世界選手権2010 女子シングル
2010年3月29日
鈴木明子さん
元々世界選手権には出場しないはずだったのでオリンピック終了後にいろいろな予定を組んでいたそうで、そのために準備が十分でなくSPではここしばらくはなかったほど大きく乱れてしまった。フリーでもスパイラルが止まってしまいそうなほどスピードがなかったり本来の出来ではなかったと思うが、それでも彼女の実力の一端は見せてくれて、順位も大きく巻き返した。特にレベル3に認定されたステップは多くの加点をもらっていて、全選手中最高点を叩き出している。鈴木さんの演技はステップが見せ場だという認識が国際的にも定着しているようで、そのことが何よりうれしい。
安藤美姫さん
SPではめずらしくルッツでの転倒があったが、フリーは大きなミスのない充実した演技を見せてくれた。オリンピックの時よりもスピードがあったのがよかった。これで4年前の悔しい想い出を払拭できただろうか。
キム・ヨナさん
オリンピックの金メダリストがその年の世界選手権にも出場するのは近年あまりなかったことだが、やはりコンディションの調整やモティヴェーションの維持には苦心したようで、本来の出来ではなかった。SPはフリップを跳んだ後に左足に何か違和感が生じたようだが、スローで見ても右足だけで着氷しているので問題があったとすれば踏み切りの際だろうか。その辺はちょっとよくわからない。
フリーはダブルアクセル–トリプルトウループのコンビネーションまでは惚れ惚れするようなできだったが、その後のサルコウからおかしくなった。この演技内容でフリー1位というのはさすがにどうかと思うが、総合2位で来年の2枠を確保して、彼女としては肩の荷を降ろせたというところか。
カロリーナ・コストナーさん
久しぶりに彼女のいい演技を見たという気がする(一体何年ぶりだろう)。最初のトリプルフリップ–トリプルトウループのコンビネーションはトウループが両足着氷だが回転数は認定されている。中盤に跳んだトリプルトウループがダウングレードされたことなどが響き、点数が意外に伸びなかったのが残念だった。私の目には彼女が銅メダルに相応しかったように映った。
浅田真央ちゃん
見た目には完璧な演技だったのだが二つ目のトリプルアクセルがダウングレード。今一つ点数は伸び切らなかったが、本人としては満足そうだった。波乱に満ちたシーズンだったが、本人の納得のいく形でシーズンを締め括ることができたのはよかった。またこれから先のスケート人生にも気分よく踏み出していけるのではないだろうか。ひとまずはゆっくり休んで、これまで奮闘し続けてきた自分を褒めて上げて欲しい。
長洲未来ちゃん
SP1位でもしかして表彰台、という期待も生じたのだが、本人もそのことを意識し過ぎてしまったようで、中盤からボロボロになってしまった。オリンピックで大活躍していよいよ世界のトップ選手に仲間入りしてきた感のある未来ちゃんだが、まだこうした脆さも抱えているようだ。しかし来シーズン以降ますますの成長を見せてくれることになるのではないだろうか。