NHK杯2008 女子シングル フリー

2008年11月29日

カトリーナ・ハッカーさん

最終グループの選手の中ではやや技術的な点で見劣りする感じだがスパイラルのポジションはとてもきれい。6分間練習までの待ち時間に隣にいた真央ちゃんとワグナーさんに何か話しかけて笑っていたけど何を話していたのだろう?


中野友加里さん

SPでの不振が嘘のような会心の演技。二つ目のフリップの回転が足りていないのが素人目にもはっきりとわかったが、そのほかは素晴らしかった。こうして日本のファンの前で演じてみると、終盤に曲調が変わるところで観客からの拍手をもらいやすい、よくできたプログラムになっているのがわかる。これまで二度は封印してきたトリプルアクセルが入るようだとかなり観客を熱狂させるプログラムになりそうな気がする。ファイナル進出が決まったのはよかったが、怪我をしているようなのでさらに悪化させることのないよう十分に気をつけて欲しい。


鈴木明子さん:「黒い瞳」

最初のルッツはオーバーターンしてしまったもののほかは素晴らしい演技で、グランプリシリーズ初挑戦にして驚きの表彰台! しかも中野さんを上回ってのこの結果は自信になると思う。ダブルアクセルからのコンビネーションはトウループがダウングレードされてしまったが、新たなことに挑戦する姿勢は素晴らしいと思う。「黒い瞳」は鈴木さんにぴったりの選曲で、男を惑わせるロマの女性の魅力を情熱的に演じてくれた。ステップのところはかなりテンポが速く合わせるのは難しいと思うがはじけたように踊ってみせて圧巻だった。PCSのINで高い点をもらっているのはこうした点が評価されたのだと思う。これでまた日本の女子にまた一人世界レベルの選手が誕生したことを心から祝福したい。

なおこれは余談になるが、実況の刈屋富士雄アナウンサーが鈴木さんの演技中に余計な情報を敢えて流さなかったことも評価したい。この大会で彼女のことを初めて知ったという方も多いと思うけど、それぞれの人が余計な先入観なく彼女の滑る姿そのものから何かを感じとればいいことなのだから。


ラウラ・レピストさん

得意のトリプル–トリプルのコンビネーション・ジャンプは一つ目のトウループがダブル。今日は全体にジャンプに安定感がなかった。


アシュリー・ワグナーさん

SPとはかなり雰囲気の違うプログラムだがフリーでも昨シーズンからの変貌ぶりを見せつけてくれている。プログラムの中で曲調が大きく変わるのだが、それぞれの曲の雰囲気を丁寧に描き分けていて見事。今や現役の女子選手の中でもとりわけ表現力に秀でた選手の一人と言っても過言ではないと思う。ただ今日はジャンプの出来が今一つで表彰台には届かなかった。しかしいずれにしても今後がさらに楽しみな選手である。


浅田真央ちゃん

今シーズンの目標の一つである二度のトリプルアクセルに果敢に挑戦、二つ目はスローで見てもそれほど回転が不足しているようには見えなかったのだが惜しくもダウングレードされてしまった。しかしそれはともかく真央ちゃんの意地を感じさせる気迫のこもった演技だった。アクセルを二度跳べたことで真央ちゃんの気持ちがのってきたせいか、フランス大会の時に感じた、迫力のある曲調に細身の体が負けてしまっているような印象は受けなかった。ステップも丁寧で力強く、アイスダンスの選手のようにフリーレッグのブレードをつかんだ姿勢で回るトゥイズルもあらためて見事だと思った。

PCSのSSで8.00という高い点が出たことがこの日の演技の内容を物語っている。タチアナ・タラソワさんが何度も「Молодец!」(よくやった)と繰り返していたのが印象的だった。わずか二週間でよくここまで調整してきたものだと感嘆するばかりである。苦手のサルコウを見事に成功させたのも今後を考えると大きな成果だと思う。最後のスピンの終わりからフィニッシュのポーズに移るところでバランスを崩したのはご愛嬌。スピンはすでに終了した後だったと判定されたようで特に減点の対象にはならなかったようだ。これでまだ本当は二つ目のフリップの後にトリプルループが入る予定だったのだから、真央ちゃんのポテンシャルの高さをまざまざと見せつける結果となった。ファイナルではどんな演技を見せてくれるのか、早くも楽しみになる。


かくして女子は二年振りの日本選手による表彰台の独占となった。今この時代に日本でフィギュアスケートのファンをやっていることの幸せを感じずにはいられない。放送終了間際に中野さんが真央ちゃんの耳許で何をささやいていたのか、ちょっと気になってしまっている。

追記:12月1日22時15分

中京テレビのブログにちょっと素敵なエピソードが載っていた。近々放送予定という『リアルタイム』の内容が気になるのだが…。

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NHK杯2008 男子シングル SP

2008年11月29日

南里康晴選手

一週間前に高橋大輔選手の代替として急遽出場が決まったそうで、クロアチアでの大会の疲れが抜けないまま臨んだとのこと。サーキュラー・ステップなどは足にきているのがありありとわかる演技だったが、そんな中でも実力を精一杯出し切ったのではないかと思う。フリーはおそらくもっとつらいことになるだろうけど、ベテランの意地をしっかりと見せつけて欲しい。


無良崇人選手

シニアのグランプリシリーズのデビュー戦だが、この日の男子の演技の中で最も素晴らしいと思った。ジャンプの力強さ、ステップでの粘っこい表現など、デビュー戦とは思えないほど堂々としたものだった。西日本選手権の出来が素晴らしかったという評判は聞いていたが、その噂に違わぬ大健闘に興奮させられた。解説の本田武史さんはPCSの出方に不満を表明されていたが、フリーでもこのような演技を見せられれば今度はもっと高い点数をもらえると思う。日本の男子選手に新たな期待の星が生まれたことをうれしく思う。


織田信成選手

国際大会としては二年振りの復帰戦、どんな調子に仕上っているか注目されたが期待以上の内容だった。昨シーズンを全休して(私はこの選択にはあまり賛成できなかったのだが)今シーズンに賭けてきた意気込みが伝わってくるようだった。ジャンプの安定感や音楽表現のうまさなどは以前にくらべてグレードアップしているように感じた。曲目は奇しくも浅田真央ちゃんのフリーと被ったのだが、一度ずつ見た今の時点では織田選手の方がうまく曲に合わせているように思う。


ジョニー・ウィアー選手

彼らしい優美な演技だったが、おそらくジャンプがどれかダウングレードされているのではないかと思う。一位の織田選手との差は小さいのでフリーの出来が勝負を分けることになるはず。復帰したばかりで失うものがない織田選手がおそらく4回転ジャンプに挑戦してくるのに対し、ファイナル進出を見据えているウィアー選手がどういう選択をするか、またその選択が吉と出るか凶と出るか、そのあたりが特に興味深い。(29日午前1時30分追記:ジャッジスコアを見るとダウングレードではなくルッツの両足着氷とフリップのロングエッジで減点されたことが織田選手に遅れをとった原因となった模様。)

