ラフマニノフのピアノ協奏曲第5番?

2008年2月19日

ウェブで調べ物をしていたら妙なものを見つけてしまった。ラフマニノフピアノ協奏曲第5番のCDが発売されたというのだ。周知の通りラフマニノフは4曲のピアノ協奏曲を残しているのだが、この“第5番”というのは交響曲第2番をピアノ協奏曲に編曲したもののようだ。ブリリアント・レコードのプロデューサー、ピーター・ファン・ヴィンケル氏が企画し、アレクサンダー・ヴァレンベルグ氏が編曲を行ったという。

クラシックでもオリジナルとは楽器の編成を変えた編曲版が演奏されること自体は珍しくない。ムソルグスキーの「展覧会の絵」などはオリジナルのピアノ独奏版よりもラヴェルによる管弦楽編曲版の方が演奏される機会が多いだろう。今回のケースに似たものとしてはチャイコフスキーのピアノ協奏曲第3番がある。

チャイコフスキーは交響曲第5番を完成させた後、変ホ長調の交響曲を構想したが完成させることを断念し、第1楽章のみを編曲して単一楽章のピアノ協奏曲に仕立て上げた。これがピアノ協奏曲第3番である。後にチャイコフスキーの弟子タネーエフが二つの楽章を補って3楽章形式にした版もある。

しかしラフマニノフの交響曲第2番は当初から交響曲として構想され、作曲家自身によって完成された作品である。それをピアノ協奏曲に編曲することにどのような意味があるのだろうか。しかもそれを“ピアノ協奏曲第5番”と銘打って録音し販売するというのはいかがなものだろうか。時系列的には交響曲第2番は協奏曲の第2番と第3番の間に位置するのだが…。

この件については作曲家の権利財団と孫のアレクサンドル・ラフマニノフ氏(作曲家の次女タチアナの子息)の許可も得ているそうだが、天国で作曲家はどんな思いをしているだろうか。

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コメント

私も、某ブログさんの所でこの記事関連を読んでおりました。
交響曲2番はそれが素晴らしいのに・・・。
私もsergeiさん同様、それをする意味が・・・(^^;
チャイコP3は少し前、小山さんがお弾きになったんですよー
(私は聴けませんでしたが)
チャイコのジーズニーなんかも後世色々継ぎ足されて完成したものを聴きましたが、作曲家さん自体のお気持ちは如何に!?ですよね。

-> がちゃ子さん

さすがにがちゃ子さん、すでにご存知でしたか。普段からクロスオーヴァーものを楽しんで聴いている身としては古典的な名曲を節度を保ちつつアレンジして楽しむことはあっていいと思うのですが、それを“ピアノ協奏曲第5番”と称するのはどうかな、と思ってしまいます。「ジーズニ」とかベートーヴェンの第10番とかいろいろありますけど、人気作曲家は亡くなってからもなかなか落ち着いていることができず、つらい稼業ですね。^ ^

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