本田美奈子さん記念碑銘文 私案

2007年3月10日

以前に記した通り朝霞市本田美奈子さんの記念碑を設置することになった。これについては私も昨年四月の追悼展に行った後でこうした施設の建設について市役所に要望させていただいていたので、先日市役所にお礼のメッセージを送信しておいた。その序でといっては何だけど、記念碑をどういうものにするかは現在検討中とのことだったので、僭越ながらそこに刻まれる銘文について私が思っている案を提出させていただいた。


私が推薦したのは美奈子さん生前最後の作品となったミニアルバム「アメイジング・グレイス」のブックレットに記載されている美奈子さん手書きのメッセージである。美奈子さんは言葉を大切にする人で、いくつかの作品で作詞を手がけているほか詩やエッセイ風の文章も残している。いずれもみずみずしい鋭敏な感性による素晴らしいものばかりだが、このメッセージは私がとりわけ気に入っているものの一つである。歌とともに生きてきた自身の生涯を語った美しい文章で、ファンとしてのひいき目を抜きにして素晴らしいと思う。歌について語られた文章でこれに比肩し得るものとしては、私は紀貫之による古今集仮名序くらいしか思いつかない。不世出の歌姫の生涯を記念する碑に刻む銘文として実に相応しい文章である。最後の「このミニアルバムを…」以下の一文を削除すればそのまま使えると思う。

できることならここに全文を紹介したいのだけど著作権法的にどうなのかよくわからないのでやめておく。ただこのメッセージを見るだけのためにでもこのミニアルバムを手にしていただきたいと思う。それほど気高い美しさに満ちた稀に見る名文である。これを読むと美奈子さんの歌への取り組みが言葉への繊細な感性に基礎を置いているということが如実に理解できる。おそらく「笑顔」や「ありがとう」の詩などが候補に挙がっているものと思われるが、ぜひこの文章も選択肢の一つに加えていただきたいと思う。


メロディーが流れる仕組みも検討しているとのことだけど、これについては私はあまりこだわっていない。場所が朝霞駅前とのことなので、そもそも美奈子さんの音楽に聴き入るための施設とは考えにくい。これは美奈子さんの偉業を顕彰するための施設と理解するべきなのだと思う。単なるメロディーなのか、美奈子さん自身の歌声になるのかもあまりこだわっても仕方ないだろう。せっかく美奈子さんの美しい歌声が流れてきても、人混みの中で雑音や電車の騒音にかき消されてしまう可能性が大きいからだ。

単なるメロディーだとすると、曲は美奈子さんの持ち歌と見做し得るものに限定されるだろう。「アメイジング・グレイス」や「ジュピター」は除外されることになると思うが、美奈子さんの歌を使用することが可能だとすればこの限りではない。おそらくは「つばさ」を軸にして検討されることになると思う。個人的には「…マリリン」はやめて欲しいが、朝霞市民のみなさんや全国の美奈子ファンがそれで満足されるのなら強いて自分のわがままを通すつもりはない。


これは朝霞市が行う事業なので、基本的に大事なのは美奈子さんがこの地で育ったということを市民のみなさんが誇りに思ってもらえるような施設にするということだと思う。あまりファンとしてのエゴを押し通すことは慎みつつ成り行きを見守りたい。いずれにしても完成した記念碑をまた朝霞まで見に行くのが楽しみだ。

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