MOI2007

2007年12月31日

心に残った演技を中心に簡単に感想を。

今回最も印象に残ったのは水津瑠美さんの演技だった。水津さんというと今年のDOIなどで見たキュートなダンスのイメージが強かったけど、今回は民族舞踊風のテイスト(インドの音楽らしい)の個性的なプログラムを極めて高い完成度で披露してくれた。これまでそれほど注目されていなかった選手だけど実はとんでもない才能の持ち主なのではないか、という気がしてきた。ただその割りには競技用のプログラムがやや平凡な印象を受けるので、今後はもっと彼女の持ち味を前面に押し出したものにしていくといいと思う。

太田由希奈さんは出ると思っていなかったのでうれしい驚きだった。ジャンプはあらら…、という感じだったけど、ジャンプは跳ばなくてもいいからいつまででも滑っていて欲しい、と思わせる演技だった。

鈴木明子さんは真っ白な衣装が鮮烈で美しかった。彼女のフリーの演技の際の実況アナウンサーのコメントについて同業の今泉清保さんがたいそうお怒りになっているのだけど、私はもう彼の声は脳内フィルターで除去してしまっていて碌に聞いていないので特に腹も立たなかった。ただ彼女の病気のことはもうあまりふれなくてもいいのではないかと思う。彼女自身このことはオープンにしているので避ける必要はないが、枕詞のように連呼することもないだろう。彼女の演技にはその種の“物語”がなくても十分見る人の心に訴えかけるものがあるのだから。

村主章枝さんはドビュッシーの「月の光」のオーケストラ版で滑っていてとても美しかった。いつも新しいことに挑戦する彼女には畏敬の念を覚えるけど、私はやはりベートーヴェンの「月光」やチャイコフスキーの「白鳥の湖」を滑っていた頃の彼女が一番好きだったな、と懐かしく思い出した。競技用のプログラムでもそろそろ原点に帰ってこういう路線でいったらどうかと思うのだけど。

小塚崇彦選手は彼には不似合いなほどはじけて踊っていて楽しかったけど、選曲がまたしてもレトロ風味なのが気にかかる。ヴェンチャーズにビートルズにサタデーナイトフィーバーというのは佐藤信夫コーチの趣味なのだろうか。選曲や振り付けにはもう少しほかの人の意見も参考にした方がいいような気がする。

中野友加里さんとの即席ペアは驚いたけど楽しかった。本来のペア競技の選手のように近い距離では滑れないのでカメラが両方をとらえるのに苦労していたけど。友加里さんは去年は放送されなかったけど織田信成選手とペアを組んでいたそうで、さすがに素敵な女性だけあってもてるんだな〜、と感心する。

真央ちゃんはSPを生演奏で滑ってくれた。あの「ヴァイオリンと管弦楽のためのファンタジー」という曲はソリストのジョシュア・ベルさんの美音があって初めて成立する楽曲というイメージがあったのでほかのヴァイオリニストでうまく再現できるのか、と最初は不安に思った。しかしコンサートマスターとしてクレジットされていた豊島泰嗣さんの演奏だと思うけど、そこはさすがにプロの演奏家で、歌い回しの感覚が微妙に違っていたりはしたものの十分美しい演奏だった。今シーズンの真央ちゃんにはオーケストラの生演奏がとてもよく似合っていると思った。


というわけでこれが本年最後のエントリーになりますが、この一年私の他愛もない戯れ言におつきあい下さいましたみなさま、どうもありがとうございました。どうぞいい年をお迎え下さい。

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全日本選手権2007 女子シングル フリー

2007年12月28日

浅田舞さん:チャイコフスキー 白鳥の湖

プログラムを昨シーズンの「白鳥の湖」に戻してきた。今シーズンのフリーのプログラムはアメリカ大会で見た時にとても気に入ったのだけど、急遽出場したNHK杯では途中棄権し、結局一度きりしか見られないことになるのは少し残念。ジャンプの構成はルッツを外してきたが、今シーズンのルール改正に対応した現実的な選択と見るべきか。しかしフリップもきれいに決まらず以前の舞さんからくらべるとかなり寂しい内容だった。得難い気品のある魅力的な選手なのでぜひもっと輝いている姿を見せて欲しい。


西野友毬さん:チャイコフスキー 眠れる森の美女

ジャンプの天才少女らしくルッツは見事に成功させたけどフリップで転倒。先輩の荒川静香さんと同じくフリップにやや苦手意識があるのかも知れない。しかしお姉さん選手たちに交じっても物怖じせずにのびのびと滑っているのが素晴らしい。世界ジュニアでもぜひこの勢いで活躍して欲しい。


太田由希奈さん:ホアキン・ロドリーゴ アランフェス協奏曲

今日はサルコウとトウループとトリプルジャンプを2種類跳ぶことができた。ルッツの体勢に入った時はどきっとしたが、はじめからダブルと決めて臨んでいたようだった。トウループは一つ目は決まったが二つ目で転倒。このどちらかはコンビネーションのはずだったが、二つ目のサルコウを急遽コンビネーションにして挽回しようとした。しかしこれが裏目に出てダブルルッツからの3連続のコンビネーションがノーカウントになってしまった。

しかしそうした技術的な細かい点はともかく、由希奈さんの演技が見られたことがとにかくうれしい。ゴールデンスピンの映像を見た時は気のせいか由希奈さんらしさがやや稀薄になってしまっているかな、と見えたのだけど、今回あらためて見ると決してそんなことはなく、由希奈さんはやはり由希奈さんだった。スパイラルでの優雅な身のこなしは余人に真似のできないものだし、ステップも鈴木明子さんのようなダイナミックさはないものの由希奈さんならではの細やかな神経を感じる。つなぎのスケーティングでの指先にまで神経の行き届いた繊細な表現はカタリーナ・ヴィットさん以来絶えて久しく見なかったものだ。

これでジャンプさえ決まればいうことはないのだけれど…。しかし昨シーズンが12位だったことを思えば7位まで順位を上げてきたのはたゆまず努力してきた証として祝福して上げないといけないのかも知れない。演技終了後にはやや苦しそうな表情も見せていた。やはり右足首は今も痛むのだろうか。代われるものなら代わって上げたいものだけど…。


澤田亜紀さん

明らかに調整不足でジャンプの難度も落としているのだけど、逆にこの体でよくトリプルジャンプを跳んでいるな、と感心してしまう。しかし昨シーズンの溌剌とした姿を覚えているのでこんな感想を抱いてしまうのが寂しくてならない。何とかまた以前の輝きを取り戻して欲しいものだけど…。


武田奈也さん:Otonal

冒頭でいきなり昨日のSPと同じくループがダブルになってしまい心配したが、その後フリップを予定していたところをループに切り換えて結局トリプルループを2回成功させた。このジャンプにはこだわりを持っているようなのでとっさの機転に自分でも満足しているのではないだろうか。フリーだけでは4位に入り、進境著しい今シーズンの彼女を象徴するような演技だったと思う。


