朝霞駅前に本田美奈子さん記念碑

2007年2月27日

今日はうれしいニュースが一つ。朝霞市の富岡勝則市長は東武東上線朝霞駅の南口駅前広場に本田美奈子さんの記念碑を設置することを明らかにした。記念碑の内容についてはBMIと協議し、7月末の完成を目指すという。

地元商工会の要請もあり朝霞市議会が記念碑設置を検討しているとは伝えられていたが、本当に実現することになってとてもうれしい。美奈子さんが地域の方たちから愛されていたからこそだろう。私も昨年4月の追悼展に行った後朝霞市に要望のメールをしたので、尽力されたみなさんには心から感謝したい。

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「超・人〜virtuoso〜」荒川静香さん出演

2007年2月25日

BS-i放送の『超・人〜virtuoso〜』を見た。今回は荒川静香さんの特集。これまで何度も放送されてきた類似の番組とは一味違い充実した内容で楽しんで見ることができた。


全体が三部構成で第一部は荒川さんのエッジの使い方に焦点を当てたものだったのだがこれが実におもしろかった。詳しい内容は番組ホームページに記載されているのでそちらを参照していただきたい。荒川さん自身による解説のほかハイスピードカメラの映像による分析などもあり、かなりコアファン向けの作りだった。トリノオリンピックでの金メダル以来おびただしい数の荒川さん特集を見てきたが、ここまで技術的な細部にまで踏み込んだ番組はなかったように思う。BSだからこそできた番組作りといえるだろうか。

ジャンプの際に空中で両足先をそろえて回転するための秘訣については よくこうやって体を締めるんですけど、真ん中ではなく右足で降りてくるので、真ん中より少し右に軸は取られていて、その軸を中心に回っている。 と説明していた。このあたりはもし中野友加里さんがご覧になっていれば参考になったのではないだろうか。

なおハイスピードカメラによる分析では比較のために石田さやかさんという方が技を披露してくれていた。オリンピック金メダリストとの比較という損な役回りを引き受けてくれた石田さんに、荒川さんのファンの一人として感謝したいと思う。


第二部は荒川さんのスケート人生を回顧するもので、これまで何度も見てきた内容で特に目新しいことはなかった。ただ、一つ印象に残ったのは イナバウアーが多くの方に覚えていただけることとなって、記憶に残る結果となったので、私としては「あの人金メダル取ったね」と言われるよりも、「イナバウアー」と言われることが嬉しいですね。 という言葉だった。

あれ以来“イナバウアー”は流行語になってそのことばかりが語られるようになり、しかも多くの場合誤用されてしまっているような現状を荒川さん自身はどう受け止めているのかが気になっていた。見る限りではイナバウアーのことばかり質問されるのを荒川さんは嫌がる様子もなく、むしろ嬉々として受け入れているかのようだった。それは金メダルという結果ではなく、演技の内容をみんなに覚えてもらえたということに満足しているからだということがわかり、彼女のそんな態度に納得がいったのだった。


第三部はアマチュアを引退しプロスケーターとして活動するようになった今の心境について。番組の取材が行われていたのは難度の高いトリプルルッツを集中的に練習していた時だったようだ。プリンスアイスワールド広島公演のため広島へ向かう車中で荒川さんは これまでアマチュアの時は、ジャッジに向けてプログラムはほどんど作られているので、裏返しから見るときちんと伝わらない部分が多い。アイスショーの場合は全面にお客さんがいて、全部がジャッジみたいな感覚なので、四方八方にアピールポイントがあるという事が大きな違い。 と語る。その広島公演では練習していたルッツを跳んで見せた。ショーでは、これまで、失敗の確率の高い技は、あえて封印してきたが、スケートが再び楽しくて仕方がなくなると、アマチュアのときよりも純粋に、難しい技に挑みたくなったのだという。この広島公演については会場で鑑賞されたsashaさんがレポートして下さっているのでご覧になるといいと思う。もう一つ跳んだフリップというのもルッツに次いで難度が高いとされるジャンプである。競技会から退いても高い技術を維持しようと心がけている荒川さんが頼もしく思えてくる。


この番組、初めて見たのだけど凝った作りでなかなかおもしろかった。副題を"virtuoso"というらしい。ヴィルトゥオーソとは「徳のある人」という意味で、優れた芸術家に用いられる敬称であり、特に音楽の演奏家に対して用いられることが多い。荒川さんはまさにヴィルトゥオーソと呼ばれるに相応しい人だ。

