リン・ハレルさんとユジャ・ワンさんの弾くラフマニノフ

2011年2月28日

前回のエントリーユジャ・ワンさんがスクリャービン作品を弾く動画を紹介したが、YouTubeにはリン・ハレルさんとの共演によるラフマニノフのチェロ・ソナタの演奏もあった。これもなかなかの名演なのでここに紹介したい。



ハレルさんは衣装のせいもあって何やらカーネル・サンダースのような風貌だが、朗々と闊達に歌うチェロは素晴らしいの一言に尽きる。この余裕綽々ともいえる歌い回しにくらべた時、ユジャさんの演奏にはどこか生硬に感じられるところもあり、この曲はまだ十分に自身の掌中に収め切ってはいないのではないかという気もする。しかしハレル翁のよく歌うチェロに丁寧に合わせているかに見えたユジャ嬢が随所でパッションを爆発させる、といった風情の演奏は十分に魅力的である。伸びやかな歌に満ちたこの作品を経験豊富なヴェテラン奏者と若い才能との共演で聴けるのは大きな喜びである。

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ユジャ・ワンさん スクリャービンを弾く

2011年2月26日

YouTubeを徘徊していたらユジャ・ワンさんがスクリャービンの作品を弾いている動画が公開されているのを見つけたので、ここで紹介したい。演奏しているのは以下の5曲である。

  • 前奏曲ロ長調 Op.11-11
  • 前奏曲ロ短調 Op.13-6
  • 前奏曲嬰ト短調 Op.11-12
  • 練習曲嬰ト短調 Op.8-9
  • 詩曲嬰ヘ長調 Op.32-1


ユジャ・ワンさんの演奏は以前にも『N響アワー』でラフマニノフパガニーニ・ラプソディを聴いたことがあって、それも十分にいい演奏だったのだが、ここに聴くスクリャービンもまた実に素晴らしく、あらためてこの若いピアニストの豊かな天分を思い知らされた思いがする。ここで弾いている作品の多くは比較的初期のもので、この作曲家にしてはやや穏当な作風といっていいのだろうが、最も作曲時期の遅い詩曲には幾分神秘的な雰囲気も漂っているのが感じられる。ユジャさんの演奏はスクリャービン特有の幻想的な情景を想像力豊かに描き出していて見事である。

なお、演奏自体もさることながら、それに劣らず目を引くのは彼女のセクシーな衣装である。これほどスカート丈の短い衣装でピアノを弾くコンサートというのは初めて見た気がする。一昔、というか二昔ほど前にディスコ(死語?)のお立ち台で踊っていたイケイケのお姉さんたちを思い出してしまうようなスタイルで、これがどういう意図の表れなのかは何とも計りかねるところである。演奏に対する私の印象もこの過剰とも思えるセクシーさに影響されている可能性を正直否定できないが、スクリャービンは作品の演奏を視覚的効果と組み合わて上演する構想も抱いていた人なので、そういう鑑賞態度もあながち誤りではないかも知れないと言い訳しておこう。

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四大陸選手権2011

2011年2月23日

女子シングル

安藤美姫さんはSPとフリーを通してノーミスでの見事な優勝、しかも全ての要素で全てのジャッジがGOEでプラスをつれるという圧巻の内容だった。演技を見ながら、彼女は競技者としてちょうどいま円熟を迎えているのかな、などと考えたりした。

浅田真央ちゃんはSPで得意のトリプルアクセルが回転不足というやや不本意な出来だったけど、フリーでは6種類のトリプルジャンプを成功させるという素晴らしい快挙をやってのけた(ただしトリプルトウループは回転不足判定)。ルッツもエッジエラーと判定されてしまったけど、GOEでプラスをつけてるジャッジもいるということは違反の度合がやや軽微に改善されているということなのだと思う。演技にすごくやわらかい雰囲気が出てて、これまでに見てきた真央ちゃんの演技の中で一番いいと思った。

鈴木明子さんはジャンプが不調で、特にフリーではほとんどのジャンプが大きく乱れるという残念な出来だった。八木沼さんも仰っていたようにどこか痛いところでもあるんじゃないかという気がする。今シーズン最後の試合は不本意な結末になってしまったけど、またゆっくり休んでリフレッシュして来シーズンに臨んで欲しい。

長洲未来ちゃんはSPはジャンプの精度があまりよくなかった気がするけど、フリーは素晴らしかった。日本を意識して桜の花をあしらった衣装も個性的でよかった。

アリッサ・シズニーさんはSP、フリーともにジャンプを一つずつ転倒する残念な出来だった。今シーズンは序盤からずっと好調が続いていたわけだけど、こういう結果になることも正直半分くらいは覚悟していた。まあ今回は仕方ないけど、世界選手権ではぜひいい演技を見せて欲しい。

