<?xml version="1.0" encoding="EUC-JP"?>
<?xml-stylesheet href="http://blog.vita-cantabile.org/atom.xsl" type="text/xsl" media="screen"?>
<?xml-stylesheet alternate="yes" href="http://blog.vita-cantabile.org/styles-atom.css" type="text/css"?>
<feed xmlns="http://www.w3.org/2005/Atom">
   <title>Giorni Cantabili</title>
   <link rel="alternate" type="text/html" href="http://blog.vita-cantabile.org/" />
   <link rel="self" type="application/atom+xml" href="http://blog.vita-cantabile.org/atom.xml" />
   <id>tag:blog.vita-cantabile.org,2006://1</id>
   <updated>2012-01-29T14:46:56Z</updated>
   <subtitle>歌のある日々 −ブログ版 Vita Cantabile−</subtitle>
   <logo>http://blog.vita-cantabile.org/banner/gcbn_small.jpg</logo>
   <icon>http://blog.vita-cantabile.org/favicon.ico</icon>
   <generator uri="http://www.sixapart.com/movabletype/">Movable Type 4.37</generator>


<entry>
   <title>「海辺の祈り」</title>
   <link rel="alternate" type="text/html" href="http://blog.vita-cantabile.org/2012/01/post_620.html" />
   <id>tag:blog.vita-cantabile.org,2012://1.926</id>
   
   <published>2012-01-29T23:35:53Z</published>
   <updated>2012-01-29T23:46:56Z</updated>
   
   <summary><![CDATA[                       K.KONDO-&quot;Prayer on the seashore&quot; for Bassoon So...]]></summary>
   <author>
      <name>sergei</name>
      <uri>http://vita-cantabile.org/</uri>
   </author>
   
      <category term="クラシック" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
   
   <category term="668" label="ロベルト・ロネス" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
   <category term="669" label="近藤浩平" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
   
   <content type="xhtml" xml:lang="ja" xml:base="http://blog.vita-cantabile.org/">
      <div xmlns="http://www.w3.org/1999/xhtml">
         <div style="text-align:center;">
  
    
    
    
    <a href="http://www.youtube.com/watch?v=FkSiM6DrRYs">K.KONDO-&quot;Prayer on the seashore&quot; for Bassoon Solo. Prayer for Japan 2011. - YouTube</a>
  
</div>

<br />

<p style="margin:0;text-indent:1em;">東日本大震災の犠牲者への追悼や復興への祈りとして発表された音楽作品をこのサイトでいくつか紹介してきたが、今回は<strong>近藤浩平</strong>さんによる「<dfn>海辺の祈り〜震災と原子炉の犠牲者への追悼</dfn>」Op.121を取り上げたい。近藤さんはいち早くこの災害に反応し、昨年4月の時点で本作を発表していた。私も早い段階で聴いて感銘を受け、ここで紹介したいと思っていたのだが、もたもたしているうちにすっかり時間が経過してしまった。しかしこれだけ待った(?)甲斐があって昨年12月に<a href="http://www.kobe-np.co.jp/news/bunka/0004699594.shtml">神戸新聞の記事</a>でこの作品が取り上げられ、作曲の詳しい経緯や背景なども含めて紹介できることになったのは幸いだった。</p>

<p style="margin:0;text-indent:1em;">記事によると震災前からノルウェイのファゴット奏者、<strong>ロベルト・ロネス</strong>さんから作品の委嘱を受けていたのがファゴット独奏のための作品となった理由のようだ。ファゴットの朴訥とした音色で歌われるもの哀しい旋律は、津波に襲われて全てが失われた被災現場に一人呆然と立ち尽くしているかのような寂寥感を醸し出す。福島県を中心に東北地方の民謡を多く聴いてリズム感や節回しを採り入れようとしたとのことで、目に浮かぶ状況は全く絶望的であるにも関わらず、どこか安らぎのような感覚さえもたらされるのは、そのようにして生まれた旋律の懐かしさ、親しみやすさゆえなのだろう。</p>

<p style="margin:0;text-indent:1em;">ここに紹介した動画はもちろん作品を委嘱したロネスさんによる初演である。近藤さんはほかにもいろいろな楽器のための編曲をも手がけ、ご自身の公式サイトで公表されている。特に左手のピアノのための編曲は<em>智内威雄</em>さんによって演奏され、<a href="http://www.youtube.com/watch?v=T_KXToBnhi8">動画</a>も公開されている。智内さんはさらに近藤さんにこれと対になる作品を依頼し、「<em>海辺の雪〜震災と津波の犠牲者への追悼</em>」Op.122が生まれた。こちらも演奏の<a href="http://www.youtube.com/watch?v=Gd481YRXbKU">動画</a>が公開されている。</p>

<p style="margin:0;text-indent:1em;">近藤さんとはTwitterで少しやりとりをさせていただいたこともあるのだが、時代の状況に真摯に向き合いつつ創作をされる方で、そうした姿勢はこの作品が震災だけでなくやがて生じるかも知れない原発事故の犠牲者にも捧げられていることにも表れている。本作はそうした鋭敏な感性が生み出した賜といえるだろう。ぜひ多くの方に、震災の犠牲となった方々の魂や、被災された方々の今なお続く苦しい生活に思いを馳せつつ聴いていただきたい作品である。</p>

<br />

<h4>関連ページ</h4>
<ul>
  <li><a href="http://koheikondo.com/">山の作曲家、近藤浩平</a> (公式サイト)</li>
  <li><a href="https://twitter.com/#!/KondoKohei">山の作曲家 近藤浩平 (kondokohei)  Twitter公式アカウント</a></li>
</ul>
         
