ジャンプの見分け方 アクセル

2006年9月17日

ジャンプの見分け方についての解説、第1回目はまずアクセルから始めようと思う。ジャンプは全部で6種類あるが、そのうち最も難易度の高いのがこのアクセル、しかし跳ぶ側には最も難しくても、見る側には最も見分けるのがやさしいのがこのジャンプである。というのもほかのジャンプが全て後ろ向きに踏み切るのに対し、アクセルは唯一前向きに跳ぶからである。以下、反時計回りの回転をする選手を基準に説明する。時計回りの場合は全て右と左が逆になることを念頭に置いて読んでいただきたい。

アクセルは左足のアウトサイドで前向きに滑りながら右足を前に振り上げるようにして跳ぶジャンプである。助走の描く曲線と跳んでからの回転が同じ向きになっていることを確認していただけると思う。最も難しいとされているのは前向きに跳んで後ろ向きに降りるためほかのジャンプよりも半回転多く回転しなければならないことによる。ダブルアクセルなら二回転半、トリプルアクセルなら三回転半ということになる。


女子選手はほとんどの場合ダブルアクセルを跳ぶ。女子でトリプルアクセルを跳べるのはかつての伊藤みどりさん、浅田真央ちゃんなどほんの一握りの選手しかいない。みどりさんは女子選手のトリプルアクセルについてはパイオニア的存在で、世界選手権やオリンピックでこのジャンプを成功させた最初の選手である。みどりさんの登場によって初めて女子でもトリプルアクセルが跳べるのだということが証明されたのだった。浅田真央ちゃんはこの難しいジャンプをみどりさんをも凌ぐ程の確率で成功させており、実に驚異的な選手である。

一方、男子の場合はトップクラスの選手なら必ずトリプルアクセルをプログラムに取り入れている。しかしいつも成功するかというとそんなことはなく、男子にとっても難しいジャンプであることには変わりがない。現在男子は4回転ジャンプを跳ぶ選手も多いが、4回転を高い確率で成功させる力を持った選手でもトリプルアクセルが簡単に跳べるというわけではなく、このジャンプの可否が試合での順位を決定する重要な要素になっている。


見分ける際のポイントは何といっても前向きに踏み切る唯一のジャンプということに尽きる。このジャンプは初心者にも比較的容易に見分けることができると思う。アクセルはショートプログラムでもフリーでも跳ぶことを義務づけられているので競技会用プログラムでは必ず一度は見かけることになる。ショートプログラムの場合はジャンプを跳ぶ機会は三度しかなく、そのうち一つはコンビネーションなので単独でのジャンプは二つしかない。この二つの単独ジャンプのうち一つはアクセルなので、ショートプログラムの中継を見る時には少し意識して見ていれば判断がつくようになると思う。

ジャンプに入る時の動作としては、最もオーソドックスな入り方の場合はまず右足のアウトサイドで後ろ向きに滑りながら左に体を開いて前向きになり、左足のアウトサイドに乗り換え右足を前に振り上げるようにして跳ぶという手順になる。慣れてくると体を半回転させながら右足から左足に乗り換える動作を見ただけで選手がアクセルを跳ぼうとしているということがわかるようになる。採点での加点を意識してイーグルやイナバウアーの体勢からそのままアクセルを踏み切るような難しい跳び方をする場合もあるが、基本はこの入り方なので覚えておいていただきたい。

また前述の通りトリプルアクセルは現在注目の浅田真央ちゃんの得意技なので、真央ちゃんがトリプルアクセルを成功させた時にはスポーツニュース等で繰り返し映像が流れるはず。そういった際に注意して見てみるのも一つの方法だと思う。今これを書いている時点で真央ちゃんが出演した伊藤ハムのCMが伊藤ハムのサイトで見られるが、この中で真央ちゃんが跳んでいる(着氷はちゃんと映っていないが)のがアクセルなので当面はこれを見て覚えるのが一番いいかも知れない。

