NHK杯2007 女子シングル SP

2007年11月30日

浅田舞さん

急遽出場が決まったために調整不足の上に数日前から発熱していたとのことで精彩のない演技に。二週間ほど前に全日本選手権に備えて靴を新しくしたばかりで、本来なら今はそれを慣らすために過ごしたかったらしい。澤田亜紀さんの欠場による代替出場は彼女の調整日程を狂わせる結果になってしまった模様。せっかくのチャンスだったのに何だかもったいないことになってしまった。鈴木明子さんなら準備が調っていたのだろうか、とかいろいろと考えてしまう。しかしとにかく解説の荒川静香さんも仰ったように、明日のフリーを終えてこの大会に出場したことが彼女にとってよかったと思えるような結果になることを祈りたい。


ラウラ・レピストさん

スケートカナダではSPで浅田真央ちゃんや中野友加里さんら強豪を抑えてまさかのトップに立ったフィンランドの新鋭。このNHK杯ではトウループからのコンビネーションジャンプをトリプル–ダブルに抑える安全策でノーミスの演技。持ち前のフィンランド選手らしい情感のある滑りは健在だった。スケートカナダではプレッシャーからかフリーで崩れてしまったけど、今回は失うものは何もないというつもりでしっかりと最後まで自分の力を発揮して欲しい。


武田奈也さん

小さい頃からTVで見てあこがれていたNHK杯に出場できてうれしいと話す奈也さん。予定した要素をしっかりとこなし自分でも手応えを感じていた様子。ジャンプの構成については今はこれでいくということで納得しているとのこと。フリーでものびのびと滑ってこの大会に出場できる喜びを体で表現して欲しい。


エレーネ・ゲデヴァニシヴィリさん

ルッツはステップから入る難しい踏み切りで成功させたがフリップでは転倒。最悪の状態は脱したものの本格復活まではもう一息というところか。それでも投げキスで始まるモロゾフらしい振り付けをチャーミングに踊ってみせてくれた。


アリッサ・シズニーさん

めずらしくジャンプも含めてノーミスの演技。この人がルッツとフリップを両方成功させたのはかなり久しぶりに見たような気がする。ジャンプさえ決まればほかの要素の評価は高い選手なので高得点を叩き出した。TESは一位のコストナーさんとほとんど変わらない。スピンは相変わらず美しかったが、最後は荒川さんが仰ったように時間が足りなくなって急にやめたような感じになったのがもったいなかった。もう少し長い時間見ていたかったところ。フリーでもぜひ今日のような調子で滑って欲しい。


カロリーナ・コストナーさん

三つのジャンプ全てが不安定だったもののダウングレードはなかったとのことで高い点が出た。結局トリプル–トリプルのコンビネーションジャンプに挑戦したのは彼女だけだった。ここしばらくの彼女としてはかなりいい内容の演技だったと思う。SPを終えてトップに立ったが、フリーでもこの調子で滑ることができるかが注目される。


サラ・マイヤーさん

フリップはロングエッジと取られたのではないかと思うがほかに大きなミスはなく高い得点を叩き出した。フランス大会では要件を満たさないとしてノーカウントになってしまったシットスピンも今回は得点がついたものと思われる。

このSPは衣装も音楽もマイヤーさんの表情豊かな滑りも全てが調和していて、今シーズン見たプログラムとしては最も気に入っている。ただ今回ステップをサーキュラーからストレートラインに変えてきた理由はよくわからない。フランス大会の時のサーキュラーステップから両腕で見えないロープを手繰り寄せるような仕草へと至る流れがとても好きだったので前の方がよかったような気がするのだが。

個人的にはこの人にファイナルに進出して欲しいと思っているのだけどどうなることやら。


安藤美姫さん

ルッツからのコンビネーションはダブルループに。本人の話ではフリップの矯正に取り組んだ副作用でルッツが不安定になっているとのことで、6分間練習でタイミングが合わなかったのでニコライ・モロゾフコーチと相談してトリプルを避けたという。全体に何となく慎重に滑っているように見受けられた。スパイラルはスピードがなくチェンジエッジのところではっきりとバランスを崩していた。先ほどのニュース9での荒川さんの話ではステップもいつもの力強さがなくレベル2の判定だったとのこと。ただ今回ほかにステップでダイナミックな動きを見せるタイプの選手がいなかったこともあって、ほかの選手との比較ではやはり力強さを印象づけていたと思う。

SPを終えて二位という結果ではあるけれど、トップのコストナーさんとの差は小さく、彼女がフリーもトリプル–トリプルのコンビネーションを含めてノーミスで滑るとはなかなか考えにくいので逆転優勝の可能性は十分にある。明日はとにかく荒川さんも仰っていたように思い切ってカルメンに成り切って演技して欲しい。


NHKの放送は余計な編集がなくてとにかく快適の一言。民放各局のスタッフは自社の放送とよく見比べてみて欲しい。

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『ピアノの詩人 ショパンのミステリー』

2007年11月28日

NHKのBSハイビジョンで今日の午後8時から放送された『ピアノの詩人 ショパンのミステリー』を見た。ピアニストの仲道郁代さんがかわいらしいお嬢さんを伴ってショパンの足跡をたどる旅をしながらショパンの音楽の秘密を探るという趣旨の番組である。

フランツ・ローゼンタール(1862年 - 1946年)などショパンに比較的近い時代のポーランド出身のピアニストのSP録音や、ポーランドに古くから伝わるクリスマスキャロルからはショパンの音楽の土着性があらわになる。直筆楽譜や初版の印刷、ショパンが出版後に自ら書き込んだ指示は彼の演奏技法への独自のこだわりを映し出している。そして実際にショパンの時代のプレイエルのピアノを弾いてみることにより彼の一見風変わりな指使いやペダリングの指定にこめられた意図が明らかになってくる。そこにはショパンの演奏がせいぜい200人程度の聴衆の前で行われていたことが影響していた。当時のピアノには数千人規模のコンサートホールで演奏されることを前提に作られている現代のピアノにはない繊細さがあり、ショパンの指示はそれを生かすためのものであったことを実感する。

仲道さんの探求は学究的な関心というよりも現代に生きる自分が彼の作品を現代の楽器で演奏する上でどう解釈していったらいいのか、という演奏家としての向上心に支えられたものだった。素人の音楽ファンにも難し過ぎずにショパンの音楽をより深く理解できたような気にさせてくれる興味深い番組だった。


仲道郁代さんは現代の日本を代表するピアニストの一人で、特にショパンやシューマンなどロマン派の叙情的作品を自然な息づかいで聴かせることに定評がある人だと思う。近年はベートーヴェンなどにも精力的に取り組んでいるが、やはりショパンは彼女にとって特別な作曲家なのだろう。楽譜とつき合わせながら演奏してみせてくれる中でノクターン第8番や第20番など私の特に好きな作品を取り上げてくれたのもうれしかった。仲道さんもこの曲がお好きなんだな、と勝手に親しみを感じさせていただいた。

デビュー当時から愛くるしい容姿でアイドル的な人気もあった方だけど、小学生のお子さんがいる今も少しも変わらずに美しくキュートな魅力を振りまいて、本当に素敵なアーティストだな、と思う。番組の最後には最近のコンサートでアンコールとして弾いたノクターン第20番とエチュード第3番が放映された。彼女の弾くノクターン第20番は録音も持っているのだけど、この曲に深い共感を抱いて演奏しているのがはっきりと感じ取れる素晴らしい演奏である。最近の演奏の様子を映像で見ることができて、実にうれしいひとときだった。

