川嶋勝重 タイトル奪取ならず

2008年1月14日

WBA世界スーパーフライ級タイトルマッチは横浜文化体育館で行われ、挑戦者の川嶋勝重はチャンピオンのアレクサンドル・ムニョスに3-0の判定で敗れ、王者への返り咲きはならなかった。

ハードパンチャー同士の対戦で一瞬も目が離せない試合。川嶋がすでにそのキャリアの下り坂にある選手であることを考えると無謀とも言える挑戦だったが、始まってみると予想外の接戦になった。王者は減量がうまくいかなかったようで動きの切れがない。序盤はほぼイーブンの立ち上がりだったが4Rに川嶋の左ボディーが当たり始めると王者が嫌がって下がるシーンが目につくようになる。その後も要所でハードヒットを加えるが、どうも9Rくらいでスタミナ切れを起こしてしまったらしく、最後の詰めが決め切れない。苦しい表情を浮かべながらも細かいパンチを当てる王者に対し圧倒的な優位に立つことができなかった。

判定には納得のいかないところもある。おそらくムニョスの手先だけの細かいパンチを評価して手数で上回ったと判定した結果なのだろうが、ハードヒットでダメージを与えていたのは明らかに川嶋の方だった。それはともかく内容は素晴らしい試合だった。ここ数年で見た中では最もエキサイトした試合だったと思う。終了後に引退を宣言したそうだけど、圧倒的不利と言われた中で最後にこれほど素晴らしいファイトを見せてくれた川嶋を心から称えたい。


なお川嶋の入場のテーマ曲として使われたのはヴァネッサ・メイさんのヴァイオリンによる「ジョニーがいなくてがっかり」。原曲はスコットランドの民謡で(千葉ロッテマリーンズのファンの心情を代弁した歌ではない)、マックス・ブルッフの「スコットランド幻想曲」の第3楽章に用いられたことでも知られる歌である。先日の長谷川穂積の防衛戦に引き続きボクシングのタイトルマッチでケルトの音楽を聴くとは思いがけないことだった。

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コメント

またまた最後の2Rくらいしか見れませんでした。(忘れてて・・・爆)
 
川嶋の左右の大振りフックを、かなり苦しそうだな・・・と思って見てたので、
前半でそんな優位に立っていたとは知りませんでしたよ。
最終ラウンドでも、ムニョスがかなりボディを苦しそうにしてたので、
(自分は見れなかったんですが)中盤から終盤にかけても執拗にボディを攻めれば、
また結末は変わっていたんでしょうかね・・・?
 
地元千葉の人間としては、ジョニー黒木がいなくなってさびしいですが、
それより『ジョニー黒木弁当』をとうとう一回も食べる事なく終わってしまったことが、
なにより悔しいです!(笑)

王座奪回できずに残念だと思うけれど、川嶋選手には拍手を送りたい。
このような美しいボクシングを見れてうれしく思います。
ケルト音楽とボクシング、ミスマッチのように思えるけれど、川嶋、長谷川両選手に何か共通する物があるのだと思いました。

-> ボランチさん

ボディーは試合を通してずっと意識して攻めていたんですけどね。9Rに王者が疲れて休んでいるのに対して一緒になって休んでしまっていました。ゲストの内藤大助選手も思わず「もったいね〜な〜」と口にしていたのですが、どうもそのあたりでスタミナ切れを起こしてしまっていたようです。奇跡の勝利まであと一歩というところでした。


「ジョニー黒木弁当」というのがあったのですか? 何だかおいしそうなような、そうでもなさそうなような…。^ ^


-> moonさん

結果は惜しかったですがいい試合でした。ストイックに競技に打ち込むアスリートの美学とケルトの音楽には共通するものがあるのかも知れませんね。

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