幸田浩子さん エクソンモービル音楽賞奨励賞を受賞

2008年8月 7日

このブログではおなじみのソプラノ歌手、幸田浩子さんが2008年度のエクソンモービル音楽賞奨励賞を受賞した。この素晴らしい才能がまたさらなる栄誉に輝いたことになる。

受賞理由には以下のように記されている。

安定した発声とテクニック、磨きぬかれた美声、とりわけコロラトゥーラの見事さは群を抜き、…超絶技巧を要する高音を音楽性豊かに歌いこなす。

第38回エクソンモービル音楽賞洋楽部門奨励賞 幸田浩子

私が思うに彼女の素晴らしさは声に独特の潤いがあり、コロラトゥーラ風の技巧的なパッセージでも歌に豊かな表情があるところなのだけど、まさにそういった点が評価されての受賞だったようで私としてもうれしくなる。

ついでにいうと私ならあの素晴らしい美貌もぜひ受賞理由に加えたいのだが…。いや、それはともかくこの美しい歌姫に心から「おめでとう」と伝えたい。

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西本智実さん「新世界」ツアー最終公演

2008年7月11日

以前にも述べたことがあるがうちの近所の女子大では学生のための教養講座の一環としてクラシック音楽のコンサートが定期的に開催されている。このコンサートは外部の関係者にも招待券が配られるのだけど、今回家族の知人のご好意により招待券をいただいて今月1日のコンサートを鑑賞することができた。演奏は何と西本智実指揮モンテカルロ・フィルハーモニー管弦楽団!

この招待券はいつも演目など細かいことは記されていないのが通例で、今回もビゼーの『カルメン』第1組曲ほかとしか書いてなかったのだけど、この組み合わせでこのタイミングということはドヴォルザークの「新世界より」を演奏してくれるのはほぼ確実なので喜び勇んで聴きに行ってきた。

会場に着いてもらったパンフレットを確認するとドヴォルザークは予想通りだったが関本昌平さんのピアノでショパンのピアノ協奏曲第1番も聴くことができるとわかりさらに感激した。関本さんのことは券に名前の記載がなかったのでさすがにソリストの都合はつかなかったのだろうと思っていたのだが、結局ツアーで回っていたのと全く同じ構成のコンサートをしてくれるわけだ。

招待券の葉書と引き替えにもらった入場券の席を確認すると1階中央のかなり前の方だった。背もたれのない補助席は快適ではないが、音楽を鑑賞するのには好適な位置だった。

初めにコンサート・マスターのダヴィッドさんという方のご挨拶があったのだけど、このコンサートは今回のツアーの最終公演で、翌日にはもうオーケストラ一団は日本を離れるとのことだった。まさにぎりぎりのタイミングでこの演奏に接することのできる僥倖を思わずにはいられなかった。


ジョルジュ・ビゼー:『カルメン』第1組曲(編曲:フリッツ・ホフマン)

『カルメン』の前奏曲は以前西本さんが『誰でもピカソ』に出演した時に演奏してみせた曲で、ビートたけしさんがオーケストラのメンバーに交じってシンバルを叩いていたのを懐かしく思い出した。彼女にとってこの組曲は得意のレパートリーなのだろう。きびきびとした活気のある箇所としっとりと歌う部分との対照が明確な演奏で楽しく聴くことができた。


フレデリック・ショパン:ピアノ協奏曲第1番 ホ短調 Op.11

関本昌平さんは2005年のショパン・コンクールで4位に入賞した期待の若手ビアニスト。私はTV等でも演奏を聴いたことがなかったのでどんな演奏をする人なのかと楽しみに聴いた。実際に聴いてみた感想は…、とても端正な演奏で落ち着いて聴くことができたが、聴く人の心に訴えかけるような訴求力にやや欠けているような気がした。ショパンの音楽の世界を忠実に再現してはいたが、聴いていて彼自身の自己主張のようなものを感じることがほとんどなかった。わざとらしく楽譜から逸脱することが優れた感情表現というわけでは決してないと思うが、ソリストとして活動していく上ではもう少しはっきりとした個性を確立していく必要があるのではないかと思う。