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NHK杯2008 女子シングル SP

2008年11月29日

開幕前にショッキングなニュースが伝わってきたので気持ちが今一つ盛り上がらずにいたが、始まってみるとやはり心踊るものがあり、選手それぞれの魅力を堪能した。


鈴木明子さん:リスト「ラ・カンパネッラ」

遅咲きのグランプリシリーズ・デビューとなったこの大会、まずこの人がこの舞台に立てているということが記念すべきことである。ルッツからコンビネーションは成功したものの次のフリップが一回転に。解説の荒川静香さんによると彼女もエッジの矯正に着手しているそうなのだけど、その影響が出たのかも知れない。彼女の今のポジションを考えるとSPではどちらかをループにして確実に点数を稼げるような構成にした方がいいような気がする。左右に大きく重心を動かす独特のダイナミックなステップは健在。表彰台も狙える好位置につけたのでフリーが楽しみ。


キム・ナヨンさん

ロシア大会と二週続けての出場で疲れもあっただろうに大きな破綻のない演技にまとめてきた。衣装も素敵で楽しんで見た。


アシュリー・ワグナーさん

昨シーズンまでとは別の選手と思った方がいいみたい。雰囲気のある演技でうっとりとさせられた。


長洲未来ちゃん:チャップリン・メドレー

最初のルッツが抜けてしまいフリップもおそらくダウングレード。本人もちょっと不満さうな出来だったけど、その他の要素ではハイレベルなものを見せてくれた。随所に映画の中のワンシーンを思わせる仕草が採り入れられていてかわいかった。


ラウラ・レピストさん

トリプル–トリプルのコンビネーション・ジャンプは回避して全体をうまくまとめてきた。ステップなどはとても丁寧にこなしていた。この人は自分の持っている技術を最大限に生かして点数を叩き出すのがとてもうまいという印象がある。このあたりは例えば鈴木明子さんにも参考になるのではないかと思う。


中野友加里さん

最初のフリップがダブル、次のルッツもおそらくダウングレードされたのではないかと思う。どうもスケートアメリカの時から故障を抱えていたようで、ジャンプは本調子でない様子。でも今シーズンからグレードアップされた友加里スマイルは素晴らしく、お母様手作りという衣装もとてもよく似合っていて(私はスケートアメリカの時のものもとても気に入っていたのだが)素敵だった。


浅田真央ちゃん

しばらく前から鬼門となっていたSPのコンビネーション・ジャンプは抜けずに跳ぶことができた。内容に比べて技術点の出方が今一つだったのでもしかするとループの方がダウングレードされたのかも知れないが、ともかく一応はトリプルジャンプになったことで気は楽になっていることと思う。次のルッツももしかするとロングエッジをとられているのかも知れないが、素人目にはしっかりアウトエッジで踏み切れているように見えた。逆向きの弧を描くイーグルからのダブルアクセルは見事の一言。スパイラルでちょっとぐらついたのは真央ちゃんらしくなかったかな、と思った。よほどのことがない限り優勝は堅いと思うが、はたしてトリプルアクセルが二度入るのかなど、フリーも大いに注目される。(29日午前1時30分追記:ジャッジスコアを見るとループがダウングレード、ルッツのエラー判定はなく、スパイラルがレベル1となっているのが技術点が伸び切らなかった原因となった模様。)

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太田由希奈さん引退

2008年11月26日

@niftyのフィギュアスケート特集に太田由希奈さんの競技生活からの引退を告げる声明が公表された。見た途端に絶句してしまった。代わりに涙が溢れそうになった。ブロック大会を欠場したことで気を揉んではいたが、こんなことにはならないと信じていたので…。

フィギュアスケートに名選手は数多いが、由希奈さんはその中でも歴史的な存在だったといえると思う。手や足の指先にまで行き届いた細やかな心配りはそれまでのフィギュアスケートの常識からは考えられなかったもので、その繊細な演技はカタリーナ・ヴィットさんとはまた違った趣きの芸術性を備えていた。こんな選手は由希奈さんの前にはいなかったし、これからもきっと現れないだろう。

私は迂闊にも由希奈さんの存在を認識するのがやや遅れてしまって、その真価に気づいて本気で応援しようと思った矢先には右足の怪我で私たちの前から姿を消してしまった。だから私にとって由希奈さんはいわば幻のような存在だった。2006-07年のシーズンから復帰してくれて心から喜んでいたのだが…。満足な応援ができなかったことに悔いが残る。

「競技以外でもスケートを続ける道や次のステップが示され」たということなので、きっとこれからも何らかの形でスケートに関わり続けてくれるのだと思う。プロのスケーターとして、あるいはコーチや振付師として、そのありあまるほどの才能を発揮してくれるだろう。悲しいけれどここはぐっと涙をこらえて、由希奈さんの新たな門出を見送りたい。

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記念すべき女王二人の共演

2008年11月25日

今日の午後8時から放送されたNHK杯の見どころを紹介する番組に特別ゲストとしてカタリーナ・ヴィットさんが出演した。同じくゲストとして出演した荒川静香さんとは間近に直接会って話すのは初めてとのことで記念すべきツーショットとなった。私にはこの二人が並んで立っているというのはほとんど神話の世界の出来事のように思えてならない。ヴィットさんの胸元を飾るネックレスに羨望を覚えつつ、この二人の女神の共演にすっかり魅入ってしまった。本当は番組の中身について何か語るべきなのだろうけど、それだけで胸が一杯なので今回はこれでおしまい。

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NHK杯の思い出

2008年11月24日

先週の水曜から土曜にかけてNHKのBS1で今回で30回目を迎えるNHK杯の歴史を振り返る番組が放送された。涙が出そうなほど懐かしいもの、見ていたはずなのに全く記憶にないもの、今も記憶に新しいものなど、様々な映像があって実に楽しかった。


記憶している限りでは私が初めてNHK杯を見たのは1986年の大会で、フィギュアスケートをまともに見ること自体これが初めてだった。この時に女子シングルで優勝したのが歴史的な名選手として名高いカタリーナ・ヴィットさんで、世の中にこれほど美しいものがあったのか、と驚嘆しながら見ていたのを思い出す。その後のスポーツニュースではバンケット会場からの中継でヴィットさんにインタビューしていたのだけど、最後にアナウンサーの要望に応えてカメラに向かってウィンクしてくれたのが忘れられない。あの時ヴィットさんがかけてくれた魔法のお蔭で今日までフィギュアスケートを見続けてきたと言っても過言ではない。