なお余談だがいつも“virtuoso”という言葉に女性形はないのかと疑問に思っていた。今Wikipediaで調べてみたら女性の場合は“virtuosa”というらしい。ただほとんど用いられることはないように思う。この言葉の元となった“virtus”という言葉自体が「男らしさ」を含意するようなのでおそらくそれも一因なのだろう。

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ジャンプの見分け方 ループ

2007年2月21日

かなり間が空いてしまったがジャンプの見分け方の解説、今回はループを取り上げたい。例によって反時計回りの選手を基準にするので、時計回りの回転をする選手の場合は右と左が全て逆になるということを念頭において読んでいただきたい。


ループとは右足のアウトサイドで後ろ向きに滑りながら踏み切るジャンプである。アクセル、サルコウとともに3種類あるエッジジャンプの一つ。着氷の仕方は全てのジャンプで同じで、右足のアウトサイドで後ろ向きに降りるということを最初に述べたが、このループは踏み切る前と降りた後で体勢が全く同じになるということに気づかれるだろう。"ループ"という名前はおそらくそのことに由来するものと思われる。

踏み切る時の状態がジャンプを降りた後と同じであることから、コンビネーションジャンプの二つ目以降に跳ぶことができる。このようなジャンプはループとトウループの2種類しかない。右足で降りた後左足を宙に浮かせたまま右足だけで踏み切るのがループで、後ろに伸ばした左足のトウを突いて踏み切るのがトウループである。トウループとはトウを突くループの意味である。トウを突かずに跳ぶ方が難しいのでループを付けると基礎点が高くなり、技術の高さをジャッジや観客にアピールすることにもなる。

単独のジャンプとして跳ぶ際はバランスをとるために左足を前に置いて助走をとりながら踏み切ることが多い。同じエッジジャンプであるサルコウとは両足の前後関係が逆になり、ジャンプの回転とは逆の向きに体をねじった状態になるのでやや窮屈そうに見えるのが特徴である。

ほかに見られる方法としては右足でターンを繰り返しながら回転の慣性を利用して跳ぶケースや、左足のインサイドで後ろ向きに滑るフリップを跳ぶ時のような体勢から右足にのりかえて踏み切るような場合もある。


見分ける際のポイントとして最も重要なのは、トウを突かずに踏み切るエッジジャンプの一つであるということである。これによってルッツやフリップ、トウループとは容易に区別がつく。同じエッジジャンプであるアクセルは前向きに踏み切るのでこれも見分けるのは難しくない。比較的難しいと思われるのがサルコウとの区別である。

サルコウについては後に述べるが、左足でターンをしながら右足を前に振り上げるようにして跳ぶジャンプである。ループとは異なり左足を軸にして踏み切ることで区別する。またサルコウの場合は両足の前後関係がジャンプの回転と同じ方向に体をひねる体勢になるのでループよりもスムーズに踏み切ることができる。ループは上に述べたようにジャンプの回転の方向と逆に体をひねった状態になるので少し窮屈そうに見えることを念頭におくと区別しやすくなるだろう。


まとめ:ループの見分け方

  1. 右足のアウトサイドで後ろ向きに滑りながらトウを突かずに踏み切る。
  2. 跳ぶ前と降りた後の体勢が同じ。
  3. 3種類あるエッジジャンプのうちの一つ。
  4. 前向きに踏み切るアクセルとは違い後ろ向きの助走をとる。
  5. サルコウとは両足の前後関係が逆になり、やや窮屈そうに見える体勢から踏み切ることが多い。
Figure skating_Jumps_Demonstration by Yukina Ota - YouTube
太田由希奈さんによる模範演技
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「おふくろさん」を巡る騒動

2007年2月20日

森進一さんが代表曲「おふくろさん」にアレンジを加えて歌っていることに作詞家の川内康範氏が激怒しているというニュースが伝えられた。今日放送のNHKの『歌謡コンサート』では森さんは2曲目に「女のためいき」を歌ったのだが当初は川内氏作詞の「花と蝶」の予定だったのを急拠差し替えたらしい。

詳しい経過は引用した記事を参照していただきたいが、ことの発端は昨年の紅白歌合戦で森さんが「おふくろさん」を歌うのを聴いた川内氏が、曲の最初に短い台詞を加えられていることに驚いたことだという。川内氏はアレンジの芸術性は高く評価しているものの、自分の承諾を得ずに行ったことに立腹しているようだ。