ソプラノで音が玉を転がすようにころころと鳴って欲しいところで微妙にテクニックの切れが甘いように感じられるのももったいないところである。バスの音色が今一つきれいに響かないのも気になったが、これは楽器や会場の音響のせいもあったかも知れない。それはともかく将来を嘱望される素晴らしい才能であることは間違いないので今後の飛躍に期待したいと思う。


アントニン・ドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界より」 ホ短調 Op.95 B.178

西本智実さんの演奏は2002年に録音されたチャイコフスキーのバレエ音楽のCDを持っているのだが、それを聴いた限りではロシア音楽らしい迫力を出そうという意欲は感じられるものの音響が十分に整理されておらず全体にやや雑駁な演奏という印象を受けていた。しかし今回あらためて聴いてみるときりりと引き締まった隙のない演奏になっているのを感じた。それはこの6年の間に遂げた彼女の飛躍を表しているのかも知れない。

ダイナミクスを大きくとろうとする意欲は相変わらずで、特に第2楽章の中間部から再現部に移る部分の強奏をあれほど力一杯演奏することは普通はあまりないのではないかと思う。金管の音色の突出具合にもやはりサンクト・ペテルブルク仕込みの音楽なのだと思わせるものがあった。

フィナーレなどはそういった彼女の芸風が特に生きる音楽で、二つの主題が作り出す音のドラマにめくるめく興奮をかき立てられた。それにしても45分の過ぎるのが早かったこと! フィナーレのコーダを聴きながら「ああ、もう終わってしまうのか」という感慨を禁じ得なかった。

彼女に関してはこのことにもふれておかないわけにはいかないだろう。指揮をする後ろ姿のシルエットがとにかくカッコいい。おそらく特注品と思われる女性用燕尾服を着こなす姿が異様なまでにさまになっている。現在の彼女の人気の高まりの理由が、直接目にしたことでますますはっきりと理解できたような気がした。

大きな身振りで特に左手を激しく振りながらオーケストラを巧みにのせているのがよくわかる。モンテカルロ・フィルハーモニー管弦楽団とは良好な関係を築けているようで、そのことは最初のコンサート・マスターの挨拶や終演後にパートごとにメンバーを起立させて称賛を与えている様子からも窺うことができた。


ジョルジュ・ビゼー:「ファランドール」〜『アルルの女』第2組曲(編曲:エルネスト・ギロー)より

アンコールも通常のツアーと同じく「ファランドール」を聴かせてくれた。冒頭の荘重なテーマとその後の活気のある舞曲との対比が印象的なこの曲もやはり西本さんの芸風にぴったりとはまる作品で楽しく聴けた。オーケストラのメンバーもこれが最後ということもあってリラックスして演奏していたようだった。



ロシアを拠点に活躍している日本人の女性指揮者がいるということが評判になりはじめたのは、ちょうど私がラフマニノフの声楽作品に親しむうちにどうしてもロシア語を学んでみたくなって独習を開始した頃のことだった。教育テレビの『ロシア語会話』でも話題の人としてインタビューが放送され、瞠目しつつ画面を見つめていたのを思い出す。

留学した当初は言葉は全くわからなかったそうで、まずはオペラや歌曲の歌詞から覚えていったという。そのために時代がかった表現を使ってしまっておもしろがられたこともあったそうだ。しかし何もわからない状態でいきなり現地に飛び込んでいくというのは意気地なしの私にはとても思いつかないことで、その豪胆な度胸には羨望を覚えたものだった。


あの当時はまだ知る人ぞ知るといった存在でしかなかったように思うが、それから瞬く間に活躍の場を広げ、気がついたらすっかり人気スターになっていた。その端正で凛々しい風貌からちょうど宝塚歌劇の男役に憧れるのと同じような感覚でファンになった方も多いようだ。一昨年の「ジーズニ」補筆完成版の上演は玄人筋には評判が悪かったようだが、クラシック音楽の新たなファン層を開拓した功績は絶大なものがある。