もし見られるものなら私はこの時の映像が見てみたかったのだけど、番組ではその翌年の『カルメン』の演技が放送された。こちらももちろん十分に懐かしい映像である。彼女のプログラムは現在の水準で言うとジャンプの構成はジュニア並みではあるのだけど、氷の上に降り立った時の大輪の花が咲いたかのような圧倒的な存在感は比類がない。私の考えではこれに比肩し得るのは荒川静香さんしかいないと思う。最初にフィギュアスケートの魅力を教えてくれたのがこの人だったというのは本当に幸せなことだったな、とあらためて感じた。


一方当時のライバルだった伊藤みどりさんは現在の水準で考えても極めてハイレベルなジャンプを跳んでいたことにあらためて気づかされる。トリプルアクセルは今は例えば浅田真央ちゃんも得意にしているが、みどりさんのトリプルアクセルは高さ、力強さ、豪快さにかけてずば抜けている。現在数多いる天才ジャンパーたちも、みどりさんの前にはかすんでしまうように思えるくらいである。

みどりさんが世界の頂点に立って以降はもう2種類のトリプルジャンプで女王になるなんてことはあり得なくなってしまった。私たちはあの頃一人の天才の登場が競技の性質自体を変えてしまうという稀有な例に立ち会っていたのだということをあらためて思い知らされる。今でいうと例えばアリッサ・シズニーさんなんかはもしこれより前の時代に競技をしていたなら歴史的な名選手として称えられていたかも知れないな、などとヴィットさんとみどりさんの演技を見比べながら考えた。


荒川静香さんの映像はまだ少女の頃のものから世界選手権優勝後のものまで見せてくれて成長の過程が確認できて興味深かった。あまり感情を込めずに淡々と滑っていたジャンプの天才少女が大人の女性の魅力に溢れた表現者へと変わっていく様子がとてもよくわかる。同じ時代に活躍したライバルである村主章枝さんがいい意味で今も当時とあまり変わっていないように見えるのとは対照的である。

その優雅な大人の女性へと変貌を遂げた荒川さんの演技として2004年の大会のフリー演技『ロミオとジュリエット』が放送されたのだけど、欲を言えばSPの方の『蝶々夫人』の方が見てみたかった。あの時の『蝶々夫人』は本当に神々しいまでの美しさで、荒川さんの競技人生の中でも最高の演技の一つだったのではないかという気がする。

この大会で2位になったのが安藤美姫さんで、インタビューに「しーちゃんと同じ色のメダルが欲しいです」と答える安藤さんの姿が微笑ましかった。この時のスポーツニュースには二人揃ってあでやかな着物姿で出演してくれたのもNHK杯にまつわるうれしい思い出である。


そのほかにも陳露さん、フィリップ・キャンデローロさん、エフゲニー・プルシェンコさん、申&趙組など何度も来日して大会を盛り上げてくれたお馴染みの選手たちの映像がたくさん見られてうれしかった。あのプルシェンコさんと競い合っていた全盛期の本田武史さんの力強い演技も久しぶりに見てその素晴らしさを再認識した。ジョニー・ウィアー選手の初優勝も衝撃的だったな…。とにかくNHK杯のみならずフィギュアスケートの歴史自体を回顧することができて、この競技の魅力を満喫することができた。

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ロシア大会2008 女子シングル フリー

2008年11月24日

キミー・マイスナーさん

ジャンプでミスを連発。最初のコンビネーション・ジャンプも二つ目のトウループはとてもトリプルにする余裕はなさそうだった。かつての姿を考えると寂しい限りの内容だった。


アリッサ・シズニーさん

表彰台に乗ればファイナル進出の可能性もあっただけにジャンプのミスが多かったのは残念。それでもやっぱりスピンやスパイラルの素晴らしさは比類がない。


ユリア・シェベシュチェンさん

ベテランになってようやく演技にやわらかさというかしなやかさが出てきた感じがする。でもその代償なのかわからないがジャンプの精度が悪くなってしまっているのは残念で、難しいものだな、と思う。


レイチェル・フラットさん

トリプル–トリプルのコンビネーション・ジャンプを含め全ての要素をほぼノーミスで滑りきる元気のいい演技。ドビュッシーの音楽ともよく合っていたと思う。


カロリーナ・コストナーさん

昨シーズンのプログラムに戻してきたけど、両腕の使い方がとてもやわらかくなっているのを感じる。ダブルアクセルからのコンビネーションは村主さんにジャンプの大技がないことを考えれば二つ目はダブルトウループの安全策でもよかったはずなのだけど、敢えてトリプルに挑戦してきたところに志の高さが窺われる。


村主章枝さん

ルッツとフリップを成功し幸先のいい出だしだったがサルコウで失敗したのを皮切りにミスを連発。久しぶりのグランプリシリーズでの優勝は夢と消えた。苦手のサルコウを敢えてプログラムに入れるべきなのか、彼女の場合ループもないので難しいところだと思う。ただルッツでロングエッジをとられなくなったのは明るい材料ではある。ステップはさすがにニコライ・モロゾフコーチに師事しているだけのことはあると感じさせる、素晴らしいものだった。


男子シングル フリー

ブライアン・ジュベール選手

4回転のトウループは失敗。全体に本来の彼らしい力強さがやや欠けていたかな、と思った。SPでの大きな貯金がものをいって逃げ切ったが、やや苦しい優勝ではあった。ダブルアクセルが二つあってアクセルを合計4回も跳ぶバランスの悪い構成は今後を考えると見直す必要があるのではないかと思う。

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ロシア大会2008 女子シングル SP

2008年11月23日

すでにフリーの結果が出ているけどそれは後回しということでSPの感想を。


ニーナ・ペトゥシコワさん

上背があり手足が長く見映えのする選手。フリップで転倒してしまったけどルッツは見事に成功させていたので結構実力のある選手なのではないかと思う。


キム・ナヨンさん

小柄な体できびきびとした動きがかわいらしい選手。ルッツもフリップも跳べているので今後はもっと活躍できそうな気がする。


アリッサ・シズニーさん

完璧ではなかったけどやっぱりとても美しい。優雅な舞にうっとりする。


アリョーナ・レオノワさん

中国大会の時とは違って演技終了後は素晴らしい笑顔。母国でいい演技ができてうれしそうだった。音楽はよく聴いてみると変わった拍子の曲で、五拍子の難しいリズムのようだけどよく合わせて踊っていたと思う。


村主章枝さん

かつての姿を取り戻したかのようなノーミスの素晴らしい演技。ロングエッジもとられていなくてよかった。


エレーナ・グレボワさん

滑り出しの何の要素でもないところで転倒してびっくり。でもその後はよく落ち着いて演技できていたと思う。


レイチェル・フラットさん

音楽がいいのでとても楽しく見られるプログラム。彼女の演技もよく音楽に合っていた。


キミー・マイスナーさん

ジャンプの難度を落とした構成。こういう判断をするということはよほど今の状態が悪いと自覚しているのだろう。その甲斐あってまずまず無難な演技になったと思ったら驚くほどの低い点数だった。スピンやスパイラルでレベルが取れていないのが原因の模様。