浅田真央ちゃん:ショパン 幻想即興曲

最初のトリプルを狙ったアクセルはシングルに。しかし今の真央ちゃんはそれを引きずらなくなった。トリプル-トリプルのコンビネーションジャンプを2種類決めるなど真央ちゃんならではの高度な技を披露した。フリーでは2位だったもののSPの貯金が生きて見事連覇を成し遂げた。新ルールに対応してルッツを一つに減らした分、トウループへの苦手意識を払拭してプログラムに組み込んでいるところに進歩の跡が見える。フリップ–ループのコンビネーションはSPより正確に決まっていた。フリープログラムの後半にこのジャンプが楽々と跳べるのならSPでは先にルッツを跳んで緊張をほぐしておくというのも一つの手段ではないだろうか。


水津瑠美さん

SPでは元気のいいところを見せたけど、フリーではループとサルコウで相次いで転倒するなどミスが多く本来の力を発揮できなかった。しかしシニアの大会で初めて最終組で演技するというのはいい経験になったと思う。世界ジュニアではそれを生かして自分の力を出し切って欲しい。


村主章枝さん:アストル・ピアソラ Oblivion

SPでは完璧な演技を披露して大舞台に強い本領を発揮してみせたけど、フリーでは得意のルッツとフリップも共に二つ目がダブルになるなど細かいミスが続出。今シーズンのジャンプの不安定さがそのまま表れた結果となってしまった。


中野友加里さん:リムスキー=コルサコフ スペイン奇想曲

トリプルアクセルはぎりぎりこらえたけど惜しくもダウングレード。しかしそのほかは大きなミスのない充実した演技。さすがに世界屈指の実力者の貫禄を見せつける内容だった。終了後は感極まって泣いていたけど、それだけ世界選手権出場への思いが強かったのだろう。その気持ちの強さがつかみ取った世界への切符と言えそうだ。ぜひ出場できない選手の分まで力を発揮して欲しい。


鈴木明子さん:タイタニック

フリップの着氷が乱れるなど細かいミスはあったけど、昨シーズン以来の彼女の躍進を象徴するような素敵な演技だった。この曲をかつて滑った荒川静香さんを彷彿とさせるところもある一方で、ステップでは鈴木さんならではのダイナミックさも見せ、見る人の心に残る素晴らしいプログラムだと思う。今シーズンから四大陸選手権への派遣の方針が変わったようで惜しくも代表には選ばれなかったけど、個人的には彼女が国際大会で舞う姿を見てみたかったと思う。


安藤美姫さん:ビゼー カルメン

ルッツからのコンビネーションもフリップも見事に成功。NHK杯の時の問題は完全に解決できた模様。そのほかもトウループからのコンビネーションがやや乱れたもののほぼノーミスの演技。フリーでは1位だったがSPでの点差が響いて総合では2位となった。しかし世界女王の風格漂う堂々たる演技だったと思う。真央ちゃんとのハイレベルな競り合いはこれからも日本のみならず世界の女子フィギュアスケート界を牽引していくことだろう。

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全日本選手権2007 男子シングル フリー

2007年12月28日

小塚崇彦選手

ループがシングルになったものの二度のトリプルアクセルを含めほかは大きなミスはなく、ほぼ会心の演技と言っていい内容だったと思う。スピードに乗った流れるような美しいスケーティングは最後まで途切れることがなかった。織田信成選手のいない現在、国内で高橋大輔選手を追う一番手は紛れもなく彼であることを証明してみせた。グランプリシリーズではややジャンプに不安定なところが目立ち心配していたが特に問題はなさそうだ。世界選手権では枠取りの重責を担うことになるが、過剰に意識せず自分の力を出し切れば結果はついてくるはず。同世代のパトリック・チャン選手の活躍も励みにして飛躍して欲しい。


高橋大輔選手

宣言通りに4回転のトウループを二度成功させるなど、他を寄せつけない圧倒的な強さで全日本3連覇を果たした。トリプルアクセルからのコンビネーションを3連続にできなかったのと、ジャンプがどれかダウングレードされたようだけど大きなミスはなかった。4回転ジャンプを二度跳ぶというのはやはり体力の消耗の仕方が違うようで、ストレートラインステップと最後のスピンはかなり足にきているように見受けられた。しかしともかくこれで世界でトップに立つための条件は一つクリアできたと言えそうだ。海外のトップ選手たちにも大きなプレッシャーを与えたことだろう。昨シーズンの銀メダルという結果に満足せず、頂点を見据えて努力を重ねる彼の今後にますます期待がかかる。


南里康晴選手

最初のトリプルアクセルでステップアウトしてしまったが、後半にはトリプルアクセル–トリプルトウループのコンビネーションを見事に成功させるなど充実した演技で表彰台に立った。演技終了後4人を残した状態でのインタビューでは「失敗しろ、と思いながら見るのは嫌なのでほかの選手が世界選手権に出場できるように、と応援しながら見ることにしたい」と謙虚に話していた。その無欲さが生んだ快挙だったろうか。世界選手権ではぜひ出られなかった選手の分まで力を発揮して欲しい。


無良崇人選手

二つのトリプルアクセルを成功させるなどジュニアの日本選手権優勝の勢いを感じさせた。ただ後半はやや疲れて精彩を欠いたように見えた。しかし今後の活躍に期待を持たせる堂々とした演技だった。


中庭健介選手

特に彼のファンというわけではないのだけど、本田武史さん、田村岳斗さんと共に日本の男子のフィギュアスケート界を支え、ライバルたちが引退した後もなお自慢の4回転ジャンプにこだわりながら現役を続ける彼が競技人生最大のチャンスを迎えているとあって、見る側にも自ずと手に力が入ってしまう。その4回転トウループは着氷でターンオーバー、そのほかのジャンプも全体にやや精度を欠いていたので、ミス自体は南里康晴選手より少なかったもののかなり微妙な採点になるな、と感じた。予想通り総合でわずか0.87の差で南里選手に及ばなかった。これはほとんど誤差の範囲内とも言える僅差で、わずかに運に恵まれなかったな、と見ててちょっと切なくなった。


梅谷英生選手

二つのトリプルアクセルをゆったりと余裕を持って決めてみせた。これが最後の全日本かも知れないという覚悟で臨んだ大会だったようだけど、見る人の心に残る渾心の演技だったのではないだろうか。総合6位は競技生活の集大成というに相応しい立派な成績だと思う。


番組の最後にタオルで顔を覆って泣いていると思しき選手の姿が映し出されていたが、あれは中庭選手だったろうか。あらためて勝負の世界の非情さを感じずにはいられない。だからこそひたむきに努力するアスリートの姿が美しいのだけれど…。

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全日本選手権2007 女子シングル SP

2007年12月28日

水津瑠美さん

ジュニアの日本チャンピオンとして乗り込んできた水津瑠美さん。トリプルトウループ–トリプルトウループのコンビネーションはセカンドジャンプの回転数がぎりぎりの感じだったけど成功、ステップからのトリプルジャンプではループを跳んでみせた。ダブルアクセルでステップアウトしてしまったけど全体にはとても生き生きとした演技で、好調を維持しているようだった。ジュニアの全日本を見た時にステップでの重心の動かし方が鈴木明子さんと似ているな、と思ったのだけど、今回この二人が続けて放送されたのを見て一層その思いを強くした。プログラムは曲がやや単調な感じなのがもったいない気がする。踊るのが得意な選手なのでもう少しメリハリの効いた構成の方が持ち味が出ると思う。