      </div>
   </content>
</entry>

<entry>
   <title>南波志帆さん「少女、ふたたび」</title>
   <link rel="alternate" type="text/html" href="http://blog.vita-cantabile.org/2012/01/post_619.html" />
   <id>tag:blog.vita-cantabile.org,2012://1.925</id>
   
   <published>2012-01-27T22:42:27Z</published>
   <updated>2012-01-27T22:42:27Z</updated>
   
   <summary>                       少女、ふたたび / 南波志帆 - YouTube    すっかりブログの更新をサボっていて、これが今年最初のエント...</summary>
   <author>
      <name>sergei</name>
      <uri>http://vita-cantabile.org/</uri>
   </author>
   
      <category term="音楽" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
   
   <category term="667" label="南波志帆" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
   
   <content type="xhtml" xml:lang="ja" xml:base="http://blog.vita-cantabile.org/">
      <div xmlns="http://www.w3.org/1999/xhtml">
         <div style="text-align:center;">
  
    
    
    
    <a href="http://www.youtube.com/watch?v=BMjuPBARGHg">少女、ふたたび / 南波志帆 - YouTube</a>
  
</div>

<br />

<p style="margin:0;text-indent:1em;">すっかりブログの更新をサボっていて、これが今年最初のエントリーになる。今更だけどみなさま本年もよろしくお願いします。</p>

<br />

<p style="margin:0;text-indent:1em;">さて、今年最初のエントリーは最近見つけたお気に入りの歌手の動画から。<strong>南波志帆</strong>さんの「<dfn>少女、ふたたび</dfn>」という歌である。YouTubeの登録チャンネルの更新情報に出ていたので何気なくアクセスしてみたら、透明感のあるさわやかな歌声に、一度聴いただけですっかり魅了されてしまった。</p>

<p style="margin:0;text-indent:1em;">南波志帆さんはその個性的な声によって独自の幻想的な歌世界を作り出している。少女から大人へと移り行く多感な時期の心象風景というのはありふれたテーマではあるが、彼女の歌声には現実と空想の垣根を軽やかに越えるような独特の浮遊感がある。こうした世界観は、<em>原田知世</em>さん、<em>斉藤由貴</em>さん、<em>遊佐未森</em>さんといった歌手たちとも共通するものを感じる(たとえが古い？)が、もちろんそうした歌手たちの単なるコピーには決して終わっていない。</p>

<p style="margin:0;text-indent:1em;">まだ18歳とのことだが、すでにインディーズでデビューしてから3年以上のキャリアがあるらしい。その存在にもう少し早く気づくべきだったかとも思うが、これからいよいよ本格的に活躍していくことになるであろう歌手なので、その過程を見守っていくのが楽しみだ。</p>

<br />

<h4>関連ページ</h4>
<ul>
  <li><a href="http://www.nanbashiho.com/">南波志帆オフィシャルサイト</a></li>
  <li><a href="https://twitter.com/#!/nanba44">南波志帆 (nanba44)  Twitter公式アカウント</a></li>
  <li><a href="http://www.myspace.com/nanba44">南波志帆 公式myspace</a></li>
</ul>
         
      </div>
   </content>
</entry>

<entry>
   <title>グランプリシリーズ 2011 男子シングル</title>
   <link rel="alternate" type="text/html" href="http://blog.vita-cantabile.org/2011/12/post_618.html" />
   <id>tag:blog.vita-cantabile.org,2011://1.924</id>
   
   <published>2011-12-19T01:19:44Z</published>
   <updated>2011-12-19T02:48:44Z</updated>
   
   <summary>男子ではハビエル・フェルナンデス選手の躍進が目についた。昨シーズンまではニコライ・モロゾフコーチが凝った振り付けで彼のよさを生かそうとしているのが感じられたが、...</summary>
   <author>
      <name>sergei</name>
      <uri>http://vita-cantabile.org/</uri>
   </author>
   
      <category term="フィギュアスケート" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
   
   <category term="628" label="ハビエル・フェルナンデス" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
   <category term="666" label="ブランドン・ムロズ" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
   <category term="564" label="羽生結弦" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
   <category term="27" label="高橋大輔" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
   
   <content type="xhtml" xml:lang="ja" xml:base="http://blog.vita-cantabile.org/">
      <div xmlns="http://www.w3.org/1999/xhtml">
         <p style="margin:0;text-indent:1em;">男子では<strong>ハビエル・フェルナンデス</strong>選手の躍進が目についた。昨シーズンまでは<em>ニコライ・モロゾフ</em>コーチが凝った振り付けで彼のよさを生かそうとしているのが感じられたが、今シーズンは<em>ブライアン・オーサー</em>コーチに師事することでスケーティングの技術が全般的に向上し、本格派の演技にかわってきているように見受けられる。そして何といっても二種類の四回転ジャンプは圧巻である。ファイナルでは初の表彰台という成果を手にしたが、これは決して一時の勢いではなく、世界のトップ選手と言われるに相応しい実力をつけてきたとみて間違いないだろう。</p>

<p style="margin:0;text-indent:1em;">シニア2年目の<strong>羽生結弦</strong>選手も進境著しい。<em>ステファン・ランビエール</em>さんに助言を仰いだとのことで、四回転ジャンプはコツをつかんだようでかなり自信を持っているらしい。仙台に拠点を置く彼は震災でしばらくは避難所で過ごしたそうで、今シーズンは被災地にみなさんを勇気づけたいとの思いも込めて競技に臨んでいる。そんな彼を心から頼もしく思う。</p>