ユリア・シェベシュチェンさん

とても丁寧なスケーティングが印象的で、かなりイメージが変わっているように感じた。特にスピンの途中で曲調が変わってそのままサーキュラー・ステップに移るあたりはうまい表現だな、と思った。


カロリーナ・コストナーさん

やはり今シーズンの彼女は一味違うと感じる。何で今までこの人の演技があまり好きでなかったのか思い出せなくなってきた。


男子シングル SP

こちらはダイジェストで。

アルバン・プレオベール選手

かなりイメージ・チェンジを計っているようで、これまでのコミカルなテイストはなく、丁寧なスケーティングが目を引いた。ジャンプで軸がゆがんでもなぜか平気で降りてしまうところは相変わらず。


ブライアン・ジュベール選手

4回転–3回転のコンビネーション・ジャンプを含め全ての要素を成功。さすがのかっこよさだった。

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安馬 横綱から価値ある白星

2008年11月20日

大相撲九州場所十二日目、大関取りを狙う関脇の安馬は横綱の白鵬と対戦し、右からの下手投げで破り十勝目を上げた。

立ち合いから左をおっつけてそのまま差し、右も巻き替えて両差しになり、最後は右下手から投げる完勝だった。奇しくもTVの解説の音羽山親方(元貴ノ浪)が予測していたような展開だった。

これで安馬は白鵬と並び優勝争いのトップに立ったばかりでなく、目標としていた大関取りに向けても大きな一歩を踏み出したといえる。大関取りの目安は12勝と言われているが、仮りに11勝に終わった場合でも横綱にこれほど圧倒的な内容で勝ったというのは大きなアピールになるはずだ。

今場所は地元出身の大関魁皇の途中休場などもあり、今一つ盛り上がりに欠ける場所になっていた。いつになく観客の入りが悪かったのには数々の不祥事の影響も大きかっただろう。しかしこれまでいつも「ファンが喜ぶ相撲を取りたい」と語ってきた安馬が、その言葉に相応しい内容の相撲でファンの期待に応えようとしている。

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フランス大会2008 女子シングル フリー

2008年11月17日

エレーネ・ゲデヴァニシヴィリさん

トリプルフリップ–トリプルトウループのコンビネーションは‘!’マークがついているものの回転数は認定されている。しかしルッツは二度挑戦するも成功せず、彼女本来の力は戻ってきていないようだ。ザヤック・ルールにも引っかかり冴えない点数だった。プログラムもSPと似たような感じの音楽でちょっと飽きてきてしまうし、彼女の本来の魅力を発揮できていないと思う。


キャンディス・ディディエさん:J. S. バッハ「トッカータとフーガ」ほか

ルッツの転倒などはあったものの、一昨年のこの大会で見た時よりは格段にレベルアップしているように見えた。長身で見映えのする体型で、なかなかの美人選手なので今後がちょっと楽しみである。


ベアトリサ・リャンさん:『SAYURI』

ジャンプのミスが多くていつもの力強さが感じられなかった。この選曲はやはり彼女には酷だと思う。


キャロライン・ジャンちゃん:チャイコフスキー『眠れる森の美女』

トリプルフリップ–トリプルトウループのコンビネーションは一応成功したかに見えたが両方ともダウングレード。次のルッツからのコンビネーションも乱れるなど、このところジャンプの精度が悪くなっている。なかなかかわいらしくて素敵なプログラムなので、もう少し完成された演技を見てみたい。


浅田真央ちゃん:ハチャトゥリアン『仮面舞踏会』より「ワルツ」

トリプルアクセルは両足着氷でコンビネーションにできず。得意のループもダブルになるミスで、サルコウでは何と転倒してしまった。フリップからのコンビネーションもSPと同じような失敗。つすがの真央ちゃんもタチアナ・タラソワさんにいろいろ要求され過ぎて頭がパニックを起こしてしまっているように見える。並の選手ならストレートラインステップでけでも息切れしてしまいそうな苛酷なプログラムを懸命にこなそうとしているのが健気でいじらしく思えてくる。音楽も仔鹿のようなしなやかな体つきの真央ちゃんにはあまりに力強い感じで、今一つマッチしていないような気がする。それでもこういう課題を突きつけたのもタラソワさんなりの深謀遠慮があってのことだろうから、このプログラムにシーズンを通して挑戦し続けた先には一回り大きくなった真央ちゃんが待っていると信じて長い目で見ながら応援していきたい。


ジョアニー・ロシェットさん:ロドリーゴ「アランフェス協奏曲」

昨シーズンから取り組んできたジャンプ・シークエンスを効果的に用いる戦術がようやくものになりつつあるようで、トリプルトウループ–トリプルサルコウのシークエンスはこれまでで最も質の高いものを見せてくれた。他の強豪選手たちにとっても脅威の存在となってきそうだ。

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フランス大会 男子シングル フリー

2008年11月16日

ブライアン・ジュベール選手

昨日の深夜にスコアだけ見た時はかなりぐたぐだの演技だったのかと思ったが、実際映像を見てみるとそれほどひどい出来ではなかったようだ。4回転のトウループもオーバーターンはしたものの一応回転数は認定されている。ループで転倒したのとコンビネーション・ジャンプの二つ目にトリプル・ジャンプをつけられなかったあたりで点数が伸び悩んだ模様。プログラムはこりまでの彼にありがちな単調なものではなく、なかなかいい雰囲気だったので、これでジャンプがしっかり成功したらかなり見応えのあるものになりそうだという予感がした。


小塚崇彦選手

SPでいい位置につけながらそこで守りの姿勢に入ろうとせず、果敢に4回転に挑戦したところに好感を抱いた。SPで失敗したフライングシットスピンで恐がらずに大きく跳んでいたのも立派だと思う。回転不足で転倒してしまったが、ほかの要素をミスなくこなし、GOEでも加点をもらってTESだけでは何と1位だった。初めてのグランプリ・ファイナルでもぜひこの調子で果敢に挑んで欲しい。


パトリック・チャン選手:ラフマニノフ・セレクション

二度目のトリプルアクセルとその後のサルコウで大きく乱れたが、ほかは質の高い演技でGOEとPCSで点を稼ぎスケートカナダに続く見事な優勝。サーキュラー・ステップではレベル4の認定をもらっている。プログラムはラフマニノフのチェロ・ソナタのスケルツォとアンダンテにピアノ協奏曲のフィナーレを組み合わせたもので、奇しくもスザンナ・ポイキオさんのフリーと同じような構成になっている。これだけ完成度の高いプログラムなので全曲チェロ・ソナタで統一してしまった方がよかったような気もするが、今シーズンのお気に入りのプログラムになりそう。