私は昨年の紅白は見ていなかったのだが森さんは確か一昨年も「おふくろさん」を歌っており、その際もこのアレンジが施されていた。それ以前にも何度かこの台詞入りのヴァージョンは聴いたことがある。川内氏が昨年末までこのアレンジを知らずにいたというのも意外だが、森さん側がこのことを川内氏に伝えていなかったというのは驚きである。一言断っておくだけで何の問題も生じずに済んだはずがこんな騒動になってしまったのは実に残念だ。

川内氏は森さんには自分の作品を歌わせないといい、法的措置も辞さないとしているようだ。「おふくろさん」は多くの人に愛され、今や国民的財産とさえいえる名曲である。二人ともいい歳をした大人なのだし、この歌が今後歌われなくなるようなことにはならないよう、うまく収めて欲しい。

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ノエル・ポール・ストゥーキーさん NHKニュースウォッチ9に出演

2007年2月19日

北朝鮮による拉致被害者の横田めぐみさんに捧げる歌「SONG FOR MEGUMI」を作詞作曲したノエル・ポール・ストゥーキーさんがめぐみさんのご両親と共にNHKニュースウォッチ9に出演し、この歌を披露した。


ピーター・ポール&マリーの"ポール"ことストゥーキーさんはアメリカで公開された映画「Abductions」を見てめぐみさんのために歌を作ることを思い立ち、日本で代理人を務める永井保夫氏を通じて横田さん夫妻の承諾を求め、ご夫妻の快諾を得てこのトリビュートが実現した。そこに至るまでの経緯は永井氏によるライナーノートに詳しい。

PPMといえば60年代の反戦平和を求める世界的なムーヴメントの中心にいた存在である。それから歳月を経た今も人の心の痛みに鋭敏な感性を保っていることをこの歌は証明している。横田さん夫妻もかつて「花はどこへ行った」や「風に吹かれて」などの名曲を聴き、自らも歌っていたそうで、そのメンバーであるストゥーキーさんがめぐみさんのために歌を作ってくれたことに感激の面持ちだった。

日本語も交えて歌われる「SONG FOR MEGUMI」は優しく平易なメロディーで聴く人の心に語りかける。「風の中にあなたの声が聞こえます」というフレーズに早紀江さんは新潟の海岸でめぐみさんの声が聞こえないかと耳を澄ませたことを思い出すそうで涙ぐんで聴いておられた。鋭敏な感性を持つアーティストだからこそご両親の苦悩を正確に表現することができたのだろう。曲の締めくくりの明るいメロディーはいつか必ずめぐみさんは帰ってくるという希望を表現しているのだとストゥーキーさんは説明していた。


最後にストゥーキーさんはご両親に、今ここにはいないけれども私たちに霊感を与えてくれているめぐみさんの人生を祝福しましょう、といった趣旨のことを述べていた。必ず希望は叶えられるのだという強い信念を感じさせる言葉である。この歌にこめられた思いが風にのってめぐみさんのもとに届くことを祈りたい。

関連ページ

Noel Paul Stookey Japan
ストゥーキーさんの公式情報発信サイト
横田めぐみさん救出願う歌を、ポールさんがライブで披露
18日に行われたライヴについての記事
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四大陸選手権 TV放送を見て

2007年2月19日

昨日深夜に放送された四大陸選手権について簡単に感想を記しておきたい。


恩田美栄さんは持ち味の高く力強いジャンプを見せてくれた。表現のことを考えずにジャンプを成功させることに意識を集中させていた、と語っていたのでそれが功を奏したのだろう。中盤にミスも出てしまったが本人は力を出し尽くしたという充実感に満ちていたようでよかった。今後のことは世界選手権が終わってから決めるそうだけど、現役最後になるかも知れない大会で満足のいく演技ができたことを祝福して上げたい。

澤田亜紀さんも持ち味の元気一杯の演技を披露してくれた。総合4位は素晴らしい快挙。濱田コーチも大喜びしておられてよかった。フライングシットスピンは今後の課題ということになるだろう。


ジェフリー・バトル選手は今シーズン初めて演技を見た。怪我でグランプリシリーズを欠場しており状態が心配されたが持ち味の美しいスケーティングは健在で、ステップワークなどは以前よりも華麗さを増しているように思った。この選手は個人的には滑りがきれいなことはきれいなのだけどいささか表現が淡泊でさわやかに過ぎるように感じて不満を覚えることが多かった。しかし今回見るとなかなか情感にあふれていて表現に深みが増してきているように思った。ジャンプの構成はマイスナーさんと大差がなく男子としては物足りなかったが、世界選手権までにはもう少しコンディションを上げてジャンプの難度も高くしてくるのではないかと思われる。