鈴木明子さん

今シーズンゴールデンスピンで優勝してその実力を証明してみせた鈴木明子さん。ルッツからのコンビネーションは成功したもののフリップはステップアウト、ダブルアクセルもやや危ない着氷だった。ジャンプの切れは好調時にくらべて今一つという感じがした。しかし全体にはさすがに実力者らしい風格のある滑りで大いに魅了してくれた。荒川静香さんに影響を受けてスケートへの情熱を取り戻したという鈴木さん。フリーではその荒川さんもかつて滑った「タイタニック」の音楽に乗せての演技になる。これまでエキシビションでも披露してくれているし、ゴールデンスピンの映像も見たけど、明日もきっと素晴らしい演技になるはずで、楽しみにしたい。


浅田舞さん:チャイコフスキー ロミオとジュリエット

急遽出場が決まったNHK杯で体調を崩して途中棄権し、調整具合が心配された浅田舞さん。悪い方に予感が当たってしまった感じで、コンビネーションジャンプは難度を落としてサルコウからにして成功させたけど単独のフリップは回転不足の両足着氷、得意のビールマンスピンでもバランスを崩していた。全体にやや元気がなく、曲に負けてしまっている感じがした。調子が今一つなのだろうけどフリーではもう少し舞さんらしい優雅な滑りを見せて欲しい。


安藤美姫さん:サン=サーンス サムソンとデリラ

NHK杯のフリーでルッツとフリップが大崩れしてまさかの4位に終わった安藤美姫さん。この二つのジャンプが調整できているかが注目されたがSPでは両方とも見事に成功させた。フリップもスロー再生で見てもエッジは大丈夫だったようだ。最後のコンビネーションスピンで大きくバランスを崩してしまったのがもったいなかったけど、初日としてはまずまずのできだったと思う。フリーでは安藤さんらしく魅力あるカルメンを演じて欲しい。


太田由希奈さん:プッチーニ 蝶々夫人

今シーズンまだトリプルジャンプがトウループしか跳べていない太田由希奈さん。今回のSPでもジャンプの構成を最も低いレベルに設定して臨んだがサルコウがシングルに。これではTESが伸びないのも仕方のないところ。むしろ由希奈さんだからこそここまで点数を伸ばせたというべきか。由希奈さんにしかできない繊細で優雅な滑りは健在。ジュニア選手とくらべても見劣りするようなジャンプ構成にも関わらずPCSで比較的高い点数をもらえているのはその賜だろう。好きなフィギュアスケーターはたくさんいるけど、やはり自分は由希奈さんの演技が一番好きだと見る度に確信する。フリーではSP以上にジャンプを数多く跳ばなければならないので今の彼女には厳しいだろうけど、練習をたくさん積んできたそうなので精一杯力を出し切って欲しい。


浅田真央ちゃん

今シーズン失敗が続くSPだが、縁起を担いだのか衣装を代えてきた。それが効を奏したのかわからないが、セカンドジャンプの着氷が両足だったものの今シーズン初めてトリプルフリップ–トリプルループのコンビネーションを成功させた。スパイラルはややスピードがなかったのが気にかかるが、今シーズン格段の進歩を遂げたストレートラインステップはこれまでにもまして素晴らしく、ちょっと神がかっているような気さえした。真央ちゃんが鳥に近づいたかのような瞬間だった。タチアナ・タラソワコーチに振り付けてもらったプログラムなのにこれまで完璧に演技することができなかったのを悔やんでいた真央ちゃんだが、これでひとまず満足できただろうか。SPへの苦手意識も払拭できるといいのだけど。


西野友毬さん

ジャンプの天才少女として将来を期待されている日本フィギュアスケート界の希望の星。トリプルルッツ–ダブルトウループのコンビネーションとトリプルループを見事に成功させたが、ダブルアクセルは跳んだ瞬間から軸が傾いてしまってあえなく転倒。本人のインタビューによるとこのところ調子が上がらなかったのにルッツとループが決まって自分でも驚いてしまい、その分ダブルアクセルで失敗してしまったとのこと。初めての全日本だけど物怖じせずに気持ちよさそうに滑っているのが心強い。フリーでも思い切って自分の実力を発揮して欲しい。


澤田亜紀さん

今シーズンは思いがけない不調でどうしてしまったのかと心配な澤田亜紀さん。見るからに体が大き過ぎて調整が十分でない様子が窺える。ジャンプの構成は難度を下げ、大きなミスなく乗り切ったが全体に動きの切れを欠いた演技だった。これまでいつも彼女に寄り添っていた濱田美栄コーチの姿を今シーズン見かけないのも気にかかる。何か彼女の周辺でトラブルでも発生しているのだろうか。また彼女らしい元気で溌剌とした姿を見せて欲しいものだけど。


武田奈也さん

NHK杯でまさかの表彰台に立ち、一躍その存在が注目され始めている武田奈也さん。しかしここへきてやや調子を落としているのか得意のループがダブルになる痛恨のミス。コンビネーションスピンでもバランスを乱していたようだった。ループは得意にしているだけに悔しそうでキス&クライで涙を見せていた。しかし決してそれほどひどい演技でもなかったのでフリーでは気持ちを切り換えて思い切って演技して欲しい。


村主章枝さん:Take Five

今シーズンはここまでなかなかジャンプが決まらずに苦しんでいた村主章枝さんだが、大舞台には強い彼女らしく、しっかりと自分の実力を発揮してみせた。ほぼノーミスの演技で、減点要因はルッツのエッジくらいしかなかったと思う。ジャンプにやや長めの助走を必要とする村主さんだけに、五拍子で細かくリズムを刻む「Take Five」の音楽との調和には少し問題を感じなくもないが、いつも新しいことに挑戦を続ける彼女の姿勢には感銘を受ける。衣装はやや変わった色合いだがなかなか似合っていてよかったと思う。


中野友加里さん:ショパン 幻想即興曲

2シーズンぶりにグランプリファイナルに進出し、すっかり世界のトップスケーターの座に定着してきた感のある中野友加里さん。しかしルッツがダブルになるミスを犯しSPでは村主さんの後塵を拝する形となった。しかし今シーズンはこれまでSPではミスがあってもフリーで挽回してトータルでは安定して力を発揮してきているし、全体にはいつもの中野さんらしい美しい滑りだったので大きな問題ではないと思う。むしろいい位置につけたと言ってもいいだろう。キス&クライで映像が映し出された時佐藤久美子コーチに足をつっつかれて慌てて膝を揃えていたのがおかしかった。


今回のSPを見ていて感じたのはジャンプの構成を自分の跳べるマックスよりも下げて臨んでいる選手が多かったこと。今シーズンから踏み切りのエッジの判定が厳しくなったことでリスクを冒して難しいジャンプに挑戦するメリットが減ったということもあるのだろうか。そしてスピンでバランスを崩すシーンが多く見られたのも気にかかる。ジャンプの難度を落とした分スピンで点を稼ごうとして難しい要素を取り入れている選手が多いのだろうか。

それにしても美しい舞姫たちの饗宴を堪能して何とも幸せな気分。フリーも大いに満喫したい。

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全日本選手権2007 男子シングル SP

2007年12月27日

柴田嶺選手

アクセルはダブルに自重、フリップからのコンビネーションはセカンドのトリプルループが回転不足の転倒。スピンでも大きくバランスを崩すところがあった。しかし相変わらず独特の魅力がある。


