スケートアメリカ2008 女子シングル フリー
2008年10月28日
ニュースでヨナさん優勝、中野さんが2位という結果だけ知って放送を見た。
スザンナ・ポイキオさん:ラフマニノフ チェロ・ソナタ〜ピアノ協奏曲第2番
フィンランドのベテラン選手は全体をそつなくまとめて総合6位と健闘した。音楽はラフマニノフのチェロ・ソナタのスケルツォとピアノ協奏曲のフィナーレのコーダをつなぎ合わせたもの。中間のスロー・テンポな部分がちょっとわからなかった。同じチェロ・ソナタのようではあったけどどの部分かがわからなくてちょっと悔しい。
アネッテ・ディトルトさん:サン=サーンス「白鳥」
この人の演技が放送されるとは。私は見るのはもしかすると初めてだったかも知れない。ほっそりとした体型が魅力的な選手。ジャンプを尽く失敗してかなり痛々しい感じの演技だったのだけど、めげずに笑顔で滑り切った心の強さが長年ドイツの第一人者として君臨してきた秘訣なのかも知れない。
キミー・マイスナーさん
こちらもジャンプが不調で見るのがつらい感じの演技。モチベーション自体をどこまで維持できているのか、ちょっと気になるような出来だった。
レイチェル・フラットさん
トリプル–トリプルのコンビネーションを自重して無難にまとめてきた。キミーもそうだけど彼女も体型でちょっと損をしているかな、という気がする。しかしアジア系の選手が世界に出ても体型で見劣りせず、むしろヨーロッパ系の選手の方が彼女たちに比べて見劣りしてしまうということに驚いてしまう。
長洲未来ちゃん:オッフェンバック「天国と地獄」ほか
終盤に疲れが出たのかミスを連発してしまった。でもシニアのグランプリシリーズ初参戦としてはいい内容だったのではないかと思う。振付けは随所にかわいらしさが出ていたので今度はもっと完成された演技を見せて欲しい。
中野友加里さん:『ジゼル』
ジャンプの調子が今一つなのかトリプルアクセルを回避。中野さんらしい思い切りのよさが見られなかったのは少し残念。衣装や振付けはなかなかかわいらしくてよかったけど、欲を言えばもう少しプログラムにメリハリをつけて、自然な盛り上がりをつくり出せる部分があった方がよかったかな、と思う。
安藤美姫さん:『ジゼル』
こちらも4回転のサルコウを回避。やるぞと見せかけて本番ではぎりぎり回避するというのはモロゾフコーチ得意の戦術なのだろうけど、安藤さんのモチベーションがそういうやり方についていけるのかは気になるところである。冒頭のコンビネーション・ジャンプがダウングレードされたせいもあり得点は伸びず、今回はこの作戦が奏功とはいかなかった。そろそろ本気になって跳ばせて上げてもいいのではないかと思うのだけど。
衣装や振付けはちょっとかわい過ぎて今の安藤さんには似合わないような気がした。中野さんとの『ジゼル』対決ということで言えば中野さんの方がクラシック・バレエらしさが出ていたように思う。
キム・ヨナさん:リムスキー=コルサコフ「シェエラザード」
冒頭のコンビネーション・ジャンプは二つ目のトウループの着氷がやや引っかかったような感じでいつものヨナさんらしさがなかったかな、という感じがした。6分間練習では踏み切る前のところで転倒していたループはやはり苦手意識であるようで初めから諦めたような跳び方でシングルにしていた。それでも全体には高いレベルの安定した演技で地力のあるところを見せつけた。
プログラムはただ名旋律を漠然とつなぎ合わせたような感じで全体にやや散漫な印象を受けた。昨シーズンの『ミス・サイゴン』に比べて今一つ惹き込まれるようなものを感じなかった。ただ今後繰り返し見るうちにその印象も変わってくるかも知れない。
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