エヴァン・ライザチェク選手は4回転–3回転のコンビネーションジャンプを軽々と成功させ、これが本当にあのライザチェクなのか、と驚かされる。オリンピックシーズンに使用したプログラムを翌シーズンも滑るというのはあまり誉められたことではないが、4回転–3回転のコンビネーションが決まるとなるとプログラムの印象自体も変わってくる。元々この「カルメン」は単に有名曲をつなぎ合わせたような編集で、原作のストーリーを再現しようといった意図は感じられないのだが緩急のメリハリのつけ方がとてもうまく、演じている本人がのりやすいばかりでなく観客との一体感も作り出せる優れたプログラムである。これほど4回転ジャンプに安定感があれば世界選手権の優勝候補として最有力といっても過言でないだろう。日本の高橋大輔選手にとっても怪我をしてしまったというジュベール選手にとっても手強いライバルとなりそうだ。


時間の都合上楽しみにしていた選手の多くが残念ながら放送されなかった。シズニーさんや申&趙組などはダイジェストもなかった。もう少し時間を確保してもらいたかったところ。

現役最後の試合となった神崎範之選手もダイジェストのみ。さぞかし万感の思いがこめられた「オペラ座の怪人」になったことだろう。またしても濱田コーチからご褒美の抱擁を受けていたが最後の試合ということなので許してやることにする。

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「SONG FOR MEGUMI」

2007年2月17日

往年の名フォークシンガーの話題を二つ。


花はどこへ行った」などの名曲で知られるピーター・ポール&マリーの“ポール”ことノエル・ポール・ストゥーキーさんが北朝鮮による拉致被害者横田めぐみさんにささげるSONG FOR MEGUMI」を作詞・作曲した21日発売のCDのPRのために今日来日し、横田さん夫妻を招待してライヴを開催するほか安部首相との面会の予定もある。CDの収益は横田さん夫妻の活動に寄付するとのこと。

横田さん夫妻は世代的にPPMの歌には親しみがあり、めぐみさんのために歌を作ってもらえたことに感激しているようだ。この歌が人々の心を動かし、問題解決の力になることを私からも祈りたいと思う。


同じく朝日新聞夕刊には森山良子さんがニューデリーで日印友好を記念したコンサートを開いたことが紹介されていた(ネット上の記事を探したのだけど見つけられなかった)。インドでは英語が準公用語だが膨大な英語のレパートリーはあえて歌わず、「五木の子守唄」や「さとうきび畑」など日本語の歌を中心に披露したという。若い頃からインドにあこがれていたがこれが初めての訪問で感激していたとのこと。

ヒンディー語ヴァージョンの「涙そうそう」というのも歌ったのだそうだ。ヒンディー語だとどんな風になるのか、ぜひ聴いてみたかった。

追記:17日22時10分

今日夕方来日したストゥーキーさんを横田さん夫妻が空港に出迎えて対面が実現した

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中野友加里さん 「トレーニングの極意」

2007年2月17日

ネット上のニュースを読んでいたら偶然中野友加里さんのインタビュー記事を見つけた。単に自分が見過ごしてしまっていただけかも知れないけど、あまり話題になっていなかったように思うのでここで紹介しておくことにする。まだの方は一読されるといいと思う。

自分流トレーニングの極意 : nikkansports.com 中野友加里

あの美しい演技は絶え間のない日々の練習の成果なのだということをあらためて思い知らされる。インタビューに答える中野さんの表情がとてもいい。カメラマンの愛情が感じられる写真だと思う。一番気になったのは、大学卒業後もスケートを続けられるうちは続けていきたい、と語っていたこと。大学卒業がタイムリミット、というそれこそシンデレラのような話も聞いていたので、続ける意欲を持っていることを確認できたのはうれしかった。


この記事、今までどこかで紹介されていたのだろうか、と調べてみたらさすがに中野友加里応援ブログ (Yukari Nakano Fan Blog) :Go, Yukarin!では取り上げていた。そのついでに佐藤夫妻についての記事も紹介されているのを発見。

