エリーゼとは誰か
2009年7月30日
このところブログの更新をサボり気味だったけど、先日伝えられた音楽関係のニュースについてちょっとふれてみる。今月27日の朝日新聞夕刊によると、ベートーヴェンの名曲「エリーゼのために」の“エリーゼ”の正体についての新たな研究成果が明らかにされたとのことだ。
ベルリン在住の音楽研究者、クラウス・マルティン・コピッツ氏によると、この“エリーゼ”とはベートーヴェン作曲のオペラにも出演した経験のあるテノール歌手、ヨーゼフ・アウグスト・レッケルの妹でソプラノ歌手のエリザベート・レッケルの可能性が高いという。コピッツ氏は5月の中旬にウィーンの教会の書庫で彼女の第一子の洗礼記録を発見し、そこに母親の名前として「マリア・エヴァ・エリーゼ」と書かれているのを確認したそうだ。彼女はベートーヴェンと交流があり、当時“エリーゼ”と呼ばれていたことが確認されたとなると、「エリーゼのために」が彼女のために作られた可能性も当然考えられるだろう。
これまでエリーゼとは元々“テレーゼ”と書かれたものが誤って伝えられたとする説が有力だったが、この説明にはどうも釈然としないものがあった。「エリーゼのために」はほかならぬ“エリーゼ”のために書かれたのだとはっきりすれば、実に腑に落ちる思いがする。論文の発表は来年の予定とのことで、この新説が定説として認められるようになるにはしばらく時間がかかることになるだろうが、何とも先行きが楽しみなことである。
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