女子シングル
安藤美姫さんはSPとフリーを通してノーミスでの見事な優勝、しかも全ての要素で全てのジャッジがGOEでプラスをつれるという圧巻の内容だった。演技を見ながら、彼女は競技者としてちょうどいま円熟を迎えているのかな、などと考えたりした。
浅田真央ちゃんはSPで得意のトリプルアクセルが回転不足というやや不本意な出来だったけど、フリーでは6種類のトリプルジャンプを成功させるという素晴らしい快挙をやってのけた(ただしトリプルトウループは回転不足判定)。ルッツもエッジエラーと判定されてしまったけど、GOEでプラスをつけてるジャッジもいるということは違反の度合がやや軽微に改善されているということなのだと思う。演技にすごくやわらかい雰囲気が出てて、これまでに見てきた真央ちゃんの演技の中で一番いいと思った。
鈴木明子さんはジャンプが不調で、特にフリーではほとんどのジャンプが大きく乱れるという残念な出来だった。八木沼さんも仰っていたようにどこか痛いところでもあるんじゃないかという気がする。今シーズン最後の試合は不本意な結末になってしまったけど、またゆっくり休んでリフレッシュして来シーズンに臨んで欲しい。
長洲未来ちゃんはSPはジャンプの精度があまりよくなかった気がするけど、フリーは素晴らしかった。日本を意識して桜の花をあしらった衣装も個性的でよかった。
アリッサ・シズニーさんはSP、フリーともにジャンプを一つずつ転倒する残念な出来だった。今シーズンは序盤からずっと好調が続いていたわけだけど、こういう結果になることも正直半分くらいは覚悟していた。まあ今回は仕方ないけど、世界選手権ではぜひいい演技を見せて欲しい。
レイチェル・フラットさんはSPでの丁寧な演技が目を引いた。彼女自身の中で表現に対する意欲が芽生えてきたのではないか、という気がする。フリーはそれに比べるとやや雑な印象を受けたけど、難度の高い構成をミスなくこなした精神力はさすがだった(ダブルアクセル–トリプルループはループの方が回転不足をとられてしまったけど)。フリップとルッツを二度ずつ跳ぶという構成は、最近はやる選手が少なくなってきていると思う。
男子シングル
高橋大輔選手はさすがの貫禄で圧倒的な優勝。全日本の時の思いがけない不調はもはや全く払拭されたとみていいのだろう。後はやはり世界選手権の連覇を考えると4回転ジャンプの精度を高めることが課題になりそうだ。
羽生結弦選手もシニアの国際大会初の表彰台は見事。特にフリー冒頭の4回転トウループの出来映えは素晴らしかった。
小塚崇彦選手はジャンプの調子がよくなかったようで本来の力からは程遠い出来になってしまった。今シーズンは好不調の波が激しいようだけど、世界選手権にはしっかり照準を合わせて調整して欲しい。