レイチェル・フラットさんはSPでの丁寧な演技が目を引いた。彼女自身の中で表現に対する意欲が芽生えてきたのではないか、という気がする。フリーはそれに比べるとやや雑な印象を受けたけど、難度の高い構成をミスなくこなした精神力はさすがだった(ダブルアクセル–トリプルループはループの方が回転不足をとられてしまったけど)。フリップとルッツを二度ずつ跳ぶという構成は、最近はやる選手が少なくなってきていると思う。


男子シングル

高橋大輔選手はさすがの貫禄で圧倒的な優勝。全日本の時の思いがけない不調はもはや全く払拭されたとみていいのだろう。後はやはり世界選手権の連覇を考えると4回転ジャンプの精度を高めることが課題になりそうだ。

羽生結弦選手もシニアの国際大会初の表彰台は見事。特にフリー冒頭の4回転トウループの出来映えは素晴らしかった。

小塚崇彦選手はジャンプの調子がよくなかったようで本来の力からは程遠い出来になってしまった。今シーズンは好不調の波が激しいようだけど、世界選手権にはしっかり照準を合わせて調整して欲しい。

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荒川静香さん キャサリン・ジェンキンスさんと共演

2011年2月11日


現在スイスではアイスショー「Art On Ice」が開催されていて、日本からは荒川静香さんが出演している。ここで荒川さんはキャサリン・ジェンキンスさんの生歌唱と共演しているのだが、その動画が公開されているので紹介しておく。

さすがの荒川さん、相変わらずの美しさである。ジェンキンスさんのメゾソプラノともぴったりと息が合っている。swissinfoのサイトではより高画質で見られるので、回線の速度に余裕のある方はそちらでご覧になるといい。


追記(2012年2月25日)

当初はswissinfoのサイトで提供されている動画を埋め込んでいたが、swissinfoがYouTubeのチャンネルにも高画質の動画を公開しているのでそちらに貼り替えた。swissinfoのサイトに移動しなくてもこのページで設定を変えるだけで高画質の動画を視聴できる。

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「ゴッドファーザー愛のテーマ」

2011年2月 6日

作詞:本田美奈子. 作曲:ニーノ・ロータ 編曲:井上鑑
ヴォカリーズ版がアルバム「」(2004.11.25)に、歌詞つきのヴァージョンがアルバム「クラシカル・ベスト」(2007.04.20)にそれぞれ収録されている。

本田美奈子さんは1972年公開の映画『ゴッドファーザー』(フランシス・コッポラ監督)の挿入歌、「愛のテーマ」を歌っている。最初に発表されたのは2004年のアルバム「」に収録されたもので、この時は歌詞なしでヴォカリーズで歌っていた。美奈子さんはこの曲を自作の日本語詞で歌うことを計画していたのだが、権利者からの許諾が下りなくて、やむを得ずヴォカリーズで歌うことにしたのだった。

しかしせっかく用意した詞を全くの無駄にしてしまうのはもったいないと思ったのだろう、この曲の歌入れの際に、美奈子さんは歌詞つきのヴァージョンも記念に録音しておいたのだった。この音源は美奈子さんの没後に関係者の尽力により許諾を得て、2007年にアルバム「クラシカル・ベスト」に収録された。

二つのヴァージョンを聴きくらべてみると、やはり歌詞つきの方が情感が自然ににじみ出てより心に響くように感じられる。この詞は娘の立場で父を思うという内容になっている。それは美奈子さんが映画を見て受けた印象を元に作ったらしいのだが、そこにはあるいはお父様や父のように慕った事務所のBOSSさんへの美奈子さん自身の思いも投影されているのかも知れない。


編曲はもちろんいつもの通り井上鑑さんで、金原千恵子さん率いる弦楽合奏による伴奏は美奈子さんの歌う主旋律にゴージャスな彩りを添えている。冒頭のドラマティックなヴァイオリン・ソロはおそらく金原さんだろう。

この曲はあまりにも暴走族の鳴らすクラクションによって聴き慣らされてしまったために、いささか陳腐な音楽という印象が否応なくついてしまっている。しかしこのような形であらためて聴くと、やはり稀代の映像音楽作家の手になる極めて上質なメロディであることを強く認識させられる。美奈子さんの歌声によってこの名旋律を新鮮な感覚で聴くことができる喜びを、心ゆくまで味わいたい。

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