第4回アイドル楽曲大賞2015

2015年12月 2日

今年もアイドル楽曲大賞に参加してみた。投票内容は以下の通り。


メジャー部門

寺嶋由芙「初恋のシルエット」


今年は寺嶋由芙さんにとって充実の一年で、限定発売のミニアルバムにメジャー流通のシングル2枚、ゆふぃたす名義のシングルと、いずれも名曲揃いで間然するところがない。その嚆矢となったのがミニアルバム「好きがはじまるII」収録の「初恋のシルエット」で、以前も書いたがリリースに先駆けて1月に音源がsoundcloudで公開された時から一聴して好きになった曲だった。今あらためて聴きながら甘くほろ苦い感傷が胸いっぱいに広がってくる。


寺嶋由芙「ふへへへへへへへ大作戦」


こちらはゆっふぃーの記念すべきメジャーデビューシングルのタイトル曲で、詳しい感想は以前に書いた通り。今年のアイドルポップスで最も強い印象を残した楽曲の一つだった。


寺嶋由芙「ぼくらの日曜日」

ゆっふぃーからもう一曲、「いやはや ふぃ〜りんぐ」のカップリング曲「ぼくらの日曜日」を選んでみた。先日レヴューを書いたばかりだがタイトル曲もゆっふぃーらしさに溢れた名曲で、甲乙つけ難いのだがこちらは特にゆふぃすとに宛てて詞を書いてくれた(文月悠光さんとの共作)作品なので、こちらを優先した。

推しからこんな曲を捧げてもらえるヲタクは幸せだな、とつくづく思う。ここに貼れる公式な動画等がないのだが、ファンの方撮影のライヴ動画にリンクしておく。


赤マルダッシュ☆「ワンダフル☆スマイル」


詳しい感想は以前に書いた通りだが、「4 colors」(ライヴ動画)を経てこの曲へと至る流れが音楽的にもグループの物語的にも素敵で心惹かれる。色モノ的な見方をされてしまいがちなグループかも知れないけど、歌やダンスの魅力が広く知られるようになって欲しいと思う。


Dorothy Little Happy「Tell me tell me!!」


今年もアイドル界を賑わせたニュースが様々あった中で、最もショッキングだったものの一つはDorothy Little Happyからメンバー3人が卒業したことだった。“卒業”といえば聞こえはいいが、事の経緯からいって事実上はグループの“分裂”にほかならなかった。

ドロシーといえば、私の勝手な思い入れだけれども、アイドル界の良心というか、ヲタクにとっての最後の心の拠り所というか、各所で卒業、脱退、解散などあってもドロシーが頑張ってるうちはアイドル界は大丈夫、というような、そんな安心感を与えてくれる存在だった。そのドロシーでこういうことが起こるとは全く予期しなかったことで、私と同様ドロシーが一推しというわけではなくても衝撃を受けた人は少なくないに違いない。しかも3人の卒業ライヴではからずも露呈したグループの内情も(詳細はナタリーのレポートを参照)、みんな薄々は感じていたこととはいえ、ドルヲタたちにさらなる衝撃を与えたのだった。

しかしこういうことが起こるのもメンバーそれぞれが自分たちの活動について真剣に考えてきたからこそで、彼女たちの今後の人生に責任を持てるわけもないヲタクの立場で「5人で続けて欲しかった」などとは軽々にいえるはずもない。私たちにできることといえば、彼女たちの今後の道のりを見守っていくことでしかないだろう。

「Tell me tell me!!」は5人体制では最後となったシングルのタイトル曲で、さわやかで壮快なロック調のナンバーである。誰もが好きだった“5人のドロシー”の記念の意味も込めてここに選んでおく。


インディーズ部門

RYUTist「神話」


RYUTistについては前回の投票の時に「楽曲や振付け、さらには衣装のセンスまで含めてトータルに洗練されている」と書いたが、洗練の度合いをますます深めてきているように感じられる。この「神話」はキュートでお洒落で上質で、アイドルポップスの一つの到達点ともいえる楽曲ではないだろうか。


虹のコンキスタドール「トライアングル・ドリーマー」


シングル「THE☆有頂天サマー!!」のカップリング曲だが、かわいくて楽しくて、歌詞もドキドキものでとにかく魅力的な楽曲である。ライヴでのキラーチューンといってもいい曲なのにどうしてこれをタイトル曲にしないのか不思議に思う。メンバーがぽろぽろと卒業していったりして何かともったいない感じのするグループなのだが、せっかくかわいい子たちを揃えているのだから、大人の人たちは上手に育てていって欲しいと思う。