<p style="margin:0;text-indent:1em;">ベテラン<strong>高橋大輔</strong>選手の復調も心強い。シーズンオフに膝に埋まっていたボルトを抜く手術をした関係でジャンプの練習は十分に積めなかったようだが、その分フランスでアイスダンサーたちと一緒にスケーティングを練習してきたそうで、元々トップクラスだった音楽表現がさらに豊かなものになった。今シーズンはＳＰ、フリーともに抑揚のない曲を選んでいて、演技中に曲に助けてもらうということがしにくいプログラムなのだが、それでも見ていると曲の世界にぐいぐいと惹き込まれていく。後は四回転ジャンプが戻れば、ということになるが、ＮＨＫ杯フリーの6分間練習中に四回転フリップを降りたのが生涯初の成功とのことで、これからに期待したい。</p>

<p style="margin:0;text-indent:1em;">四回転ジャンプといえば<strong>ブランドン・ムロズ</strong>選手にもふれないわけにはいかない。グランプリシリーズが始まる前のアメリカでの大会で、彼は何と四回転ルッツを成功させ、フィギュアスケートファンを驚かせた。ＮＨＫ杯のＳＰでも、この驚異的な技を見せてくれた。四回転ジャンプといえばこれまでトウループとサルコウしかなかったのだが、技術の進展もついにここまで来たか、と感慨深い。しかしこれほどの技を成功させても成績はさほどでもない、というのがこの競技の奥深いところである。</p>
         
      </div>
   </content>
</entry>

<entry>
   <title>グランプリシリーズ 2011 女子シングル</title>
   <link rel="alternate" type="text/html" href="http://blog.vita-cantabile.org/2011/12/post_617.html" />
   <id>tag:blog.vita-cantabile.org,2011://1.923</id>
   
   <published>2011-12-19T01:08:30Z</published>
   <updated>2011-12-19T03:08:15Z</updated>
   
   <summary>ブログの更新をサボっているうちにグランプリシリーズもファイナルまで終了してしまった。全日本選手権ももう間もなくだがその前にこれまでをざっと振り返ってみる。 今シ...</summary>
   <author>
      <name>sergei</name>
      <uri>http://vita-cantabile.org/</uri>
   </author>
   
      <category term="フィギュアスケート" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
   
   <category term="93" label="アリッサ・シズニー" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
   <category term="665" label="エリザヴェータ・トゥクタムィシェワ" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
   <category term="201" label="カロリーナ・コストナー" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
   <category term="412" label="今井遥" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
   <category term="13" label="浅田真央" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
   <category term="415" label="村上佳菜子" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
   <category term="156" label="鈴木明子" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
   
   <content type="xhtml" xml:lang="ja" xml:base="http://blog.vita-cantabile.org/">
      <div xmlns="http://www.w3.org/1999/xhtml">
         <p style="margin:0;text-indent:1em;">ブログの更新をサボっているうちにグランプリシリーズもファイナルまで終了してしまった。全日本選手権ももう間もなくだがその前にこれまでをざっと振り返ってみる。</p>

<br />

<p style="margin:0;text-indent:1em;">今シーズン目を引くのは、まず何といっても<strong>鈴木明子</strong>さんの活躍だと思う。ＮＨＫ杯では競技生活で初めてトリプルトウループ&#8212;トリプルトウループのコンビネーションを成功させ、ファイナルでは成功はしなかったもののトリプルフリップ&#8212;トリプルトウループという高何度の技に挑戦した。6分間練習ではこのコンビネーションを成功させている様子も確認することができた。フィギュアスケート界ではもうベテランと呼ばれる年齢の鈴木さんがジャンプの難度を上げるというのは実に驚異的なことだ。適切な比喩かどうかわからないけど、野球でいうなら30歳を過ぎたピッチャーが球速を増した、というのに近いだろう。昨シーズンの世界選手権出場を逃した悔しさをばねに、これまでになく意欲的に練習に打ち込んできた結果がこの躍進につながっているようだ。ファイナルでは自己最高の2位という成果を得たが、PCSでもかなり高い点をもらえるようになってきているので、シーズン後半に向けてもさらに期待が高まるところである。</p>

<p style="margin:0;text-indent:1em;">プログラムはＳＰ、フリーとも魅力的だが、ＳＰの「ハンガリー狂詩曲」でアクセルの前のつなぎの部分で小走りに駆けるようなところは<em>長久保裕</em>コーチのアイディアなのだそうだ。ここは「豊の部屋」で<em>太田由希奈</em>さんが好きだと仰っていたところだが私もお気に入りで、鈴木さんのコーチを長年務めてきた方だけあって、さすがに彼女の魅力をよく知り抜いてらっしゃるな、と思う。</p>

<br />

<p style="margin:0;text-indent:1em;"><strong>浅田真央</strong>ちゃんはトリプルアクセルに過剰にこだわらなくなったのが目を引く。元々真央ちゃんは決してジャンプだけの選手ではないので、状況に応じてアクセルをトリプルとダブルで使い分けるようにするばより安定した成績が残せるようになるだろう。</p>

<p style="margin:0;text-indent:1em;">しかしファイナルを直前にしてお母さんが亡くなったのは実に悼ましいことだった。親を亡くすのは誰にとっても辛いことだが、真央ちゃんはまだ21歳。しかもフィギュアスケートが家族の献身的な支援がなくては成り立ちにくい競技であることを思えばなおさらである。競技生活の支えとしてなくてはならない人だっただけでなく、一人の女性としてもお母さんとの関わりを通して学びたいこともまだまだたくさんあったに違いない。しかし真央ちゃんのことだからきっとこの悲しみも乗り越えて、また力強く復活を遂げてくれることと思う。</p>