小塚崇彦選手

ルッツからのコンビネーションはセカンドのトウループがダブルに。そのほかは大きなミスはなく高いレベルの演技を披露しSPを終えて2位につけた。ステップの一つをサーペンタインにしたのは彼の流れるようなステップワークが生きるいい選択だったと思う。一つ注文をつけるとしたらジャンプを予定通りに跳べなかったにも関わらず演技終了後にガッツポーズをしてしまう欲のなさか。高い潜在能力のある選手だからこそより上を見据えて取り組んで欲しいと思ってしまう。


南里康晴選手

最初のトリプルアクセルでステップアウトしたほかスピンのチェンジエッジでもややバランスを崩すところがあったようだった。それでもこういう本格派のプログラムも十分にこなせることを証明してみせる演技だったと思う。


高橋大輔選手

一人だけ別世界の演技だった。グランプリファイナルであわや優勝という好調さをキープしている模様。フリーでは4回転ジャンプを二つ跳びたいと話しており、世界選手権代表はすでにほぼ内定していてこの大会の優勝も堅いことから挑戦してくるのではないかと予想され、成功するかどうかとても楽しみである。


無良崇人選手

4回転ジャンプのない男子選手としてはマックスのジャンプ構成をミスなくこなした。特にトリプルアクセルは自信を持っているようで楽々と決めていた。ジュニアからの出場ということでPCSはやや抑えられたようだが生き生きとしたいい演技だったと思う。


中庭健介選手

4回転ジャンプは回避し、トリプルアクセルの着氷でも乱れたがベテランらしく全体をうまくまとめた印象。彼にとってはある意味競技生活最大のチャンスとも言える大会になった。フリーでも場数を踏んできた強みを発揮できるか注目される。


織田信成選手が直前に棄権をしてしまったのは何とも残念だった。調整が十分にできていなかったりもするのだろうけど、棄権というのは最も安易な選択ではないだろうか。アスリートなら出場して今できる最善の演技を見せて欲しかった。それがアスリートとしてのけじめのつけ方だと思う。その結果がどんなに不様だっていいじゃないか。その経験が彼をより強くするはずだ。

しかし過ぎたことを言っても仕方ない。今はとにかく彼が気を取り直して少しでも早い時期に競技の最前線に帰って来ることを期待したい。

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荒川静香さん『ゴールデンラッシュ嵐』に出演

2007年12月22日

今日の昼間、荒川静香さんがテレビ番組に出演していた。フィギュアスケートの基礎知識をクイズ形式で紹介するというもので興味深く見た。半分はお笑い仕立てで、自分も知らないようなめずらしい情報の披瀝はなかったけれど、荒川さんの実演を教材にしての解説はやはりうれしい。

ジャンプも6種類跳んでみせてくれた。初めはダブルジャンプだったのだけど、何度も跳んでいるうちに体が温まって調子が出てきたのかトリプルルッツやトリプルフリップまで軽々と跳んでみせた。アマチュアの競技会から遠ざかってもこういう難しいジャンプを跳ぶだけの技術を維持しているのは本当に素晴らしいと思う。見ていて羨ましがっていた現役のアマチュア選手も多かったのではないだろうか。ただフリップはご本人も苦手だと仰っていて、スローで見るとやはり“リップ”気味だった。もしこのオンエアをご自身でもご覧になる機会があったら苦笑されるかも知れない。

最後に荒川さんが跳んだジャンプの種類を当てるというクイズがあり、荒川さんはトリプルトウループ–ダブルトウループ–ダブルトウループのコンビネーションを跳んで見せた。しかし出演者たちの回答は残念ながら“ループ”。ループとトウループの違いは番組内でしっかり解説されていたのに何を聞いていたのか、という気もするが、普段見慣れない人にとってはこんなものかも知れない。

それにしてもオリンピック金メダリストの実演によるジャンプの見分け方の解説というのは貴重である。まだよくわからないという方はもしこれを録画していたら保存版にして繰り返しご覧になることをお薦めしたい。

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田村響さん『題名のない音楽会21』に出演

2007年12月21日

少し前の話になるが先週の土曜日(15日)、グランプリファイナルのSPの放送の直前の時間帯に、BS朝日で再放送された『題名のない音楽会21』を見た(地上波では9日放送)。お目当てはもちろん、先ごろロン・ティボー国際コンクールのピアノ部門で優勝した田村響さんである。コンクールの最終審査でも弾いたラフマニノフのピアノ協奏曲第2番の第1楽章(再現部はカット)を披露してくれた。

堂々たる風格のある演奏で、第2主題でのやや粘っこい歌い回しが目を引いた。この若さにしてすでに自身の表現を手にしているのが素晴らしい。自分が二十歳くらいの時はクラシックのことなど何も知らなかったな、などと遠い目をして思い出してしまう。今の感性を大切にしながら音楽家として大成していって欲しいと思う。

ユーリ・シモノフさん指揮のモスクワ・フィルからは豊かな情感が波のように押し寄せてくる。このあたりの感覚はやはりヴラディーミル・アシュケナージさんが若い頃にキリル・コンドラシンと共演した録音と似ているな、と思った。あれから40年以上が経ち、指揮者が代わってもオーケストラの個性は受け継がれているのだろう。

わずか十分程度の演奏時間だが、田村さんの若さと才能に羨望を覚えつつ贅沢な一時を過ごさせてもらった。

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ハンドボールのオリンピックアジア予選をやり直し

2007年12月18日

国際ハンドボール連盟(IHF)は北京オリンピックのアジア予選のやり直しという前代未聞の決断を下した。事の発端は今年9月に愛知県豊田市で行われたオリンピック予選でクウェートに有利な笛が吹かれたことだった。背景にはアジア連盟の会長をクウェートの王族が務めていて、審判の人選が中東に有利なように偏っていたという事情がある。これを不服として日本と韓国のハンドボール協会が協力してIHFに提訴したことが実を結んだ。

私は見ていなかったのだけど、この大会の日本対クウェート、韓国対クウェートの試合の判定は酷いものだったらしい。スポーツは何よりもフェアであることが第一条件である。宮崎県知事のようなエリートではもちろんなかったけれど、この競技に汗を流した経験を持つ者のはしくれとして、そうしたアンフェアな条件で試合が行われたのは残念でならない。スポーツの世界で一度下された裁定が覆されるというのは極めて異例だが、日韓両国の関係者の努力が実ったことを歓迎したい。審判の人選を含めた運営がフェアになされたとしてもオリンピック出場が険しい道のりであることにかわりはないだろうが、ぜひこのチャンスを生かせるよう、日本代表選手たちの奮起に期待したい。

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グランプリファイナル2007 エキシビション

2007年12月17日

エキシビションの感想を各選手について一言ずつ簡単に。


中野友加里さんは相変わらず清楚で幻想的な美しさ。彼女がトリでもよかったんじゃないかと思うくらい。キャロライン・ジャンちゃんはドーナツスピンからさらに上体を下に折り曲げるようなすごいポジションのスピンをやって見せた。あまりの柔軟性に唖然としてしまった。あれはまだ名前はついていないのかな? カロリーナ・コストナーさんはベートーヴェンのピアノソナタ「月光」を思わせるオリジナル曲に乗せて大人の魅力を見せてくれた。浅田真央ちゃんは表現力に大きな進展を見せた今シーズンを象徴するような演技。キム・ヨナさんの「Just a girl」は以前DOIで見た時はあまりうまく踊りこなせていなくて、競技会での実績では格下の武田奈也さんや水津瑠美さんとくらべても見劣りがする感じだったので心配したのだけど、あの時よりはだいぶ板についてきてキュートに踊れていたと思う。

