全日本選手権2008 男子シングル フリー
2008年12月27日
中庭健介選手
必ず跳ぶと宣言していた4回転のトウループはトリプルに。自分の意志で回避したようにも見えるジャンプだったけどどうなんだろう。4回転へのこだわりの強い彼のことだからチャレンジした結果抜けてしまったのだと思うけど…。どうも腰に痛みがあるのをだましながら練習している状態のようで、おそらくそうした影響もあってほかのジャンプでも着氷に乱れがあるものが多かった。もう後それほど長くはない現役生活だと思うので一つ一つの試合を悔いなく戦えているといいのだが。
織田信成選手
4回転のトウループは回転不足で転倒。しかしその後はノーミスで滑り切り見事初優勝を成し遂げた。本人はやはり4回転が成功しなかったのが悔しかったらしく演技後は不満そうな表情を浮かべていたが、結果が決まってインタビューを受けるとやはり感極まって泣き出していた。昨シーズンのこの大会を棄権をという選択をして今シーズンに復活を賭けていただけに感慨はひとしおだろう。今回の結果は彼が一年間のブランクにも関わらず今もなお世界のトップクラスに位置していることを証明するものでもあったと思う。世界選手権でもこの調子で活躍して、三枠確保の大任を果たして欲しい。
南里康晴選手
最初のトリプル・アクセルの着氷で大きく乱れたほかルッツがシングルになったりフリップがダブルになったりと全体にやや精彩を欠いた演技になってしまった。無良選手にはフリーの点で上回りながらトータルで及ばず昨シーズンに続いての世界選手権出場はならなかった。ただこのところ進境著しい表現力には見るべきものがあったように思う。
村上大介選手
今年の夏に初めて成功したという4回転のトウループに果敢に挑んだがあえなく転倒。元々シニアのフリーはジュニアより時間が長い上にこの挑戦が響いたか後半はかなり足にきたようで、ストレートライン・ステップの中ほどでのものを含めて計4回も転倒してしまった(4回転の後の転倒は二つ分のディダクションをとられたらしい)。それでもこの大会はいい経験になっただろうから、これを糧に大きく飛躍して欲しいと思う。
無良崇人選手
最初のトリプル・アクセルは思いがけない転倒。二つ目もシングルになってしまったがNHK杯の時と同じくその後のルッツをトリプル・アクセルに変更して成功させた。ほかにもいろいろとミスはあったがSPの貯金が生きて表彰台に乗り、この意地の挑戦が報われた形になった。世界選手権への出場もまだジュニアにも出場できるにも関わらず敢えて今シーズンからシニアに転向した意欲的な挑戦へのご褒美といえるだろう。初の大舞台でも気後れすることなく若武者らしい溌溂とした演技を見せて欲しい。
小塚崇彦選手
4回転のトウループはあえなく転倒。織田選手も含めて結局この大会では誰も4回転ジャンプを成功させなかったのはちょっと寂しいところで、あらためて高橋大輔選手不在の寂しさを感じてしまう。SPでの点差が大きかったので元々逆転は難しかったのだが、二つ目のトリプルを失敗も加わってトータルでは大きな点差がついてしまった。演技前にコンピュータのトラブルがあったのはちょっと不運だった。しかしオリンピックの三枠確保に向けて頼もしい存在であることには変わりないので、ぜひ織田選手ともどもいい結果を残して欲しい。
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