「いつの間にか(選手の心に)溶け込んでいて、気づいたら上達していた、というのが理想」という信夫コーチの指導の極意が語られている。久美子コーチやいしだあゆみさんのお姉さん岡本(旧姓石田)治子さんの現役時代の写真もあり興味深い記事である。

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「誰でもピカソ」ちあきなおみさん特集

2007年2月16日

今日放送の『誰でもピカソ』はちあきなおみさんの特集。不注意で初めの方を少し見逃してしまったけど十分楽しめる内容だった。


ちあきさんは裏声が苦手だったそうで決して音域は広くなく、迫力のある声量で聴き手を驚かすような歌手でもなかったが、その圧倒的な表現力は聴く人の心をとらえてはなさない。うまい歌手は世の中に数多くとも、これほど人の心の奧の陰影を細やかに歌で表現できる人はなかなかいないだろう。随所に演劇的な感性が光るのも特徴的だ。特に「朝日のあたる家」などは舞台がニューオリンズということもあってどうしてもブランチ・デュボアを思い出してしまう。

ゲストの船村徹さんを交えてのスタジオトークもおもしろかった。船村さんはちあきさんのために書いた「矢切の渡し」が現在細川たかしさんの歌唱によって知られていることに複雑な心境だという。櫓を漕いで進んでいく和船の揺れるリズムを意識して作ったのに細川さんの歌には船外機がついている、と語っていた。逆にいうとそうしたリズムを丁寧に再現できるのはちあきさんしかいない、ということなのだろう。


彼女が歌手活動を停止してしまったことは日本の音楽の豊かさを失わせたといっても過言でないだろう。また歌手として私たちの前に戻って来て欲しいという船村さんの熱烈なラヴコールはちあきさんに届いただろうか…。

追記:17日0時10分

ZAKZAKにちあきさん夫婦の経営していた喫茶店についての記事があった。

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忘れられないこと

2007年2月16日

先日「忘れる」ということをテーマにちょっとした記事を書いたけど、この言葉についてはもう少し書きたいことがあるのでしつこくその続き。


最近「千の風になって」という歌が話題になっている。作家の新井満さんがこの詩を日本語に訳しメロディーをつけて歌ったのは数年前のことなのでなぜ今頃、という気もするが、テノール歌手の秋川雅史さんが去年の紅白で歌ったことで人気に火がついたようだ。もう随分前から人気凋落が指摘されているが、そうはいっても紅白の影響力はまだまだ大きいことを感じさせる。

大切な人との別れにどう向き合うかは人生における大事な問題であり、歌が担うべき課題の一つでもある。もともとこうした歌への希求が根強く存在していたところに紅白での熱唱があったので注目を浴びることになったのだろう。秋川さんのCDはクラシックとしては初のオリコンチャート1位を獲得するという快挙を成し遂げた。


以前ラフマニノフフョードル・シャリャーピンの死に寄せて贈った言葉に「忘れられた者のみが死んだのである」という碑文が引用されていることを紹介した。その思い出が人々の記憶の中に生き続ける限り人は死んでしまうことはない、という箴言は残された者にとっては救いである。

先日新聞のコラムか何かで読んだのだが、アフリカのある部族は死者を二通りに分ける習慣があるのだそうだ。その人を直接知っている人がまだ生きている場合と、もはやその人のことを直接知っている人は誰もいなくなってしまった場合とである。これもまた似た発想である。


本田美奈子さんの葬儀の際、お母様がご挨拶の中で「美奈子を忘れないで」と話しておられたのは強烈に印象に残っている。長い間美奈子さんのことは忘れていた(思い出さないようにしていた)私だが、これでもう自分にとって美奈子さんは決して忘れることのできない存在になってしまったな、と感じていたところだったので、こんなことを仰るのがとても意外だったのだ。

私は美奈子さんにはお会いしたこともないけれど、その面影は心の中に忘れ難い痕跡を残している。今自分がこうして生きているということは、美奈子さんが私の心の中に生きているということでもある。そう考えると自分の人生までがより価値あるものに思えてくるから不思議である。「wish」の歌詞にある「ひととつながりながら/いま生きていること」というのはこんなことを指しているのだろうか、などと考えてみたりもする。人生にはどんなに悲しくても決して忘れてしまいたくないこともあるのだ、とあの時以来思い知らされている。