高橋大輔選手は不思議系のプログラムだけど見慣れるうちに何だかわかった気になるようなならないような。ステファン・ランビエール選手は情緒たっぷりにロミオを演じて見せた。私はどうも彼とは音楽的な感性が合わないのかファンのみなさんが絶賛するほど彼の演技を素晴らしいと思ったことがないのだけど、この「ロミオとジュリエット」は今までに見た彼のプログラムでは一番好きかも知れない。

川口&スミルノフ組は奇抜な衣装が印象的だが楽しそうにいきいきと踊っていた。川口悠子さんのおかっぱ頭はちょっとどうかと思う。本当はもっとかわいい人なのにもったいない。サフチェンコ&ショルコヴィ組は競技用のプログラムでは高難度の技を無理やり詰め込んでいる印象が強いのだけど、エキシビションでは情感のある演技を見せてくれた。

ベルビン&アゴスト組はヒップホップに乗せての軽快なダンス。ただヒップホップらしさは高橋選手にくらべるとあまり出ていないかな、と思った。ドムニナ&シャバリン組はこれまで荒削りだが激しい動きの踊りが魅力のカップルという印象だったが、エキシビションではしっとりとした大人のムードの演技だった。


それにしてもテレビ朝日の放送! 真央ちゃんのインタビューが入ったのはいいとして、ちょっと演技を省略し過ぎだろう。放送を見ながらジョニーやエヴァンのファンの悲鳴が聞こえてきそうだった。

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グランプリファイナル2007 男子シングル フリー

2007年12月16日

エヴァン・ライザチェク選手

最初の4回転トウループ–トリプルトウループのコンビネーションは素晴らしい出来だった。サルコウの転倒は入り方を難しくし過ぎた感じに見えた。一つ目のトリプルアクセルがダウングレードされたことなどもあって大逆転はならなかったが、彼らしい素晴らしい演技だったと思う。


ステファン・ランビエール選手

トリプルアクセルはステップアウト、4回転トウループはお手つき。ジャンプでは男子としては物足りない出来だったが、ステップやスピンで点数を稼ぎ、PSCでも高い評価を受けて高橋選手を僅差でかわし逆転優勝となった。正直この演技で優勝というのは納得のいかない気持ちもあるが、ともかく一時期は競技へのモティヴェーションを失ってしまっていた彼が世界の一線に帰ってきたことは歓迎したい。


高橋大輔選手

最初の4回転を狙ったトウループはトリプルに。しかし次にもう一回挑戦して見事に成功させた。その後はいつもの彼らしい素晴らしい演技だったが、ランビエール選手に惜しくも一歩及ばず銀メダルだった。男子はゆうべのうちに結果だけチェックしてしまっていたのだけど、リアルタイムで見ていたら演技を終えた瞬間に優勝を確信していたと思う。SPとは逆に技術点ではランビエール選手を上回ったがPCSで逆転されてしまった。4回転ジャンプもトリプルアクセルもなかったランビエール選手に技術点で大きな差をつけられなかったのはサルコウがダブルになったこと、コンビネーションジャンプが一つ足りなかったこと、スピンでレベルを取りこぼしたことなどが原因だろうか。ともかく日本の男子選手が世界大会での優勝に最も近づいた瞬間ではあった。優勝はまた次の機会に期待したい。

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グランプリファイナル2007 女子シングル フリー

2007年12月16日

浅田真央ちゃん

トリプルアクセルを両足着氷気味ながら成功させ、ノーミスの完璧な演技。今シーズン初めての真央ちゃんらしい演技だったと思う。ルッツを一回に減らした代わりにトリプルフリップ–トリプルトウループという新たな組み合わせのコンビネーションも取り入れるという意欲的な取り組みも見せてくれた。終了後は顔をおおって涙ぐんでいた。表現力でももうヨナさんとくらべて見劣りがすることはなくなっている。SPの出遅れが響いて優勝はならなかったものの、今シーズン取り組んできたことの成果が見られた価値ある銀メダルだと思う。


キミー・マイスナーさん

合計三回跳んだルッツとフリップでことごとく転倒。いずれも跳んだ瞬間から軸が傾いていて、ちょうどNHK杯のフリーでの安藤美姫さんと似たような感じの倒れ方だった。あるいはもしかすると彼女もエッジの矯正に取り組んでいて、それが裏目に出た結果だったのかも知れない。


中野友加里さん

トリプルアクセルは見事に成功。今シーズンはこのジャンプを完全にものにしている感がある。そのほかも素晴らしかったのに彼女にとってはやさしいはずのトウループで転倒してしまったのがもったいない。一つ目のフリップでロングエッジと認定されたことなどもあって今一つ点数は伸びなかった。PCSが相変わらず抑えられているのが残念だけど、今後はもう少し評価してもらえることに期待したい。


カロリーナ・コストナーさん

久しぶりにSPとフリーともにいい演技だった。最初のフリップからのコンビネーションとルッツには安定感があった。二つ目のフリップがシングルになり、最後のダブルアクセルは着氷が乱れたが、全体にはとても充実した演技で表彰台に。長いことスランプが続いていた彼女だけど、これで完全復活となることを望みたい。


キャロライン・ジャンさん

相変わらずジュニアから上がってきたばかりとは思えないハイレベルな演技。トリプルフリップ–トリプルトウループのコンビネーションも見事に成功させた。二つ目のフリップはスパイラル姿勢からの難しい踏み切りだったがこれも成功。二つ目のルッツは難しい入り方をしていて危なっかしいな、と思っていたらその通りに転倒してしまったが、そのほかは素晴らしかった。これからどこまで伸びていくのか、末恐ろしい14才である。


キム・ヨナさん

最初のトリプルフリップ–トリプルトウループのコンビネーションはものすごいスピードから跳んで見せて度肝を抜かれてしまった。解説の荒川静香さんも驚愕するほどの出来で、ジャッジからは+2の加点をもらっている。今シーズンからプログラムに取り入れている次のループでは転倒してしまったが、その後はミスを引きずらずにハイレベルな技を見せてくれた。昨シーズンは周りのミスに助けられての優勝だったが、今回は自らの力でつかみ取った堂々たる優勝である。フリーでは真央ちゃんにわずかに及ばなかったが、逆に転倒という大きなミスがあったにも関わらず真央ちゃんと大差のない点数が出たというのは驚異的なことだと思う。今シーズンに入って一段とまたすごいところにまで到達してしまったな、とファンでありながら半ばあきれるような思いで見つめている。


SPがあんまりな展開だったので心配したけど、フリーでは素晴らしいハイレベルな競り合いになってフィギュアスケートの醍醐味を大いに満喫できた。選手のみなさんに心から感謝したい。