<p style="margin:0;text-indent:1em;">ＳＰの「シェエラザード」は音楽のアレンジがあまりに凝り過ぎていて今一つのることができない。原曲がこれ以上は望むべくもないほどファンタジーに満ち溢れているのだから、余計な装飾を施したりややこしい変奏をしてみたからといってより豊かなイマジネーションがかき立てられるということもないと思うのだが。しかしスタイルのいい真央ちゃんにはパンツルックもよく似合うということがわかったのはこのプログラムの収穫だった。本当はもう少し肉付きがいい方がアスリートとしても健康のためにもいいのだろうけど。昨シーズンの世界選手権の際のあまりの激やせぶりも含めて、このあたりはお母さんの闘病とも関係があるのかも知れない。</p>

<p style="margin:0;text-indent:1em;">フリーの「愛の夢」は昨シーズンからの持ち越しだが、素晴らしいプログラムに仕上がってきているのを感じる。真央ちゃんもいろんなタイプのプログラムをこなしてきたが、真の真央ちゃんらしさとはこういう方向に定義づけられていくべきなんだろうな、と思わせるものがある。今後の大会でより完成度の高いものを見せてもらえるのを楽しみに待ちたい。</p>

<br />

<p style="margin:0;text-indent:1em;">ファイナルを制したのは<strong>カロリーナ・コストナー</strong>さんだった。もう長いこと世界の一線で活躍している彼女だが、ヨーロッパ選手権では3度の栄冠に輝いているものの、世界規模の大会では意外にもこれが初めての優勝になる。好不調の波が激しい選手だが、今シーズンは安定して実力が発揮できている。怪我をした昨シーズン以来ルッツをプログラムから外しているが、それを補ってあまりあるだけのスケーティング技術の持ち主なので、他のジャンプが安定すればライバルたちにとって脅威になるだろう。真央ちゃんのお母さんの訃報を聞かされた時は絶句して涙をこぼしたという心やさしい一面も持つカロリーナ。これからもこの調子で活躍して欲しい。</p>

<br />

<p style="margin:0;text-indent:1em;">今シーズンのグランプリシリーズで旋風を巻き起こしたのがシニア初挑戦の<strong>エリザヴェータ・トゥクタムィシェワ</strong>さん。グランプリシリーズ初参戦で優勝は史上初の快挙で、しかも第2戦でも優勝してしまうという快進撃だった。ファイナルではＳＰでつまづいてふるわなかったが、トリプルルッツ&#8212;トリプルトウループを軽々と決めてしまうジャンプの能力は他のお姉さん選手たちにとって脅威である。練習ではトリプルアクセルも成功させており、今後の成長には目が離せない。彼女も今年4月にお父さんを亡くしていて、ＳＰの黒い衣装はお父さんへの哀悼の意を表したものだそうなのだが、そんな悲しみにも耐えて競技に打ち込んでいる彼女に温かい声援をおくりたい。</p>

<br />

<p style="margin:0;text-indent:1em;">昨シーズンのグランプリファイナルの覇者、<strong>アリッサ・シズニー</strong>さんは引き続き安定した演技でファイナル進出を果たしたが、そのファイナルでは足首の怪我があったそうで思うような演技ができなかったのが惜しまれる。しかし彼女も鈴木さんと同様トリプル&#8212;トリプルのコンビネーションに取り組んでいるので、その成果が表れるのが楽しみである。</p>

<p style="margin:0;text-indent:1em;">そのシズニーさんと同じく<em>佐藤有香</em>夫妻の元で練習している<strong>今井遥</strong>さんはシーズンオフに足を怪我してジャンプの練習が十分にできなかったそうで、本来の力を十分に発揮できなかったのが惜しまれる。しかし有香さん夫妻の指導でスケーティング技術に磨きがかかり、シズニーさんという素晴らしいお手本を間近に見ることでスピンが上達していることでもあり、今後の活躍が楽しみである。独特のはにかんだような笑顔がとても魅力的な選手で、いつもキス＆クライで両手でハートマークを作ってくれるのを見る度にハートをきゅんと撃ち抜かれてしまう。</p>

<p style="margin:0;text-indent:1em;">笑顔がかわいいといえば忘れてならないのが<strong>村上佳菜子</strong>ちゃん。今シーズンは新調した靴が合わないとかで苦しんでいて、なかなかいつもの輝くような笑顔が見られなかった。これまで順調にキャリアを重ねてきた彼女だが、苦手なループをＳＰとフリーの両方に採り入れるなど、<em>山田満知子</em>コーチは将来を見据えて敢えて険しい道程を歩ませようとしているようだ。佳菜子ちゃんならきっとそんな親心に応えて、また一回り大きく成長してくれるだろう。</p>

<br />

<p style="margin:0;text-indent:1em;">なお、グランプリシリーズの各大会は今シーズンからエントリーする選手の数と基準が変更されて、以前よりも出場が厳しい門になっている。そのために出場選手の顔ぶれが例年より限られた人数になっていて、<em>クヮク・ミンジョン</em>さんとか<em>アマンダ・ドブズ</em>さんといった私のお気に入りの選手が出場していないのはおそらくそのせいなのだろう。しかしこういった実力ではトップ選手にまだ一歩及ばない選手たちにとっても、グランプリシリーズのような大きな大会への出場は得難い成長の機会なので、門戸はなるべく広く開いておいた方がいいのではないか。今回の変更がどういう趣旨で行われたのかよく知らないのだが、この点は改善した方がいいように思う。</p>
         
