NHK杯2007 女子シングル フリー

2007年12月 1日

浅田舞さんは残念ながら体調不良のためフリーを棄権。今はとにかく予定外の出場となったこの大会が彼女の全日本に向けての調整に大きな障害とならないことを祈りたい。


ラウラ・レピストさん

得意のトリプル–トリプルのコンビネーションジャンプは不発、果敢に挑んだルッツもシングルに。それでもスケートカナダのように大崩れはせず、今の彼女の持てる力は出し切ることができたのではないだろうか。演技終了後の表情は冴えなかったがこの大会の経験を糧にまた練習に励んで欲しい。


武田奈也さん

彼女もフリップに果敢に挑んだがあえなく転倒。しかしほかの要素はミスなくこなし、やはり今の実力を出し切った演技といえるだろう。本人も満足のいくできだったようで、終わった途端に素晴らしい笑顔になり、その後は感極まって涙ぐんでいた。ほかの選手にミスが相次ぎ終わってみればまさかの表彰台。この結果を一体誰が予想しただろうか。インタビューの受け答えもはきはきしていて頼もしい。この自信を胸にさらに飛躍して欲しいと思う。


アリッサ・シズニーさん

最初のトリプルルッツはダウングレード、次のフリップはシングルと悪い意味で彼女らしい演技。ルッツとフリップは二度ずつ跳んだけど一つも成功しなかった。これほど成功率が悪いのにルッツとフリップを合計四回跳ぶ強気のジャンプ構成はいかがなものだろうか。ほかの要素が素晴らしく美しいだけにもったいない気がする。


サラ・マイヤーさん:新実徳英「黒のラ・フォリア」「秋の紅」

ルッツからの三連続のコンビネーションジャンプは成功。しかし次のフリップは転倒に近いお手つき。もう一度ずつ跳んだルッツとフリップはともにダブル、とこちらもマイヤーさんらしい演技。やはりジャンプの負担を軽くして無理なく点数が稼げるような戦術に切り換えることも検討したらどうかと思う。それでもほかの要素は高い評価を受け、ミスする選手が多かったこともありフリーでは一位、総合で二位と健闘した。ファイナルには惜しくも届かなかったけど、二試合を通じてマイヤーさんらしい美しさは見せてくれたと思う。


安藤美姫さん

最初のルッツて転倒したのを皮切りにミスを連発。信じられないような得点でフリー七位、総合で四位という結果で、念願のトリノでのファイナルへの出場権を逃してしまった。特にルッツとフリップがことごとくうまくいかなかったのでやはりロングエッジの矯正に取り組んだことが彼女のジャンプの感覚を狂わせているのだと思う。一度身につけた感覚を矯正し直すというのは大変なことなのだな、と痛感させられる。見て楽しんでいるだけのファンが勝手にあれこれと欠点をあげつらうようなことはしてはいけないな、とあらためて思った。

トリノで開催されるファイナルへの思いは誰よりも強かったはずなので、彼女の気持ちを思うとこちらまでつらくなってくる。オリンピックでの悔しい思いを払拭できるまたとないチャンスだったのだが、よくよくトリノは彼女にとって相性の悪い街なのか。今は落ち込んでいると思うけど、また気持ちを切り換えて全日本に向けて調整して欲しい。きっと荒川静香さんも親身になって励ましてくれるはず。


カロリーナ・コストナーさん

フリップからのコンビネーションは二つ目のトウループがダブルに。その後も細かいジャンプミスを連発。それでもSPの貯金が生きて優勝し、ファイナル進出を果たした。彼女は今トリノの大学の学生さんだそうで、オリンピックでは安藤さん同様に悔しい思いをしてファイナルへの思いは強かったはずで、この結果はさぞうれしいだろうと思う。ファイナルまでにはSPとフリー両方でいい演技が揃えられるようにしっかり調整して臨んで欲しい。


放送を見てちょっと気になったのはNHKの放送がマイヤーさんのプログラムの音楽の曲名をアナウンスしていたこと。ISUのバイオには新実徳英さんの楽曲としか記されておらず、フランス大会でのテレビ朝日の放送でもそう紹介されていた。NHKが独自にマイヤーさんに取材して確かめたのか、それともブログ巡りでもして情報を収集したのか…。余計なことだけど気になってしまった。