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中澤佑二 代表復帰

2007年2月14日

今年最初のサッカー日本代表のメンバーが発表され、昨年代表からの引退を表明していた中澤佑二が復帰した

代表引退の表明の時にも書いたけど、彼は今の日本サッカー界に欠かせない人材である。引退の決意を翻意してくれたのはとてもうれしい。ぜひまたあのボンバーヘッドでオシムJAPANの支柱となって欲しい。

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四大陸選手権を振り返って

2007年2月11日

コロラドで行われていた四大陸選手権、自分はあちこちのサイトを読んで情報を得るだけだったけど全種目が終わった時点で簡単に感想を記しておきたい。


男子では神崎範之選手が総合7位と日本勢最高位につけた。それなりにミスもあり、完璧な演技ではなかったようだけど、これまで国際試合での活躍の機会に恵まれなかったベテラン選手が現役最後の試合で世界のトップ選手たちと競い合い、自分の演技を精一杯披露することができたのはとてもよかったと思う。

全日本での濱田コーチの抱擁に続き国体出場の際は太田由希奈さんから手編みのマフラーをプレゼントされたと聞いて以来自分の中での好感度が急降下してしまった"カン様"ではあるが、あまり嫉妬にとらわれたコメントをするのもみっともないので、長い間お疲れ様でしたといっておく。学業との両立が可能な方策が見出せるものならもう少し続けて欲しいという願いを胸にしまいつつ。


同じく濱田・田村コンビの門下生、澤田亜紀さんが4位に入ったのも素晴らしい成果だった。今シーズンシニア初参戦の彼女が例年になくトップ選手が集まったこの大会で表彰台に手が届きそうな程の結果を出せたというのは今後に向けて大きな自信になるはず。どうもフライングシットスピンが安定しないという欠点を露呈させてもしまったようだけど、これから課題を一つ一つクリアしていけばさらに飛躍してくれるだろう。


誰もがショックを受けたのが村主章枝さんのSP12位、フリー棄権という結果だった。私は正直にいうと驚いたというより危惧していたことが起きてしまった、という感じだった。ベテラン選手にとってアジア大会からの転戦という過密日程が体力的に厳しいであろうことは予めわかっていたことだ。来シーズン以降は参加する大会を絞りこむことを考えた方がいいと思う。村主さんは真面目な性格なので出るか、と聞かれればどんな場合でも出ます、と答えるに違いないから、周囲の人たちが配慮して上げないといけないだろう。若手選手ならこうした経験も今後の糧にしていくことができるだろうが、村主さんほどの実績のある選手があまりに痛々しい姿をさらすのは見るにしのびないものがある。連盟も十分サポートして上げて欲しい。


同じくこれまでの日本のフィギュアスケート界を支えてきたベテラン選手、恩田美栄さんはフリー4位と意地を見せて総合6位に入った。SPはジャンプに精彩を欠いた彼女らしくない演技だったようだけど、フリーでは力強いジャンプが戻ってきていたようだ。Sports@niftyの記事を読む限りでは今の恩田さんの力は出し切ることができたのではないかと思う。今後どうするかは家族と話し合って決めるとのことだけど、今はとにかく今シーズン最後の演技がいい内容だったことを祝福して上げたいと思う。

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一生に一度の贅沢

2007年2月10日

いつもお世話になっている美輪@brownycatさんのところにまたまたおもしろいネタがあったので喰いついてみる(いつもありがとうございます)。元ネタはNOMA-IGAさんが募集しているアンケート

ここでいう「一生に一度の贅沢」とは、「宝くじで何億円も当たらなければ実現できない」というほど手の届かない夢ではないけれど、「今後の生活のことを考えたらそんな贅沢をするのはためらってしまう。でも思いきってやってみたら、きっと幸せだろうなあ…」みたいな贅沢をイメージしています。あなたにとって、それはどんな贅沢でしょう?

というお題なので自分もやってみる。美輪さんの回答は上記の内容を逸脱していてちょっと贅沢が過ぎるように思う(必要な金額をまともに計算したら小さな国の国家予算くらいにはなるのでは?)。私は控えめな性格なので(?)もう少しつつましい回答をしてみたい。


私が今一番してみたい贅沢といったらやはり、「濱田コーチにレッスンしてもらって太田由希奈さんとアイスダンスを踊る」かな。こんなことがもし実現したらもう死んでもいいかも。

あるいは「エレーヌ・グリモーさんとイリーナ・メジューエワさんとの連弾でラフマニノフの六手のピアノのための「ロマンス」を弾く」というのもいいかも知れない。もちろん二人に懇切丁寧なレッスンをしてもらって。