女性の進出がまだ極めて限られている指揮者という分野で颯爽と活躍する彼女の姿は多くの女性にとって励みになっていることだろう。この日の演奏に接した学生さんたちにも素晴らしい刺激となったに違いない。上述のような経緯から私にとって西本さんは音楽家というよりも“ロシア語が話せる羨ましい人”という意識が強かったのだが、今回こうして彼女の音楽にふれる機会を得たのは幸いなことだった。正直これまではやや話題先行の感があったのは否めないが、今まさに指揮者としての実力が話題性に追いつこうとしている瞬間なのではないかと思う。


私の手許には2003年度のNHKテレビ『ロシア語会話』のテキストがあるのだが、そこには彼女のこんな言葉が記されている。

Мой язык — музыка. 私の言葉は音楽です。

これからの彼女が私たちにどんな言葉で語りかけてくれるのか、ますます楽しみになってきた。

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幸田浩子さん ソプラノ・リサイタル BS-hiで放送

2008年6月16日

今年の4月18日に紀尾井ホールで開催された幸田浩子さんのリサイタルの模様が先月の27日及び今月の3日にNHKのBS-hiで放送された。私は3日に放送された分を録画して見たのだけど、これが実に期待に違わぬ素晴らしいものだった。


リサイタルの前半はモーツァルト作品による構成だった。モテット「エクスルターテ・ユビラーテ」やオペラ・アリア、コンサート・アリアなど、いずれも彼女にとってはお得意のレパートリーなのだろう。コロラトゥーラ風の装飾的なパッセージでも決して技巧のショーケースにはならず、歌に表情があるのが素晴らしいところだと思う。素人には信じ難いほどの大きな跳躍のあるところでも楽しそうに軽々と乗り越えていく。歌声に劣らずそのお姿も美しい幸田さんに「私の胸にさわってご覧なさい」とか「あなたの愛を受け入れます」などと歌われればなけなしの理性も吹きとんでしまうというものだ。


後半はリヒャルト・シュトラウスの歌曲だった。リヒャルト・シュトラウスの歌曲というのは私はあまりなじみがなかったのだが、親しみやすい曲が多く楽しく聴くことができた。ここでも愛について歌った作品を多く取り上げているのがこの人らしいところで、愛の喜びを生き生きと歌う姿はさながら愛の素晴らしさを人々に教えさとす伝道師のようでもある。


この日の幸田さんは初め純白の清楚なドレスで登場し、後半の部では同じく白いドレスながら肩から背中にかけて大きく露出した衣装にお色直ししていた。これほどの容姿に恵まれた人なら視覚的にも聴衆を楽しませる工夫をしなければ勿体ないというものだろう。アンコールでの衣装は萌え系アイドルが着そうな感じの黄色いかわいらしいものだった。いかにもこれから「黄色いさくらんぼ」でも歌い出しそうに見えてやや意表を衝かれたが、こんなかわいらしい姿も無理なく似合ってしまうのがこの人の凄いところだ。


そのアンコールではベッペ・ドンギアの「新しい色の祝祭にて カリヨン」とモーツァルトの「アヴェ・ヴェルム・コルプス」の二曲を歌ってくれたのだが、特に「カリヨン」はこのリサイタル中の白眉だった。初めて聴くのにどこか懐かしさを感じる作品で、一見クラシック作品風のタイトルだけど実は洋楽ポップスのヒット曲か何かだろうか? と思わせるものがあった。調べてみるとこの勘は半分当たっていて、ドンギアさんはイタリアのポピュラー音楽の作曲家で、オーストリアの音楽祭での幸田さんの歌唱に感銘を受けてこの作品をプレゼントしたとのことだった。さすがに幸田さんのために書かれただけあって彼女の伸びやかな歌心が存分に発揮される作品になっている。現代のクラシックの作曲家のみなさんもあまり難しい理屈を捏ねくり回してないでこういう作品を数多く作ってくれたらいいのに、と私などは思ってしまう。それはともかく幸田さんの美しい歌声に心から酔い痴れる、幸せな一時だった。