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ロシア大会2007 男子シングル フリー

2007年11月25日

小塚崇彦選手

二回のトリプルアクセルを含め、ちょっとした乱れはありつつも全ての要素をそつなくこなし、何とTESでは全選手中一位! スケートカナダでの調子があんまりだったので心配したけど順調に調子を取り戻しつつある模様。パトリック・チャン選手の活躍を刺激にしながらもマイペースで調整していって欲しい。巷では衣装のことが話題になっているみたいだけど、プログラムの選曲がヴェンチャーズにビートルズとレトロ風味なのも若いのにもったいない気がする。


ジョニー・ウィアー選手

相変わらず好調をキープ。4回転ジャンプ抜きならいつでもミスなくこなせるだけの自信を持っているように見受けられる。やはりロシアでは大人気のようで歓声がただごとではなかった。


ステファン・ランビエール選手

一つ目の4回転トウループではやや乱れながらも何とかこらえて後ろにダブルトウループをつけたが、二つ目は回転不足で転倒。トリプルアクセルは回避しフリップがダブルになるなどまだジャンプは本調子でない模様。それでも中国大会からくらべるとかなり調子は上がってきているように見える。ファイナルでは元世界チャンピオンとしての存在感を見せてくれそうだ。


そのほかではグレゴリー・ウルバス選手とヤニック・ポンセロ選手が「ディエス・イレエ」の旋律をモティーフにした音楽を用いていたのが印象に残った。ここ数年フィギュアスケート界ではやっている「ラ・フォリア」にしてもそうだが、古い時代から時の試練に耐えて残ってきた旋律の持つ力を感じさせられる。

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琴光喜 千秋楽に意地の白星

2007年11月25日

大関千代大海の休場というまさかの事態により取り組みの前に優勝が決まってしまった九州場所の千秋楽。半分以上興味が薄れてしまった結びの一番だったが大関琴光喜が意地を見せて大いに盛り上がった。

立ち合いすぐに絶好の左上手を引いて主導権を握った。途中でその上手を自ら放して巻き替えたのはちょっと危ない戦術ではあったが結果的にはこれが効を奏して横綱白鵬を土俵際に追い詰め、最後は右下手で裏返しに投げ飛ばした。豪快な投げ技には思わずTVの前で大興奮してしまった。

あの左巻き替えはやはりどうしても琴錦(現浅香山親方)が二度目の優勝を果たした場所の貴乃花(現貴乃花親方)戦を思い出してしまう。先場所後に胆石による痛みを発して入院し稽古不足で臨んだ今場所。まずまずの出だしで優勝争いに絡んだが、終盤さすがにスタミナ不足か失速してしまった。それでも最後は大関らしい力強い相撲を見せて来年に希望を持たせてくれた。


今年は大相撲界が激震に襲われた一年だった。今場所も時津風部屋の四人の力士が休場するという厳しい状況の中で行われた。来年からは親方衆や力士たちが一丸となって奮闘し、魅力ある相撲界に立て直してくれることを期待したい。

追記:26日20時50分

琴光喜は27日に内視鏡による胆石除去手術を受ける予定。

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ロシア大会2007 女子シングル フリー

2007年11月25日

ジョアニー・ロシェットさん

SPとはうってかわっていきいきとした演技だった。スケートカナダではうまくいかなかった後半の二つのジャンプシークエンスを、今回はともにセカンドジャンプの着氷で手をつきながらも成功させ高い得点を叩き出した。ルールによく適応することによって手にした表彰台といえそうだ。こうした戦術はトリプルアクセルやトリプル–トリプルのコンビネーションジャンプのような飛び道具を持たないほかの選手たちにも参考になるかも知れない。


村主章枝さん

苦手のサルコウ以外はほぼうまくいったのでまずまずの出来かと思ったが、ルッツとフリップが一つずつダウングレードされたのが響いて点数が伸びなかった。ルッツでロングエッジの判定を受けなかったのは進歩というべきか。素人目には従来とそれほど変わったようには見えないが。あるいは判定をするコーラーによる基準のばらつきという面もあるのかも知れない。


キーラ・コルピさん

最初の得意のはずのループがダブルになったのをはじめ細かなミスが相次いだ。フリーに関しては見た目の印象は村主さんの方がよかったように見えたがわずかにかわして4位に立った。スケートアメリカを欠場したため状態が心配されたがともかく元気そうでほっとした。白を基調とした衣装はやはり彼女には地味過ぎてもったいない気がする。もっと鮮やかな色合いの方が彼女の美貌が生きると思うのだが。


中野友加里さん

あまりに点数が低いのでてっきりトリプルアクセルがダウングレードされたのかと思ったら、ルッツとフリップが一つずつダウングレードされていた。それはともかく見た目には素晴らしい演技だった。トリプルアクセルの完成度は極めて高い水準で維持できているようだし、スピンの美しさは相変わらず。後はやはりあの“巻き足”も含めてルッツとフリップの安定感がネックになってしまっているということか。ロシェットさんを大きく引きはなして暫定一位に立つと思いきや際どい僅差になりひやりとしたが、とにかくファイナル進出が決まってよかった。トリノでも素晴らしい演技を見せて欲しい。


キム・ヨナさん

凄いものを見せてもらった。トリプルフリップ–トリプルトウループ、ダブルアクセル–トリプルトウループといった難度の高いコンビネーションを含めて全ての要素を完璧にこなした。二つ目のルッツでわずかにGOEでマイナスをつけたジャッジがいるもののほかは全ての要素でプラスの評価をもらっている。中国大会では腰の調子を気にしてかやや慎重に滑っている印象があったが、今回は丁寧に魂をこめて演技しているように見えた。素晴らしい演技でもちろんパーソナルベスト(世界歴代最高得点らしい)。昨シーズンはフリーの後半で乱れることが多かったが、フリーでこれだけ質の高い演技を最後まで滑り切ることができるようになったということは今後ますます大活躍をしていくことになると思う。どこまで伸びていくのか、楽しみに見守りたい。


生放送でレベルの高い試合を存分に楽しむことができた。TV局の編集が入らないとこうも快適な放送になるのか、とちょっと感動的でさえあった。ぜひとも毎回こういう感じでお願いしたいと思うのだが…。

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ロシア大会2007 男子シングル SP

2007年11月24日

小塚崇彦選手

ルッツからのコンビネーションはトウループがダブルに。しかしそのほかの要素は予定した通りきっちりこなしていた。スケートアメリカの時からくらべるとかなり調子を上げてきているようだった。本人も手応えを感じている様子で演技終了後はガッツポーズが出ていたのだが、今シーズンのパトリック・チャン選手の大躍進を思い起こすとこの演技で喜んでいる姿に寂しさも感じてしまう。それからプログラムも彼のスケーティングのよさがあまり生きない選曲のように思える。


ジョニー・ウィアー選手

今シーズンの好調さがそのまま表れたミスのない演技。ストレートラインステップの中ほどで「ダヴァイ! ダヴァイ!」と繰り返し叫んでいたのはズミエフスカヤコーチか、それとも地元のファンだったか。終了後は大歓声でロシアびいきの彼はさぞうれしかっただろう。


ジェフリー・バトル選手

トリプルアクセルで限りなく転倒に近いお手つき(ディダクションはつかなかった)、ルッツはダブル。相変わらず本調子からはほど遠い出来だった。


ステファン・ランビエール選手

中国大会の不振からかなり復調してきたようでいい演技だった。アクセルはダブルだが4回転トウループ–ダブルトウループのコンビネーションを余裕をもって成功させた。プログラムはいかにも彼らしい不思議テイストだが、なかなかおもしろい味わいだと思った。


これは全くどうでもいい余談なのだけど、英語の場内アナウンスの女性が私にはどうしても田中真紀子議員の声に聞こえてしまう。自分だけかな?