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グランプリファイナル2007 女子シングル SP

2007年12月15日

ついに始まったグランプリファイナル。この場所に一番いて欲しかった人がいないのが何とも残念だけど、とにかく6人の舞姫たちの演技に酔い痴れたい。


キャロライン・ジャンちゃん

最初のフリップはやや高さがなくて危なく感じたが大きな乱れにはつながらず次にダブルトウループをつけた。ルッツがインサイド踏み切りなのは相変わらず。スパイラルやスピンでは完成度の高い技を見せつけて魅了してくれた。SPを終えて2位に立ち、何とTESではお姉さん選手たちを差し置いてトップだった。ぜひフリーでもこの調子でのびのびと滑って欲しい。


中野友加里さん

同じくフリップがやや危ない感じがしたけど大きなミスにはつながらなかった。ステップはかなり構成を変えてきたそうで、後半にトゥイズルや両方の回転のループなどが入っているのが目についた。本人のインタビューではどこか失敗したところがあったそうなのだけどそれはよくわからなかった。


カロリーナ・コストナーさん

トリプルフリップ–トリプルトウループのコンビネーションもステップからのルッツもきれいに決まった。これまでの2戦はSPで高い点はもらっていてもこの二つのジャンプはやや危なっかしい感じがあったのだが彼女にしてはめずらしいほど安定感のあるジャンプだった。それだけにアクセルがシングルになったのはもったいなかった。しかしジャンプさえ決まれば高得点を叩き出す選手なのでフリーではおもしろい存在になるかも知れない。


キミー・マイスナーさん

トリプルルッツの後にトリプルトウループをつけたがおそらくこれはダウングレード。点数が思いがけず伸びなかったのでほかにも何か減点要因があったのかも知れない。


浅田真央ちゃん

フリップからのコンビネーションジャンプはまたも二つ目のループで手をついてしまった。ここまではある意味想定内だったけど何と次のステップからのルッツではステップでつまずいて踏み切ることができなかった。レイバックスピンでビールマンポジションを短めに切り上げて普通のキャッチフットのポジションに移行していたのは何か理由があったのだろうか。

ともかく要素が一つ抜けてしまってもほかの選手たちと大差のない点が出てしまうのは真央ちゃんの能力の高さの証明でもある。SPで出遅れるのにはもう慣れてしまっただろうから、気を取り直してフリーに臨んで欲しい。真央ちゃんの力なら十分逆転も可能なはず。


キム・ヨナさん

めずらしくフリップで手をついてしまい次のトウループはシングルに。しかしその後は各要素を落ち着いてこなしてSPを終えてトップに立ち、実力者の貫禄を見せつけた。今シーズンの圧倒的な安定感からすればやや意外な出来ではあったが、調子はそう悪くなさそうに見える。フリーでは真央ちゃんとのレベルの高い競り合いを見せて欲しい。

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グランプリファイナル2007 男子シングル SP

2007年12月15日

ステファン・ランビエール選手

最初に苦手のトリプルアクセルを成功、4回転トウループ–トリプルトウループのコンビネーションも見事に決めてみせた。ルッツはやや危ない感じだったけどここへきてかなり調子を上げてきているようだった。これまでの2戦はややPCSに助けられてきた感があっただけに彼を優勝候補に推す人は少なかったが、フリーでもこの調子なら優勝の可能性もかなりありそうだ。


ジョニー・ウィアー選手

めずらしく得意のトリプルアクセルで転倒。今シーズンは好調を維持していただけにもったいない。ほかの要素はそう悪くなかったので気を取り直してフリーに臨んで欲しい。


高橋大輔選手

三つのジャンプを含め大きなミスのない演技でSPを終えてトップにたった。4回転ジャンプのない構成でランビエール選手を上回ったというのはいかに内容の濃いプログラムを滑っているかの表れだろう。PCSのCHやINで8点台の高得点を出しているのが僅差でかわした決め手になった。。競技用のプログラムでヒップホップという挑戦が勝利を収めた瞬間と言えるかも知れない。本人もインタビューで言っていたけどスピンでチェンジエッジの回転数が足りないところがあったようだけど、逆にまだのびしろを残しているのが素晴らしいと思う。男子では日本人選手初のグランプリファイナル制覇へ向けてフリーもこの調子で力を発揮して欲しい。


しかしそれにしてもなぜ男子は3人なのか…。カメラアングルが低過ぎてやや見にくいのも気になった。

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紅白歌合戦で坂井泉水さんを追悼

2007年12月 6日

NHKは今日6日、今年の紅白歌合戦で坂井泉水さんを追悼するスペシャル企画を行うことを発表した。当日はNHK大阪ホールでフィルム&ライブコンサートを行い、その一部の模様を紅白の中で生中継するらしい。紅白のあり方もここ数年いろいろと議論になっていて、今年の出場者の人選にも不可解な点があるが、とにかく今年最後の一日にZARDの音楽を聴いて過ごすことができるのはうれしい。この部分だけでも見逃さないようにしたい。

追記:19日0時10分

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「つばさ」

2007年12月 6日

作詞:岩谷時子 作曲:太田美知彦 編曲:佐橋俊彦
シングル「つばさ」(1994.05.25)、アルバム「JUNCTION」(1994.09.24)所収。現行のCDでは「LIFE〜本田美奈子. プレミアムベスト〜」UMCK-9115(2005.05.21)、コンピレーションアルバム「名曲発掘 ! ジュエル・バラッズ」PCCA-02189(2005.10.19)に収録されている。このほか『ミュージックフェア』出演の際のスタジオライヴの音源が「心を込めて…」COCQ-84139(2006.04.20)に、阿蘇ファームランドでのライヴ映像が「クラシカル・ベスト〜天に響く歌〜」COZQ-255,6(2007.04.20)付属のDVDにそれぞれ収録されている。

本田美奈子さんは主な活躍の場をミュージカルの舞台に移してからも、数は多くないもののスタジオ録音のCDをいくつか制作し発表している。その頃のオリジナル曲の中でも最も人気の高いのが「SHANGRI-LA」以来四年ぶりのシングルとなった「つばさ」である。

美奈子さんは『ミス・サイゴン』への出演をきっかけに訳詞を担当した岩谷時子さんと懇意になり、その後の歌手活動に多大な影響を受けることとなった。『ミス・サイゴン』閉幕後に制作されたアルバム「JUNCTION」では、映画『パッセンジャー 過ぎ去りし日々』出演以来のつきあいである故渋谷森久氏とともに岩谷さんがプロデューサーを務めた。「つばさ」はその先行シングルであり、岩谷さんによる作詞である。


この曲は当時オッペン化粧品のTVCMに起用され、美奈子さん自身も出演して歌唱する姿を披露した。そのこともあって脱アイドル以降の美奈子さんの楽曲の中では比較的広く世の中に知られているようである。その映像は昨年8月に原宿で行われたフィルムコンサートでも放映された。

ただ私には当時これを見た記憶がなく、したがって残念ながらこの歌のことも美奈子さんが亡くなるまでほとんど知らなかった。「1986年のマリリン」以降、私にとって美奈子さんを好きだったことはつらい想い出だったし、風の便りにミュージカルで大活躍していると聞いてもそれ以上深く知ろうとは思わなかった。この頃は私自身音楽どころではなかったということもある。

