スケートカナダ2010
2010年11月 5日
諸般の事情でしばらくネットを離れていて、もうすでに中国大会も始まっているが、その前にスケートカナダの感想を書いておきたい。
女子シングル
何よりうれしかったのはやはりアリッサ・シズニーさんの優勝である。とにかく優雅で気品があって、最高の演技だった。ジャンプでは転倒もあったのだが、並みの選手なら根性で降り立とうとして踏ん張ってしまうようなところでも、この人の場合はしなやかにくずおれるように倒れていく。だから転ぶ姿さえもが絵になっているのである。
タラレバは禁句ではあるけれど、この演技を昨シーズンの全米選手権の時にできていたら、と思わずにはいられなかった。昨シーズン終了後には競技生活から退くことも考えたそうなのだが、こうしてまたグランプリシリーズに参加し、しかも以前よりもさらに自分の演技に磨きをかけて戻ってきてくれたことを心からうれしく思う。
今井遥さんはシニアの国際大会初参戦で5位という上々の結果だった。なんとも初々しい笑顔が素敵な選手で、村上佳菜子ちゃんとはまた違ったタイプのかわいさがある。フリーで披露したダブルアクセル–トリプルトウループのコンビネーションも見事だったが、細身の体を大きく使ってダイナミックな踊りを見せてくれたSPでのストレートラインステップも印象的だった。
男子シングル
まずは何といってもパトリック・チャン選手がSP、フリーともに4回転のトウループに挑戦してくたことに驚いた。しかもフリーでは見事に成功! これでいよいよ彼も4回転ジャンパーの仲間入りをしたわけで、高いPCSをもらってもあれこれ言われることもなくなるといいのだけど…。
織田信成選手も優勝は逃したとはいえフリーで4回転トウループを成功させたのは今後に向けていい手応えになったと思う。SPは吉田兄弟の三味線の楽曲という意欲的な選曲で、非常に個性的なプログラムだった。反面、フリーのグリーグのピアノ協奏曲はやや平凡な感じがした。
もう一人この大会で目を引いたのはハビエル・フェルナンデス選手だった。昨シーズンのオリンピックだか世界選手権だかで見てその高い表現力に注目していた選手なのだが、この大会ではフリーで4回転のトウループも成功させ、ジャンプの能力にも非凡なものがあることを証明してみせた。フリーのサーキュラー・ステップでの酔っ払って千鳥足でステップを踏むような演技はまさに彼の真骨頂だった。コーチのニコライ・モロゾフさんの振付けとの親和性も非常に高いものがあり、今後ますます要注目の選手といっていいと思う。
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