全日本選手権2007 男子シングル フリー
2007年12月28日
小塚崇彦選手
ループがシングルになったものの二度のトリプルアクセルを含めほかは大きなミスはなく、ほぼ会心の演技と言っていい内容だったと思う。スピードに乗った流れるような美しいスケーティングは最後まで途切れることがなかった。織田信成選手のいない現在、国内で高橋大輔選手を追う一番手は紛れもなく彼であることを証明してみせた。グランプリシリーズではややジャンプに不安定なところが目立ち心配していたが特に問題はなさそうだ。世界選手権では枠取りの重責を担うことになるが、過剰に意識せず自分の力を出し切れば結果はついてくるはず。同世代のパトリック・チャン選手の活躍も励みにして飛躍して欲しい。
高橋大輔選手
宣言通りに4回転のトウループを二度成功させるなど、他を寄せつけない圧倒的な強さで全日本3連覇を果たした。トリプルアクセルからのコンビネーションを3連続にできなかったのと、ジャンプがどれかダウングレードされたようだけど大きなミスはなかった。4回転ジャンプを二度跳ぶというのはやはり体力の消耗の仕方が違うようで、ストレートラインステップと最後のスピンはかなり足にきているように見受けられた。しかしともかくこれで世界でトップに立つための条件は一つクリアできたと言えそうだ。海外のトップ選手たちにも大きなプレッシャーを与えたことだろう。昨シーズンの銀メダルという結果に満足せず、頂点を見据えて努力を重ねる彼の今後にますます期待がかかる。
南里康晴選手
最初のトリプルアクセルでステップアウトしてしまったが、後半にはトリプルアクセル–トリプルトウループのコンビネーションを見事に成功させるなど充実した演技で表彰台に立った。演技終了後4人を残した状態でのインタビューでは「失敗しろ、と思いながら見るのは嫌なのでほかの選手が世界選手権に出場できるように、と応援しながら見ることにしたい」と謙虚に話していた。その無欲さが生んだ快挙だったろうか。世界選手権ではぜひ出られなかった選手の分まで力を発揮して欲しい。
無良崇人選手
二つのトリプルアクセルを成功させるなどジュニアの日本選手権優勝の勢いを感じさせた。ただ後半はやや疲れて精彩を欠いたように見えた。しかし今後の活躍に期待を持たせる堂々とした演技だった。
中庭健介選手
特に彼のファンというわけではないのだけど、本田武史さん、田村岳斗さんと共に日本の男子のフィギュアスケート界を支え、ライバルたちが引退した後もなお自慢の4回転ジャンプにこだわりながら現役を続ける彼が競技人生最大のチャンスを迎えているとあって、見る側にも自ずと手に力が入ってしまう。その4回転トウループは着氷でターンオーバー、そのほかのジャンプも全体にやや精度を欠いていたので、ミス自体は南里康晴選手より少なかったもののかなり微妙な採点になるな、と感じた。予想通り総合でわずか0.87の差で南里選手に及ばなかった。これはほとんど誤差の範囲内とも言える僅差で、わずかに運に恵まれなかったな、と見ててちょっと切なくなった。
梅谷英生選手
二つのトリプルアクセルをゆったりと余裕を持って決めてみせた。これが最後の全日本かも知れないという覚悟で臨んだ大会だったようだけど、見る人の心に残る渾心の演技だったのではないだろうか。総合6位は競技生活の集大成というに相応しい立派な成績だと思う。
番組の最後にタオルで顔を覆って泣いていると思しき選手の姿が映し出されていたが、あれは中庭選手だったろうか。あらためて勝負の世界の非情さを感じずにはいられない。だからこそひたむきに努力するアスリートの姿が美しいのだけれど…。
コメント
年が近いのもあって、私は男子では中庭君(地元のヒーローはもちろん応援してましたが、それはまた別格で)女子では村主さんを特に応援していたんですが、2人ともショートは3位だったのに、フリーで順位を落としてしまい3位には入れませんでした。特に中庭君の出来は完璧ではありませんでしたが、見た限りでは、ショートでリードしていた分も含めると上ではないかなと思いましたし、実際生観戦していた方の多くの印象もそうだったようです。彼は今まで何度か全日本の表彰台に上っていて、2位になった時もあったのに、世界選手権に行けていなかったんですよね。年齢的にも3枠ある今回が最初で最後の大チャンスだったかもしれないのにと思うと、切なくて仕方がありませんでした。メダリストでは元気な演技をしていたと聞きましたので、ちょっとほっとしました。今回の悔しい分も四大陸で頑張って欲しいです。去年同様、アメリカやカナダがトップ選手を派遣してくれば、世界選手権に近いメンバーの中で戦うことが出来ますし。
-> モモさん
中庭選手、本当に惜しかったですね。最初見ていた時は気づかなかったのですが、コンビネーションジャンプが一つ足りなかったのが南里選手に逆転された大きな要因だったようですね。どこかでダブルトウループでもつけていれば勝てた可能性が強かったわけですが、ほとんどのジャンプで着氷に乱れがあったのでわかっていてもできなかったのかも知れません。本当に勝負のあやは微妙なものだな、と思いました。
でも今シーズンから四大陸選手権も参加各国が本気モードの選手派遣をしてくるようですので、世界選手権に引けを取らない大舞台になりそうですね。そこでぜひ彼の本領を発揮して欲しいですね。
こんばんは。男子フリーは、実は見てないのですが。。。高橋選手の4回転×2は、スゴイですね。快挙ですよ。
高橋選手の4回転は決まるとクリーンなのもいいです。
誰にも文句を言わせない金メダル、世界選手権でも、是非、とっていただきたい。
真央ちゃんにもね。クリーンなトリプルアクセルを決めて、誰にも文句をいわせない金メダル、とってほしいなぁ。
-> やまぼうしさん
全日本でのハイレベルなパフォーマンスが世界選手権での快挙につながるといいですね。アベック優勝も夢ではなさそうですね。