それでもサビのメロディーには何となく聴き覚えがあり、当時TVのCMで美奈子さんの歌が流れるのを見て胸の中の何かが微妙に反応したという記憶もかすかに残っている。おそらくCMには美奈子さん自身は登場せず字幕で名前だけ紹介されるヴァージョンというのもあって、私はそれを見たのではないかと思う。美奈子さんの姿をもし目にしていたら、さすがにそれははっきりと記憶していないはずはないからだ。

またこの歌は女性歌手による隠れた名曲を集めたコンピレーションアルバム「ジュエル・バラッズ」にも収録されている。このアルバムが発売されたのは美奈子の亡くなる半月ほど前のことで、私もうろ覚えながら新聞広告の収録曲一覧を見て美奈子さんの名が記されているのに気づいた記憶がかすかにある。


そんな次第なので、私がこの「つばさ」を知ったのは美奈子さんの逝去後であり、強い思い入れを以て愛聴してきた想い出の曲というわけでは決してない。しかしこれが美奈子さんの歌手としてのキャリアにおいて特別な記念碑的な曲であることは一聴して明らかだった。

注目すべきなのはこの歌が作られた時期である。90年代の半ば頃というのは日本のポピュラー音楽の歴史の中でも最も言葉が軽んじられていた時代といっていいように思う。今年の8月に亡くなった作詞家の阿久悠さんはこの時代の風潮を「本当は歌詞なんていらないのだけどラララじゃ舌をかみそうだから適当に言葉をつけておくのよ」といった趣旨の言葉で表現していた。あの頃は歌の世界から言葉というものが消え去ってしまうのではないかと本気で危惧したものだった。そうした時代にあってこのような言葉の魅力を抜きには考えることのできない楽曲が制作されていたというのは驚異的であり、美奈子さんの歌に対する姿勢を窺い知ることができる。

美奈子さんと岩谷さんの関係については普通「美奈子さんは岩谷さんと出会い認められることによって歌手としてより成長した」という文脈で語られる。それはもちろんその通りだろうが、私は逆に岩谷さんも美奈子さんと出会うことによって作詞家として啓発を受けたという面もあったものと推察する。美奈子さんのような歌と真っ直ぐに向き合う歌手と出会うことがなければ、岩谷さんもこのような格調の高い詞を作る気にはならなかったのではないだろうか。この「つばさ」をはじめとする「JUNCTION」の収録曲にしても、後のクラシックアルバムでの一連の日本語詞にしても、そこに描かれた豊饒なイマジネーションの世界は「君といつまでも」や「恋のバカンス」のようなヒット曲にはない高みにまで達していると言っていいと思う。


この曲のレコーディングはオーケストラとの一発録りで行われたと言われている。曲の後半には十小節にわたって30秒ほども声を伸ばす“ロングトーン”があり、聴きどころの一つとなっているが、これは作曲した太田美知彦さんによる指示ではなく、美奈子さんのその場での思いつきだったという。いかにも美奈子さんらしい、奔放で大胆な発想だと思う。

この曲は大空を羽ばたいて飛ぶイメージを喚起する歌詞も、曲調やダイナミックなオーケストラ伴奏のアレンジ、そしてロングトーンも含めて美奈子さんの歌唱も、全てが力強く聴き手を鼓舞するような音楽である。したがって聴き手にもそれを受け止めるだけの強さが要求される作品とも言える。

正直私にはこの曲を聴く時には少し身構えてしまうようなところもある。「あなたもある つばさがある/飛び立つのよ 空へと」と言われても今の自分には素直に受け取ることはできず、促されて飛び立とうとしても己れの非力さにおののいて足がすくむばかりである。むしろたとえば「翼の折れたエンジェル」のような曲にこそより強くリアリティーを感じてしまう自分には所詮美奈子さんは遠い存在なのだ、などと自虐的な気分になったりもする。


美奈子さんの代表曲とも言える存在でありながらも、この曲の知名度は未だに「1986年のマリリン」に遠く及ばないように見える。ファンとしてはもっと広く世の中に知られるようになって欲しいと願うところだが、幸いなことに『レ・ミゼラブル』での共演以来美奈子さんが姉のように慕っていた岩崎宏美さんがこの歌を歌い継ぐ決意をして下さっている。すでに昨年の9月に発売されたカヴァーアルバムの第3弾「Dear Friends III」にファンからのリクエストの結果が一位になったことを受けて「つばさ」を収録していたが、今年4月にプラハでチェコ・フィルハーモニー管弦楽団と共演して録音され9月に発売されたアルバム「PRAHA」にも美奈子さんへの献辞とともにこの歌を収録している。

プロの歌手にとって他の人の代表曲をカヴァーするというのはなかなか難しい決断でもあるのではないかと思う。オリジナルの雰囲気を少しでも変えてしまえばその歌手のファンの失望を招きかねず、かといって上手に再現してみせたとしても真似をしているだけと見なされかねないからだ。それでも敢えてこの歌を歌い継ぐ決断をしたのは宏美さんの美奈子さんを思う真情からだろう。美奈子さんは素晴らしい姉貴分を持って幸せだな、とつくづく思う。

ロングトーンについては「自分に歌えるかどうか…」と逡巡しながらもできる範囲で踏襲することにしたようである。美奈子さんと比較されることをも厭わないその姿勢に宏美さんの美奈子さんへの心からの敬意を感じる。

コンサートでも積極的に歌っていて、自分がカヴァーするだけでなくこの歌がスタンダードなナンバーとして多くの人に歌われるようになって欲しいという希望も述べておられるらしい。ただ宏美さんでさえいささかのためらいを感じざるを得なかったというあのロングトーンがほかの歌手にとってカヴァーを検討する際の障害になっているとしたら残念なことである。すでに述べたようにこの部分は作曲者の指示ではなく美奈子さんの思いつきに過ぎないので必ずしも同じように踏襲する必要はない。そのことを明示するためにも宏美さんに今度はロングトーンなしのヴァージョンをレコーディングしてもらえたら、などと望むのはあまりに欲深に過ぎるだろうか。


今年に入って二度もNHKの『のど自慢』で高校生が「つばさ」を歌うといううれしい驚きもあった。美奈子さんは初期のアイドル時代を除いてメディアへの露出の極めて少ない人だったので、どうしても私たちは若い世代の人たちがどれだけ美奈子さんのことを知っていてくれるのか不安になってしまう。しかし余計な心配をしなくても、美奈子さんの歌への真摯な姿勢はアイドル時代の華やかさを知らない世代にもしっかりと伝わっているのだろう。

この歌はこれからもきっと様々な場で様々な人によって歌われていくことになるだろう。「つばさ」は今や美奈子さんの手を離れ、独自の生命を獲得して自らの力で羽ばたこうとしている、私たちはそんな瞬間を目の当たりにしているのかも知れない。

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NHK杯2007 男子シングル フリー

2007年12月 3日

少し遅くなったけど男子フリーの感想も簡単に。


南里康晴選手

最初のトリプルアクセル–トリプルトウループのコンビネーションは見事に成功。調子に乗るかと思われたが三つ目のループがダブルになったのを皮切りにミスを連発。後半のダブルアクセルからの三連続のコンビネーションの予定を変更してトリプルアクセルに挑んだ強気の挽回策も裏目に出た。SP4位から大きく順位を落としてしまったが、国際大会で表彰台を懸けて勝負に挑んだ経験自体がおそらく彼にとっては初めてのことで、これを糧にさらなる飛躍を遂げて欲しい。彼自身意識して改善に取り組んできたというステップなどでの表現力も格段に進歩してきていると思う。