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ロシア大会2007 女子シングル SP

2007年11月24日

BS朝日での観戦。最初に間違って入った音声がリアルタイムのものだとすると2分程度のディレイでの放送か。編集がなくほとんど生に近い放送は満足度が高かった。いつもこうだとうれしいのだけど。

夜遅いので後半グループだけ感想を。


村主章枝さん

全ての要素をミスなくこなし、中国大会より調整が進んでいる印象を受けた。ただ全体にややスケートの滑りが悪く重たい感じがした。その分PCSが抑えられたか。それでもフリーに向けていい位置につけたと思う。


キーラ・コルピさん

完璧な演技。ステップからのトリプルジャンプはループで、村主さんよりジャンプの構成で劣るが全体的にスケートがよく滑っていたのでこの順位には納得。持ち前の美貌が笑顔でさらに輝いていた。衣装はちょっと地味な感じでもったいない気がする。実際はそんなことはないのだろうけどスカートがタイトな感じで動きにくそうに見えた。


ジョアニー・ロシェットさん

フリップで転倒してコンビネーションにできず。


ユリア・シェベシュチェンさん

フリップがダブル、ダブルアクセルで転倒。コンビネーションジャンプのルッツは高さがあった。


中野友加里さん

完璧な演技。スパイラルのチェンジエッジでややぐらついたのが唯一のミスらしいミスというところか。表情にゆとりがありスケーティングも滑らかで美しい。中野さんらしい清楚な魅力に溢れていた。


キム・ヨナさん

ヨナさんらしい素晴らしい演技。アクセルがシングルになってしまったが、イナバウアーから左足のアウトサイドでそのまま踏み切る難しい跳び方をしているからこそ起こったミス。本人も十分満足感はあったようで、中国大会の時ほどには悔しそうな表情ではなかった。前回も書いたけどレイバックスピンの後腰に手を置いて肩を揺すって踊るところが最高にキュート。ますます大好きになってしまう。フリーも楽しみ。

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魁皇 五敗目を喫し土俵際に

2007年11月20日

この九州場所をカド番で迎え進退を懸けて土俵を務める大関の魁皇は十日目に豊ノ島に敗れ五敗目を喫した。勝ち越すにはあと二番しか負けられないが、今場所好調の白鵬千代大海琴光喜の三人との対戦を残しており、非常に苦しい状況に追い込まれた。

持ち前の怪力で長年にわたり土俵を湧かせてきた大関も満身創痍で力の衰えは隠し切れない。とにかく残り五番、地元の観衆の前で悔いのない相撲を取って欲しい。多くの相撲ファンに愛された名大関の姿をしっかりと目に焼き付けておきたい。

追記:24日18時20分

魁皇は十四日目に大関琴光喜を下手投げで下して勝ち越しを決め、来場所以降の大関の地位を維持した。

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フランス大会2007 男子シングル フリー

2007年11月18日

この大会、男子も予想以上におもしろかったので簡単に感想を書いておきたい。


パトリック・チャン選手:ヴィヴァルディ 四季

ブライアン・ジュベール選手が欠場すると聞いた時からチャン選手が優勝するといいな、と思っていたのだがその通りの結果になった。とにかく流れるようなスケーティングが美しい。4回転ジャンプこそないものの極めて充実した演技だった。ジャッジスコアを見るとGOEでマイナスが一つもない。ダブルになったサルコウからのコンビネーションあたりは減点されてもおかしくないはずなのだが、ジャッジもあまりの美しい滑りに心を奪われて点を引く気になれなかったのではないだろうか。

最後のスピンはキャメルポジションになった時にトウが氷に引っかかっていたので危ないな、と思っていたらその後バランスを崩して転倒してしまった。本人はかなり気にしていたが観客はそんなのなかったことにして上げるよ、とばかりに盛大な拍手を贈っていた。ともかくそんなミスが全く気にならないほどの素晴らしさだった。個人的にはステファン・ランビエール選手の「四季」よりはるかによかったと思う。

中国大会のジョニー・ウィアー選手もそうだが、4回転ジャンプに積極的に挑戦する選手が増えている中で、トータルな美しさを評価されて優勝する選手がいるというのは心強い。多様な魅力のある選手たちが対等に競り合っている状況の方が見る側にとって楽しみが広がるからだ。この競技の奧の深さを感じさせてくれる、素晴らしい優勝だった。


ライアン・ブラッドリー選手

チャップリンのメドレーは彼のエンタテイナーとしての資質が生きるいいプログラムだと思う。特にサーキュラーステップに入るところの踊りがユーモラスでいい。それにしても冒頭のライムライトのあのメロディー、何と夢見るような美しさなのだろう。聴く度に偉大な喜劇役者が旋律を生み出す才能にも恵まれていたことの不思議さに感嘆してしまう。


トマーシュ・ヴェルネル選手

日本の祭り囃子を思わせる笛と太鼓による音楽が印象に残る。解説の佐野稔さんも実況アナウンサーもスルーしていたが、衣装に何か字が書いてあるのが気になって仕方なかった(‘勇’の字ははっきり読み取れた)。背中の模様も字のように見えた。世界選手権のエキシビションの“逆さ鉢巻”といい、日本のファンにアピールしたいという気持ちが強いのだろうか。残念ながら今回はミスが多く出てしまったが、なかなかおもしろいプログラムで、完成された演技を見るのが楽しみになった。


ところでこれは余談になるのだけど、イリーナ・スルツカヤさんが15日に男の赤ちゃんを帝王切開で出産したという未確認情報がある。グーグルでニュース検索をしてもまだ何も出てこないのでどこまで信じていいのかわからないのだが、もし本当ならおめでたいことで、母子ともに健やかであることを祈りたい。奥様スケーターはそれなりにいるようだが、ママさんスケーターというのはあまり聞いたことがないような気がする。彼女がアマチュア復帰をしてその先駆者となる、ということはあるのだろうか。

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フランス大会2007 女子シングル フリー

2007年11月18日

澤田亜紀さん

一応トウループからの3連続のコンビネーションが入ったのでSPよりは多少よかったかも知れない。それでも彼女の本来の力とはかけ離れた演技と言わざるを得ない。早く調子を取り戻して欲しい。


ヴィクトリア・パヴクさん

ところどころミスはあったもののSPよりも動きがよかったと思う。ジャンプが力まかせで跳んでいるように見えるので、もう少し演技の自然な流れの中で踏み切れるようになるとなおいいな、と思った。


アシュリー・ワグナーさん

終わった後自分で驚くほどのクリーンな演技。ルッツが二つともロングエッジと判定されているが予定した要素は全て成功させていた。めずらしい逆回転のスピンも見せるなど多彩な技術の持ち主であることもアピールしていた。グランプリシリーズ初の表彰台は素晴らしい快挙だと思う。


サラ・マイヤーさん

淡いブルーの衣装がまた素晴らしく立っているだけで美しい。しかし演技の方は最初のフリップからミスを連発。とてもいい雰囲気のプログラムだっただけにもったいなかった。NHK杯では完成された演技を見せて欲しい。

音楽は新実徳英さんの作品とのことで、「ラ・フォリア」の旋律から始まった。変奏曲のようだけど途中は違う曲想も交じっていた気がする。あるいは別の曲をつなぎ合わせたのかも知れない。彼女は昨シーズンも久石譲さんの映画音楽を用いていたが、日本のいい音楽を捜し出すのがうまい人だな、と思う。(20日21時50分追記:マイヤーさんの使用した音楽は新実徳英さん作曲の「黒のラ・フォリア」と「秋の紅」をつないだものらしい。)


