勝手にランキング 交響曲編

2008年4月26日

もう二ヶ月近くも前のことになってしまったけど、いつも楽しいお話が満載のがちゃ子さんのブログお好きなピアノ協奏曲のランキングが掲載されていた。私も真似してやってみたいのだけど、ピアノ協奏曲は最も好きなジャンルなので5曲を選ぶのは不可能に近い。何しろベートーヴェンだけでも5曲あるのだから…。そこで代わりに好きな交響曲のランキングをやってみることを思い立った。


好きな交響曲 ベスト5

  1. ラフマニノフ 交響曲第2番
  2. チャイコフスキー 交響曲第6番「悲愴」
  3. ベートーヴェン 交響曲第6番「田園」
  4. ブルックナー 交響曲第7番
  5. ショスタコーヴィチ 交響曲第8番

一位はもちろんラフマニノフのこの作品。音楽というものの素晴らしさに瞠目させられた、私にとって究極の交響曲である。

以下は順位にあまり意味はない。チャイコフスキーは第5番もとても好きなのだけどここでは「悲愴」を選んでみた。死を目前に控えた作曲家の人生への切々たる哀惜が胸を打つ名曲である。ベートーヴェンは5、7、9番といったところももちろん大好きだけど、敢えて一曲選ぶとすれば「田園」を採る。聴いていると、人はこれほどまで美しく自然を讃えることができる存在であるのなら、どんな危機をも乗り越えてこの地球上で生きていくことができるに違いない、と信じたくなる。


あとの二曲は少し背伸びし過ぎかな、と思う。自分にこんな大曲が十分理解できているとは正直思えないのだけど、それでもとても好きな作品なのでここに挙げてみた。ブルックナーはそれほど親しみのある作曲家ではないのだけど、この第7番だけは別格に好きな作品である。聴いていると俗世の雑事を全て忘れて、雄大な宇宙の中に魂を解放されるような感覚に浸ることができる。

私は現代音楽というのが苦手なのだけど、ショスタコーヴィチは例外的に好きな作曲家である。代表作の第5番ももちろん好きだけど、一曲選ぶとすると第8番を挙げたい。第7番、第9番と共に第二次対戦中の作品で、この曲の誕生には戦争が深く関わっているらしい。作曲家自身は「全体としては楽観主義的で人生肯定的な作品だ」と述べているのだけど、例によってこれも体制の目をごまかすために本心を包み込んだ発言であるようだ。作曲家がこの作品に何を託したのかは今や音楽そのものから推し量るしか術はないが、少なくとも私には楽観的というにはほど遠い、ただならぬ悲しみの思いが聴こえてくるように思われる。20世紀の人類が経験した苦悩と悲劇に真摯に向き合いながら創作された芸術作品として、記念碑的な交響曲だと思う。


このほか惜しくも洩れてしまったけど、次点としてやはりドヴォルザークの第9番「新世界より」を挙げておきたい。アメリカの黒人音楽に啓発を受けつつ故郷ボヘミアの音楽の情趣も盛り込んだこの名交響曲に言及しないわけにはいかない。それからマーラーの第9番も好きなのだけど、自分にはまだこの作曲家を理解できたという手応えをつかむことができていないので選には入れなかった。

考えていてなかなか楽しい作業だったので、機会があればまた別のジャンルでやってみるのもおもしろいかも知れないと思った。

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コメント

初めまして。
交響曲もピアノ協奏曲と同様、傑作が多いので、とても5曲には絞りきれませんね。ちなみに私が好きなピアノコンチェルト ベスト5は以下の通りです。

1.モーツアルトの20番
2.モーツアルトの24番
3.ブラームスの1番
4.ベートーヴェンの5番
5.ベートーヴェンの3番


-> ミューズさん

はじめまして。コメントありがとうございます♪

私は幸か不幸か交響曲にはそれほど知識がありませんのであまり迷わずに選ぶことができました。でも音楽への思い入れが強いほどこの種のランキングは難しくなりますよね。

モーツァルトの20番は私も大好きです。ベートーヴェンは5曲のうちどれが優れた作品なのかはなかなか興味深い問題で、そのうちここで論じてみようかな、などと考えています。

