グランプリファイナル2007 女子シングル フリー
2007年12月16日
浅田真央ちゃん
トリプルアクセルを両足着氷気味ながら成功させ、ノーミスの完璧な演技。今シーズン初めての真央ちゃんらしい演技だったと思う。ルッツを一回に減らした代わりにトリプルフリップ–トリプルトウループという新たな組み合わせのコンビネーションも取り入れるという意欲的な取り組みも見せてくれた。終了後は顔をおおって涙ぐんでいた。表現力でももうヨナさんとくらべて見劣りがすることはなくなっている。SPの出遅れが響いて優勝はならなかったものの、今シーズン取り組んできたことの成果が見られた価値ある銀メダルだと思う。
キミー・マイスナーさん
合計三回跳んだルッツとフリップでことごとく転倒。いずれも跳んだ瞬間から軸が傾いていて、ちょうどNHK杯のフリーでの安藤美姫さんと似たような感じの倒れ方だった。あるいはもしかすると彼女もエッジの矯正に取り組んでいて、それが裏目に出た結果だったのかも知れない。
中野友加里さん
トリプルアクセルは見事に成功。今シーズンはこのジャンプを完全にものにしている感がある。そのほかも素晴らしかったのに彼女にとってはやさしいはずのトウループで転倒してしまったのがもったいない。一つ目のフリップでロングエッジと認定されたことなどもあって今一つ点数は伸びなかった。PCSが相変わらず抑えられているのが残念だけど、今後はもう少し評価してもらえることに期待したい。
カロリーナ・コストナーさん
久しぶりにSPとフリーともにいい演技だった。最初のフリップからのコンビネーションとルッツには安定感があった。二つ目のフリップがシングルになり、最後のダブルアクセルは着氷が乱れたが、全体にはとても充実した演技で表彰台に。長いことスランプが続いていた彼女だけど、これで完全復活となることを望みたい。
キャロライン・ジャンさん
相変わらずジュニアから上がってきたばかりとは思えないハイレベルな演技。トリプルフリップ–トリプルトウループのコンビネーションも見事に成功させた。二つ目のフリップはスパイラル姿勢からの難しい踏み切りだったがこれも成功。二つ目のルッツは難しい入り方をしていて危なっかしいな、と思っていたらその通りに転倒してしまったが、そのほかは素晴らしかった。これからどこまで伸びていくのか、末恐ろしい14才である。
キム・ヨナさん
最初のトリプルフリップ–トリプルトウループのコンビネーションはものすごいスピードから跳んで見せて度肝を抜かれてしまった。解説の荒川静香さんも驚愕するほどの出来で、ジャッジからは+2の加点をもらっている。今シーズンからプログラムに取り入れている次のループでは転倒してしまったが、その後はミスを引きずらずにハイレベルな技を見せてくれた。昨シーズンは周りのミスに助けられての優勝だったが、今回は自らの力でつかみ取った堂々たる優勝である。フリーでは真央ちゃんにわずかに及ばなかったが、逆に転倒という大きなミスがあったにも関わらず真央ちゃんと大差のない点数が出たというのは驚異的なことだと思う。今シーズンに入って一段とまたすごいところにまで到達してしまったな、とファンでありながら半ばあきれるような思いで見つめている。
SPがあんまりな展開だったので心配したけど、フリーでは素晴らしいハイレベルな競り合いになってフィギュアスケートの醍醐味を大いに満喫できた。選手のみなさんに心から感謝したい。
コメント
大変、的を得た解説ブログで、見所がまったく納得でした。フイギュアの見方がそのとおりでした。良い解説者に充分資格ありでした。
素人の解説者のほうが、すんなり同感です。
浅田真央ちゃんの底力が発揮された内容でしたね。
優勝こそ逃がしましたが価値のある銀メダルだと思います。
こんにちは。
はじめまして、藍といいます。
フィギュアスケートに関する感想(解説)興味深く拝見させて頂いてます。
私も同じような感想を持つことが多く、勝手にうれしく思っています(笑)
フィギュアスケート自体が好きで、偏った見方はしないようにと思っているのですが、個人的にはキム・ヨナ選手の演技が好きです。
今大会におけるフリー冒頭の3回転−3回転の助走スピードには私も度肝を抜かれました!