エレーナ・グレボワさん:グリーグ ピアノ協奏曲

ルッツとループが一つでフリップがないというトリプルジャンプの種類の少なさをダブルアクセル–トリプルトウループのコンビネーションを二つ入れることで挽回しようというジャンプの構成ながら、その二つのトウループでともに転倒してしまった。三つしかジャンプのないSPではともかくフリーではまだ世界のトップと競うにはやはりジャンプに課題がありそう。それでも今後が楽しみな逸材であることは示した演技だったと思う。


キミー・マイスナーさん:トゥーランドット

フリップからのトリプル–トリプルのコンビネーションはトウループがダウングレードされたものの一応成功。まずまずの出だしに見えたが二つ目のルッツがシングルになったところからミスを連発してしまった。スケートアメリカの時も思ったのだけど、ストレートラインステップは中ほどではバタフライのような動きを採り入れていてダイナミックでいいけど後半からほとんど歩くような感じになっているのは印象があまりよくないと思う。音楽が最初から最後まで「Nessun Dorma」でメリハリがないのも少し問題のような気がする。


浅田真央ちゃん:ショパン 幻想即興曲

キミーがミスを連発した時点で優勝はほぼ確定的だったが果敢にトリプルアクセルに挑戦した。転倒してしまったもののその後が雑にならなかったところに真央ちゃんの成長を見た気がする。特にステップなどはSPではやや流れに乗れていないように見えたが、フリーではピアノの目まぐるしい動きに合わせたいきいきとしたステップだったと思う。

終わった後笑顔だったのでとにかく一安心。トリプルアクセル成功への期待はファイナルにとっておきたい。衣装がスケートカナダと同じだったのはちょっと残念。

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フランス大会2007 女子シングル SP

2007年11月18日

ヴィクトリア・パヴクさん

全体にスケートの滑りが悪く重たい感じの演技。スピンなどでは多彩なポジションも見せていた。


ヴァレンティーナ・マルケイさん

大柄で目鼻立ちのくっきりした容貌は華がある。ただ表情の作り方は日本人の私には少しくどいかな、という印象を受けてしまった。


エレーナ・グレボワさん

大きなミスのない充実した演技。トリプルトウループ–トリプルトウループのコンビネーションは自信があるようで余裕をもって決めていた。


アシュリー・ワグナーさん

トリプル–トリプルのコンビネーションは不発、もしくは自重。スケートカナダの時にくらべるとややおとなしい印象の演技だった。


澤田亜紀さん

かなり難度を落としたジャンプの構成で臨んだにも関わらず全てのジャンプでダウングレードされて、シニアの国際大会ではあまり見かけないような技術点がついてしまった。国内の試合での不調を聞いてはいたが、思っていた以上に出来が悪くて驚いた。何か思うような調整ができない事情があるようで、演技後の様子は悔しいというより仕方ない、といった表情だった。早く元気な姿を取り戻して欲しいけれど…。


サラ・マイヤーさん

衣装が品がよくて立ち姿だけでうっとりしてしまう。音楽と振り付けも素晴らしくて幻想的なプログラムに仕上っていた。今シーズンはこれにはまってしまうかも。もう少し点数がついてもよかった気がする。


キミー・マイスナーさん

ルッツの後のトウループはダブルになり左足から着氷していた。見た感じではスケートアメリカの時の方がよかった気がするが、本人はインタビューで今回の方がよかったと話していた。


浅田真央ちゃん

またしてもコンビネーションジャンプで失敗。練習では軽々と跳んでいるのに同じ失敗を繰り返すのは意識し過ぎているのだと思う。ステップでも真央ちゃんにしてはスケートが滑っていないように感じられるところもあった。キス&クライでは淡々とした表情だったが引き上げる時になって涙がこぼれた。うまく切り換えてフリーに臨めるといいけど。失敗があってもトップに立ったことを自信にして欲しい。

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夏川りみさん NHK『SONGS』に出演

2007年11月14日

今日はNHKの『SONGS』に夏川りみさんが出演するとあって絶対に見逃さないぞ、と心に誓っていたのにすっかり忘れていて、最初少し見逃してしまった。それでも「涙そうそう」の途中から見ることができて、素晴らしい歌声を堪能した。

ここのところ事務所の移籍とかそれに伴う休養などがあって少し心配していたのだけど、一ヶ月ほど故郷に帰ってリフレッシュしたとのことでますます発声にも歌い回しにもやわらかさ、のびやかさが増してきているように思った。「童神」は相変わらず絶品だった。

伴奏には井上鑑さん、古川昌義さんと本田美奈子さんのファンにとってはおなじみの顔ぶれが参加していてこれもまた見所だった。こういうシーンを見せられると、いつかりみさんが「wish」を歌ってくれる日が来ないかな、という夢想にとらわれてしまう。もしそんなものが聴けた日にはきっと泣いてしまうだろうな…。

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フィリッパ・ジョルダーノさんの追悼メッセージ

2007年11月14日

本田美奈子さんがサラ・ブライトマンさんから大きな影響を受けたことはよく知られており、このサイトでも度々言及してきたが、美奈子さんはフィリッパ・ジョルダーノさんのコンサートを聴きに行き、終演後に楽屋を訪ねて話をしたことがあった。クラシカル・クロスオーヴァーへの進出にあたってはフィリッパさんのことも十分に意識していたものと思われる。

そのフィリッパさんは美奈子さんの逝去後の2005年12月に日本でクリスマス・コンサートを行った際、そうした経緯について話した後、美奈子さんへの追悼の思いを込めてシューベルトの「アヴェ・マリア」を歌った。このことは以前から話としては知っていたのだけど、このほどその時のMCの様子が映像で見られるようになった。



フィリッパさんのような世界的なアーティストが美奈子さんのために歌を捧げて下さったことは美奈子さんのファンとして感激に堪えない。ましてそれを映像で確認できるようになるとは思ってもおらず、まさに望外の喜びだった。映像を撮影し公開して下さった永島智之さん、公開を諒承して下さったフィリッパさんに感謝したい。


そのお礼というわけでもないけど、Wikipediaにフィリッパさんの項目を急遽作成してみた(まだ存在しなかったことにかなり驚いたのだけど)。慌てて作ったので内容は薄っぺらだし誤りもあるかも知れないけどないよりましだと思う。少しでも調べ物をするみなさんやフィリッパさんのお役に立つことを願っている。

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中国大会2007 男子シングル フリー

2007年11月12日

アレクサンドル・ウスペンスキー選手:トゥーランドット

音楽があのトゥーランドット、しかもトリノオリンピックで荒川静香さんが用いたのと同じヴァネッサ・メイさんのヴァイオリンによるヴァージョンだったことに驚いた。曲のつなぎ方もほとんど同じだったように思う。種目が違うとはいえオリンピックチャンピオンと同じ曲で滑るというのは勇気ある選択である。ただここまで同じにするならもう少し荒川さんの演技に迫るような表現力を発揮して欲しかった気がする。


セルゲイ・ダヴィドフ選手

序盤からジャンプが乱れ、ザヤックルールの適用も受けてしまい得点を伸ばせなかった。全体にはまずまずの出来ではあったと思うけど、表彰台のチャンスもあっただけにもったいなかった。トリプルアクセルからのトリプルトウループは間にターンが入っているのにコンビネーション扱いで、ルッツの後にシークェンスで跳んだトウループがカウントされていない理由はよくわからない。


