寺嶋由芙さん「カンパニュラの憂鬱」

2014年8月15日


今月6日に寺嶋由芙さんがソロとしては2枚目となるシングル「カンパニュラの憂鬱」をリリースした。デビュー曲「#ゆーふらいと」(PV)から半年を経て新作のリリースに無事漕ぎ着けたことをまずは喜びたい。タイトル曲は夏らしいラテン歌謡だが、昨今のアイドルポップスではあまり見かけないジャンルである。そうなった理由についてはプロデューサーの加茂啓太郎さんのブログに詳しいが、「予想は裏切り期待に答える」という考えが基本にあってのことのようだ。作曲のrionosさんはこの曲だけでなく全ての収録曲のアレンジを任されており、加茂さんからの信頼の篤さが窺われる。

作詞はコラムニストとしても活躍の著しいジェーン・スーさんが手がけている。ジェーンさん本人のコメントやインタビューの類を目にしていないのでよくわからないが、カンパニュラというモティーフはおそらく花言葉から逆算して思いついたのではないかと思う。ゆっふぃーの人となりをひとことで言い表すとしたら、私もやはり“誠実”という言葉を選ぶだろうから。しかしそうしたイメージを逆手に取って、“ひと夏の刹那的な恋に身を焦がす女性”というヒロイン像を演出しているところがこの歌のキモといっていいだろう。音楽サイト「ガチ恋!」のインタビューによるとこうした趣向はゆっふぃー自身の意向が強く反映されたもののようで、「"オタクを病ませる"のが今年の夏の狙い」ということらしい。

私自身は幸か不幸かこの曲や雑誌『FRIDAY』のグラビア程度のことでいちいち病むほどナイーヴなヲタクではないが、こうして多面的な姿を様々にアピールしていくことは、今後の活動やファン層の開拓を考えれば確かに必要なことに違いない。うぶな心をなくしたすれっからしの(というほどのことでもないと思うが)ヲタとしては、そんな推しの奮闘を見守るのもなかなかに楽しい義務である。


2曲目に収録されている「だいすき」は岡村靖幸さんのよく知られた名曲のカヴァー。耳になじんだ定番曲も、アイドルのかわいい歌声で聴くとまた新鮮な味わいがある。ゆっふぃー自身は知らない曲だったようで、おそらく加茂さんもしくはその周辺から出てきたアイディアなのだろう。実際のところアイドルヲタクにはそれなりにいい歳をした大人も少なくないので、そうした世代のノスタルジーをくすぐる選曲というのはかなり有効な戦略なのではないかと思う。

奇しくも同日にリリースされた遠藤舞さんの「Baby Love」にも尾崎豊のカヴァー「Forget-me-not」が収録されているのだが、今後ソロアイドルが80年代の男性ヴォーカリストの楽曲をカヴァーすることがブームにでもなれば、なかなかおもしろい光景になりそうだ。ちなみに今名前の出た二人に、もう一人吉川晃司さんが加わると往年の悪童三人組の揃い踏みとなるのだが(吉川晃司スタッフのツイートを参照)、同姓のよしみできっかさんどうだろう?


もう一曲のカップリング「80デニールの恋」はゆり花さんというシンガーソングライターのカヴァーで、ライヴでは以前から披露されてきた楽曲である。これがまた実に罪作りなけしからん曲で、ゆふぃすととしては聴きながらやたらとどぎまぎしてしまう。アイドルプラネットのインタビューによると本人も「非常にテレながら歌ってます」とのことなので、むしろそれが正しい鑑賞態度なのだと思う。レコーディングの際のディレクションもあってのことのようだけど、繰り返される「ねえいま触ってもいいんだよ」のフレーズを少しずつニュアンスを変えて歌っているあたり、表情豊かでキュンとなる。

惜しむらくはこのタイミングでの収録だと“80デニールのタイツ”というモティーフが季節がら暑苦しく感じられてしまうことなのだが、旬ということもあるので次作まで待てばよかったというものでもないだろうし、難しいところだ。まあこれだけインパクトの強い楽曲なので、カヴァー曲ではあるけれども定番のレパートリーとして季節を問わず親しまれていくことになるといいと思う。私も“デニール”の意味はこの曲をきっかけに調べてみて初めて知ったくちだが、この心地よいこそばゆさを、思いっ切りテレながら存分に堪能したい。

追記(8月16日23時43分)

加茂啓太郎さんが16日に公開したブログ記事でカヴァー曲の選曲の意図と付属DVDに収録の映像について綴っている。

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