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フランス大会2008 男子シングル SP

2008年11月16日

小塚崇彦選手:「Take Five」

彼らしい滑らかなスケーティングが際立ついい演技。それだけにスピンでのまさかの転倒がもったいない。それでも2位につけるあたりは力のついてきた証拠だと思う。


パトリック・チャン選手

小塚選手と似たタイプの選手で、今回この二人が競い合う形になったのはとても興味深い。このSPはミスのなかった分だけチャン選手の方が上に立つことになったが、彼らは実力の拮抗したいいライバルだということを裏付ける結果だと思う。

それにしても彼のスケーティング技術は本当に素晴らしいと思う。ステップなどは見ていて惚れ惚れする。彼は現在の男子シングルの選手の中でも最も魅力的な演技を見せてくれる選手の一人だと思うのだが、その割にはフィギュアスケートファンの間での盛り上がりが今一つのように思えるのが少し気にかかる。彼のことを絶賛しているのは私一人のような気がする。もう少し彼を熱烈に応援する声が高まってもいいのではないか。


ブライアン・ジュベール選手

4回転を狙ったトウループがまさかの1回転。ジャンプで得点を叩き出すタイプの選手なだけにこの失敗は痛いところ。ステップは彼独特の特徴のあるもので、今の採点方法だとこういうステップは点につながりにくい面があるのではないかと思うが、何にせよ個性を前面に出すのはとてもいいことだと思う。

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フランス大会2008 女子シングル SP

2008年11月16日

いよいよ真打、真央ちゃんの登場ということでテレビ朝日の放送も気合いが入りまくり。そうなると見る側の不快指数が跳ね上がるというのはなんともはや…。


キャンディス・ディディエさん:「Blues for Klook」

長身で長い手足が魅力の選手。スピンで軸がふれたりスピードがなかったりするのが目についた。


ベアトリサ・リャンさん

スピンから始まる特徴的なプログラム。フリップでの転び方が痛そうだったのでちょっと心配。


エレーネ・ゲデヴァニシヴィリさん

ジャンプが一つも成功しなかった。こんな実力の選手ではないはずなので残念。体も絞れていないようで、ちゃんと練習ができているのか気がかり。


エミリー・ヒューズさん

こちらは学業との両立のために練習が十分でない模様。同じ練習不足でもこういう理由なら本人が選んだ道なので余計な心配はしなくて済む。そういう状態で世界の強豪たちと競うのは厳しいものがあるけど、いつも元気一杯で貴重なキャラクターである。


ジョアニー・ロシェットさん:ガーシュウィン「サマータイム」

フリップでまさかの転倒。この人の転倒というのはほとんど見たことがないような気がする。本人も何が起こったのかよくわからないような様子だが、それでもSP1位はさすがの実力。


キャロライン・ジャンちゃん:バヤデール

スケートカナダでは転倒したフリップを成功させたが、ダブルアクセルで失敗とちょっともったいない演技。ステップに工夫があってなかなかいいプログラムだと思う。


浅田真央ちゃん:ドビュッシー「月の光」

コンビネーション・ジャンプで昨シーズンのこの大会と同じような形での失敗。続くルッツもダブルに。シーズン開幕前にルッツの矯正に成功したというニュースが伝えられていたが、やはり試合の緊張感の中でプログラムを通して滑ると練習とは違った結果になることもあるだろうと思い、あまり楽観してはいなかった。昨シーズン、フリップを矯正した安藤美姫さんが副作用でルッツの方に乱れが出てしまったように、体にしみついた感覚というのはなかなか簡単には改められるものではないいのだろう。幸いなのは今がまだオリンピックまで十分な期間のある時期だということ。この時期にこうしたことを経験しておくのは今後に向けてプラスになるととらえて前向きに考えて欲しい。

プログラムはさすがにローリー・ニコルさんの作品だけあって幻想的な雰囲気のある素晴らしいものだと思う。両腕の使い方がとてもやわらかくなっていたり、キャメルスピンで天井を向いた姿勢で回ってみたりと随所に新たな取り組みが見られて、ミスのあった中にも真央ちゃんの意欲を感じ取ることができた。

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本田美奈子さん ボイスレターの音源がCDに

2008年11月12日

本田美奈子さんが病床で恩師の岩谷時子さんのためにボイスレコーダーに吹き込んでいた歌の音源がアルバムとしてリリースされることが明らかになった。来月にアルバムが発売されるということは前から知っていたのだけど、それがボイスレターの音源を収録したものだとは驚きだった。

このサイトでも散々この音源をリリースして欲しいと繰り返し書いてきたけど、それを実現させるのは正直かなり難しいかな、と思っていた。録音機器にしても美奈子さん自身のコンディションにしても当然万全ではないし、実際この夏のNHKアーカイブスの展示で聴いてみるとかなりノイズのひどいものも含まれていた。こういうものを商品としてリリースするというのはなかなか難しい判断だったのではないかと思う。ニュースを目にした時は涙が溢れそうになった。本当によく決断して下さったな、と関係者の方への感謝の思いで一杯である。


『のど自慢』で「つばさ」がチャンピオンに

書くのが遅れていたけど、この間の日曜日に『NHKのど自慢』土佐大会を何気なく見ていたら、最後の20人目に保育師の女性が美奈子さんの「つばさ」を歌い始めた。実に素晴らしい歌唱で聴きほれていたら見事に合格の鐘が鳴った。いよいよこれからというところだったのでもうちょっと聴いていたかったというのはあったのだけど、何にせよ合格したのは素晴らしいことだ。あまりにいい歌だったのでチャンピオンの可能性もありそうだ、と注目していたら期待通りにこの女性がチャンピオンに輝いた。

昨年も『のど自慢』で女子高校生が「つばさ」を歌ってチャンピオンになったのだけど、その時は残念ながら見ていなかったので、今回こうして見ることができたのはとてもうれしかった。昨年のその女子高生はチャンピオン大会には出場しなかったのだけど、今度はぜひチャンピオン大会で「つばさ」を披露して欲しい。

追記:13日0時45分

さっきamazonをチェックしてみたらすでにこのアルバムの予約受付が開始されていて、ジャケット写真と収録曲目が発表されていた。美奈子さんが歌ったのは全部で30曲を越えると聞いているが、そのうち19曲が収録されるらしい。その中に私がどうしても身近に聴けるようにして欲しいと願っていたこの歌をfor you」と「星に願いを」が含まれているのがとてもうれしい。選曲した方の秀逸なセンスを感じる(という言い方は自惚れが強過ぎるかな)。

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中国杯2008 女子シングル フリー

2008年11月10日

アリョーナ・レオノワさん

いろいろとミスの多い演技だったけど、SPとは違い演技終了後に見せてくれた笑顔が素敵だった。


サラ・マイヤーさん:ピアノ協奏曲「黄河」

昨シーズンの新実徳英さんの音楽といい、アジアの音楽への特別なこだわりがある様子。地元中国の観客にはうれしい選曲だったと思うが、ちょっと曲の雄大さに細身の体が負けてしまっているように感じた。ジャンプの失敗も多く、本来はこんなに崩れる選手ではないはずなだけに残念。


