ショパン・コンクール2010 二次予選終了

2010年10月14日

現在ワルシャワで開催中のショパン・コンクールは日本時間の今朝未明に二次予選を終了し、三次予選への進出者が発表された。今大会の注目の存在となっているロシアのホジャイノフさんなど20名が進出を果たした一方、私が気に入っていた岩崎洵奈さんを含め日本からの参加者は全て落選してしまった。


すでに三次予選の演奏が始まっているが、二次予選の印象を回顧しておきたい。ニコライ・ホジャイノフさんは二次予選の演奏は少ししか聴けなかったのだが、聴いた人の話によるとどうもあまり本調子ではなかったようだ。それでも私が聴いたバラードの演奏は一次予選の時に見せた才気を十分に感じさせるものだったように思う。

二次予選での演奏を聴いていいと思ったのは、中国系アメリカ人のクレア・フアンチさんである。いかにもアジア女性らしい感じのたおやかな演奏で、聴く人の心にすんなりとしみこんでくるようなみずみずしい音楽を聴かせてくれた。以前この人が浜松のコンクールに参加した時の演奏を聴いた人によると、その時は技術偏重で若さにまかせて突っ走るような演奏だったのだという。しかし今回はそんなことが信じられないような音楽性豊かな演奏で、人は変われば変わるものなのだと感じさせられた。

もう一人私が気に入ったのは地元ポーランドのパヴェウ・ヴァカレツィさんだった。アクの強い演奏が印象的で、マズルカもさることながらポロネーズでも土俗的な味わいの濃い演奏を聴かせてくれた。


一次予選の演奏を聴いて気に入っていた岩崎洵奈さんは、二次予選でも多彩なタッチに自然なアゴーギクやさりげないルバートを織り交ぜたいきいきとした演奏で魅了してくれた。二次予選で私が聴いた中では最も音楽性豊かないい演奏だと思った。次へと進むことができなかったのは何とも残念だが、私の個人的な聴衆賞はこの人に差し上げたいと思う。(そんなものもらってもうれしくないだろうけれども。)

日本のピアニストではほかに渡辺友理さんが明晰な響きで清冽な演奏を聴かせてくれた。前回のファイナリストの大崎結真さんもそれに相応しい堂々とした演奏でとてもよかったと思ったのだが、ともに残念ながら落選してしまった。

このほか二次予選の落選組では、少ししか聴けなかったのだがウクライナのアンナ・フョードロヴァさんが印象に残った。内に秘めた暗い情熱の燃焼がほの見えてくるような演奏は私の好みだった。しかし三次予選進出者の顔ぶれを見ると、こういったタイプとは逆に軽い響きで明朗な演奏をする人が多く残っている気がする。


今大会の選考については、はっきりした個性を持ったピアニストが高く評価されているという意見を目にした。私も確かにそんな印象を受けるし、それは非常にいいことだと思う。ただ、その評価されている個性が私の好みとはやや方向性が違っていて、正直少しテンションが落ちてきてしまっている。しかしそれでもまだ演奏そのものは聴いていないけど評判を目にして気になっているピアニストも何人かいたりするので、今後のコンクールの行方も楽しみに見守りたいと思う。

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