ステファン・ランビエール選手

プログラムの最初にトリプルループを配置した意図が少しわかりかねるのだけどそのループで着氷が大きく乱れ、続く4回転のトウループで転倒。苦手なトリプルアクセルも入れられず、二度目の4回転やフリップでも転倒するなど元世界チャンピオンとしては散々の出来だった。解説の佐野稔さんは靴にトラブルがあった可能性を指摘されていたけど、何か本調子でない理由でもあるのかも知れない。モティヴェーションの維持に苦労した昨シーズンから心機一転して臨んだ今シーズンだけど、もう少し覇気のある姿を見てみたいところだ。


ジョニー・ウィアー選手

4回転ジャンプこそなかったが全ての要素をミスなくこなした完璧な演技。中盤でのアップライトスピンでわずかにマイナスをつけるジャッジがいたもののほかは全てプラスの評価をもらっている。彼はトリプルアクセルに安定感があるので、4回転ジャンプに挑戦したほかの実力選手が失敗する状況では強みを発揮する。彼がSPとフリーでそろって快心の演技をしたのはかなり久しぶりに見た気がする。今シーズンの今後の活躍も楽しみになる。


エヴァン・ライザチェク選手:トスカ

最初の4回転トウループで転倒。その後はそれを引きずらずにしっかりと要素をこなしたが、ウィアー選手とくらべると全体に少しずつ精度を欠いていた印象を受けた。

この「トスカ」は美しくドラマティックな旋律が魅力でフィギュアスケートではよく用いられる音楽だけど、激しい動きでいきいきと演技するとかえって音楽の世界から乖離した印象になってしまうという困難さがつきまとう。トリノオリンピックでのプルシェンコ選手のSPでもそうした批判があったが、今シーズンのライザチェク選手のフリーもスケートアメリカで見た時はそんな印象があった。それにくらべると今回の方が少し元気がなかった分カヴァラドッシらしく見えたとも言えなくはないような気がする。何とも難しいプログラムである。


録画して見たのだけど、柴田嶺選手の演技がなかったのは自分の録画ミスではないよね? まあ最下位では仕方ないとも言えるけど…。

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中国大会2007 女子シングル フリー

2007年11月10日

村主章枝さん:Oblivion

調整が間に合っていないようで得意のルッツやフリップでミスが出ているのが気にかかる。それでも他の選手たちが大きく崩れる中で苦手のサルコウも織り交ぜながら全体を手堅くまとめてフリーでは3位。トータルでも4位に入り実力者の面目を保ったことにほっとした。


ユリア・シェベシュチェンさん

最初のルッツは高さもあり素晴らしかったが、その後はジャンプでミスを連発して冴えない演技に。ジャンプが持ち味の選手だけに少し痛々しい感じになってしまった。


キム・ヨナさん:ミス・サイゴン

解説の荒川静香さんが指摘されていたように演技前から腰を気にする仕草が目立った。SPでもビールマンスピンでやや乱れるところがあって気になっていた。あまり大したことでなければいいのだけど。

ただそれもジャンプには大きな影響はなかったようで、二つ目のルッツがシングルになったほかは大きなミスなくこなしていた。今シーズンのルール改正でジャンプの構成に苦労する選手も多い中で、昨シーズンはプログラムに採り入れていなかったループを跳んだのは素晴らしいと思う。スピンのポジションにヴァリエーションが乏しかったような気がするが、これがもし腰の影響だとすると少し気がかりではある。それはともかく昨シーズンは後半崩れることの多かったフリーで最後まで破綻なく滑り切ったのは大きな成長といえるだろう。

注目された音楽はピアノを中心としたコンチェルタントなアレンジだった。中間の「サン・アンド・ムーン」の旋律では本田美奈子さんの歌声が聴こえてくるようで胸に迫るものがあった。素晴らしい優勝だったけど今後はさらにヒロインのキムの内面に迫るような表現に仕上げていってくれることを期待したい。


キャロライン・ジャンちゃん:シューベルト アヴェ・マリア

ルッツとフリップで一度ずつ転倒があったけどトリプルフリップ–トリプルトウループのコンビネーションを成功させるなど素晴らしい演技だった。スケートアメリカでの3位に続く2位の結果はファイナル進出は微妙かも知れないが、シニアのグランプリシリーズ参戦一年目としては申し分のない成績だと思う。

ブラジャーよりもおむつが似合いそうな女の子に萌えてしまう自分に少し危険なものを感じつつも、あのかわいい笑顔の魔力には抗うことができない。今後も注目して応援していきたい。


カロリーナ・コストナーさん:ドヴォルザーク ピアノ三重奏曲第4番ホ短調「ドゥムキー」

最初のフリップで着氷が乱れ、無理してシークェンスで跳んだトウループで転倒、ルッツとフリップで一度ずつダブルになり、中ほどでのダブルアクセルからのコンビネーションでも後ろのトウループで転倒した。SPでもかなり危なっかしい感じだったジャンプがフリーではさらに大きく乱れてしまった。高い能力を秘めながらなかなかSPとフリーを揃えることができないのはもったいない。早く調子がよかった頃の自分を取り戻して欲しい。

TVでなく生で見ると印象が違うのかも知れないが、衣装はあまり品のいい色に見えなかった。音楽とも合っているとは思えない。とはいいつつスカートが短くおしりの部分のカットが浅いデザインはちょっと悩ましかったりもするのだけど…。


一時間しか枠がないにも関わらずスケートカナダやらSPやらの映像を交えて放送する神経はちょっと理解し難いのだが…。この大会は美人選手が多くて見所が一杯だったのにわずか一時間の放送というのは失敗だったのではないだろうか。

もっとも人に文句を言うばかりでなく、このところ自分のウェブでの言葉遣いがいささか品性を欠いていることは重々自戒したい。

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中国大会2007 男子シングル SP

2007年11月10日

今日は女子フリーもあるので感想はダイジェストで。


柴田嶺選手

ジャンプの構成が物足りない上にサーキュラーステップで転倒してしまってはSP最下位も仕方のないところ。それでもやはり独特の魅力のある演技ではあった。


セルゲイ・ダヴィドフ選手

ノーミスの快心の演技といっていいのではないだろうか。ベテランになってもこれだけの技術を維持しているのは素晴らしいと思う。フリーはスタミナが最後まで持つかが鍵になるだろう。ランビエール選手の出来によっては表彰台の可能性もありそうだ。


ジョニー・ウィアー選手

4回転ジャンプこそないものの全ての要素をミスなくこなし高得点をマーク。ここしばらくは実力を発揮し切れないもどかしいシーズンが続いていたが、今シーズンは序盤から好調なようで先行きが楽しみになる。

プログラムは曲調がずっと一定していてメリハリに欠けるのが気になるが、やはりこういう雰囲気のプログラムは彼にはよく合っている。


エヴァン・ライザチェク選手

4回転のトウループで手をついてしまったがそれ以外に目立ったミスのない充実した演技。衣装が真っ黒だろうが何だろうがやはりとにかくカッコいい。彼のような選手がSPで果敢に4回転ジャンプに挑戦してきているのは高橋大輔選手などにとってもプレッシャーになるのではないだろうか。


ステファン・ランビエール選手

苦手のアクセルをダブルに抑えたのは予定通りだとしても4回転のトウループで転倒したのは痛いミスだった。ほかの要素の得点や過去の実績がものをいうPCSのお蔭で何とか逆転優勝の射程圏内に滑り込んだ。フリーでもこの調子では逆転は難しいが、本来の実力を発揮できればまさかの展開もあるかも知れない。

