世界選手権2008 男子シングル SP
2008年3月22日
トマシュ・ヴェルネル選手
ノーミスの演技でヨーロッパ・チャンピオンの実力の片鱗を見せつけた。昨シーズンの世界選手権以来調子にのっている選手なのでフリーの結果次第では彼にも優勝のチャンスがありそうだ。ただランビエール選手、バトル選手、高橋選手の演技と比べて見た時、PCSはやや点が出過ぎているような気がしなくもない。
ステファン・ランビエール選手
トリプルアクセルではかなり転倒に近いステップアウト。4回転トウループからのコンビネーションも手をつくなどジャンプに乱れはあったが、スピンやステップでは実力を発揮してトップから僅差のいい位置につけた。一頃に比べるとジャンプに安定感がないとはいえ、実力者だけに優勝に近いところにいる一人と言えるだろう。PCSではいつも高い評価をもらっている選手だけに、高橋選手とは一つのミスが結果を大きく左右する際どい勝負になりそうだ。
ジョニー・ウィアー選手
ジョニーらしい持ち味の出た演技だった。SPではやはりトリプルアクセルに安定感のあるところが強みになる。バトル選手と同じくフリーで4回転ジャンプに挑戦するか、大いに悩むところになりそうだ。
ジェフリー・バトル選手
ベテランが久しぶりに本領を発揮して見せた。今シーズンのグランプリシリーズを見て、またカナダ選手権で優勝を逃したと聞いて世代交代という言葉が心の中にこだましてしまったりもしたが、まだまだ世界のトップレベルに位置することを証明する演技だったと思う。ピアノの旋律に乗せての情感溢れる演技は彼にしか出せない味わいだろう。フリーでは4回転ジャンプに挑むのか悩むところだろう。個人的には手堅くクリーンな演技にまとめた方が今の彼には幸いするような気がするが…。
高橋大輔選手
最初のコンビネーション・ジャンプからいつもの軽やかさがなく少し硬い感じに見えたが、次のトリプルアクセルでは着氷で手をついてしまった。解説の本田武史さんによると練習の時からジャンプで軸がやや斜めになる傾向が見られたとのことで少し心配になる。しかしその後のスピンやステップはいつもにもまして気合いがのって激しく動けていたように見えた。
SPを終えて3位は今の彼の実力からすればいい位置につけたと言えるだろう。上位二人はフリーでは技術点の伸びしろの少ない選手なので逆転は難しくないだろう。むしろ僅差で下につけているヴェルネル選手やランビエール選手の方が手強い相手と言えそうだ。しかしジャンプさえうまくまとめられれば彼に敵う相手はいないはず。ぜひ力を出し切ってチャンスをものにして欲しい。
ブライアン・ジュベール選手
4回転ジャンプは回避も考えていたようだが果敢にチャレンジして見事に成功。トリプルアクセルも楽に決めたが気が緩んだのかルッツで転倒という彼にはめずらしいミス。しかし状態がかなり心配されていた割りには元気なところを見せてくれた。フリーでは最後まで体力が持つかが鍵になりそうだ。
小塚崇彦選手
初めての大舞台でノーミスの演技。シニアに上がってから一頃やや伸び悩んでいたようにも見えたが、着実に成長しつつあることを証明してくれた。今シーズンのグランプリシリーズで活躍したパトリック・チャン選手とほぼ互格の点数を叩き出したのは心強い。ただ、これまでも何度か言ったけど、ジャンプが予定通り跳べていないにも関わらずガッツポーズが出てしまう欲のなさは少し寂しいところでもある。
コメント
小塚君はまだまだ若いのですね(笑)滑走グループにビッグネームがいっぱいいて、気圧されていたようですから、大崩れせずに終えられてきっと嬉しかったんでしょうね。ただ、スケートの滑らかさはトップに引けを取りませんね!キャラバンは昔懐かしですが、意外と合っていたように思います。
高橋君は、アクセルのミスがあったものの、彼はもう崩れたりしないだろうと思っていたから安心していました。今の彼はステップがすごいですし、PCSも高いですし。ただ、スピンは全体的にランビエール選手とかと比べるともう一歩かなぁ。
やっぱりとは思っていたけど南里君は映さないのか(怒)ということと、不調組の復調が嬉しかったです。
-> 鳥野空音さん
小塚選手はスケーティングがとてもきれいなので見ていて楽しいですね。才能ある選手なのでこれからも貪欲に上を目指していって欲しいです。
高橋選手はジャンプの調子がどうも狂ってしまっていたようですね。でも今の彼は全てにおいて高く評価されていると思います。スピンはやや苦手にしていましたがかなり改善されてきていますし。たださすがにランビエール選手と比べたらまだまだかも知れません。^ ^
南里選手の演技は結局みられませんでした。でも彼なりにベストを尽くして納得のいく結果だったのではないでしょうか。今大会の男子は不調に苦しんでいた選手の復活が目立ちましたね。