何だか結局美輪さんと似た感じになってきてしまったのであわてて少し違った方向で考えてみる。ミヒャエル・エンデの「モモ」を映画化するというのもいい。オープニング・テーマには「時-forever for ever-」、エンディングには「wish」を起用して。私でなくても誰かやってくれないかな。


最後にもう少し地に足のついたことをいってみる。ロシアに長期滞在してラフマニノフの足跡をたどる旅をしてみたい。ノヴゴロド、モスクワ、ヤルタ、イワノフカ、…。ロシアンティーを飲みながらライ麦のささやきや白樺のざわめきに耳をすませたらさぞ気持ちいいだろうな…。これはいつか実現したいと結構本気で考えている。


私にとっての「一生に一度の贅沢」はまあこんなところかな。小心者なのであまり大したことは思いつかないけど、どれも実現できたらこの上なくうれしいことばかり。どれか一つでも叶うといいな。

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「誰も寝てはならぬ」

2007年2月 6日

日本語詞:青井陽治 作詞:ジュゼッペ・アダミ、レナート・シモーニ 作曲:ジャコモ・プッチーニ 編曲:井上鑑
アルバム「」COCQ-83683(2004.11.25)所収。

早いものでトリノオリンピックで荒川静香さんが金メダルを獲得してからもうすぐ一年になる。この快挙は彼女がフリーの演技で使用した『トゥーランドット』を日本中で知らぬ人のいない有名曲に仕立て上げた。開会式ではルチアーノ・パヴァロッティさんがこのオペラの名アリア「誰も寝てはならぬ」を歌い、この魔法にかかって眠れぬ夜を過ごした日本人は数多かったことだろう。荒川さんもこの歌を聴いて運命的なものを感じたと述懐している。

パヴァロッティさんは1990年のサッカーワールドカップイタリア大会を記念して行われた“三大テノール”のコンサートでこのアリアを歌い、オペラファンのみならず広く一般の人々にその素晴らしさを知らしめた。その意味でスポーツには関わりの深い曲だといえる。

フィギュアスケートに関していえば、シェン&ツァオ組太田由希奈さんなどもこのアリアをクライマックスに用いた「トゥーランドット」で素晴らしい演技を披露している。最初に私にこの曲の素晴らしさを教えてくれたのはシェン&ツァオ組の演技だった。


本田美奈子さんは2枚目のソプラノアルバム「」でこの名高いアリアを歌っている。女性歌手による歌唱はかなりめずらしいはずだが彼女があこがれていたサラ・ブライトマンさんも1999年発表のアルバム「エデン」で歌っているのでその影響もあっての選曲かも知れない。

ダイナミクスをいかした表現が美奈子さんの歌唱を特徴づける一つの要素であることは多くの方が指摘していて、ここでも度々言及してきたが、本来はテノールのための作品であるこのアリアも特にそのことが感じられる力強い歌唱である。2005年1月30日放送の『題名のない音楽会21』に出演した際にも最後にこのアリアの鬼気迫る熱唱を披露しており、結局これが最後のTV出演となった。

美奈子さんの歌唱の素晴らしさとして、高音をどれほどフォルテで発しても決して威圧的には響かないということが挙げられると思う。高い音というのは心理的に威嚇的な効果を与えることがあり、小さな子供が癇癪を起こして裏返った声で喚き立てると大人でもたじろいでしまうといったことをどなたも経験されているだろう。鍛え抜かれたプロの声楽家の発声でも、高音をいかに正確な音程で歌っていても金属的で威嚇的な響きになってしまい少しもきれいに聴こえない、ということも少なくない。有名な『魔笛』の「夜の女王のアリア」などはモーツァルトがそうした効果を意図して利用して書いたのではないかと思われるふしもある。

美奈子さんの高音には常にある種のゆとりがあり、決してやさしい響きを失うことがない。それは高い音を出そうと無理してがんばった“金切り声”とは遠く懸け離れたものであり、たゆまぬ技術的な精進と歌にそのまま表出されるやさしい人柄の賜とみて間違いないだろう。


私はポルタメントの効果的な使用も美奈子さんの歌唱の特徴だと考えているのだが、この「誰も寝てはならぬ」もそれが顕著に表れた曲目の一つである。「やさしさ」、「愛に」、「勝利の日を」、「その日を」といった部分では音高を滑らかに移動させていて、それが歌にやわらかな雰囲気を与え絶妙の効果を上げている。