今後ともどうぞよろしくお願いします。

ラフマニノフの交響曲というと、私はまだ1番しか聴いたことがありません。そしてこの1番は初演の大失敗により、ラフマニノフは相当ショックを受けたが、その後ピアノ協奏曲第2番によって自信を回復したというエピソードが有名です。実際、この1番を聴いてみると甘いロマンティシズムの要素は全くなく、ロシア国民楽派の作品のような荒々しい雰囲気が漂っています。やはりこの初演の失敗により、ラフマニノフはその後、作風を大きく転換し、チャイコフスキーのような親しみやすい作品が生み出されていったのでしょうか。

ところで、sergeiさんが究極の交響曲として1位に挙げられた交響曲2番は具体的にどのような雰囲気の曲でしょうか?

ちなみに私の好きな交響曲ベスト10は以下のとおりです。
1.ブルックナーの9番
2.マーラーの10番
3.ブルックナーの8番
4.セザール・フランクの(唯一の)交響曲
5.ベートーヴェンの9番
6.マーラーの3番
7.ブラームスの4番
8.ブルックナーの7番
9.ブラームスの1番
10.マーラーの9番

-> ミューズさん

お好きな交響曲には随分と硬派な作品が並んでいますね。ミューズさんの見識の高さが窺えます。


ラフマニノフの1番は若き作曲家の激情が噴出した、やや異形な作品ですね。この時期の作品の特徴としてロマ(いわゆるジプシー)の音楽の影響が色濃く出ているのも印象的です。初演の失敗はグラズノフの指揮が拙かったせいだとも言われていますが、作品自体の異形な姿が当時の聴衆に受け容れられなかったという面もあったのではないかと推察されます。

で、2番の方なのですが、こちらはラフマニノフならではの甘美なメロディーがぎっしりと詰まったとても聴きやすい作品で、近年とても人気が高まっています。特に第3楽章の美しさは絶品で、コンピレーションもののアルバムに単独で収録されることも多くなっています。強いて言えば雰囲気はチャイコフスキーの5番にやや近いと言えるでしょうか。しかしほかと比較するのがなかなか難しい独特の作品ですので、機会があればぜひご自身でお聴きになってみて下さい。

こんばんは!!
コメントが出遅れまして恐縮です(^^;


私も、チャイコフスキーの悲愴は大好きです。
むしろ、大好きな交響曲ベスト5であるなら、1位かもしれません^^

私はまだまだ知らない曲も多いのですが 

チャイコフスキー 6番 「悲愴」
チャイコフスキー 5番
ブラームス 1番
ドヴォルザーク 8番 「イギリス」
ベートーヴェン 7番

勿論、セルゲイさんと同様

ラフマニノフ 2番も大好きです^^


私のブログの紹介まで、有難うございました!

-> がちゃ子さん

こちらこそコメントを強要するような記事を書いてしまってすみません。TBを送信したのですがサーバのIPがFC2さんのブラックリストに載っているようで拒絶されてしまいました。