      </div>
   </content>
</entry>

<entry>
   <title><![CDATA[「Fall in love with you &mdash;恋に落ちて&mdash;」]]></title>
   <link rel="alternate" type="text/html" href="http://blog.vita-cantabile.org/2011/11/post_616.html" />
   <id>tag:blog.vita-cantabile.org,2011://1.918</id>
   
   <published>2011-11-06T04:38:00Z</published>
   <updated>2011-11-23T17:06:04Z</updated>
   
   <summary>作詞：岩谷時子 作曲：楠瀬誠志郎 編曲：武部聡志 コーラスアレンジ：楠瀬誠志郎 アルバム「晴れ ときどき くもり」(1995.06.25)所収。現行のＣＤではア...</summary>
   <author>
      <name>sergei</name>
      <uri>http://vita-cantabile.org/</uri>
   </author>
   
      <category term="本田美奈子さん" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
   
   <category term="550" label="楠瀬誠志郎" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
   
   <content type="xhtml" xml:lang="ja" xml:base="http://blog.vita-cantabile.org/">
      <div xmlns="http://www.w3.org/1999/xhtml">
         <div style="margin-left:20px;">作詞：岩谷時子 作曲：楠瀬誠志郎 編曲：武部聡志 コーラスアレンジ：楠瀬誠志郎</div>
<div style="margin-left:20px;font-size:80%;">アルバム「晴れ ときどき くもり」(1995.06.25)所収。現行のＣＤではアルバム「<a href="http://apf.vita-cantabile.org/apf4.cgi?Operation=ItemLookup&amp;ItemId=B00092QRS8">LIFE〜本田美奈子．プレミアムベスト〜</a>」UMCK-9115(2005.5.21)に収録されている。</div>

<br />

<p style="margin:0;text-indent:1em;"><strong>本田美奈子</strong>さんはアルバム「<strong>晴れ ときどき くもり</strong>」で数々のミュージシャンとの親密なコラボレーションを行っているが、その中に<strong>楠瀬誠志郎</strong>さん提供の楽曲が二曲ある。一つは美奈子さん自ら作詞した「幸せ届きますように。」で、以前<a href="http://vita-cantabile.org/minako/shiawase.html">感想を述べた</a>ように、美奈子さんの無垢で純粋な心が伝わる愛らしい作品である。もう一曲が楠瀬さんとデュエットした「<dfn>Fall in love with you &#8212;恋に落ちて&#8212;</dfn>」である。</p>

<br />

<p style="margin:0;text-indent:1em;">民放の公開お見合い番組のエンディング・テーマだったらしく、内容もそれに相応しい、熱く甘い愛の二重唱である。作詞は美奈子さんの恩師、<strong>岩谷時子</strong>さんで、一世を風靡した「<em>君といつまでも</em>」のような名曲を手がけてきた岩谷さんにとって、こうしたラヴ・ソングはお手のものだったろう。聴いていて少し気恥ずかしくなるような純粋な愛の世界は、1991年放送のテレビドラマ『101回目のプロポーズ』に端を発する純愛ブームの余韻でもあったかも知れない。サビの部分の歌詞などは<em>佐良直美</em>さんのヒット曲「<em>世界は二人のために</em>」を彷彿とさせるものがある。こうした大仰な表現が少し時代がかって感じられるのは、「地球が消えても」とか「空が裂けても」といった譬えが、現在ではシャレではすまなくなってきているせいもあるだろうか。</p>

<p style="margin:0;text-indent:1em;">しかしそうはいってもこうした純粋で美しい愛の世界は時代を超えた普遍的なテーマであり、聴く者の心にみずみずしい感動をもたらしてくれる。ことさらに凝った表現を用いることもなく、平易な言葉遣いのうちに甘酸っぱい感傷を聴き手の胸に呼び起こす詞の世界は、さすがに熟練の作詞家の手になる作品と感服するほかない。</p>

<br />

<p style="margin:0;text-indent:1em;">美奈子さんの歌唱はいつも通り可憐で、サビの部分でのドラマティックな表現にも本領が発揮されている。&quot;二人の&quot;の&quot;り&quot;の子音の発音が日本語として少し不自然になっているところがあるのは、おそらく英語の発音を学んだ副作用かと思われる。</p>

<p style="margin:0;text-indent:1em;">楠瀬さんも繊細な情感とドラマティックな抑揚を兼ね備えた歌唱が素晴らしい。男性歌手があれだけ高い音域を歌いながら、少しも苦しそうなところを見せずに聴き手の心をやさしく包み込むようなマイルドな声を響かせているのは、実に稀有なことだと思う。収録の際は手をつないで歌っていたそうで、それだけに美奈子さんとの息もぴったりと合っている。そんなエピソードに些か嫉妬も覚えたりもするが、逆に楠瀬さんの歌うパートの男性に感情移入して聴くという楽しみもあるわけだ。</p>

<br />

<p style="margin:0;text-indent:1em;">早いもので、今日は美奈子さんの七回忌に当たる。この機会に私も、この歌の男性主人公になりきって、美奈子さんへの永遠の愛を誓うことにしたい。「太陽が蒼ざめ 月が燃えても」美奈子さんの残した音楽は不滅だと信じながら…。</p>

<br />

<h4>おことわり</h4>
<p style="margin:0;text-indent:1em;">2006年5月から月命日に合わせて続けてきた連載ですが、今回の投稿を以て一つの区切りとすることにします。長らくご愛読いただきましてありがとうございました。月一回のペースでの連載はこれを最後にしますが、もちろん今後も折にふれ美奈子さんの音楽について語っていくつもりです。</p>