この日はN響の主要メンバーとの共演という豪華なステージだったのだが、幸田さんには聴衆からの称賛に応える姿からも共演者への心配りが感じ取れて、見ていて清々しい気持ちになる。こういうステージ・マナーのよさも一流の演奏家に要求される大切な資質であり、彼女が国際的に評価される理由の一つでもあるのだと思う。この素晴らしい才能の今後のさらなる飛躍を祈るばかりである。

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今日の『N響アワー』はシェーンベルク

2008年5月 4日

今日の『N響アワー』はシェーンベルクの交響詩「ペレアスとメリザンド」だった。この手の音楽は自分で出費をしてまで聴きたいとは思わないのでこういうのは貴重な機会である。

周知の通りシェーンベルクは12音列の技法を完成させた作曲家で、現代音楽の父とも呼ぶべき存在だが、この「ペレアスとメリザンド」はそうした試みに至る以前の作品で、後期ロマン派の作風をとどめており比較的聴きやすい作品である。ただ聴いてみた感想は、きれいなことはきれいだが、心に響くものが何もない音楽、というものだった。最も印象に残っているのはフルート奏者三人のうち二人が女性だったのだがいずれもきれいな方だった、ということだったりする。

この種の作品を聴いていつも思うのは、芸術における前衛の意味とは何だろう、ということである。(この作品は無調ではないが)調性なしでも音楽を作れると証明してみせたところで、そこに作者自身の自己満足以外に何か意義があるのだろうか? 私としては芸術とはまず何よりも人の心を勇気づけたり、安らぎを与えるものであって欲しいと思うのだが。

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勝手にランキング 交響曲編

2008年4月26日

もう二ヶ月近くも前のことになってしまったけど、いつも楽しいお話が満載のがちゃ子さんのブログお好きなピアノ協奏曲のランキングが掲載されていた。私も真似してやってみたいのだけど、ピアノ協奏曲は最も好きなジャンルなので5曲を選ぶのは不可能に近い。何しろベートーヴェンだけでも5曲あるのだから…。そこで代わりに好きな交響曲のランキングをやってみることを思い立った。


好きな交響曲 ベスト5

  1. ラフマニノフ 交響曲第2番
  2. チャイコフスキー 交響曲第6番「悲愴」
  3. ベートーヴェン 交響曲第6番「田園」
  4. ブルックナー 交響曲第7番
  5. ショスタコーヴィチ 交響曲第8番

一位はもちろんラフマニノフのこの作品。音楽というものの素晴らしさに瞠目させられた、私にとって究極の交響曲である。

以下は順位にあまり意味はない。チャイコフスキーは第5番もとても好きなのだけどここでは「悲愴」を選んでみた。死を目前に控えた作曲家の人生への切々たる哀惜が胸を打つ名曲である。ベートーヴェンは5、7、9番といったところももちろん大好きだけど、敢えて一曲選ぶとすれば「田園」を採る。聴いていると、人はこれほどまで美しく自然を讃えることができる存在であるのなら、どんな危機をも乗り越えてこの地球上で生きていくことができるに違いない、と信じたくなる。


あとの二曲は少し背伸びし過ぎかな、と思う。自分にこんな大曲が十分理解できているとは正直思えないのだけど、それでもとても好きな作品なのでここに挙げてみた。ブルックナーはそれほど親しみのある作曲家ではないのだけど、この第7番だけは別格に好きな作品である。聴いていると俗世の雑事を全て忘れて、雄大な宇宙の中に魂を解放されるような感覚に浸ることができる。

私は現代音楽というのが苦手なのだけど、ショスタコーヴィチは例外的に好きな作曲家である。代表作の第5番ももちろん好きだけど、一曲選ぶとすると第8番を挙げたい。第7番、第9番と共に第二次対戦中の作品で、この曲の誕生には戦争が深く関わっているらしい。作曲家自身は「全体としては楽観主義的で人生肯定的な作品だ」と述べているのだけど、例によってこれも体制の目をごまかすために本心を包み込んだ発言であるようだ。作曲家がこの作品に何を託したのかは今や音楽そのものから推し量るしか術はないが、少なくとも私には楽観的というにはほど遠い、ただならぬ悲しみの思いが聴こえてくるように思われる。20世紀の人類が経験した苦悩と悲劇に真摯に向き合いながら創作された芸術作品として、記念碑的な交響曲だと思う。


