浮世絵と象徴主義絵画の関わり?
2008年4月 1日
先月26日の朝日新聞夕刊に歌川広重の「相州江の嶋弁才天開帳詣本宮岩屋の図」(写真右)という作品が紹介されていた。私は初めて見たのだけど、ど真中にでかでかとまんまるの江の島を配した異形とも思える構図に目を奪われた。絵画表現では普通こういう圧迫感のある構図は避けるものではないのだろうか。しかし近景を極端に大きく描いて遠近感を際立たせる手法は晩年の広重の作品によく見られるそうで、後期印象派の画家、フィンセント・ファン・ゴッホが模写したことでも知られる「亀戸梅屋鋪」などはその好例なのだという。
この構図を見るとやはり私はどうしてもスイス出身の象徴主義の画家、アルノルト・ベックリンの「死の島」を思い出してしまう。ベックリンはこのタイトルの絵を5枚描いているのだが、左の写真はこのうち生地のバーゼル美術館所蔵のもの。この絵の構図の異様さは前から不思議に思っていたのだが、広重の作品と似ているのは偶然なのだろうか? 取り敢えずウェブで調べてみた限りではベックリンが日本の浮世絵に影響を受けたという説はないようだった。
印象派の画家たちが浮世絵から大きな影響を受けたことはよく知られている。私は印象派と象徴主義の関係がどのようなものだったのかよく知らないのだが、ベックリンがこの広重の作品をどこかで見ていたということはないのだろうか? 2枚の絵を見比べているとそんな想像をたくましくしてみたくなってくる。
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歌川広重
コメント
印象派の画家が今でも受け入れられる所以のような気がします。
-> moonさん
印象派は日本で人気がありますよね。