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中国大会2007 女子シングル SP

2007年11月 9日

王月人さん

名前を聞くのも初めての選手だが予定した全ての要素をミスなくこなした精一杯の演技。スケーティングもなかなかしなやかで、ステップでもしっかりと踊っていた。これからが楽しみな選手。美人ということもあり応援して上げたくなる。TVの画面を見ながらつばをつけておきたくなった。


方丹さん

この人がこういう静かな音楽で演技するのはめずらしいのではないかと思う。見た目も大人びてきているようで今までと少し印象が違っていた。


アリーナ・マルティノワさん

昨シーズン見た時よりも全体に動きにしなやかさが出てきたように思った。しかし各要素でミスが多過ぎてSP最下位は仕方がない。ロシア期待の若手としてもう少し張り切って演技してもらいたいもの。


許斌姝さん

しっとりとした演技が印象的。フリップの転倒はもったいなかったけど全体にはいいプログラムだったと思う。この人も応援して上げたくなる選手。フリーは「もののけ姫」だそうで楽しみ。


ベアトリサ・リャンさん

きびきびとした動きが印象的な演技。がっしりした体格でジャンプに独特の迫力がある。手足の長い選手が増えている分、かえって演技が個性的に見えて得をしているという見方もできるかも知れない。


キャロライン・ジャンちゃん:Spanish Gypsy

認定されたかどうかわからないがトリプルルッツ–トリプルトウループのコンビネーションを成功させるなど実力を発揮した。PCSが伸びないのは今は仕方のないところか。ディダクションは時間超過?(10日22時30分追記:ジャッジスコアにより時間超過であることを確認。コンボは3-3の認定。)


アリッサ・シズニーさん:サン=サーンス 白鳥

ルッツで着氷が大きく乱れたが、フリップを成功させその後急遽トウループを付け加えたのはジャンプの苦手なこの人にしては上出来というべきか。白い衣装での長い手足を生かした演技は本当に白鳥が舞っているようだった。


カロリーナ・コストナーさん

ルッツもフリップも危うい着氷ながら予定した全てのジャンプを成功させた。ジャンプが決まればさすがに高得点を叩き出しSPを終えてトップに立った。衣装は品のいい色合いでとてもよかった。音楽はちょっと変わっていて微妙な感じ。


村主章枝さん:Take Five

ルッツの着氷が乱れコンビネーションにできず、フリップはすっぽ抜けてシングルに。明らかに調整が間に合っておらずまさかの11位スタート。ただステップにはかなり集中して取り組んできた跡がうかがえた。

注目された曲は「Take Five」だった。五拍子で踊るというのはなかなか大変なはずで、いつも新しいことに挑戦する村主さんらしい選曲だと思った。このプログラムを今シーズンどこまで仕上げることができるか楽しみだ。


スザンナ・ポイキオさん

ますます大人の魅力を増してきているように思った。“妖艶”という言葉はこの人のために使って上げればいいのでは?


ユリア・シェベシュチェンさん

フリップは見事だったがルッツの着氷が乱れてしまったのがもったいない。緑の蛍光色の衣装はちょっとどうかと思った。


キム・ヨナさん:ヨハン・シュトラウス二世 こうもり

トリプルフリップの後のトウループがシングルになるめずらしいミス。それ以外は高い技術を発揮した。レイバックスピンの後、肩を揺すらせて踊るところがかわいかった。

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昨日は三回忌

2007年11月 7日

昨日は本田美奈子さんの三回忌。また献花に行こうかとも思ったのだけど、美奈子さんを思いながら一人で静かに過ごしたい思いが強くなって今回は行かなかった。このところ「Anthem of Life」を聴き込んでいたせいで少し平静さを失っていたかも知れない。やはり自分にとってアイドル時代の美奈子さんの音源は取り扱いに注意を要する劇薬であるようだ。

こんな風に心が千々に乱されるのは決して楽ではないが、この歳になってもそうした青臭い感傷に浸っていられるのはとても幸せなことだと思う。“生涯青春”を教えてくれた美奈子さんに感謝しないといけない。

忘れてた ときめきを せつなさを ありがとう
プリンセス・プリンセス「ジュリアン」

Wikipedia編集 第2次中間報告

Wikipediaの本田美奈子さんの項目の編集、三回忌までに一区切りさせようと思って取り組んできたのだけど、一応これまでに美奈子さんの音楽を理解する上で知っておく必要のあることは一通り記述できたのではないかと思う。これでひとまず完成、と言いたいところだけど、まだ少し気になることが残っている。

美奈子さんとゆかりの深い方のお名前は一通り言及するように務めてきたのだが、まだふれていない方が何人かいる。特に牧田和男さんについてはどうしてもふれておくべきなのだけど、まだできていない。牧田さんについてふれるとなると当然アルバム「晴れ ときどき くもり」に絡んで、ということになるのだけど、このアルバムについて記述するなら「JUNCTION」についても書いておく必要がある。そしてこの二つについて書くとするとほかの分野についてももう少し詳しくしておかないとバランスがとれなくなる。そうなると節分けの仕方など全体を構成し直す必要が出てきてとてもややこしいことになる。

そんな訳ですぐにはできそうもないので、気長に取り組んでいきたい。


今回「好きからはじめよう」の感想を書くにあたってサザンオールスターズ関連の項目を参考にしたのだけど、さすがに日本最高の人気を誇るバンドだけあって、バンド自体のみならず各メンバーやアルバムなどの項目も非常に詳しく充実していて感銘を受けた。さらに凄かったのがビリー・ホリデイの項目で、百科事典という枠を超えてほとんど一つの読み物になっているといっても過言ではない。

こういうのと比べてしまうと自分が関わっている美奈子さんの項目が何とも貧相に思えてきて、何だか申し訳ないような気分になった。自分の力量ではどうがんばっても今よりも少し分量的に増やせるくらいで、あれほど充実したものにはなりそうもない。美奈子さん許してくれるかな…。

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「好きからはじめよう」

2007年11月 6日

作詞:本田美奈子. 作曲:野口兼護
2006年11月6日よりインターネット配信が開始された。CDには「Anthem of Life〜Sweet Ballads Best〜」TOCT-16383(2007.10.24)に初めて収録された。

先月24日に本田美奈子さんのアルバム「Anthem of Life〜Sweet Ballads Best〜」が発売された。副題に“Sweet Ballads Best”とあるように、美奈子さんのバラード調の楽曲を中心にしたベストアルバムである。アイドル時代のスタジオ録音の音源が中心だが、マーキュリー移籍後の2曲やミュージカルナンバーのライヴ音源も含めた16曲が収録されている。付属のDVDにはこの中から5曲のPVやライヴ映像が収められている。

しかし残念ながら映像も含めて全てのコンテンツがすでに発表されたものであり、新鮮さには欠けるアルバムと言わざるを得ない。未発表の音源なしでこうしたベストアルバムを乱発するEMIの手法は批判されても仕方ないだろう。原田京子さんによるジャケットの写真が色に加工を施されていることも惜しまれるところである。ブックレットの写真もすでに「ANGEL VOICE」に使用されたものばかりで、ファンへの配慮が行き届いているとは言い難い。


ただアイドル時代の美奈子さんの記憶にコンプレックスを抱え、未だにボックスセットを入手さえしていない私にとっては多くの楽曲が新たな体験であり、興味深く聴くことができた。バラード調の曲が主体であるためとても聴きやすかったということもある。アイドル時代の美奈子さんにこれほど耳になじみやすい佳曲が多く存在したというのは新鮮な驚きでもあった。