スザンナ・ポイキオさん:ラフマニノフ・セレクション

いつ見ても心が安らぐ大人の演技。中間部分の音楽はISUのバイオを見ると「Melody on a Theme by Sergei Rachmaninov」とのことなので、何かラフマニノフの作品をアレンジしたものなのかも知れない。伊藤みどりさんの解説でピアノ協奏曲の部分を聴いているとついついアルベールヴィル・オリンピックでのトリプルアクセルが頭に浮かんでしまう。


カトリーナ・ハッカーさん

ほかの要素はまだまだだな、と思うところが多いけど、スパイラルのポジションはさすがにとてもきれいだった。


アシュリー・ワグナーさん

SPに引き続き昨シーズンまでとは演技の風格が違ってきたな、と感じさせる演技。バレエのストーリーはよく知らないけど、音楽と衣装と振付けがよくマッチしていていいプログラムだと思った。


ラウラ・レピストさん

ルッツとフリップはないながらもできることを精一杯やって上手に点数を叩き出している感じ。実力のある選手がたくさんいる中での表彰台は見事。


安藤美姫さん

スコアを見ると相変わらずダウングレードが多いけど、スケートアメリカではかなり低く抑えられた点数が戻ってきていることに本人は満足そう。ファイナルに進出できたらジャンプの調子を取り戻して彼女にとって最高の演技を見せて欲しい。


キム・ヨナさん

苦手のループはダブルアクセルに変更、一つ目のルッツの着氷が乱れコンビネーションにできなかったが二つ目をコンビネーションにしてリカバリー。高得点をマークしての優勝はさすが。SPでは‘e’判定だったフリップがフリーでは‘!’となっていたけど、このことの当否は素人なので判断を控えたい。スケートアメリカで見た時よりはいいプログラムだな、と思えてきた。

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中国杯2008 女子シングル SP

2008年11月 8日

BSのみだと全選手を放映してくれて、特に地元中国の三人娘が見られたのがうれしい。地上波でも放送されるフリーの方はこうはいかないんだろうな…。


王月人さん

私のお気に入りの美少女選手。いくつか失敗はあったけど最後に笑顔を見せてくれてうれしかった。


劉艶さん

こちらは同じ中国選手ながら大人の演技で魅せてくれた。ミスはあったけどやっぱり美しい。


カトリーナ・ハッカーさん

初めて見るアメリカの選手。この人もとてもきれいな人だけど体型でちょっと損をしているかな、という気がする。この間からヨーロッパ系の選手がアジア系の選手の中に入ると体型に見劣りがするということが妙に気になっている。


許斌姝さん

こちらも体型のよさと滑らかなスケーティングが魅力の中国選手。ただちょっとこのプログラムは振付けと音楽が合っていない感じがした。


アリョーナ・レオノワさん

おそらく初めて見る選手。ジャンプはちょっと散々な感じだったけどスパイラルでバックでチェンジエッジをしていたのが印象に残った。


ミラ・リョンさん

年齢以上に幼く見える選手だったけどかなり大人っぽくなってきた感じ。


スザンナ・ポイキオさん

ベテラン選手らしい、相変わらずの優雅な演技。実況ではパーソナル・ベストと紹介していたけど、おそらくシーズン・ベストの誤りだと思う。


アシュリー・ワグナーさん

解説の伊藤みどりさんも仰っていたけど、以前は元気一杯の演技が魅力の選手だったのが大人びた優雅な雰囲気をまとうようになってきた。レイバック・スピンのポジションがきれいなのもうれしい。


ラウラ・レピストさん

難度は控えめながらトリプル–トリプルのコンビネーションを含めたジャンプを確実に成功させて上位に食い込んだ。近年のフィンランド勢の躍進は本当に著しいものがある。


安藤美姫さん

ルッツ–ループのコンビネーションは回転不足もとられずに成功したが踏み切り前のステップを変更したフリップが回転不足になってしまった。体調があまりよくないそうで心配になる。インタビューでフリーでの4回転は封印すると答えていたが、それを聞くとなおさらスケートアメリカの時に跳んでおくべきではなかったか、という気がする。


サラ・マイヤーさん

この人は体型では誰とくらべられても心配のないヨーロッパの選手。プログラムは今までの彼女とはかなり雰囲気の違うもので、イメージ・チェンジを計ろうとする意図が感じられる。これまでエッジ・エラーをとられがちだったフリップを外して代わりにループを入れてきたが、そのループで転倒するなどやや精彩を欠いた演技だった。


キム・ヨナさん

全ての要素を成功させた割には点数が低いと思ったらフリップがロング・エッジと判定され、ルッツで回転不足をとられたらしい。このエッジ判定には本人も不服を述べていたようだが、これはことによると今後の大会の戦い方にも影響を及ぼすことになるかも知れない。

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おふくろさん騒動が終息

2008年11月 6日

森進一さんが今年4月に亡くなった川内康範さんのご遺族の了解を得て「おふくろさん」を再び歌えることになった。去年の2月に騒動が勃発してから和解に至ることのないまま川内さんが逝去されたので、このままこの名曲は埋もれていってしまうのかと危惧されたが、無事に解決して本当によかった。ご遺族の英断に感謝したい。記者会見に同席した川内さんのご子息が「歌は作詞家のものでも作曲家のものでもなく、聴く人のものだ」と仰っていたのが音楽ファンとしてはうれしかった。今後これまでより一層の感慨をこめて歌うことになるであろう森さんの熱唱を聴くのが楽しみだ。

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「wish」

2008年11月 6日

作詞:本田美奈子./一倉宏 作曲・編曲:井上鑑 演奏:INOUE AKIRA & M.I.H.BAND
シングル「wish」UUCH-5074(2006.11.01)所収。

今日は本田美奈子さんの三回目の命日である。これまで二度は感傷的に美奈子さんの逝去を悼むことしかできなかったが、今回はこれからを生きていかなければならない私たちの宿命を前向きに見据えつつ、彼女が歌うはずだった幻の復帰作について語ってみたい。

美奈子さんが入院している時、一連のクラシック・アルバムで編曲を務めていた井上鑑さんは復帰第一作となるべき楽曲をプレゼントしていた。当時福山雅治さんのツアーに同行していた井上さんはバンドのメンバーの協力を得てデモDVDを製作して病床の美奈子さんのもとに届けた。福山さんの熱烈なファンだった美奈子さんはこれを見て泣いて喜んだという。

歌詞は美奈子さん自身がつけて歌う予定だったが、この構想はついに実現することはなかった。彼女の夢を叶えるためにデモDVDに参加したメンバーたちが追悼シングルとして製作したのがこの「wish」である。歌詞は美奈子さんが書き残していた言葉を基に一倉宏さんが補作して完成された。


