「Fall in love with you —恋に落ちて—」

2011年11月 6日

作詞:岩谷時子 作曲:楠瀬誠志郎 編曲:武部聡志 コーラスアレンジ:楠瀬誠志郎
アルバム「晴れ ときどき くもり」(1995.06.25)所収。現行のCDではアルバム「LIFE〜本田美奈子.プレミアムベスト〜」UMCK-9115(2005.5.21)に収録されている。

本田美奈子さんはアルバム「晴れ ときどき くもり」で数々のミュージシャンとの親密なコラボレーションを行っているが、その中に楠瀬誠志郎さん提供の楽曲が二曲ある。一つは美奈子さん自ら作詞した「幸せ届きますように。」で、以前感想を述べたように、美奈子さんの無垢で純粋な心が伝わる愛らしい作品である。もう一曲が楠瀬さんとデュエットした「Fall in love with you —恋に落ちて—」である。


民放の公開お見合い番組のエンディング・テーマだったらしく、内容もそれに相応しい、熱く甘い愛の二重唱である。作詞は美奈子さんの恩師、岩谷時子さんで、一世を風靡した「君といつまでも」のような名曲を手がけてきた岩谷さんにとって、こうしたラヴ・ソングはお手のものだったろう。聴いていて少し気恥ずかしくなるような純粋な愛の世界は、1991年放送のテレビドラマ『101回目のプロポーズ』に端を発する純愛ブームの余韻でもあったかも知れない。サビの部分の歌詞などは佐良直美さんのヒット曲「世界は二人のために」を彷彿とさせるものがある。こうした大仰な表現が少し時代がかって感じられるのは、「地球が消えても」とか「空が裂けても」といった譬えが、現在ではシャレではすまなくなってきているせいもあるだろうか。

しかしそうはいってもこうした純粋で美しい愛の世界は時代を超えた普遍的なテーマであり、聴く者の心にみずみずしい感動をもたらしてくれる。ことさらに凝った表現を用いることもなく、平易な言葉遣いのうちに甘酸っぱい感傷を聴き手の胸に呼び起こす詞の世界は、さすがに熟練の作詞家の手になる作品と感服するほかない。


美奈子さんの歌唱はいつも通り可憐で、サビの部分でのドラマティックな表現にも本領が発揮されている。“二人の”の‘り’の子音の発音が日本語として少し不自然になっているところがあるのは、おそらく英語の発音を学んだ副作用かと思われる。

楠瀬さんも繊細な情感とドラマティックな抑揚を兼ね備えた歌唱が素晴らしい。男性歌手があれだけ高い音域を歌いながら、少しも苦しそうなところを見せずに聴き手の心をやさしく包み込むようなマイルドな声を響かせているのは、実に稀有なことだと思う。収録の際は手をつないで歌っていたそうで、それだけに美奈子さんとの息もぴったりと合っている。そんなエピソードに些か嫉妬も覚えたりもするが、逆に楠瀬さんの歌うパートの男性に感情移入して聴くという楽しみもあるわけだ。


早いもので、今日は美奈子さんの七回忌に当たる。この機会に私も、この歌の男性主人公になりきって、美奈子さんへの永遠の愛を誓うことにしたい。「太陽が蒼ざめ 月が燃えても」美奈子さんの残した音楽は不滅だと信じながら…。


おことわり

2006年5月から月命日に合わせて続けてきた連載ですが、今回の投稿を以て一つの区切りとすることにします。長らくご愛読いただきましてありがとうございました。月一回のペースでの連載はこれを最後にしますが、もちろん今後も折にふれ美奈子さんの音楽について語っていくつもりです。

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