恩田美栄さん引退
2007年4月 6日
もうすでに古いニュースだけど恩田美栄さんが今シーズン限りでの引退を表明した。恩田さんは日本のフィギュアスケート界が誇る世界のトップ選手の一人だけど、安藤美姫さんくらいからこの競技を見始めた方には彼女がフィギュアスケートファンにとってどういう存在なのかが少しわかりにくいのではないかと思う。
彼女が世界の一線で活躍するようになったのは、日本では今ほどこの競技が注目を浴びていなかった頃のことだった。次代のエースと目されていた荒川静香さんの思いがけない低迷もあって日本のフィギュアスケート界にとって苦しい日々が続いた時期を、村主章枝さんや男子の本田武史さんと共に支えたのが恩田さんだった。高さのあるジャンプと溌剌とした演技を持ち味とし、まだ旧採点方式だったこともあって成功するかどうかわからないトリプルアクセルに試合で果敢に挑戦した。ファンはそれを手に汗を握りながら見守ったものである。
決してどんな課題でもすぐにこなせてしまうような器用なタイプではなかったが、目の前の目標に体ごとぶつかっていくような元気のいい演技は見る者に勇気を与えてくれた。最後の試合になることを覚悟して臨んだ今シーズンの四大陸選手権のフリーではジャンプを成功させることだけの意識を集中した、と語っていた。ジャンプへの集中と表現面での配慮とを試合の中で両立させることは最後までできなかったようで、よくも悪くも恩田さんらしい最後の演技だった。
ルールの変更や相次ぐ天才少女の出現でここ数年は彼女にとって苦しい時期が続いたのではないかと思う。体力的にはまだまだ続けることも可能だが、これ以上彼女の憔悴した姿を見たくないというご家族の意向を受けての決断と推察する。
真央ちゃんや安藤さんの人気で爆発的に沸き立っている現在だが、彼女の存在なしには今の日本のフィギュアスケート界の隆盛はあり得なかった。長い間ありがとう、お疲れ様、と心から伝えたい。
コメント
恩田さんといえば2002年のグランブリシーズン2勝して(すごい)注目されるようになったんですよね。その頃はテレビに映らなかったし僕もフィギャアファンじゃなかった。
2005-06シーズンの全日本の溌剌とした演技、あれも振り付け師としてのモロゾフの再生術のひとつだったように思う。
そのつぎどうなるか?去年はずっと注目してた。私はもう一年はアマで見たかった。
-> やまぼうしさん
おや、意外に新しいファンでいらしたのですね。とてもお詳しいので自分と変わらないくらい古くからのファンかと思っていました。^ ^ よほど熱心に集中して勉強されたのですね。
恩田さんが注目されるようになったのはソルトレークシティーオリンピックの少し前くらいからだったと思います。当時男子は4回転ジャンプが実用化の段階に入っている一方で、女子はみどりさん以来久しくトリプルアクセルを跳ぶ選手が途絶えてしまっていて、あの選手が練習しているらしい、というような評判さえ聞かなくなっていました。そんな時に試合で果敢にトリプルアクセルに挑戦する選手が登場したことには新鮮な驚きを感じたものです。自身では試合でトリプルアクセルを成功させることはありませんでしたが、その後の女子のジャンプの技術の向上に先鞭をつけたのが恩田さんだったと思います。
2005年の全日本のフリーが彼女の最高の演技だったでしょうね。余力を残しての引退は惜しい気もしますが、続けていくことは精神的にも肉体的にも大変なことでしょうから、今はお疲れ様、とねぎらって上げたい気持ちです。
恩田さんがグランプリシーズン2回優勝したのは、ソルトレイク五輪前の2001年でした(^^ゞ
それに18才の恩田さん、とてもキュートでした(今の安藤さんよりも!?)。
果敢に攻めるハツラツとした恩田、芸術路線で努力家ね村主、人気ありましたよぬ。それに対して、やる気が感じられないとか、つまらないとか、荒川さんが言われていたとは、今では信じられない。3人の切磋琢磨がずっと続くと思ってました。その頃は。
-> やまぼうしさん
恩田さんのファンサイトを見るとGPSで2勝したのは2002-03シーズンで合っているみたいです。それ以前から高さのある豪快なジャンプで注目されていましたが、それが国際大会での優勝という結果に結びついたのがそのシーズンだったのでしょう。村主さん、荒川さんと3人それぞれ違った個性で競い合いながら日本のフィギュアスケート界を牽引してくれましたね。
間違えてましたか。恩田さん、2001-2003の戦歴はまばゆいりですね。その頃はグランプリシリーズは見てなくて、全く記憶にない。。。私みたいなフィギュアファン多いでしょうね。伊藤みどり以後、恩田さんたちの活躍で、世界の頂点が見えてきたんですよね。
恩田さんのことを詳しく知ることが出来ました。
トリノオリンピック選考のとき、選ばれた3人のほか、恩田さん、中野さん、そして年齢制限を何とかして、浅田真央ちゃんと、みんな出してあげたらいいのにと思っていました。