<div class="affiliate">
  
</div>
         
      </div>
   </content>
</entry>

<entry>
   <title>フィードについてなど</title>
   <link rel="alternate" type="text/html" href="http://blog.vita-cantabile.org/2011/10/post_615.html" />
   <id>tag:blog.vita-cantabile.org,2011://1.916</id>
   
   <published>2011-10-12T21:33:09Z</published>
   <updated>2011-10-14T00:20:56Z</updated>
   
   <summary>特にこれといった理由があるわけでもないのだが、このところネットでの活動が低調になってしまっている。書きたい、もしくは書くべき話題もそれなりにあるのだが、まずは取...</summary>
   <author>
      <name>sergei</name>
      <uri>http://vita-cantabile.org/</uri>
   </author>
   
      <category term="雑感" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
   
   
   <content type="xhtml" xml:lang="ja" xml:base="http://blog.vita-cantabile.org/">
      <div xmlns="http://www.w3.org/1999/xhtml">
         <p style="margin:0;text-indent:1em;">特にこれといった理由があるわけでもないのだが、このところネットでの活動が低調になってしまっている。書きたい、もしくは書くべき話題もそれなりにあるのだが、まずは取り敢えずちょっとした連絡事項について。といっても全く大した用件ではないのだが。</p>

<br />

<p style="margin:0;text-indent:1em;">私はこれまでフィードリーダーとして<a href="http://www.freshreader.com/ver2/ja/">フレッシュリーダー</a>というサーバ設置型のソフトを利用していたのだが、メーラーとして使っている<a href="http://mozilla.jp/thunderbird/">Thunderbird</a>をフィードを購読するのにも使ってみることにした(誰でも自由に閲覧できるサイトを&quot;購読&quot;というのはおかしいと思うのだが、今は取り敢えず慣用に従っておく)。これも特に理由があるわけでもなく、ただ何となく気分で変更してみたに過ぎないのだが、まあとにかくいくつか不満な点もあるがそれなりに快適なのでしばらくはこのまま利用してみようと思っている。</p>

<p style="margin:0;text-indent:1em;">それに伴って、サイトにアクセスする際のサーバへのリクエストがいくつかの項目で変更されることになる。もしこれまでアクセス解析のリファラ情報を見て私がサイトを閲覧しに来ていることを確認していたブロガーさんがおられたら、今後はそういう方法では確認できなくなるが、こういった事情なのでご諒承をいただきたい。</p>

<br />

<p style="margin:0;text-indent:1em;">ついでなので、このブログで配信しているフィードの設定も見直してみた。ブログで配信するフィードにエントリーの全文を掲載するべきか概要のみとするべきかというのは両論あって結論は出ていないようだが、私自身はどちらかというと概要派で、このブログでも概要のみで配信していた(利用しているブログツール <a href="http://www.movabletype.jp/">Movable Type</a> のデフォルト設定では全文配信になっているのだが、テンプレートをそのように修正していた)。</p>

<p style="margin:0;text-indent:1em;">私は基本的にはフィードというのはサイトが更新されたことを通知するためのもので、それ自体を読むためのものではないと思っている。フィードリーダーで全文を読めた方が便利だというのが全文配信派の言い分のようだが、記事が読みたいと思ったらそのサイトを訪問して、カウンターの数字を一つ繰り上げたりアクセス解析に足跡を残したりするのが作成者に対する最低限の礼節ではないかと思う。</p>

<p style="margin:0;text-indent:1em;">ただ、これまではフィードの更新を確認するのもページを閲覧するのも同じブラウザでやっていたから気にならなかったのだが、フィードリーダーとして別のソフト を使うようにしてみると、わざわざブラウザを立ち上げなくても全文を読めるというのは確かにそれなりの便利さがあるとも思うようになった(Thunderbirdの場合は内蔵のブラウザでページを表示させることもできるのだが)。</p>

<br />

<p style="margin:0;text-indent:1em;">このブログではAtom1.0とRSS2.0という2種類の規格でフィードを配信しているのだが、あらためてこの規格について調べてみた。Atom1.0にはsummaryとcontentという、要約と内容とをそれぞれ記載するための要素が定義されているのに対し、RSS2.0は(デフォルトでは)descriptionという要素しかない。ここに全文を記載するのはやや不自然なようだ。</p>

<p style="margin:0;text-indent:1em;">そこで、せっかく2種類を配信しているのだから、利用する人が好みに応じて選べるようにしてみた。<a href="http://blog.vita-cantabile.org/atom.xml">Atom</a>では全文を配信し、<a href="http://blog.vita-cantabile.org/index.xml">RSS</a>では冒頭の第一段落のみを配信することにする。Atomの規格の制定に携わった方による<a href="http://www.kanzaki.com/docs/sw/atom.html">解説</a>でも、

<q class="block" cite="http://www.kanzaki.com/docs/sw/atom.html">RSSはサイトの要約や見出しを配信するフォーマットとして成長してきましたが、ウェブログなどの普及で、コンテンツそのものを配信するニーズが高まっています。</q>

というのがAtomが制定された理由のようなので、この考え方で間違っていないと思う。</p>

<br />

<p style="margin:0;text-indent:1em;">こういう次第なので、フィードを登録してこのブログを閲覧して下さっている方は、必要であればお好みに合わせて登録し直していただければ、と思う。今後また気が変わって別のやり方にしないとも保証できないが、当面はこのままでいくつもりでいる。あと、ついでにいろいろと細かい設定もちょこちょこといじっているので、場合によっては一時的におかしな表示になったりすることもあるかも知れないが、どうかお許しをいただきたい。</p>

