「素敵な明日のために」

2010年7月 6日

作詞:秋元康 作・編曲:後藤次利

本田美奈子さんは1997年にひたちなか市のイメージ・ソングとして「素敵な明日のために」という曲を発表している。この音源は入手がやや困難なものだったのだが、2007年にYouTubeに動画がアップロードされ、今では誰でも容易に聴くことができるようになっている(この動画はひたちなか市観光協会の公式サイトにも貼り付けられているので権利関係はクリアしているものと推定される)。

レゲエ風のリズムと明るいメロディーが印象的で、いかにも市民生活の明るい未来を願って聴くのに相応しい作品となっている。美奈子さんはデビュー3年目を迎えた1987年にジャマイカを訪れ、スライ&ロビーのライヴに参加してセッションをしているので、この曲を歌う上ではおそらくそうした経験も役に立ったことだろう。

間奏と後奏には美奈子さんの楽曲にはめずらしく、ヒップホップ風の男性ヴォーカルがフィーチャーされている。1990年代はヒップホップの影響力が日本の音楽界にも及んできた時代だったが、美奈子さんはそうした流行の尻馬に乗るような形でヒップホップに取り組むようなことはせず、持ち前ののびやかなカンタービレを最後まで貫き通した。私はそれは実に賢明なことだったと思っている。後奏には例によって美奈子さんの高音域のスキャットが挿入されていてここがまた一つの聴きどころとなっている。


ひたちなか市ではこの歌に合わせて踊る「ひたちなか踊り」というものが流布していて、市民の間で広く親しまれているらしい。レゲエのエッセンスを採り入れた、現代風盆踊りの一種とでもとらえればいいのだろうか。美奈子さんの入院中には、ひたちなか市の小学生たちからは名前に因んで37,500羽の折り鶴がプレゼントされたという。

この歌は純粋に音楽的な観点からいえば美奈子さんのキャリアの中で特筆すべき作品というわけでもないだろうが、このような形で地域社会の絆を深めるのに役立っているというところに重要な意義があるといっていいだろう。この歌がこれからもひたちなか市民のみなさんの親睦の拠り所として聴き継がれ、心の故郷として親しまれていくことを祈りたい。


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