前々年度の世界選手権でも、「このままでは引退できない。」と言って泣いていた恩田さんの姿が印象的でした。
世代交代が進む中で、恩田さんの活躍を見逃しがちでしたが、村主さん、荒川さんとともに頑張って女子フィギュア界を支えてくれた選手の一人なんですね。
-> やまぼうしさん
間違いというより最初ので合っていたということですね。^ ^ 私もこの頃はGPSはそれほど熱心にチェックはしていなかったと思います。NHK杯の優勝は覚えていますが、ドイツ大会というのは見ていなかった気がします。こうして振り返って見るとあらためてすごい選手だったんだな、と思いますね。
-> tattiさん
選手選考というのはどんな競技でも難しさはありますが、この時の恩田さんは全日本での最高の演技があっただけに悔しい思いをしたようですね。それが四大陸選手権の棄権、急遽出場が決まった世界選手権での不振にもつながったようです。
今シーズン一年をかけてやり残した思いを払拭できたのであればいいな、と思います。技術革新が進む中で存在感が薄れてしまいがちなところもありましたけど、引退を機会にあらためて彼女の素晴らしさを思い起こさなければ、と思いました。
恩田さん(こればかり書き込んで申し訳ない)
引退コメント、探してみたんですが、「今までありがとうございました」っていうファンへの感謝のメッセージと、「一生懸命カナダにいる間も努力はしてきた」「悔いはない」っていう飾らない淡々とした言葉が目につきました。有終の美というと、金メダルとか、ワールド出場とか、そんな風に考えてしまいがちだけど、そのときごとに精一杯やってきた恩田にとって、ずっと精一杯やってきたことが勲章なんだな、納得のいくまでやったっていうことなんだな、って思いました。これからは、ショーの中でやっぱり「頑張っていく」そうです。
-> やまぼうしさん
スポーツというのは限られた一握りの人だけが頂点に立つことができる厳しい世界ですが、それぞれの選手が自分なりにベストを尽くし、辞める時に競技をやってきてよかったと心から思えるように取り組むことが一番大切なのではないでしょうか。恩田さんは立派な競技者だったと思います。この経験をご自身やフィギュアスケート界の今後にいかしていっていただきたいですね。
sergeiさんのブログではお久しぶりです。
恩田さん、引退されましたね。
私はフィギュアを見始めたのはソルトレイクからで、その時村主さんと一緒に出ていた恩田さんも見て来ていたので日本のエースだったという印象があります。02年のGPSは2戦も優勝していましたし。
採点が変わってから恩田さんには不利な競技となってしまいましたけど、最後までスポーティな部分を貫いたのも恩田さんらしいですよね。
試合のプログラム的には採点なども意識してか女性らしさや表現力を重視みたいなプログラムが多くて、彼女らしさというのに欠けてしまっていた印象があったのも否めなかったですが…。
でもプロに転向した今、ショーで今度は伸び伸びとした彼女らしさが見られるといいですね。
-> mizukaさん
こんばんは。こちらではお久しぶりです。
ヤグディンさんがきっかけでフィギュアスケートにはまったというmizukaさんにとってはちょうどその頃一番輝いていた日本のスケーターの一人が恩田さんだったのではないでしょうか。あの頃は本当にきらきらしていた印象があります。
確かに最近では表現力を意識するあまり彼女らしさが失われて中途半端になっていた感もありますね。ただ彼女と同じくジャンプが得意で表現力にはやや難のあったスルヤ・ボナリーさんが現在プロスケーターとして力強い演技で人気を博していることを考えると、恩田さんもショーの場でまた本来の魅力を発揮できるかも知れませんね。
トリノオリンピックの前年,2005年の日本選手権での,美栄さんの渾身の演技は素晴らしいものでした。宿泊先のホテルのテレビで食い入るように見ました。その翌シーズン,私がかねがね「日本の曲で世界の舞台で滑るとしたらこれじゃないかな。誰か滑ってくれないかな」と思っていた曲を,彼女が滑ってくれました。箏の名曲「春の海」です。でも,SPでは短すぎたし,曲の良さも彼女の良さも十分出なかった気がして心残りでした。プロデビューされた美栄さんにお願い。今度はショーとして,あの曲の良さを十二分に生かして,静かな朝の海→動きの出る昼の海→また静かになる夕暮れの海を存分に舞ってほしいです。尺八の鳥の声と美栄さんの躍動するスケートが重なるのもすごく素敵だと思う。私の夢です。
-> ペコちゃんさん
初めまして。コメントありがとうございます♪
あの全日本での恩田さんのフリー演技は本当に素晴らしかったですね。彼女は日本の音楽を積極的にプログラムに採り入れていた点でも貴重な人でした。あの「春の海」は批判する人も多かったですが私はこういう斬新な取り組みを歓迎していました。シーズン途中で変えてしまって残念ではありましたが、またプロのアイスショーの場でもああいったチャレンジをして欲しいですね。
これからもどうぞよろしくお願いします。