美奈子さんの遺した言葉というのがどの程度のもので、完成された歌詞に一倉さんの創作がどの程度盛り込まれているのか私たちにはよくわからない。しかしこの「wish」の歌詞は晩年の美奈子さんの到達していた心境を窺い知るのに十分な資料である。臍帯血移植手術を受けた後に「心まできれい」とふともらしたという、そのきれいな心まで見透かすことができるような気がする。

美奈子さんはアイドルとしてデビューした当初から「アーティストでありたい」と繰り返し語っていたが、彼女が真に芸術家であったということはここに記された言葉たちが顕著に物語っている。そこで繰り返し語られているのは、あたりまえのことがいかに尊いものであるか、という晩年の美奈子さんが日々感得していたであろう感慨である。それは人類史にその名を残す偉大な芸術家や宗教家の至言にも比肩し得る域にまで達している。


「あたりまえの ことばかり/美しく思える/そんな日がある」「あたりまえの ことなのに/かけがえのない日々」といったフレーズからは、例えば唐代の禅僧、百丈懐海が「如何なるかこれ奇特の事」と問われて答えた「独坐大雄峰」という言葉を思い出す。禅師が一人大雄山に坐すというあたりまえのことに見出していた奇跡のような素晴らしさと同じことを、美奈子さんはおそらく会得していたのだろう。

「そんな日がある」という言い方からは『カラマーゾフの兄弟』で主人公のアリョーシャが「人生のあらゆる喜びを味わい尽くすのに一日あれば十分ではないですか」といったようなことを語っていたのを思い出したりもする。美奈子さんが病床でたくさんの愛に囲まれながら過ごした日々は、まさに「そんな日」にほかならなかったのだと窺われる。


「生きる意味は 生きること」というのは晩年の美奈子さんが到達した心境を端的に言い表した言葉で、“LIVE FOR LIFE”というフレーズはこの歌の仮のタイトルとして用いられたほか、美奈子さんの遺志を受け継いだ活動の名前にもなっている。この「生きるために生きる」というトートロジーには、阿弥陀経の「青色青光。黄色黄光。赤色赤光。白色白光」という一節や、「丙丁童子来求火」という禅の言葉にも似た、容易には汲み尽くすことのできない深い知恵が宿されているのを感じる。

思い出すのは『三人姉妹』の幕切れでヒロインの一人、オリガが絞り出すように語った「何のために私たちは生きているのか、それがわかったらね!」というセリフである。この歌を聴いていると、20世紀の初めにアントン・チェーホフが発したこの問いに100年の時を経て一つの答えが提示されたようで、感慨深い思いがする。現代思想の狂騒が通り過ぎた後の、荒涼たる思想的砂漠ともいうべき不毛の地に取り残された私たちにとって、このような至言が一人の歌手から生み出されたのは一つの希望でもある。現代の哲学教師たちがいかに躍起になって意味論を考察の主題から排除することを試みようと、私たちは生きることの意味を希求せずにはいられない存在なのだ。


美奈子さん自身は結局この歌を完成させることも自ら歌うこともなくこの世から去っていった。だからこの歌の録音でメイン・ヴォーカルを務めた福山雅治さんが「この曲は永遠に未完成なままの曲」と述べたように、「生きる意味は 生きること」というこの命題も、いつも開かれたものとして私たちに現前するのだと思う。「生きるために生きる」というその意味は、私たち一人一人がそれぞれに見出していかなければならないものだろう。それを自らの生のうちに実践していくことは、今や美奈子さんのいなくなったこの世界を生きなければならない私たちの、悲しくも幸福な義務として受け止めていきたい。

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稀代のヒットメーカーの転落

2008年11月 4日

世の中はかつて一世を風靡した名音楽プロデューサーが逮捕された件で持ち切りである。彼の身にもしこのような災厄が起きるとしたらお薬関係のことではないかと思っていたので詐欺事件というのは少し意外だった。かつて2年連続で長者番付の全国4位になった人が借金返済に苦しんで詐欺をはたらくとは私の金銭感覚では理解不能なことである。

彼の音楽は最盛期にはヒットチャートの上位を独占していたものだが、私ははっきり言ってどれも全く好きになれなかった。あの時代は日本のポピュラー音楽史における暗黒時代だったと言えるのではないかとさえ思っている。確か『ニュースステーション』だったと思うのだが、彼がスタジオに生出演してインタビューを受けた時に、ファミリー・レストランなどで周りの客の会話に聞き耳を立てるのが好きだと答えるのを聞いてとても嫌な気分になったのを覚えている。彼はそうした取材によって世の中が何を求めているのかを察知して音楽作りに生かしているというのだが、ヒット曲が周到なマーケティング・リサーチに基づいて生み出されるようになった時代を象徴するエピソードだと思う。音楽は作り手の思いも聴き手の共感もなくただただ消費されるだけの存在に成り果ててしまうのかと思うと暗澹とした気分にさせられたものだった。

幸いに、というべきか、そうした時代は長続きせず、しばらくすると世の中には再び丁寧に言葉を紡ぎ出された歌があふれるようになった。ゆずがブレイクし始めた時の安堵感は忘れることができない。私がZARDの音楽を懐かしく思い出すのも、坂井泉水さんがあの時代に弧軍奮闘して良質な詞を発表し続けた得難い存在だったという認識が根底にあるからでもある。飛ぶ鳥を落とす勢いだった彼がこれほどまであっけない転落を迎えた理由はよくわからないが、セールスの記録とは裏腹に彼の音楽には時の試練に耐えて生き残るだけの力がなかったというのも一つの要因なのではないだろうか。


彼の作品の中で私がほとんど唯一共感して聴くことのできる曲である「My Revolution」を聴いてみた。発表から20年を経てなおこの曲に新鮮な感動を覚えるのは彼の卓越したメロディー・センスもさることながら川村真澄さんによる詞の力も大きいと思う。彼の作品が今後どのような運命を辿るにせよ、この歌だけは後々まで聴き継がれていって欲しいと願わずにいられない。

求めていたい My Revolution
明日をかえることさ
誰かに伝えたいよ
My Tears My Dreams 今すぐ

自分だけの生き方
誰にも決められない
君とみつめていたい
My Fears My Dreams 抱きしめたい
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スケートカナダ2008 女子シングル フリー

2008年11月 4日

SPと異なり数人の選手がカットされた。代わりにSPの演技が流されるとは…。地上波で放送するとなると中身が改悪されるというのは何とかならないものか。


武田奈也さん

ジャンプの構成が物足りないほかスパイラルでのスピードのなさも目を引いた。これから世界で戦っていくためにはもう一皮むける必要がありそう。


カロリーナ・コストナーさん

決して会心のできではなかったけどSPに引き続いて彼女の新たな境地を見る思いがした。やっと女性らしい魅力を感じる演技になってきたような気がする。点数や順位がぱっとしなかった時に限って褒めるというのは決してひねくれているつもりはないのだけど。


アリッサ・シズニーさん

決して完璧な内容ではなかったけど一頃のような痛々しい感じでは全くなくなってきた。この人が好調なのとそうでないのとではフィギュアスケートの盛り上がり方が違ってくると思う。ぜひ今後も好調を維持して欲しい。久々の表彰台おめでとう!