今日は男子シングルのSPとフリーダンスの競技も行われたのだけど、中庭健介選手、リード姉弟、それにマイヤーさんとこの日だけで「ラ・フォリア」の旋律をモティーフとした音楽を使用した選手が三組もあった。この旋律がなぜこれほどフィギュアスケート界で流行しているのか、ちょっと不思議な気がする。

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コメント

以外な結末でしたね。
安藤さんにとってトリノは鬼門ですね。
来年こそNHK杯で優勝してほしいと思いました。

今回のTV中継はNHKと民放の差を改めて感じました。
NHKのスポーツ中継の素晴らしさを再発見しました。
実況の森中アナと解説の荒川さんの掛け合いも絶妙でした。
解説者の良い面を引き出すのはアナウンサーの力量ですね。
5.1chサラウンドで放送を堪能しました。
2週間後のGPファイナルではストレスを感じてしまうのでしょうか。

はじめまして。サラ・マイヤー検索でやってまいりました。
昨日のNHKは、レベルが低くてというか、失敗が目立ってちょっとがっかりでした。昔と比べて難度も上がっているのでしょうけれど、全力を出し切って成功させるということは昔と変わらないはず。なんだか、あれでメダル?って思ってしまいました。勝手な感想です。荒川さんの解説は素晴しかった。○藤さんとは比べ物にならない・・・。(^_^;)
 
> 新実徳英「黒のラ・フォリア」「秋の紅」
 
さて、サラが使ったのは、上記の曲だと思うのですが、中間部の緩徐シーンでたっぷり使われた「われもこう」が入っていなかったのは不思議に思っていました。こちらを読ませて戴いて、インタビューという手段なら仕方ないなと思いました。

この夏、歌ってみました。僭越です。よかったら・・・。
http://papalin.yas.mu/W307/M001/

-> moonさん

安藤さんはあまりにも残念な結果で見ている方までつらくなってしまいましたけど、また気持ちを立て直して練習に取り組んで欲しいな、と思います。ファイナルの放送は…、民放の制作スタッフが何を考えて編集しているのかさっぱりわからないので不安ですが、参加選手も少ないですし、できるだけ多くの種目と選手を放送してもらいたいです。


-> Papalinさん

はじめまして。コメントありがとうございます♪

選手のみなさんは少しでもいい成績をあげようとしてぎりぎりの難しい技に取り組んでいますので、時にはこういう見ている方としては不満足な試合になってしまうこともあります。ショーではなく競技である以上避けられない宿命みたいなものですね。全力で取り組んでいるからこそこういうことが起こるわけですから、温かい目で見守っていただければ、と思います。


コーラスの録音、拝聴しました。一人多重録音によるアカペラコーラス、お見事ですね。感服致しました。

新実徳英さんはコーラスをされる方にはとても人気のある作曲家のようですね。実はその「われもこう」をヴァイオリンとピアノのために編曲したヴァージョンが「秋の紅」であるようです。AmazonのCD紹介のページで試聴できますのでよかったら参考にして下さい。「黒のラ・フォリア」の方も別の合唱曲を編曲したもののようです。それにしてもマイヤーさんがどういういきさつでこの曲を知り、プログラムに使ってみようと思ったのか、実に興味深いですね。

さっきNHKのインタビュー見ていたんですが、
奈也ちゃんの笑顔はカワイイですね〜。
 
禁止令が出ていたようですが、
試合中もずっと笑顔見せてた方がいいのに・・・と自分は思いますよ。

-> ボランチさん

奈也さんはフィギュアスケートファン秘蔵のアイドルといった感じの存在だったのですが、今回のNHK杯の活躍でファンを増やしただろうな〜、と思っていたらここに一人おられましたね。^ ^

哀愁を帯びた音楽を用いたプログラムなので演技中は笑顔を封印していたのでしょう。私も笑顔のかわいい彼女の素を生かしたものにすればいいのに、と思わないこともないです。でもこれも選手やコーチ、振り付け師などスタッフが彼女が成長していくために最善の選択をしようと考えた結果なのでしょうから、今はこのプログラムを自分のものにするために精一杯取り組んで欲しいな、と思っています。

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