田村響さん『題名のない音楽会21』に出演
2007年12月21日
少し前の話になるが先週の土曜日(15日)、グランプリファイナルのSPの放送の直前の時間帯に、BS朝日で再放送された『題名のない音楽会21』を見た(地上波では9日放送)。お目当てはもちろん、先ごろロン・ティボー国際コンクールのピアノ部門で優勝した田村響さんである。コンクールの最終審査でも弾いたラフマニノフのピアノ協奏曲第2番の第1楽章(再現部はカット)を披露してくれた。
堂々たる風格のある演奏で、第2主題でのやや粘っこい歌い回しが目を引いた。この若さにしてすでに自身の表現を手にしているのが素晴らしい。自分が二十歳くらいの時はクラシックのことなど何も知らなかったな、などと遠い目をして思い出してしまう。今の感性を大切にしながら音楽家として大成していって欲しいと思う。
ユーリ・シモノフさん指揮のモスクワ・フィルからは豊かな情感が波のように押し寄せてくる。このあたりの感覚はやはりヴラディーミル・アシュケナージさんが若い頃にキリル・コンドラシンと共演した録音と似ているな、と思った。あれから40年以上が経ち、指揮者が代わってもオーケストラの個性は受け継がれているのだろう。
わずか十分程度の演奏時間だが、田村さんの若さと才能に羨望を覚えつつ贅沢な一時を過ごさせてもらった。
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