そして特筆すべきなのは美奈子さんは間違いなく歌詞の内容を明確に意識した上でこうしたテクニックを用いているということだ。美奈子さんにとってテクニックは決してそれ自体を目的としたものではなく、歌にこめられた思いを表現し伝えるための道具なのである。そのことが美奈子さんを歌手として輝いた存在にしているのだと思う。


日本語詞を担当した青井陽治さんはカラフ王子の愛の勝利という主題をいかしつつ、劇から離れた独立した歌曲として理解し楽しめるものとなるよう意を尽くしている。このアリアはカラフが自らの勝利を高らかに歌い上げる凱歌だが、闘争的な勝利ではなく愛の勝利を歌っているという点で女性にも共感しやすい曲のようだ。荒川さんの演技がまさにそれを表現した名演だった。ここに聴く美奈子さんの歌も力強い愛と平和への祈りが私たちの心を打つ。美奈子さんの言葉への鋭敏な感性と豊かな音楽性が結実した、素晴らしい歌唱である。

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墨家の盛衰と音楽

2007年2月 4日

今日放送の『世界ふしぎ発見!』は中国春秋時代の思想である墨家の特集で興味深く見た。墨家とは墨翟(中国春秋時代の魯に生まれた思想家、墨子と称される)の教えに基づく学派のことで、儒家と対立し拮抗する程の勢力を誇った。その内容は「非攻」(非戦)と「兼愛」(平等の愛)を旨とし、儒家の重んじる繁雑な儀礼に反対するものだった。儒家の教えが現世利益的な処世術の集成であったのに対し墨家は過激な革新思想であり、現代の革命的社会主義にも例えられることがある。

「墨守」という言葉が大国の攻撃を受けた小国の防衛の指導をしたことから生じたというのは知らなかった。急進的な革命思想の持ち主であった彼らに由来する言葉が現在では「旧套墨守」といった文脈で使われることがあるのは皮肉なことである。


3問のクイズのうち最初の2問は正解できなかったのだけど、最後のクイズはすぐにわかった。「ある娯楽について孔子は積極的に奨励したのに対し、墨子は排斥しようとしたがその娯楽とは何か?」という問題だった。答えは「音楽」である。

孔子にとって音楽は儀礼的秩序になくてはならないものだったが、墨子は音楽を君子の奢侈として排斥した。番組では隆盛を誇った墨家がその後急速に衰退した理由を「権力者に都合の悪いものだったために弾圧された」と説明していたが、「荘子 天下篇 第三十三」は異なる分析をしている。そのあまりにも禁欲的な内容が人々に受け容れられなかったためだというのだ。

…その実践が極端にはしり、その用い方が本旨をはずれ、音楽を排斥する主張をたてて、それを浪費の節約だと称した。そこで、生きているあいだには歌うこともなく、死んでからは葬いの礼もないありさまであった。

…こんなことで人を教えるとすると、恐らく人を愛することにならないだろう。またこんなことを自分で行うとなると、もちろん自分を愛することにはならない。…歌うべきときに歌ってはならないといい、哭泣すべきときに哭してはいけないといい、楽しむべきときに楽しんではいけないというのでは、これで果たして人並みだといえようか。…人々を嘆かせ悲しませるばかりで、その実行はむつかしい。…世界じゅうの人々の心情とはうらはらで、すべての人にとってたえられないことだ。墨子だけがそれを行えたとしても、世界じゅうの人々をどうしようもあるまい。…

「荘子 第四冊」金谷治訳注 岩波文庫

歌と音楽は人々の生きる喜びそのものなのだ。それを排斥しようとするような思想が世の中に受け容れられるはずはないだろう。


私がこの時代の中国の思想史に関心を抱くのは現代の状況と似ているところがあると思うからだ。墨家が衰退した後、「白馬は馬ではない」という説で有名な公孫竜や荘子と交流があったことで知られる恵施に代表される詭弁的な言辞を弄する学派が一時的に流行した。その流行も下火になった後に力を得たのが荘子に代表される道家であった。その教えは中国社会に根づき、今日に至るまで儒家と並ぶ一大思想として脈々と受け継がれている。

このことは一つの希望でもある。マルクス主義が終わりを告げ、その後のフランス現代思想の流行も過去のものとなった今こそ、人々の生きる支えとなる新たな思想の胎動が始まろうとしているのかも知れない。

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2007年2月

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