劉艶さん
劉艶さんらしいあでやかな滑り。衣装の赤い色にもう少し深みがあるとなおいい雰囲気になってと思うのだけど。
鈴木明子さん
今シーズン取り組んでいたダウングレードされてなかなかうまくいかなかったダブル・アクセル–トリプルトウループのコンビネーションをダブル・アクセル–ダブル・アクセルのシークェンスに変えてきたが最初のダブル・アクセルがシングルになってしまった。後半のループもシングルになり完璧とはいかなかったが鈴木さんらしさはジャッジにも地元バンクーバーの観客にもアピールできたのではないか。もう少しPCSを高くして上げて欲しいとも思うけど。
アリッサ・シズニーさん
今シーズン何よりうれしいのはこの人が本格的に復活を遂げてくれたこと。まさか全米チャンピオンに輝くとはファンでありながら予想もしていなかった。ルッツとフリップはまだまだ危なっかしいけど、スピンやスパイラルの美しさは比類がない。この調子でぜひ来年のオリンピックにも出場して欲しい。
レイチェル・フラットさん
ジャンプが安定していて全米選手権以来好調をキープしている模様。後半にやや動きが重たくなって疲れがきているのかな、と感じさせた。
アメリ・ラコステさん
初めて見る選手だが同じカナダのロシェットさんと同じく筋肉質の体つきが印象に残った。力強い演技で元気のよさが目立ったが、スケーティングが力をいれて漕いでいるような感じて゛、ジャンプの前後の動きがちょっとぎくしゃくしているのが気になった。
浅田真央ちゃん
最初のトリプル・アクセルはシングルになってしまったがその次にもう一回跳んで成功させた。インタビューを聞いているとどうも一つ目が成功すれば次はダブルにする予定でいたようだ。二つ目のフリップからのコンビネーションはトリプル・ループの予定をダブルに変更し、ルッツを想定している箇所はトウループに自重したがそれがダブルになるなど、真央ちゃんにしては物足りない感じのジャンプ構成になってしまったが、かなり調子がよくなかったようだ。本人としては不満の残る内容だったとは思うが、今の状態の中では最善を尽くしたという手応えはあったようだ。こういう状態でもそれぞれにいい内容の演技だったロシェットさんやヨナさんをフリーでは上回ったというのは真央ちゃんの底力を示す結果だったと思う。あまり悪い印象を残したまま終わりたくなかった来年のオリンピックの会場での試合をこういう形で終えることができて、まずはよかったというところか。
ジョアニー・ロシェットさん
彼女にとっての勝負どころとなっているトウループ–サルコウのジャンプ・シークェンスを完璧に決めてみせて、この技をもう十分に習得できていることを感じさせた。彼女は苦手な種類のジャンプがなく、エッジの使い分けも評価されているようなので、真央ちゃんやヨナさんにとっても侮ることのできない存在だということを強く幾章づけた大会だったといえると思う。
村主章枝さん
ルッツとフリップの二つ目がともに乱れてしまったが、村主さんらしい粘り強さを見せた演技だったと思う。村主さんのサルコウがあんなにきれいに決まったのを見たのはいつ以来のことだろう…。
シンシア・ファヌフさん
SPで思いがけないいい順位につけたファヌフさんだが、フリーでも高いレベルの演技を見せてSPの結果がフロックではないことを証明した。どうもフリップがやや苦手のようだがそのほかのジャンプは自信を持って跳んでいるように見えた。
キャロライン・ジャンちゃん
プログラムを昨シーズンのシューベルトの「アヴェ・マリア」に戻してきた。私は今シーズンの『眠れる森の美女』も気に入っていたのでぜひ完成形を見てみたかったのだけど、本人は少しやりにくさを感じていたのかも知れない。「アヴェ・マリア」は自分でもお気に入りのプログラムなのか、のびのびと滑れているように感じられた。グランプリ・シリーズの内容がちょっと寂しい感じだったので、元気そうなところを見ることができて取り敢えずほっとした。
キム・ヨナさん
苦手のループに挑戦してきたが敢えなく転倒してしまった。SPで大きなアドバンテージを得ていたので安全策を採ってもよかったはずなのだが、ここは敢えて挑戦した勇気を買いたいと思う。見た目にわかるミスはこれだけだったのでかなりの高得点が出るかと思いきや、フリーは真央ちゃんとロシェットさんに及ばない点数でちょっと拍子抜けした。ジャッジ・スコアを見ると一つ目のルッツがダウングレードされたのが響いたらしい。フリップは相変わらずエッジがアテンションなので、彼女にとっても今後はエッジの使い分けが大きな課題となってくるかも知れない。