ＮＨＫ杯2008 女子シングル ＳＰ
2008年11月29日
開幕前にショッキングなニュースが伝わってきたので気持ちが今一つ盛り上がらずにいたが、始まってみるとやはり心踊るものがあり、選手それぞれの魅力を堪能した。
鈴木明子さん：リスト「ラ・カンパネッラ」
遅咲きのグランプリシリーズ・デビューとなったこの大会、まずこの人がこの舞台に立てているということが記念すべきことである。ルッツからコンビネーションは成功したものの次のフリップが一回転に。解説の荒川静香さんによると彼女もエッジの矯正に着手しているそうなのだけど、その影響が出たのかも知れない。彼女の今のポジションを考えるとＳＰではどちらかをループにして確実に点数を稼げるような構成にした方がいいような気がする。左右に大きく重心を動かす独特のダイナミックなステップは健在。表彰台も狙える好位置につけたのでフリーが楽しみ。
キム・ナヨンさん
ロシア大会と二週続けての出場で疲れもあっただろうに大きな破綻のない演技にまとめてきた。衣装も素敵で楽しんで見た。
アシュリー・ワグナーさん
昨シーズンまでとは別の選手と思った方がいいみたい。雰囲気のある演技でうっとりとさせられた。
長洲未来ちゃん：チャップリン・メドレー
最初のルッツが抜けてしまいフリップもおそらくダウングレード。本人もちょっと不満さうな出来だったけど、その他の要素ではハイレベルなものを見せてくれた。随所に映画の中のワンシーンを思わせる仕草が採り入れられていてかわいかった。
ラウラ・レピストさん
トリプル–トリプルのコンビネーション・ジャンプは回避して全体をうまくまとめてきた。ステップなどはとても丁寧にこなしていた。この人は自分の持っている技術を最大限に生かして点数を叩き出すのがとてもうまいという印象がある。このあたりは例えば鈴木明子さんにも参考になるのではないかと思う。
中野友加里さん
最初のフリップがダブル、次のルッツもおそらくダウングレードされたのではないかと思う。どうもスケートアメリカの時から故障を抱えていたようで、ジャンプは本調子でない様子。でも今シーズンからグレードアップされた友加里スマイルは素晴らしく、お母様手作りという衣装もとてもよく似合っていて(私はスケートアメリカの時のものもとても気に入っていたのだが)素敵だった。
浅田真央ちゃん
しばらく前から鬼門となっていたＳＰのコンビネーション・ジャンプは抜けずに跳ぶことができた。内容に比べて技術点の出方が今一つだったのでもしかするとループの方がダウングレードされたのかも知れないが、ともかく一応はトリプルジャンプになったことで気は楽になっていることと思う。次のルッツももしかするとロングエッジをとられているのかも知れないが、素人目にはしっかりアウトエッジで踏み切れているように見えた。逆向きの弧を描くイーグルからのダブルアクセルは見事の一言。スパイラルでちょっとぐらついたのは真央ちゃんらしくなかったかな、と思った。よほどのことがない限り優勝は堅いと思うが、はたしてトリプルアクセルが二度入るのかなど、フリーも大いに注目される。(29日午前1時30分追記：ジャッジスコアを見るとループがダウングレード、ルッツのエラー判定はなく、スパイラルがレベル1となっているのが技術点が伸び切らなかった原因となった模様。)
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コメント
sergeiさん
３位まで独占 ＼(^O^)／
ペアは井上さん組が２位でしたね〜♪
スケートは詳しく知りませんが・・・アメフトは少しは（苦笑）
あれから１万アクセ！ 凄いですね。
-> Kenおじさん
日本女子のめざましい活躍はうれしいばかりです。この季節はアクセスが激増するのですよ。今日(日付かわって昨日になりましたが)などは1000件を超えています。^ ^
sergeiさん
こんばんは。凄い １１００ピッタリですね。＾＾
-> Kenおじさん
本当に、キリ番でした。^ ^
真央ちゃんNHK杯優勝おめでとう。
ファイナルで優勝できるかはSPの得点次第ではないかと思います。
そこで提案。SPに３Aは入れられないのでしょうか。素人考えでは、ほかに誰もできない（中野さんも最近は回避している。）３Aを跳べば（３A+２でも単独の３AでもOK)高得点が得られると思うのに、３AはSPで禁止されているのでしょうか。まあ、正確に跳べば３＋３、３、２Aの構成でも十分１位になれると思いますが、どうでしょうか。
-> マオマニアさん
はじめまして。コメントありがとうございます♪
私はルールの細かいところまでは正確に把握しておりませんので、以下の説明はもしかすると誤りが含まれているかも知れません。そのことを十分に念頭に置いて読んで下さいね。
現在のルールではＳＰの必須要素としてのアクセルは女子の場合はダブルと決められているようです。従ってＳＰでトリプルアクセルを跳ぼうとすれば、ステップからのトリプルジャンプとして跳ぶか、コンビネーションにするかのどちらかでなくてはなりません。ステップからのトリプルアクセルの難しさは2006-07シーズンのフリーでなかなか成功させられなかったことで実証済みです。またコンビネーションにすることの難しさも同様で、今回のＮＨＫ杯のフリーでも回転を認定された方の最初のトリプルアクセルはコンビネーションにする予定でしたが単独になり、二度目に跳んでコンビネーションにした方はダウングレードされてしまいました。しかもＳＰはジャンプの重複が認められていないので、もしパンクしてダブルになってしまった場合、必須要素としてのアクセルと重複しないように演技中にジャンプの構成を変更するという困難なことに取り組まなくてはならなくなります。ＳＰは決められた要素を正確にこなすことが重視されるので、大きなミスが重なったりするとフリーでどんなにいい成績を収めても逆転できないような差をつけられてしまうということも十分に考えられます。
そういったリスクを考えると、ＳＰでトリプルアクセルを跳ぶというのはあまり現実的な選択肢ではないというのが実状ではないかと思います。むしろ、トリプルアクセルという大技を持っている利点を生かすには、ＳＰで少々のミスがあってもトップとの差をフリーで挽回可能な範囲にとどめておくことを最優先にするのが最善の戦略ではないかという気がします。
真央ちゃんが今後ＳＰでトリプルアクセルを跳ぶことがあり得るとすれば、それは必須要素としてのアクセルをトリプルにすることが認められるようなルール変更が行われた場合ではないかと思います。ただ、すでに述べましたようにＳＰというのは元々決められた要素を正確に実施できるかを評価するという性格が強い種目なのです。ですからトリプルアクセルを(練習で成功させたことがあるというようなレベルではなく)競技のプログラムに採り入れることが可能なレベルにまで習得しているのが女子では実質的に真央ちゃんしかいない現状ではそういう変更が行われることは考えにくいのかも知れません。真央ちゃんを応援する立場からすればこうした制約はもどかしい感じがしますが、フィギュアスケートというのはジャンプだけでなくスピンやステップ、つなぎのスケーティングを含めた総合的な美しさを競う競技ですので、一つの大技があればそれだけでトップに立てるというような状況にはならないようにルールが設定されているのだと思います。
もちろん、真央ちゃんは決してトリプルアクセルだけの選手ではありません。このオフに取り組んだルッツの矯正も実を結んで今回のＳＰで跳んだルッツはGOEの加点をもらっていますので、後はコンビネーション・ジャンプの安定性だけということになります。このところＳＰの苦手意識がしみついてしまっていたように見受けられますが、それを完全に払拭できる日も近いのではないでしょうか。