このほか惜しくも洩れてしまったけど、次点としてやはりドヴォルザークの第9番「新世界より」を挙げておきたい。アメリカの黒人音楽に啓発を受けつつ故郷ボヘミアの音楽の情趣も盛り込んだこの名交響曲に言及しないわけにはいかない。それからマーラーの第9番も好きなのだけど、自分にはまだこの作曲家を理解できたという手応えをつかむことができていないので選には入れなかった。

考えていてなかなか楽しい作業だったので、機会があればまた別のジャンルでやってみるのもおもしろいかも知れないと思った。

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『N響アワー』ブルックナーの夕べ

2008年4月13日

今日の『N響アワー』はチョン・ミョンフンさんの指揮でブルックナーの交響曲第7番の演奏だった。ブルックナーは私にとってそれほど親しみのある作曲家ではないのだがこの第7番だけは別格である。恩人のワグナーが死を迎えようとしていたことを意識して作られたと言われるあの美しい第2楽章以降をたっぷりと堪能させてもらった。この作品の素晴らしさをあらためて認識した次第である。

私はブルックナー作品というとごつごつとした手ざわりをイメージしていたのだが、チョン・ミョンフンさんの指揮は流麗でしなやかな演奏が特徴的だった。インタビューではマーラーとの対比を論じておられたけど、彼のブルックナー演奏はマーラーにも通じるような耽美性を備えているように感じられた。それはおそらく彼自身の個性なのだろうけど。


先日スパム対策のためにプログラムをバージョンアップして、その後いろいろと細かいところを調整しなくてはならなくて結構面倒くさかったのだけど、この演奏を聴いてリフレッシュできたような気がした。やはり音楽の力は偉大である。

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最新科学で大バッハの顔を復元

2008年2月29日

AFP通信によると英国スコットランドのダンディー大学上級講師のキャロライン・ウィルキンソン博士がバロック時代のドイツの大作曲家、ヨハン・ゼバスティアン・バッハ(1685-1750)の顔を頭蓋骨から復元するのに成功したそうだ。その写真も紹介されているのだが、確かにかつらをかぶせてみればいくつか知られている肖像画にそっくりになりそうだ。当時の肖像画家たちの力量もなかなかのものだったのかも知れない。

しかし以前から肖像画を見て思っていたことだが、こんないかついおっさんがあの崇高な音楽を作っていたというのは何だか不思議な気がする。復元された顔を見てあらためてその思いを強くした。

追記:3月6日18時50分

この復元像は3月3日にベルリンのカリテ病院でかつらをかぶせた姿で披露された

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幸田浩子さん モーツァルト・アルバムを発売

2008年2月21日

現在の日本を代表するソプラノ歌手の一人、幸田浩子さんのアルバム「モーツァルト・アリア集」が20日発売になった

幸田さんのことを知ったのは何年か前にNHKでウィーンの街を紹介する番組に出演したのを見たのが最初だった。その時にモーツァルトのモテット「エクスルターテ・ユビラーテ」から「アレルヤ」を歌ってくれたのだけどそれが絶品の美しさだった。モーツァルトは特にお気に入りの作曲家のようで、心から共感して歌っていることが伝わってくる素晴らしい歌唱だった。その後も何度かテレビで歌を聴く機会があったが、いずれも伸びやかな美声が印象に残るものだった。