この速さでは耐え切れないと思ったのですが、きれいに決めてくれました。
彼女の本気を見たような気がしました。
また、浅田選手もよくがんばりましたよね。
ショートのミスはあれはちょっと…と思ったのですが、フリーでは立て直してくれて安心しました。
本当にハラハラさせてくれる子です(苦笑)
中野選手はここにきて伸び盛りな感じでがんばって欲しいですね。
長くなってすみません。
これからも感想楽しみにしています。
こんにちは。
グランプリファイナル、終りましたね。
男子の結果・・・高橋選手の銀は本当に「惜しい」と言った感じでしたが、それ以上に、私もライザチェクが可哀相だなぁ〜〜なんて思ってしまいました。
ところで、sergeiさんは、真央だけは「ちゃん」なんですね(^▽^;)
私もテレビで真央ちゃんが「大人の・・・」なんて言ってるところをみて、思わず苦笑いしてしまいました。確かに去年より一層芸術性は増したものの、大人の雰囲気にはまだまだ程遠く感じます。
真央ちゃんにとって今回の銀はいい勉強になったはず。オリンピックまで2年をおいてこういうルール改正がなされたことはかえってよかったかも。全てを一からやり直す時間が与えられました。
まだまだ”さなぎ”の真央ちゃん。 昨日の演技を見て、これからの成長がますます楽しみになりました。
それにしてもSP!!昨年、今年といい・・・どうにかならないものでしょうか(-_-;)
-> みみこさん
はじめまして。コメントありがとうございます♪
お誉めに預かりまして恐縮です。まあ私の解説というか勝手な感想はともかく、熱心なファンのみなさんのブログなどを見ている方がテレビのコメンテイターのおしゃべりを聞いているよりよっぽど楽しいですよね。よかったらまたお越し下さいませ。
-> moonさん
真央ちゃんはSPの失敗にも挫けずによく力を発揮してくれましたね。彼女の今後の競技人生にとって価値のある銀メダルだと思います。
-> 藍さん
はじめまして。コメントありがとうございます♪
同じような感想を抱いて下さっているとのことで、こちらこそうれしいです。^ ^ ヨナさんのフリップはSPでも猛スピードでそれが手をついた原因かも知れないと荒川さんが仰っていたのですが、カメラアングルの関係であまり実感できませんでした。でもフリーではすごいスピードでジャンプに向かっていくのがよく見えて驚きました。ジャンプに関してもヨナさんはヨナさんで高い技術を持っているんだな、と感嘆させられましたね。
真央ちゃんはSPではルッツを踏み切ることもできないという考えられないようなミスでびっくりしました。何かもうこうなると毎回の行事のようで、ハラハラさせられますね。でもフリーが素晴らしくてこれまたドキドキさせてくれましたね。^ ^
中野さんはPCSで高い点がもらえるようになるまでもう一歩のところかな、と歯がゆい思いで見ています。安定してトリプルアクセルを成功させていることが総合的な評価にもつながってくるといいんですけどね。
拙いブログですが今後ともどうぞよろしくお願いします。
-> ぶるうらぐうんさん
ご無沙汰しております。高橋選手は本当に惜しかったです。本人も相当悔しい思いをしているでしょうけど、この経験を今後のさらなる飛躍への糧として欲しいですね。ライザチェク選手も素晴らしかったのですが、見た目にはきれいに決まっていたトリプルアクセルがダウングレードされてしまったことなどで点数が伸び切らなかったみたいです。
“真央ちゃん”については17才になったのを機に“さん”づけにしようかな、とも思ったのですが、本人のインタビューを聞くと「“大人の演技”と言われたいけど、まだ大人にはなりたくない」と話していたので、当面はこのままでいいかなと思っているところです。^ ^ タラソワさんに指導を受けた成果で演技はかなり大人の雰囲気が出せるようになってきましたし、決して子供扱いするつもりはないのですが、「二度とはやって来ない“今”を大切にして欲しい」というようなつもりで“真央ちゃん”と呼んでいます。
いろいろとハラハラさせられますが、こうして一人のアスリートが壁にぶつかりながらそれを一つ一つ乗り越えていく姿を時間を追って見守っていくというのはスポーツを見る醍醐味ですね。これからさらに美しく才能を開花させていく真央ちゃんから目が離せません。
SPは…、取り敢えずこれだけは今すぐ何とかして欲しいですね(苦笑)。