それと同時にこれだけいい曲があるにもかかわらず最も注目を浴びたのが「1986年のマリリン」だったことにはまたしても恨みがましい思いが湧いてくるのを抑え切れない。中学生の私にはどうしても美奈子さんの歌にふれることができるのはTVでの歌唱などが中心で、アルバム収録曲に親しむ機会はほとんどなかった。あの頃にもし、「…マリリン」の代わりに例えば「HARD TO SAY “I LOVE YOU”」を聴くことができていたら、美奈子さんをずっと好きでいられたかも知れない…。そう思うと切なさがこみ上げてきて、曲調のやさしさとは裏腹に聴くのがつらくなってしまったりもする。


この新味に乏しいアルバムの中で、唯一古参のファンにも新鮮さを持って迎えられ得るのが終曲として収められた「好きからはじめよう」である。これはファンクラブのイベントなどでテーマ曲として歌われていた曲で、昨年の一周忌後にインターネットでの配信が開始されていたがCDへの収録はこれが初めてになる。

初め聴いていて今までにどこかで聴いたことがあるような既視感を覚えたのだが、しばらく考えて思い出した。イントロがサザンオールスターズの「いとしのエリー」に酷似しており、歌い出しの部分のリズムが「星空のビリー・ホリデイ」のイントロに挿入されるメロディーを想起させるのだ。作曲の野口兼護さんはどういう人か知らないのだが、あるいは桑田佳祐さんとよく似た音楽性の持ち主なのかも知れない。


この曲がはじめからファンの集いなどで歌われることを意図して作られたのかはわからない。ただサビの部分での自然な盛り上がりは歌う人たちの間に一体感を醸成するのに効果的で、そうした場での合唱には実に好適であることは確かだろう。美奈子さんの楽曲にしては比較的平易で素人でも歌いこなすのはそれほど困難ではないということも言えるかも知れない。ただサビのメロディーが拍の頭に休符がある凝ったリズムになっていたりして、正確に歌うのは見た目ほどやさしくはないように思う。日本を代表する実力派歌手である美奈子さんのファンならこれくらいは歌えるようになるべきなのだろうが、少なくとも自分にはその自信は全くない。

歌詞は美奈子さん自身によるもので、ありのままの自分を好きになろう、と呼びかけてくれている。おおらかな自己肯定を促すメッセージは美奈子さんらしいやさしさに溢れている。しかし私には聴いているとこんなにもいとしい人から離れてしまった自分への腹立たしさが湧いてきたりもする。こんな私にもいつかこの歌を技術的にも気分の上でも問題なく歌えるようになる日がやってくるのだろうか…。


この稿を準備するために「いとしのエリー」の歌詞を調べていてこんな一節に目が止まった。

あなたがもしもどこかの遠くへ行きうせても
今までしてくれたことを忘れずにいたいよ

美奈子さんはどこか遠くヘ行ってしまった—? いや、そうではないはずだ。

今日は美奈子さんの三回忌になる。昨年の一周忌には四苦八苦しながら下手な手紙を書いていたのを思い出す。あの時は何かせずにはいられない焦燥感に衝き動かされていたのだが、今はもうそんな落ち着きのない気分ではなくなっている。それは決して彼女を喪った悲しみが風化しつつあるのではなく、美奈子さんはいつも自分のそばにいてくれるという確かな感触を抱くことができるようになってきたからなのだと思う。

そんな訳で今回は特別なことは何もしなかったが、あの時の気持ちをもう一度確認する意味で、その手紙をもう一度読み返してみる。

美奈子さん、あなたを思うと今も心が痛みます。しかし私はこの悲しみを消し去ってしまいたいとは思いません。あなたを思い浮かべるだけで胸が疼くこの悲しみこそは、あなたが今も私の胸の中に生きている証しだと信じるからです。……

美奈子さんは今もこの胸に生きている—、アルバムケース裏面のこちらを向いて微笑む美しい姿に見惚れながら、心の傷がまた疼き出すのを確かめて胸をなで下ろす。


「星空のビリー・ホリデイ」にはこんなフレーズがあった。

落ち込みがちな夜にこそ
声を聞かせて

偉大なジャズ・ヴォーカリストへのオマージュとしてこの歌を歌った桑田佳祐さんに倣って、私も昨年の手紙にしたためた言葉をあらためて“星空の美奈子”さんに捧げたい。

あなたは今どうしていますか? そちらからは私たちのことが見えますか? 私たちがどんなにあなたを愛しているか、わかってくれていますよね? 今も私たちのために歌ってくれているのでしょう? 静かな夜更けに耳を澄ますとあなたの歌声が聴こえるような気がするのです。

……

あなたへの永遠の片想いは私の人生の宝物です。いつまでもあなたを愛しています。

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スケートカナダ2007 女子シングル フリー

2007年11月 4日

レスリー・ホーカーさん

しっとりとした曲に乗せて丁寧な演技。昨シーズンは新婚さんとして紹介されていたけど、一年経った今もアマチュアで現役を続ける意欲は素晴らしいと思う。ただ彼女の存在を脅かすようなカナダの若手スケーターが台頭してきていないというのは少し気になるところではある。


アシュリー・ワグナーさん

楽しそうに滑っていて見ていて元気づけられる演技。両足着氷気味のジャンプが多かったような気がするけど元気よく跳んでいるのでそうした点が気にならない。シニアのグランプリシリーズ初挑戦での5位は立派な成績。今後の活躍がさらに期待される。


エレーナ・グレボワさん:グリーグ ピアノ協奏曲

フリーではやはりトリプルジャンプの種類の少なさが気になるが、できることを精一杯こなしている姿に好感を覚える。ステップでもう少しひざをやわらかく使えるといいな、と思った。


武田奈也さん:Otonal

同じくジャンプの構成に物足りなさはあるものの現在の実力を出し切っていたと思う。彼女のキャラクターとは随分違った曲調のプログラムだけど無理して演じているような印象は受けなかった。こういう路線でも結構いけるのかも知れない。インタビューでの受け答えがとてもしっかりしているので応援して上げたくなった人も多かったと思う。


ジョアニー・ロシェットさん

SPよりもずっとジャンプに切れがあって調子がよさそうに見えた。しかし後半疲れが出たのかジャンプシークェンスが二つともうまくいかなかった。彼女としてはちょっともったいない演技で去年に続いての逆転優勝はならなかった。


中野友加里さん:リムスキー=コルサコフ スペイン奇想曲

久しぶりに中野さんのトリプルアクセルが見られてうれしかった。6分間練習でも着氷でステップアウトしてしまったが成功していたので本番に期待を持たせたが、本番ではクリーンに決まっていた。これまで円を描く助走をとっていたのを直線に近い助走に変えたのが効を奏したのだろうか。

フリップがダブルになるミスはあったもののほかの演技も素晴らしかった。SPを終えた後の表情がかなり落ち込んでいる様子だったので心配したが、フリーの演技を終えて満面の笑顔が見られたのが何よりよかった。

「スペイン奇想曲」は活気のある曲でこれまでの中野さんのプログラムとは少しイメージが違ったがこれもよく似合っていた。衣装も派手ではあるけど下品でなく、今シーズンに懸ける中野さんの燃えるような気持ちを表現していてよかったと思う。


浅田真央ちゃん:ショパン 幻想即興曲

勝負を優先して手堅い内容にまとめてきた。トリプルアクセルは封印、フリップからのトリプルループはダウングレードと真央ちゃんにしてはジャンプが物足りなかった。スパイラルでもレベルをとりこぼしている。やはりトリプルアクセルを見ないと真央ちゃんの演技という感じがしないが、取り敢えずは仕方のないところか。それでも余裕で優勝してしまうところはさすが。フランス大会では快心の演技を見せて欲しい。