<p style="margin:0;text-indent:1em;">「フィードって何？」という方は取り敢えず<a href="http://www.google.com/support/feedburner/bin/answer.py?answer=79408">このあたり</a>でも。</p>
         
      </div>
   </content>
</entry>

<entry>
   <title>「ニュー・シネマ・パラダイス」</title>
   <link rel="alternate" type="text/html" href="http://blog.vita-cantabile.org/2011/10/post_614.html" />
   <id>tag:blog.vita-cantabile.org,2011://1.915</id>
   
   <published>2011-10-06T04:38:00Z</published>
   <updated>2011-11-23T16:59:49Z</updated>
   
   <summary>作詞：森寧子 作曲：エンニオ・モリコーネ 編曲：井上鑑 アルバム「AVE MARIA」COCQ-83633(2003.05.21)所収。ベスト・アルバム「クラシ...</summary>
   <author>
      <name>sergei</name>
      <uri>http://vita-cantabile.org/</uri>
   </author>
   
      <category term="本田美奈子さん" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
   
   
   <content type="xhtml" xml:lang="ja" xml:base="http://blog.vita-cantabile.org/">
      <div xmlns="http://www.w3.org/1999/xhtml">
         <div style="margin-left:20px;">作詞：森寧子 作曲：エンニオ・モリコーネ 編曲：井上鑑</div>
<div style="margin-left:20px;font-size:80%;">アルバム「<a href="http://apf.vita-cantabile.org/apf4.cgi?Operation=ItemLookup&amp;ItemId=B00008Z6RW">AVE MARIA</a>」COCQ-83633(2003.05.21)所収。ベスト・アルバム「<a href="http://apf.vita-cantabile.org/apf4.cgi?Operation=ItemLookup&amp;ItemId=B000NOISDY">クラシカル・ベスト〜天に響く歌〜</a>」COZQ-255,6(2007.04.20)にも収録されている。</div>

<br />

<p style="margin:0;text-indent:1em;"><strong>本田美奈子</strong>さんはソプラノ・アルバムの中で映画音楽の名曲をいくつか歌っている。その一つが<strong>エンニオ・モリコーネ</strong>さんによる旋律に詞をつけて歌った「<dfn>ニュー・シネマ・パラダイス</dfn>」である。モリコーネさんはいわずと知れた映画音楽の第一人者で、その作品は広く親しまれ、もはや映画音楽という枠を越えて受容されている感がある。この「ニュー・シネマ・パラダイス」も、私は映画は未見なのだが、この印象的なテーマ曲はいろんな機会に聴いて耳になじんでいる。</p>

<p style="margin:0;text-indent:1em;">新たにクラシカル・クロスオーヴァーの分野に足を踏み入れようとする美奈子さんがこの曲を取り上げたのも、自然な成り行きだったといっていいだろう。編曲はもちろんいつもの<strong>井上鑑</strong>さんで、自身のピアノに加えヴァイオリンとチェロとクラリネットをフィーチャーしている。特に<strong>十亀正司</strong>さんの吹くクラリネットの朴訥とした音色がこの曲の情趣を深めている。</p>

<p style="margin:0;text-indent:1em;">作詞は&quot;森寧子&quot;とクレジットされているが、これは<strong>岩谷時子</strong>さんが&quot;モリコーネ&quot;をもじってつけたペンネームなのだそうだ。どうしてこの曲に限ってこういう茶目っ気を起こしたのかはよくわからないが、稀代の作詞家がこういういたずら心の持ち主でもあるというのは興味深いことである。映画のストーリーはよく知らないのだが、この作品は映画という表現ジャンルそのものへのオマージュと考えていいのだろう。岩谷さんはそうした作品の性格を的確にとらえ、映画と人生についての感慨を語った詞に仕上げている。さすがに熟練の仕事、というべき見事な出来映えである。</p>

<p style="margin:0;text-indent:1em;">この曲は私の印象ではなだらかなメロディーがさらさらと流れて聴く人の感情に静かなさざ波を立てさせるといった趣きだと受け取っていたのだが、美奈子さんの歌唱は後半に力強い盛り上がりを見せていて、ドラマティックな起伏を形作っている。こういうところに美奈子さんの音楽性がよく表れているような気がする。</p>

<p style="margin:0;text-indent:1em;">美奈子さんの歩んでいた方向性から考えて、もしもう少し長く活動することができていれば、数多あるモリコーネさんによる名旋律の中から他の楽曲を取り上げる機会もきっとあったことだろう。憧れていた<em>サラ・ブライトマン</em>さんも歌った「<em>ネッラ・ファンタジア</em>」や「<em>ラ・カリファ</em>」なども、ぜひ美奈子さんの歌声で聴いてみたかった。しかし今となっては、遺されたこの音源からそうした可能性を夢想するよりほかはない。</p>

<div class="affiliate">
  
  
</div>
         
      </div>
   </content>
</entry>

<entry>
   <title>「踊りあかそう」</title>
   <link rel="alternate" type="text/html" href="http://blog.vita-cantabile.org/2011/09/post_613.html" />
   <id>tag:blog.vita-cantabile.org,2011://1.912</id>
   
   <published>2011-09-06T04:38:00Z</published>
   <updated>2011-09-25T18:29:10Z</updated>
   
