「風のうた」
2009年2月 6日
本田美奈子さんの月命日にこのブログに連載してきた楽曲の感想だが、この数か月やや重たい話題を続けていて少し疲れてしまったこともあり、今回は息抜きに少し気楽に聴ける曲を扱ってみることにする。「風のうた」はTVアニメ『HUNTER×HUNTER』のエンディング・テーマ曲で、1999年に発表された。シングルにカップリングされていた「晴れた空お天気」もこのアニメの挿入歌である。
「晴れた空お天気」について以前「子供向けと思わせておいて実はなかなかの難曲」と書いたが、この「風のうた」も、技術的にはそれほど難しそうには見えないものの、やや愁いを帯びた旋律にはどこか幻想的な趣があり、聴き応えのある楽曲となっている。作・編曲の佐橋俊彦さんについては私はよく知らないのだが、音楽業界では幅広く活動している方らしい。
歌詞を解釈するためには当然『HUNTER×HUNTER』の内容についての知識が必要になるわけだが、残念ながら私はこのアニメも原作の漫画も全く知らないのでどうしようもない。ただ、お母様の証言によると美奈子さんはこの歌を子守唄として姪御さんに歌って聴かせていたそうで、美奈子さんはこの歌を子守唄と位置づけてことになる。美奈子さんのレパートリーには子守唄として聴ける作品がいくつかあるが、この「風の歌」もそのように位置づけることができるのだと知ってからこの歌は私にとって少しなじみ深い存在になった。
このシングルは前作「Shining eyes」から3年振りとなるリリースで、美奈子さんがレコーディング・アーティストとして不遇をかこっていた時期の作品なのだが、アニメ・ソングとはいえようやく発表できた自分のオリジナル曲に美奈子さんなりに真剣に取り組んだことだろう。
美奈子さんが姪御さんのためにこの歌を歌っている姿を想像しながら、ふと北島三郎さんのことを思い出した。北島さんはアニメ『おじゃる丸』のテーマ曲「詠人」を引き受けることを決めた時の心境について、長い間歌手として活動させてもらえたことへの感謝の気持ちをこめて、世の中への恩返しとしてこれからの世界を担う子供たちのために役に立ちたいという思いだったと述べていた。美奈子さんもこの「風のうた」や「晴れた空お天気」を歌うに際しては、一時期の苦難を乗り越えて歌手としての地位を築くことができた喜びや感謝の気持ちを感じつつ、かわいがっていた姪御さんの寝顔をアニメの放送を通してこの歌を聴くことになるはずの子供たちの姿と重ね合わせていたのかも知れない。そんなことを考えながら聴くと美奈子さんのレパートリーの中ではやや地味な存在であるこうした歌もより愛おしく思えてくる。
コメント
『ハンターXハンター』はたまに見てたので、この歌も割と好きでした。
『ら・ら・ば・い』に比べてセールスが意外といっていないのは土曜6時台のアニメだったからか、男の子向けでしかもやや年少者向けのアニメだったからなのか。。
「いきなさい〜さぁ〜」の所とか結構な高音で、綺麗に歌うのは難しそうですね。
子守唄風に歌うってのはどういう感じになるんでしょうね。高揚感のある歌だから、そのままだと逆に目が冴えてしまいそうですね(^^)。
美枝子ママさんが歌っている所とかも聴いてみたい気がします(^^)。
-> ケイさん
『HUNTER×HUNTER』ご覧になってましたか。私もWikipediaでも見て内容を少し理解してみようかと思ったのですがが、あまりにマニアックな記述で挫折しました。
セールスは「ら・ら・ば・い」に及ばなかったのですか。タイトルとは裏腹に、曲調はこちらの方が子守唄らしい感じがしますね。実際に姪御さんを寝かしつける時にはサビの部分で高揚感を出さないように工夫して歌っていたんでしょうかね。ぜひ聴いてみたかったな、というか美奈子さんの歌で眠りにつけるお子さんは幸せですね…。
お母様の歌う「風のうた」…、こちらもぜひ拝聴したいです。^ ^