「悲愴」はがちゃ子さんにとって最高の交響曲なんですね! 何と言うか、聴いていると人生が深みを増してくるような気がする、素晴らしい芸術作品ですよね。

ドヴォルザークは8番もいいですよね。私も好きな作品です。記事のネタを提供して下さってありがとうございました。

sergeiさんのセンスのいい選曲にはかないませんが、私は次の通りです。
1.交響曲第5番(マーラー)
2.交響曲第9番「新世界より」(ドヴォルザーク)
3.交響曲第6番「悲愴」(チャイコフスキー)
4.交響曲第7番(ブルックナー)
5.交響曲第5番(シベリウス)
ロマン派から近代までですが、皆、私自身のエピソードで恐縮です。
マーラーを挙げた理由は私が小品や古典派から大曲に目覚めたきっかけになったのです。イントロの威勢のいいトランペットから元気モリモリ。第4楽章のアダージェットはカラヤンの名演奏となっているのもうなずけます。どの演奏家よりも美しくて透明感があるのかうっとりします。ドヴォルザークは力強い第4楽章が魅力的。また、第2楽章の「家路」はしんみりして家へかえらなきゃ、とも思う郷愁が漂います。やはり、本田美奈子さんが歌うくらい愛唱されてますからね。チャイコフスキーは「悲愴」が白鳥の歌ともいえるエンディングで終わるのが魅力的。ブルックナーは第2楽章がワーグナー追悼を表した旋律。全体的にもよく響くし鳥肌が立ちます。やはり、マーラーと同じくこれもブルックナーに興味を持ったきっかけにもなりました。シベリウスは「第2番」の方が有名ですが、第3楽章制の「第5番」の方が好きです。イントロのホルンが春を告げるようで終盤は猛吹雪から太陽が差すようなエンディングとドラマチック。いずれの5曲はカラヤンが最低1回は録っている作品です。
次点には「交響曲第2番」(ラフマニノフ)を挙げます。ワクワクする旋律を主体にし、第3楽章のしんみりするのは失敗に終わった「第1番」に比べ、完成度が高い。「第2番」はプレヴィンの十八番ですが、アシュケナージがおそらく、ピアニストと同じく、得意にしているラフマニノフをアムステルダム・コンセルトヘボウ管を指揮しても卒がないし、「全集」として生き残っているのは彼の他ならない。ラフマニノフ・ヒストリーのようです。アシュケナージはフィルハーモニア管で7番まであるシベリウスの「交響曲全集」を、「第2番」を2回目としてボストン響で録っている。それも力強いし、「第5番」もカラヤンに引けを取らない。ちなみにシベリウスの「全集」はベルグルンド、ヘルシンキ・フィル。ブロムシュテット、サンフランシスコ響を持っています。基本は古典的であるが、瞑想的なのはマーラー、ブルックナーにも匹敵します。チャイコフスキーはカラヤンが1970年後半に録った「全集」を持っています。これでチャイコフスキーの「初期交響曲」を聴いてみて、「悲愴」までの経緯をつかめました。アシュケナージのラフマニノフと同じく、国内盤で手に入れやすい「全集」です。やはり、現在はシベリウスに比べると輸入盤でも「全集」では限られています。
ラフマニノフを含めて共通するところは泣かせてくれる旋律が織り込まれているのかな。

ごぶさたしています。
すでにご存知かもしれませんが、先月28日発売の雑誌「ユリイカ」は、一冊丸ごとラフマニノフの大特集号です。

http://www.seidosha.co.jp/

きょう書店に出向いた際に見つけました。私はクラシックに詳しくないので、大のラフマニノフファンのsergeiさんがご覧になってどんな印象を持つかはわかりませんが、発売されたばかりですので、機会があれば店頭でお手にとってご覧いただければと思います。

総合雑誌、文芸誌などが置かれている場所にあると思いますが、クラシック音楽関係の書籍売り場にもあるかもしれません。

-> eyes_1975さん

私の選曲がセンスがいいかどうかわかりませんが、eyes_1975さんと結構感じ方が似ているな、と思いました。私もやはり好きなのは泣かせてくれる旋律がふんだんに盛り込まれている作品です。

マーラーはまだ今一つ理解し切れていないのですが、好きなことは好きな作曲家です。アシュケナージさんはプレヴィンさんと共にラフマニノフの交響曲を認知させるのに貢献した先駆者ですね。シベリウスは最初の二曲が古典的な様式に則っているせいか人気が高いのですが、むしろ3番以降の作品の方が個性的な楽想に魅力があるんですよね。私ももっと聴き込んで親しみを深めたいな、と思っている作曲家の一人です。

こうして5曲を挙げてみるだけでもその人の音楽的な感受性が窺い知れて、実に興味深い試みでしたね。なかなか筆が進まずに公開が遅れていたエントリーなのですが、苦労して書き上げた甲斐がありました。


-> 長野のK嬢さん

こちらこそご無沙汰しております。『ユリイカ』の特集は知りませんでした。ご教示ありがとうございます。映画の公開も始まっていますが、「やはり見ておくべきなんだろうか」と思いつつ重い腰を上げずにいて、すっかり情報から遅れております。

青土社のサイトを見てみましたが、かなり濃い内容のようですね。寄稿者の顔ぶれや文章の見出しを見ているだけでもわくわくします。今度書店に行ったら手に取って確認してみます。貴重な情報をどうもありがとうございました。

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