まとめ:アクセルの見分け方

  1. 前向きに踏み切る唯一のジャンプ。
  2. 左足のアウトサイドで前向きに滑りながら右足を振り上げるようにして踏み切る。
  3. 右足で後ろ向きに滑りながら左に体を開いて左足に乗り換える動作はアクセルの予兆。
  4. ショートプログラムの二つの単独ジャンプのうち一つはアクセル。
  5. トリプルアクセルは浅田真央ちゃんの得意技。
Figure skating_Jumps_Demonstration by Yukina Ota - YouTube
太田由希奈さんによる模範演技

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コメント

 トリプルアクセル、今期女子では真央ちゃん(フリーで2回決めるか?)、中野さん(回転不足判定に挑戦)の2人が楽しみ。韓国のキムヨナも練習していたので挑戦してくるかも。フリーで最初に飛ぶので見ている方も最初から緊張します。前向きになって振り子の右足を振り上げると、「来たぞ!」と興奮しちゃいます。
 ところで、トリプルアクセルは「3回転半」、つまり前向きで飛び始めて後ろ向きで着氷するので3回転よりも「半回転」余分に回転するとのことなんですが。コマ送りなどしないで普通に見ると、3回転+「3/4」回転しているように見えませんか?つまり1/4回転(45度)以上さらに余分に回転しているように。
 実際には振り子(フリーレッグ)の右足を前へ振り上げてから軸足の左足が氷から離れるまでの間に少しだけ(1/4回転:45度くらい)回ってしまうので、その分を際し引くとちょうど3回転半になるようです。
 中野さんは昨季、回転不足と判定されて苦しんでいましたね。1/4回転までの回転不足は許されるので、中野さんは実際には3+「1/4」回転よりも少ないと判定されているわけです(私の目には3+「3/4」回転に見えるのにです。私には3回転認定される真央ちゃんと回転不足とされる中野さんの違いが演技中はよくわかりません。録画をコマ送りし、真央ちゃんと比較して初めて、中野さんの方がちょっとだけ「回転少ないかな」と判る程度です。でも審判に注目されてしまったからには改善するしかない。おそらく軸足(左足)が離氷までに1/4回転より多く回ってしまうのを修正しないといけない。つまり慣れ親しんだ離氷の型を修正しなけれならないので大変だと思います。ただ、中野さんはトリプルアクセルで転倒するわけでも着氷が悪いわけでもないので、回転不足解消まであせらずに頑張ってほしい。トリプルアクセル成功となれば、ボーナス点(プレゼンテーションの点数も上がる)も期待できる。バンクーバーまで3年以上もあるからね。
 真央ちゃん、キャンベル(シングルの日米決戦?)でいよいよ新プログラムで登場ですね。私は地上波観戦なので10/16の放送を楽しみにしてます。

-> やまぼうしさん

女子でトリプルアクセルが見られそうなのは日本の二人ですね。キムユナさんには個人的にはジャンプで真央ちゃんと張り合うよりはあの独特の繊細で優美な表現に磨きをかけることに意識を集中して欲しいな、と思います。


アクセルが1/4回転余計に回っているように見えるというのは助走と着氷後の軌道が描く曲線の曲がり具合も加味すれば、ということでしょうか。確かにジャンプ前後の軌道が曲がっているのですから、そう見えてもおかしくはないですよね。


離氷する前に回転してしまういわゆるプリローテーションは特にトウループの際に問題にされますね(俗にいう"トウアクセル"というやつですね)。ただアクセルでプリローテーションが問題になったという話はあまり聞いたことがないので、中野さんがダウングレードされるのは着氷後に回転すること(選手・コーチの間ではエッジが氷をえぐりとる様子から"グリンコ"などと呼ばれるようです)の方ではないかと思います。リアルタイムで見ているとクリーンに決まっているようでも、スロー再生すると降りてからぐるっと回っているのが確認できることがあります。実際に生で見ていると氷を削る音なども聞こえているのかも知れません。

でも転倒してしまうことはほとんどないので果敢に挑戦して欲しいですよね。仰る通りうまく認定されればジャンプの得点だけでなくPCSも全体に底上げされることが多いですからね。


キャンベルは私も地上波観戦です。楽しみですね。

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