   <summary>日本語詞：岩谷時子 作詞：アラン・ジェイ・ラーナー 作曲：フレデリック・ロウ 編曲：井上鑑 アルバム「心を込めて…」COCQ-84139(2006.04.20)...</summary>
   <author>
      <name>sergei</name>
      <uri>http://vita-cantabile.org/</uri>
   </author>
   
      <category term="本田美奈子さん" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
   
   
   <content type="xhtml" xml:lang="ja" xml:base="http://blog.vita-cantabile.org/">
      <div xmlns="http://www.w3.org/1999/xhtml">
         <div style="margin-left:20px;">日本語詞：岩谷時子 作詞：アラン・ジェイ・ラーナー 作曲：フレデリック・ロウ 編曲：井上鑑</div>
<div style="margin-left:20px;font-size:80%;">アルバム「<a href="http://apf.vita-cantabile.org/apf4.cgi?Operation=ItemLookup&amp;ItemId=B000EOTGDE">心を込めて…</a>」COCQ-84139(2006.04.20)所収。</div>

<br />

<p style="margin:0;text-indent:1em;"><strong>本田美奈子</strong>さんはデビュー20周年となる2005年を迎えるに当たり、その記念となるミュージカル・アルバムの制作の準備を進めていた。その矢先に白血病に罹患していることが判明してこのアルバムは幻となってしまったのだが、その中でも録音の完成にこぎつけていた貴重なトラックの一つが『<strong>マイ・フェア・レディ</strong>』のナンバー、「<dfn>踊りあかそう</dfn>」である。</p>

<p style="margin:0;text-indent:1em;">『マイ・フェア・レディ』は周知の通り、ロンドン下町の花売り娘イライザが言語学者ヒギンズ教授によってコックニーと呼ばれる下町特有の訛りを矯正され、淑女へと変身していく物語である。タイトルはコックニーでは&quot;Mayfair&quot;という地名が&quot;my fair&quot;と同じ発音になることをもじっている。このミュージカルは<strong>ジョージ・バーナード・ショー</strong>の戯曲、『<strong>ピグマリオン</strong>』を原作としている。この作品の筋立ての背景を理解するためには、イギリスの言語と社会をめぐる事情についての知識が不可欠となる。</p>

<p style="margin:0;text-indent:1em;">イギリスでは英語のほかにウェールズ、スコットランド、北アイルランドの各地でケルト系の言語が話されているが、英語だけに限っても多様な方言が存在する。話す言葉のイントネーションから、その人の出身地域と階級がおおよそわかるともいわれている。しかし地域のことはともかく、話す言葉から階級が判別してしまうというのは、この国の言語の多様性がもたらす、いささか困った側面である。</p>

<p style="margin:0;text-indent:1em;">方言というと私たちはまず地域方言のことを念頭に浮かべがちだが、話者の社会階層に依存する社会方言も、見落としてはならない重要な要素である。イギリスが階級社会であることはよく知られているが、そのことは言語事情にもそのまま反映されているのである。社会主義者のバーナード・ショーは、このような言語の差異をなくしてしまえば階級のない平等な社会が実現できるのではないかと考え、この戯曲を構想したといわれている。</p>

<p style="margin:0;text-indent:1em;">しかし、平等な社会への志向そのものはともかく、人が生まれ育った環境で自然に習得した言語を言語学者によって&quot;矯正&quot;されたものに置き換えることによって画一的な平等を実現しようと考えるのは、あまりにも安直に過ぎる。文化の多様性の価値がショーの活躍した当時より遥かに尊重されている現在では、この構想はそのままでは支持され得ないだろう。日本でもかつて全国で行われた方言撲滅運動の愚劣さを思い浮かべる時、その思いをさらに強くする。</p>

<p style="margin:0;text-indent:1em;">皮肉屋のショーはそれでもさすがにこの劇をハッピーエンドで締め括るのは自身の美学が許さないと思い定めたのだろう、最後はイライザがヒギンズ教授の元を去ってフレディと結婚する結末になっている。それがミュージカルではイライザとヒギンズが結ばれることを示唆する結末に書き換えられているのは、あまりに身も蓋もないという気がしなくもない。</p>

<br />

<p style="margin:0;text-indent:1em;">いろいろと小難しいことを書き並べてしまったが、この「踊りあかそう」はそうした理屈は抜きで純粋に楽しめるチャーミングなナンバーである。美奈子さんは『マイ・フェア・レディ』に出演したことはなかったが、コンサートではこのナンバーを好んで採り入れていたという。「<em>命をあげよう</em>」にしても「<em>オン・マイ・オウン</em>」にしても、美奈子さんのレパートリーには聴き手に緊張を強いるような悲壮感ただようナンバーが多いので、こういう誰でも気楽に楽しめる曲が間奏曲的な意味合いで必要だったという面もあったのかも知れない。</p>

<p style="margin:0;text-indent:1em;">このスタジオ録音でも、美奈子さんはいかにも楽しそうにのびのびとその美声を響かせている。こうした海外のミュージカル・ナンバーでも微妙なルバートやこぶし回しを駆使して粘っこく歌っているのがまた何とも美奈子さんらしいところである。編曲はいつもの<strong>井上鑑</strong>さんで、<strong>大石真理恵</strong>さんのマリンバを中心に打楽器を配した伴奏が心浮き立つような気分をいやが上にも盛り立てている。美奈子さんの最後のスタジオ録音の一つということで(もう一つは『<em>十二夜</em>』の「<em>ララバイ</em>」)実に貴重な記録でもあり、美奈子さんと一緒に朝まで踊りあかすような気分で大切に聴いていきたいナンバーである。</p>

<div class="affiliate">
  
</div>
         
      </div>
   </content>
</entry>

</feed>