気になるのは最初のアクセルの前に昨シーズンと同じくステップが入っていたこと。今シーズンはトリプルアクセルをフリーで2回跳ぶ構想があるらしいのだけど、その場合でもあそこにステップを入れるのか、とするとさすがに負担が大きいのではないかと気にかかる。二つ目をどこに入れるのかも含めて興味深い。

注目していた音楽はピアノとチェロの合奏版だった。リンクの音響条件などを考えるとピアノだけで通すよりもこの方が映えるということもあるのだろうか。そう悪くはないアイディアだと思った。ピアノの鍵盤をモティーフとしていると思われる衣装は少し微妙な気がする。


エミリー・ヒューズさん:オルフ カルミナ・ブラーナ

めずらしくルッツがダブルになるなどやや精彩を欠いた感じ。それでもスケートアメリカよりはよくなっていた。衣装がスケートアメリカの時と色合いが違って見えるのは気のせいか。

荒川静香さんも仰っていたけど気がついたらすでにお姉さんよりもキャリアが長くなっている。学業との両立は大変だろうけど少しでも長くアマチュアでの競技を続けて欲しい。


ラウラ・レピストさん

SPを終えてトップに立ち、最終滑走で迎えたフリーは相当な重圧だったはず。おそらく練習でも成功率は高くないであろうルッツはともかく、SPではトリプル–トリプルのコンビネーションを成功させたトウループで転倒してしまったのは残念。ここは見せ場だっただけに本人も悔しいだろう。

それでも全体にはなかなかしっとりした情感溢れる演技でシニアのデビュー戦としてはまずまずの結果だったのではないだろうか。好みのタイプのスケーターでちょっとファンになってしまいそう。キス&クライでは冴えない表情だったけど、気にせずまた今度いい演技を見せて、と伝えて上げたい。

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スケートカナダ2007 女子シングル SP

2007年11月 3日

エレーナ・グレボワさん

初めて見る選手。比較的難易度の低いトウループからとはいえトリプル–トリプルのコンビネーションを決めてみせるあたり能力の高さを感じさせた。今後が楽しみになる。


アシュリー・ワグナーさん

こちらも演技を見るのは初めて。認定されたかどうかわからないけど(5日0時20分追記:ループの方がダウングレードされている)ルッツからのトリプル–トリプルのコンビネーションを決めるなど充実した演技を見せてくれた。スケーティングもなかなか滑らかで、サーペンタインステップでは丁寧に音符に合わせた動きも見せていた。キャロライン・ジャンちゃんや長洲未来ちゃんの陰に隠れた形になってしまっているが、やはり将来性豊かな逸材であることを感じさせた。


ラウラ・レピストさん

こちらは名前を聞くのも初めての選手。先輩のスザンナ・ポイキオさんやキーラ・コルピさんを彷彿とさせる、フィンランド選手ならではの情感のある演技だった。やはりトリプル–トリプルのコンビネーションジャンプを決めるなど素質の高さを感じさせた。有力選手にミスが相次いだためSPを終えてまさかのトップ。ルッツやフリップを完成できていないのだとするとフリーでは少し苦しいかも知れないが、緊張せず普段の力を発揮して欲しい。


武田奈也さん

ミスのないほぼ完璧な演技。ただやはりシニアではステップからのトリプルジャンプがトウループというのは少し物足りない。それでもシニアのグランプリシリーズのデビュー戦としては上々の滑り出しというべきか。タンゴ風の音楽もなかなか似合っていた。


エミリー・ヒューズさん

先週のスケートアメリカでは体が大きくなったことに目を奪われて少し雑な印象が残ったが、今回はそれよりもずっといきいきとしたいい演技だった。フリーでも前回を上回る演技を期待したい。


ジョアニー・ロシェットさん:チャイコフスキー ピアノ協奏曲第1番

彼女にしてはジャンプの質があまりよくなかった感じ。本人も納得がいかない様子だった。音楽はほとんど第1楽章の序奏だけを使っていたが、ほかの部分も交えてもう少しメリハリのある構成にした方がよかったように思う。


中野友加里さん:ショパン 幻想即興曲

フリップからのコンビネーションも不安定だったがルッツで転倒してしまった。解説の荒川静香さんも驚いていたけど、中野さんがルッツで転倒するというのはほとんど見たことがないような気がする。上位との差は大きくないので十分挽回は可能だが、インタビューで少し涙声になっていたので心配になる。気持ちを切り換えてフリーではぜひ快心の演技で笑顔を見せて欲しい。

音楽はユンディ・リさんの演奏なのだそうだけど、主部と再現部でのやわらかく軽やかなタッチが印象に残った。この部分はもう少しドラマティックに悲壮感を漂わせて演奏されるのが普通ではないかと思うけど、これもまた繊細な味わいがあってよかったと思う。


浅田真央ちゃん

最初のフリップを降りた時点で明らかに重心が後ろにかかっていて、次のループで手をついてしまった。世界選手権の時と同じような失敗だった。真央ちゃんといえどもやはり人の子なのだと思い知らされる。ステップでも少しつまずいてしまったけど全体にはそれほど悪くない演技だったので切り換えてフリーに臨んで欲しい。

インタビューではやはり少し涙声になっていたように聴こえた。松岡修造さんがインタビュアーだったけど、自分自身の落胆によって真央ちゃんの動揺をさらに増幅させてしまっていたのが残念だった。真央ちゃんを応援しているならこういう時こそ元気づける言葉をかけて上げて欲しかった。

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スケートカナダ2007 男子シングル SP

2007年11月 3日

ジェフリー・バトル選手

転倒したルッツを含め三つのジャンプが全て不安定だった。シーズン序盤ということを差し引いても状態が悪過ぎるようだ。昨シーズンは怪我に悩まされただけに地元カナダで迎えた今シーズンの初戦にかける意気込みもあったはずだが不安なスタートになった。ぼやぼやしているとパトリック・チャン選手に追い抜かれるぞ、とはっぱをかけたくなってくる。フリーでの巻き返しに期待。


ブライアン・ジュベール選手

TV局もたまには貴重な情報を伝えてくれるもので、幼い頃の病気のせいで腎臓が一つしかないというのは初めて知った。そんな障害を抱えながらアスリートとして世界のトップで活躍を続けるのは人並外れた才能と努力と節制があってのことなのだろう。あらためて彼の凄さを思い知らされた。

今日の演技もさすがに世界チャンピオンの貫禄を感じさせる充実した内容だった。4回転のトウループの後が2回転になったが、SPでの4回転自体挑戦する選手が少ないのでもちろん物足りなさは感じない。ステップは現在の採点法ではどう評価されるのかわからないが彼らしさがあってよかったと思う。フリーでは4回転ジャンプをいくつ見せてくれるのか楽しみ。

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サーバメンテナンスのお知らせ

2007年11月 2日

XREAがまたサーバのメンテナンスを行うそうです。

一部のサーバーのメンテナンス
時間 2007年11月4日(日)7:00 AM〜8:00 AM の間の1時間程度
内容 オートリブーターのアップグレード・交換・構成変更

大変ご迷惑をお掛けしますが、ご協力の程よろしくお願い申し上げます。

XREAから上記の案内がありました。この時間帯には当サイトへの接続ができなくなるものと思われますが、ご理解・ご協力のほどよろしくお願いします。

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本田美奈子さん、幸田浩子さんほか
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