その幸田浩子さんが満を持して制作した初のソロ・アルバムがこの作品。収録曲として選んだのは当然のようにモーツァルトの作品だった。「アリア集」というタイトルになっているがオペラ・アリアのほかにコンサート・アリアや宗教曲も収録されている(もちろんお得意の「エクスルターテ・ユビラーテ」も)。発売を記念して現在期間限定で「恋人よ、さあこの薬で」(オペラ『ドン・ジョヴァンニ』より)のPVがフルコーラス公開されている。72時間とのことなのでおそらく22日一杯は視聴できるはず(wmv形式なのでWindowsマシンでないと無理かも知れない)。ぜひ今のうちにご覧になるといいと思う。素晴らしい美声はもちろん、その美しいお姿も堪能することができる。

このアルバム、欲しいけど中古屋に出回るのでも待つことにしようかな…。

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ベートーヴェン「不滅の恋人」

2008年1月21日

昨日の『N響アワー』はゲストにベートーヴェン研究家の青木やよひさんを迎えてのベートーヴェンの特集だった。ベートーヴェンには死後に発見されたラヴレターがあり、そこで彼が「不滅の恋人」と呼んでいるのが誰なのかが長い間謎となっていた。青木さんは現在最も有力な説となっている「アントーニア・ブレンターノ説」を世界に先駆けて最初に提出した人である。

青木さんの著作は私も以前読んだのだが、その論旨はとても説得的で興味深いものだった。このアントーニア・ブレンターノという女性は手紙についての詳細な研究から明らかにされた条件を理想的に満たしているばかりでなく、洗練された教養と豊かな感性の持ち主でベートーヴェンの恋人として実に相応しい人でもあったようだ。しかし彼女は人妻であったためにそれまでの研究では注目を集めることなく見過ごされてきたらしい。こうした多くの人がとらわれてきた盲点をつく青木さんの洞察力には深い感銘を受けた。これ以上はとてもここでは説明できないので詳しくは直接彼女の著作を参照して欲しい。

このベートーヴェンの恋が作品に影響を与えている例として紹介されたのが交響曲第8番だった。この曲はベートーヴェンのアントーニアへの想いが燃え盛っていた時期の作品で、彼女とボヘミアの温泉地で夏を過ごした想い出など、当時の彼の幸福感が盛り込まれているようだ。特に第3楽章のトリオに現れるホルンの旋律はこの地方の郵便馬車の発着の合図に用いられるポストホルンを模したものらしい。

番組では紹介されなかったが、青木さんはベートーヴェンの最後の三つのピアノソナタもアントーニアと関わりの深い作品だと推理している。こうした事情に思いを馳せながら聴くと作品をより身近に感じられる気がする。


なお青木さんはベートーヴェン研究家のほかにもう一つ、フェミニズムの論客という肩書きも持っている。実を言うと私はそちらの方面での活動にも関心を持っているのだけど、これはこのサイトの趣旨を超えた話題になるので深入りするのはやめておきたい。

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田村響さん『題名のない音楽会21』に出演

2007年12月21日

少し前の話になるが先週の土曜日(15日)、グランプリファイナルのSPの放送の直前の時間帯に、BS朝日で再放送された『題名のない音楽会21』を見た(地上波では9日放送)。お目当てはもちろん、先ごろロン・ティボー国際コンクールのピアノ部門で優勝した田村響さんである。コンクールの最終審査でも弾いたラフマニノフのピアノ協奏曲第2番の第1楽章(再現部はカット)を披露してくれた。

堂々たる風格のある演奏で、第2主題でのやや粘っこい歌い回しが目を引いた。この若さにしてすでに自身の表現を手にしているのが素晴らしい。自分が二十歳くらいの時はクラシックのことなど何も知らなかったな、などと遠い目をして思い出してしまう。今の感性を大切にしながら音楽家として大成していって欲しいと思う。

ユーリ・シモノフさん指揮のモスクワ・フィルからは豊かな情感が波のように押し寄せてくる。このあたりの感覚はやはりヴラディーミル・アシュケナージさんが若い頃にキリル・コンドラシンと共演した録音と似ているな、と思った。あれから40年以上が経ち、指揮者が代わってもオーケストラの個性は受け継がれているのだろう。

わずか十分程度の演奏時間だが、田村さんの若さと才能に羨望を覚えつつ贅沢な一時を過ごさせてもらった。

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HN sergei
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