高橋大輔選手

最初の4回転のトウループで転倒したがその後はノーミスでこなして連続優勝を果たした。ジャンプの調子がSPの前日にピークがきてしまって、フリー当日の午前の練習ではなかなか決まらなかったためにニコライ・モロゾフコーチの指示で4回転は一つだけにしたという。もし二度跳んでいたらおそらく逆転優勝は難しかったかも知れない。あらためて策士モロゾフの戦略の確かさに唸らされた。4回転ジャンプを二つ跳ぶという公約はまた今度に期待したい。


トマーシュ・ヴェルネル選手

最初の4回転のトウループは見事な出来映えで、解説の本田武史さんも半ばあきれるように「きれいに決まりました」とコメントしていた。後半のトリプルアクセルがシングルになったことで優勝は逃したが、昨シーズンの世界選手権での活躍がフロックでないことをあらためて印象づけた。ファイナル進出は逃したが、出場する世界のトップ選手たちにとっても今後脅威の存在になっていくと思われる。

気になっていた胸の文字は「勇名トラ」だそうで、背中の模様は文字ではなく龍が描かれているのだという。『グリーン・デスティニー』という映画のサウンドトラックを使用したプログラムだが、この映画の原題“臥虎蔵龍”を表しているらしい。最初に聴いた時は笛と太鼓による音楽が日本の祭囃子のように聴こえたのだけど、中国を舞台にした映画なので音楽も実際は中国風のものなのだろう。それにしては“トラ”という日本の片仮名を用いているあたり不徹底なのだけど、日本も中国も“アジア”として一括りにしてしまうヨーロッパ的無神経さの表れとも言えそうだ。それはともかく彼が日本のファンをかなり意識して競技をしていることはよくわかった。


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NHK杯2007 男子シングル SP

2007年12月 2日

男子SPについても少しだけ。


南里康晴選手:ベートーヴェン ピアノソナタ第14番「月光」

ノーミスの会心の演技。私がこれまで見た彼の演技では一番よかったと思う。彼はこれまでF1レーサーのようなややキワモノっぽいプログラムが多かったが、こういう本格派のプログラムでも十分いけることを示してくれた。ぜひフリーでもこの調子で演技して欲しい。


高橋大輔選手

トリプルアクセルの着氷で乱れSPは二位スタート。それでも彼らしい激しい踊りで魅了してくれた。フリーでは4回転ジャンプを2回跳ぶ予定とのことで楽しみになる。

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NHK杯2007 女子シングル フリー

2007年12月 1日

浅田舞さんは残念ながら体調不良のためフリーを棄権。今はとにかく予定外の出場となったこの大会が彼女の全日本に向けての調整に大きな障害とならないことを祈りたい。


ラウラ・レピストさん

得意のトリプル–トリプルのコンビネーションジャンプは不発、果敢に挑んだルッツもシングルに。それでもスケートカナダのように大崩れはせず、今の彼女の持てる力は出し切ることができたのではないだろうか。演技終了後の表情は冴えなかったがこの大会の経験を糧にまた練習に励んで欲しい。


武田奈也さん

彼女もフリップに果敢に挑んだがあえなく転倒。しかしほかの要素はミスなくこなし、やはり今の実力を出し切った演技といえるだろう。本人も満足のいくできだったようで、終わった途端に素晴らしい笑顔になり、その後は感極まって涙ぐんでいた。ほかの選手にミスが相次ぎ終わってみればまさかの表彰台。この結果を一体誰が予想しただろうか。インタビューの受け答えもはきはきしていて頼もしい。この自信を胸にさらに飛躍して欲しいと思う。


アリッサ・シズニーさん

最初のトリプルルッツはダウングレード、次のフリップはシングルと悪い意味で彼女らしい演技。ルッツとフリップは二度ずつ跳んだけど一つも成功しなかった。これほど成功率が悪いのにルッツとフリップを合計四回跳ぶ強気のジャンプ構成はいかがなものだろうか。ほかの要素が素晴らしく美しいだけにもったいない気がする。


サラ・マイヤーさん:新実徳英「黒のラ・フォリア」「秋の紅」

ルッツからの三連続のコンビネーションジャンプは成功。しかし次のフリップは転倒に近いお手つき。もう一度ずつ跳んだルッツとフリップはともにダブル、とこちらもマイヤーさんらしい演技。やはりジャンプの負担を軽くして無理なく点数が稼げるような戦術に切り換えることも検討したらどうかと思う。それでもほかの要素は高い評価を受け、ミスする選手が多かったこともありフリーでは一位、総合で二位と健闘した。ファイナルには惜しくも届かなかったけど、二試合を通じてマイヤーさんらしい美しさは見せてくれたと思う。


安藤美姫さん

最初のルッツて転倒したのを皮切りにミスを連発。信じられないような得点でフリー七位、総合で四位という結果で、念願のトリノでのファイナルへの出場権を逃してしまった。特にルッツとフリップがことごとくうまくいかなかったのでやはりロングエッジの矯正に取り組んだことが彼女のジャンプの感覚を狂わせているのだと思う。一度身につけた感覚を矯正し直すというのは大変なことなのだな、と痛感させられる。見て楽しんでいるだけのファンが勝手にあれこれと欠点をあげつらうようなことはしてはいけないな、とあらためて思った。

トリノで開催されるファイナルへの思いは誰よりも強かったはずなので、彼女の気持ちを思うとこちらまでつらくなってくる。オリンピックでの悔しい思いを払拭できるまたとないチャンスだったのだが、よくよくトリノは彼女にとって相性の悪い街なのか。今は落ち込んでいると思うけど、また気持ちを切り換えて全日本に向けて調整して欲しい。きっと荒川静香さんも親身になって励ましてくれるはず。


カロリーナ・コストナーさん

フリップからのコンビネーションは二つ目のトウループがダブルに。その後も細かいジャンプミスを連発。それでもSPの貯金が生きて優勝し、ファイナル進出を果たした。彼女は今トリノの大学の学生さんだそうで、オリンピックでは安藤さん同様に悔しい思いをしてファイナルへの思いは強かったはずで、この結果はさぞうれしいだろうと思う。ファイナルまでにはSPとフリー両方でいい演技が揃えられるようにしっかり調整して臨んで欲しい。


放送を見てちょっと気になったのはNHKの放送がマイヤーさんのプログラムの音楽の曲名をアナウンスしていたこと。ISUのバイオには新実徳英さんの楽曲としか記されておらず、フランス大会でのテレビ朝日の放送でもそう紹介されていた。NHKが独自にマイヤーさんに取材して確かめたのか、それともブログ巡りでもして情報を収集したのか…。余計なことだけど気になってしまった。

今日は男子シングルのSPとフリーダンスの競技も行われたのだけど、中庭健介選手、リード姉弟、それにマイヤーさんとこの日だけで「ラ・フォリア」の旋律をモティーフとした音楽を使用した選手が三組もあった。この旋律がなぜこれほどフィギュアスケート界で流行しているのか、ちょっと不思議な気がする。

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