踏み切りの時にトウを突かないエッジジャンプの一種ということである。これによってルッツ、フリップ、トウループと区別できる。前向きに踏み切るアクセルとは異なり後ろ向きに踏み切るのでこれも見分けるのは難しくない。比較的難しいと思われるのはループとの区別である。

サルコウはほとんど必ず踏み切り前にターンをし、その慣性を利用してジャンプの回転に移る。ループでもターンからすぐに踏み切るような跳び方をする場合もあるが、最も普通に見られるのは後ろ向きのままある程度の距離の助走をとって踏み切るケースである。このためジャンプの回転に移行するのに慣性を利用できず、両足の前後関係がジャンプの回転とは逆の状態になるので踏み切りへの動作が窮屈そうな印象を受ける。サルコウは左足を軸にしたターンから右足を前に出して踏み切る一連の動きがずっとスムーズで楽に跳んでいるように見える。こうした点に注意して見れば見分けるのは決して難しくない。


もう一つだけヒントをいうと荒川静香さんのトリノオリンピックでのフリー演技で、イナバウアーの後に跳んだコンビネーションジャンプの一つ目に跳んだのがサルコウである。この演技は録画して保存されている方も多いと思われるので、見ることができる場合はよく観察してみるといいと思う。流行語大賞にまで選ばれたイナバウアーなので、これからもTV番組等で放映される機会も多くあるはずである。録画が手元になくてもそうした機会を利用すれば覚えられるようになるだろう。


まとめ:サルコウの見分け方

  1. 左足のインサイドで後ろ向きに滑りながら右足を前に振り上げるようにして踏み切る。
  2. 助走から踏み切りへと至る動作の流れが最もスムーズなジャンプ。
  3. 3種類あるエッジジャンプのうちの一つ。
  4. 前向きに踏み切るアクセルとは違い後ろ向きの助走をとる。
  5. ループとは踏み切る直前の両足の前後関係が逆になり、ループに比べ楽に跳んでいるように見える。
  6. 荒川静香さんがトリノのフリーでイナバウアーの直後に跳んだジャンプ。
Figure skating_Jumps_Demonstration by Yukina Ota - YouTube
太田由希奈さんによる模範演技

目次

Bookmark and Share BlogPeople 人気ブログランキング にほんブログ村

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:

管理者の承認後に反映されます。

http://vita-cantabile.org/mt/tb-vc/176

コメント

投票の参加、ありがとうございました。只今女子をやってますので、よろしければまたご参加下さい。選択肢が5つまでなので、何だか我ながら不満の残るラインナップになってしまいました。

ファン歴は実はけっこう長いものの、ジャンプの見極めがあまり出来ていません、、、。何とか見に行くまでにもう少しマスターしたいです。

-> モモさん

予想通り高橋選手一番人気でしたね。ライザチェク選手はもう少し票が入るかと思ったのですが意外でした。今度は女子ですか、また後ほど伺います。

ジャンプの種類は見分けられなくても競技を楽しんで見る上では別にどうということもないので、気になった時に少し意識して見てみるというくらいでいいのではないかと思います。本当は映像で紹介できたらそれが一番いいのですけどね。

サルコウジャンプの「聞き」分け方、なんて言うとお題(「見分け方」)から外れてしまいますか。しかし、サルコウを飛ぶときの音に凄くはまってます。まず、氷を切るエッジの音、そして着地の音。ザーッ(クルクルクル)タッ!みたいな。スケーターによって音が違ってくるみたいなんですけど。
特に、荒川さんの音は、鮮烈でした。それも、荒川さんのレイバック・イナバウアからの3回転サルコウ(特に3連続ジャンプ)、トリノでやったものなんですが、生で見ると最高ですよ。幸運にも仙台のCOIでアンコール版トゥーランドットとして見ることができました。ちょうど審判席側(もしも競技会だとしたらの話ですが)から見たので、凄いです。あのイナバウアで左前方から急接近してきてですね、目の前をカーブして抜けて行き、そして、右後方で、ザーッ(クルクルクル、クルクル、クルクル)ですよ。あれは、もう一度、生で!審判席側で!是非、見たいです。

-> やまぼうしさん

先日BS-iで放送された「超・人」の特集で荒川さんと国体出場経験のある石田さやかさんという方のダブルサルコウをハイスピードカメラで分析して比較するという企画をやっていました。スローで見ると荒川さんは踏み切る瞬間まで氷の表面をなめるようにエッジを滑らせているのが確認できました。着氷の時も最初にトウで氷をとらえてから衝撃を膝と足首の柔らかさで吸収して滑らかにエッジに乗っている様子をカメラがとらえていました。

サルコウは特に荒川さんのしなやかなスケーティングの美しさがいきるジャンプですよね。トリノでのイナバウアーからサルコウへと至る流れはまるで雲の上を天女が舞っているかのようでした。今後のショーでの演技でもまた見せて欲しいですよね。

☆サルコウといえば安藤美姫さん。4回転について「練習ではやる」と以前言っていたました。それに、今は成功率が1割未満。だから世界選手権のフリーではやらないと予想してます。はたしてどうなるでしょうか???
☆練習で成功した4回転がテレビで流れてますよね。トリノの頃は回転が足りず、本当は4回転じゃなかったけど、今シーズンは4回転に返り咲きましたね。体を絞ったからという理由だけじゃない。以前は横に流れるように飛んでいたのを上に向かって飛ぶようになり(門奈コーチが指で上を指してる映像なんてのもあったかと記憶してます)、回転力も戻ってきた。
☆本音を言うと、安藤さんの4回転サルコウは、動体視力の悪い私なんぞには、「アッ」という間に終わる瞬間芸で、その良さがあまり実感できないんですね。スロー再生して見て、はじめて、すごいなと実感するんですね。ターンしながら後ろから入れてくる右足→八の字姿勢→「アッ」という間の4回転です。
☆安藤さんが金メダルに輝いたとき、4回転サルコウと、3回転ルッツ-3回転ループ(←このセカンドジャンプの絶妙さはあまり注目されてない)、TVで分析してくれるんでしょうか。

-> やまぼうしさん

安藤さんは4回転について「やってみたらできちゃった」という言い方をしているので、本人も何が成功させる秘訣なのかをわかっていなかったのではないかと思います。今シーズン、ジャンプを基礎から見直す中で再び精度を上げてきているのでしょう。

今大会での挑戦には前向きなコメントが紹介されていますね。ここで守りに入るより、将来的なことを考えると挑戦しておいた方がいい、という判断なのだと思います。たとえ転倒してしまっても回転数が認定されればそれなりの点数をもらえますので、思い切って跳んで欲しいですね。

4回転は挑戦しませんでしたね。本人は跳びたかったけどモロゾフの指示で回避したようです。結果的にはこの判断が効を奏しましたね。練習ではかなりの精度まで上がってきていたようですし、来シーズン以降の課題として取り組んで欲しいです。

コメントを投稿

最新のコメント

author

author’s profile
ハンドルネーム
sergei
モットー
歌のある人生を♪
好きな歌手
本田美奈子さん、幸田浩子さんほか
好きなフィギュアスケーター
カタリーナ・ヴィットさん、荒川静香さんほか

最近のつぶやき

おすすめ

あわせて読みたい

Giorni Cantabili を読んでいる人はこんなブログも読んでいます。