ベアトリサ・リャンさん

プログラムが安藤美姫さんや以前の中野友加里さんと被ったのは彼女にとって少し酷な気がする。演技を見ながらどうしても頭の中に中野さんの姿が浮かんでしまう。でも彼女なりに懸命に芸者を演じようとする意志は伝わってきた。


ジェンナ・マコーケルさん

SPに続き好調で生き生きと演技しているのが感じられた。今後彼女の存在は他の一流選手たちにとっても脅威になってくるかも知れない。


キャロライン・ジャンちゃん:バヤデール

ルッツとフリップでミスを連発。これまでの彼女からは考えられないような演技だったが、これも全ての女子選手が通る道なのか。後半は自分自身に対する落胆がありありと表情に浮かんでいたが、こういうところで空元気でいいから笑顔を作って見せることも今後彼女が学んでいかなければならないことなのかな、と思う。


村主章枝さん:Otonal

いくつかミスはあったけど久しぶりに村主さんらしい演技を見ることができた。音楽もいささか食傷気味ではあるけれど彼女の本来の魅力を引き立てるプログラムだと思う。最後のスピンは間違えて同じ構成のものを二度やってしまったようでノーカウントになり、演技終了後頭を抱えていたのはそれに気づいたせいだったみたいだが、それだけプログラムの世界に没入していたということなのだろう。要素が一つ足りない状態でも二位に入ったのは彼女の実力を示す結果だと思う。


ジョアニー・ロシェットさん:ロドリーゴ アランフェス協奏曲

彼女本来の力強い演技で堂々の優勝。最初に三連続のコンビネーション・ジャンプを跳び後半にジャンプ・シークエンスを使うという戦術も板に付いてきた感じがする。この調子を維持できればファイナルや世界選手権での表彰台も見えてきそうな気がする。


見ていて気になったのが音楽に音割れが目立ったこと。ほかのチャンネルではこういうことは起きていなかったのでこちらの受信環境の問題ではないと思う。場内放送のスピーカーの問題なのか、放送局の録音の問題なのか…。もし場内に流れていた音楽があの音だったのだとすると選手たちには気の毒なことだったと思う。

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スケートカナダ2008 女子シングル SP

2008年11月 3日

通常より短い時間枠なのに驚いたことに全選手が放送された。やればできるんじゃないか、テレビ朝日。というわけで私も欲張って全選手の感想を書いてみる。しかしいつものことながら地上波放送がなくて気合いが入っていないと内容が充実するというのは全く何というべきか…。


シンシア・ファヌフさん:ショパン ノクターン第20番

ショパンのノクターンのヴァイオリン編曲版によるプログラム。おそらくナタン・ミルシテインによる編曲だと思う。衣装の色と雰囲気がよく合って楽しく見ることができた。


ジェンナ・マコーケルさん

この人は痛々しい感じの演技しか見た記憶がなかったのだけど、今回はかなりミスの少ない演技で上位に食い込んできた。ケヴィン・ファン・デル・ペレン選手との結婚で充実した私生活を過ごしていることがいい結果に結びついたのだろうか。


ミリアン・サムソンさん

初めて見る選手。ジャンプはぱっとしなかったけど気品のある表情が魅力的だった。


アリッサ・シズニーさん:サン=サーンス「白鳥」

前哨戦で素晴らしい内容と聞いていたので楽しみにしていたがルッツは敢えなく転倒。でもやっぱりこの人の演技は美しい。欲を言えば最後のビールマン・スピンはもう少し時間に余裕を持たせてたっぷりと見せて欲しい。


武田奈也さん

ピンクの蛍光色の衣装が目に痛い。トリプル–トリプルを封印し確実に点数を稼ぐ戦術を採ったが得意のループで失敗して冴えない点数に。昨シーズンはNHK杯でまさかの表彰台と大躍進のシーズンだったけど、シニアで安定して活躍するにはもう少しジャンプの難度と確実性が求められるところだと思う。


ベアトリサ・リャンさん

昨シーズンと同じプログラムだと思うけどスピンから始まるのが特徴的。ほとんどの選手がプログラムの最初に三つのジャンプをまとめている中で彼女はジャンプをバランスよく配置している。こういうのはきちんと評価して上げて欲しいと思う。


村主章枝さん

ジャンプに自信が戻ってきたようで得意のルッツやフリップに高さがあった。右足でのレイバック・スピンでバランスを崩すミスはあったが全体的に生き生きとした演技だった。モロゾフコーチに師事するという大きな決断をして臨んだシーズンが彼女にとって満足のいくものになるよう祈りたい。


エレーナ・グレボワさん:ドヴォルザーク「我が母の教え給いし歌」

この人は選曲がいつも私のツボをついてくるので応援したくなる。内容は得意のトリプル–トリプルで転倒したりして本来の力は出せなかったようだけど雰囲気のあるいい演技だったと思う。


イェンニ・ヴァハマーさん

フィンランド期待の新星がいよいよシニアデビュー。私は演技を見るのは多分初めてで、名前は以前からよく聞いていたけどこんなにかわいい人だとは知らなかった。私の好みのタイプで、ジャンプが失敗した時の痛々しい表情にまでそそられてしまった。また応援する選手が増えて大変だけどやっぱりうれしい。


ジョアニー・ロシェットさん

コンビネーション・ジャンプで間にターンが入ってしまったが大きな減点にはならなかずSPを終えてトップに立った。さすがに実力者というべき、力強い演技。


キャロライン・ジャンちゃん:バヤデール

表情や体型が少しだけ大人っぽくなったキャロラインちゃん。これ以上大きくならないようにこのまま時間を止めてしまいたくなる、今まさにそんな微妙な瞬間に立ち会っているような気がした。ルッツをプログラムから外してきたのはおそらく体型の変化やエッジの矯正などの事情があってうまく跳べていないのだと思う。フリップも挑戦はしたが転倒、癖の強い跳び方は相変わらずでちょっと見映えに問題がある。でもそんなことには関係なくかわいいものはかわいい♥


カロリーナ・コストナーさん

今までにくらべて身のこなしがとても優雅になってきたという印象を受けた。どうもこの人は恵まれた体型ながら私には演技が野暮ったく感じられることが多かったのだけど、大人の女性らしい柔らかな雰囲気が身についてきたように思う。トリプル–トリプルのコンビネーション・ジャンプがダウングレードされたり最後のダブルアクセルでもったいない転倒があったりして点数的には物足りない結果になったのだけど、彼女の演技を見て初めて心から満足したと言える内容だった。


フリーの感想はまた後日。

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