スケートアメリカ2007 女子シングル フリー
2007年10月29日
エレーネ・ゲデヴァニシヴィリさん
SPはジャンプがうまくいかなかったので心配したが最初のルッツは見事に成功。その後フリップと二つ目のルッツは失敗したものの全体には高い能力を示す演技だったと思う。今後の完全復活に期待したい。
アレクサンドラ・イェヴレワさん
昨シーズンあたりから名前を聞くようになっていたけど演技を見るのは初めて。ジャンプの構成はトップ選手にくらべるとかなり物足りない感じ。スピンなどでは多彩な技も見せていた。スパイラルシークェンスでのバックアウトからインへのチェンジエッジはかなり難しそうなポジションで実施していた。
ミラ・リョンさん:ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番〜第3番
この曲が鳴り出すと音楽に聴き入ってしまい演技に集中できなくなる。第2番の第1楽章から第2楽章に移ったあと第3番の第3楽章が鳴り始めたので驚いた。
以前見た時は元気でかわいらしい感じの演技をする選手という印象だったが、かなりやわらかい動きも見せていた。おそらく相当に意識してイメージチェンジを計っているのだろう。欲を言えばステップなどでもう少しダイナミックな感じを出せればなおいいな、と思った。
浅田舞さん
舞さんらしくて優雅でとてもいいプログラムだと思った。二度目のルッツに加えてステップでも転んでしまったのはもったいないが、見終って満足感のある演技だった。フィニッシュの後の本人の笑顔も素晴らしかった。
エミリー・ヒューズさん
かた太りみたいな感じで体が大きくなってしまったので全体に演技が無骨な印象を受けた。ミスがあってもそれが後を引かない快活さは健在。キス&クライでの笑顔もとてもかわいかった。
キャロライン・ジャンちゃん
容貌や体型はまだ幼いけれど、お姉さん選手たちに引けをとらない優雅な表現のできる稀有な選手だと見る度に感嘆してしまう。このシューベルトの「アヴェ・マリア」もそんな彼女のよさを生かした素晴らしいプログラムだと思う。レイバックスピンはレベル4で全てのジャッジがGOEで+3をつけていた。演技が終わった後キス&クライへの段差に腰かけてエッジにカバーをつけていたのがかわいかった。
安藤美姫さん:カルメン
冒頭のマイムの動きはモロゾフコーチならではの振り付けだと思う。全体にカルメンらしさはまずます出せていたのではないか。おそらく右肩の影響もあって得意のトリプル–トリプルのコンビネーションジャンプを入れられないのはキミーとの競り合いの中では苦しいところ。フリップはエッジの矯正によって不安定になっているようだ。ジャンプの切れを欠いているのは心配だが、PCSで比較的高い点数が安定して出ているのは世界女王の強みでもある。前向きに考えてグランプリシリーズを戦い抜いて欲しい。
先ほど『報道ステーション』でエキシビションを見た。女王の風格漂う見事な演技だったけど、私としては「ムゼッタのワルツ」が見たかった。あれはもうやってくれないのかな?
キミー・マイスナーさん:トゥーランドット
トリノオリンピックでの荒川静香さんの演技が記憶に新しい「トゥーランドット」を敢えて選んだのは勇気ある挑戦と言えるだろう。彼女にもミスがあったがそれでも安藤さんに競り勝ったのはやはり力のある選手だということ。日本勢にとって侮れないライバルだということをあらためて印象づける優勝だった。