I’S9「羽ばたくんだ!」


I’S9(あいずないん)は福岡を拠点に活動するローカルアイドルで、2年前の「キラキラ数えに行こう」(MV)が気に入って注目していた。この「羽ばたくんだ!」もさわやかな希望をキュートに歌い上げた傑作で、今年のお気に入りの一曲である。


ハコイリムスメ「微笑みと春のワンピース」


ハコイリムスメは女優志望の女の子たちが集まったグループで、ちょっとしたお芝居とカヴァー曲とを組み合わせたユニークなライヴを展開しているアイドルである。スタッフの好みからフジテレビ関連のアイドル楽曲というのがカヴァーのコンセプトなのだが、そのチョイスが絶妙にツボを突いていて心憎い。「はじまり」(チェキッ娘、ライヴ動画)はそれほどヒットした曲ではないけれども個人的にとても懐かしい曲だし、メンバーの卒業ライヴの動画の背景に流れている「いちご水のグラス」(斉藤由貴)はシングルカットされていないアルバム収録曲なのだが、80年代のアイドル楽曲の中でもとりわけ好きな作品である。この「微笑みと春のワンピース」はオリジナル曲だが、育ちのいいお嬢さんといった雰囲気のメンバーたちによく似合っている。


SRAM「ユー・メイ・ドリーム」


詳しい感想は以前に書いたが、メインヴォーカルMYUさんの可憐な歌声が耳に残る秀逸なカヴァーである。シーナさんが喜んでいますように。


アルバム部門

前回同様不参加。


推し箱部門

寺嶋由芙さんに投票した。


前回同様に投票はここに記載した順序の通りにしたが、ポイントは全てに2点ずつ入れた。

この種の投票企画というのは参加者が推しの楽曲を無闇にゴリ押しすると賞自体が非常につまらないものになってしまうので、本当は一人(一グループ)一曲に限定して選考するつもりだった。しかし、私の目配りが足りないせいもあると思うのだが、今年はメジャー部門でピンとくる曲がほかにどうも思い当たらなかった。上に挙げたゆっふぃーの3曲は推しの曲だからというだけでなく楽曲そのものの魅力で強く印象づけられた作品なので、敢えて避けることもないだろうと思いこういう結果となった。

その代わりというか、インディーズ部門は気に入った作品がいくつもあって、5曲に絞るのが容易でなかった。そこで投票から洩れてしまったものを以下に番外としていくつか記載しておくことにする。


番外

からっと☆「今を生きる」


今年のアイドル界で起きたショッキングな事件としてもう一つ大きかったのがからっと☆の解散で、アイドルという存在の刹那性を端的に象徴する出来事だった。この将来性あるグループがどうしてこういう事態に立ち至ったのか、詳しい事情はわからないが返す返すも惜しまれる。この「今を生きる」は彼女たちが残した置き土産で、今年特に強い印象を残した楽曲の一つだった。本当はこの曲にも投票したかったのだが、メンバーたちはすでに再起を期して新たなグループを立ち上げており、そちらでの飛躍に期待することにしたい。


Peach sugar snow


3人組のグループとしてウィスパーヴォイスで話題をさらっていたPeach sugar snowがメンバーあいなさんのソロプロジェクトとして再出発することになったのも大きなニュースだった。新生PSSの第一弾「さよなら惑星」ではウィスパーではない地声のパートやラップも採り入れて、おとぎ話風のMVの映像も含めて、早速の新機軸を打ち出している。「仮初の涙」(MV)ではさらに壮大な死生観、宇宙観のようなものを感じさせて、人数的には規模が縮小したとはいえ、世界観の広がりはむしろとどまることを知らないかのようだ。


PiiiiiiiN「絶対NEVER DIE」


7月に松隈ケンタさん作曲の2曲がsoundcloudで公開されたのだが、これが何というか、私の好きな松隈サウンドが帰ってきたという感じで、実に素晴らしい出来栄えだった。しかし予定されているアルバムのリリースがまだなので今回は投票できない。来年もこの賞が実行されれば投票することになるかも知れないが、今年特に気に入った楽曲として「てれちゃうね。」(soundcloud)ともどもここに記しておく。


丸山夏鈴「Eternal Summer」


今年のアイドル界を襲った悲しいニュースとして忘れてならないのは、脳腫瘍のために幾度も手術を繰り返しながら活動を続けてきた丸山夏鈴さんが5月に亡くなったことである。卒業とか脱退、解散等は仕方ないと割り切るしかないが、この若さで命を奪われるというのはあまりに残酷でやり切れない。しかし本人は生前、病気だからといって周囲から「かわいそう」という目で見られるのを潔しとしていなかったので、今はただ、苛酷な運命を呪うより、自ら望んだアイドルとしての人生を最期まで貫き通したことを祝福したい。


献辞

ささやかですがこの記事を丸山夏鈴さんの魂に捧げます。

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