フランス大会2010
2010年11月30日
女子シングル
浅田真央ちゃん
まだまだ復調への道半ばといったところ。それでもフリップが一つ決まったし、苦手だったサルコウを見事に成功させるなど、明るい兆しも見て取ることができた。ジャンプ以外の面ではなかなかよかったし、プログラムもとても魅力的だと思う。
村主章枝さん
カナダ大会の時は直前に「体調を壊し」たというツイートもあり万全の状態では臨めなかったようなのだが、今回はその時に比べるとだいぶ復調してきているように見受けられた。フリーの「シェエラザード」(リムスキー=コルサコフの音楽ではない)な どはまさに村主さんならではの境地という気がする。
アリッサ・シズニーさん
ジャンプのミスもあったがまずまずの出来で3位に食い込み、5年振りのファイナル進出を決定した。5年前といえば彼女が鮮烈なまでのグランプリシリーズへのデビューを果たしたシーズンで、あの時はこのまま世界のトップスケーターへと駆け上がっていくものと信じていたのだが、それからの起伏の激しかったこと…。まあとにかく今また彼女が世界のトップ選手として活躍していることを喜びたい。
今シーズンは両プログラムともとても素晴らしく、シズニーさんの魅力を最大限に引き出してい、その美しさはちょっと神々しいほどである。傍らに佐藤有香さんがコーチとしてついていてくれるのも何だか心強い。ぜひこの調子で安定した活躍を見せて私たちファンを魅了して欲しい。
今井遥さん
SPで全選手中最高のTESを叩き出して潜在能力の高さを印象づけた。トリプルループ–トリプルトウループのコンビネーションはGOEの加点も得る見事な出来映えだった。
しかしフリーでは初の表彰台が見えたことで結果を意識し過ぎたか。最初のダブルアクセルはコンビネーションでつけるトリプルトウループを意識して力んでしまったのだと思う。それは仕方ないとしても、その後もずるずるとミスを重ねたのが惜しまれる。最後のスピンは音楽が終わってもなおポジションを変えて回り続けるという、間の抜けたフィニッシュになってしまった。見た感じでは最後までスピードに乗ったスケーティングはできていたように思うのだが、おそらくストレートラインステップのあたりで予定していた振付けに追いつけなくなったものと思われる。今回はいい面と悪い面が両方出る結果になってしまったけど、この経験を糧にしてさらに活躍していって欲しいと思う。
長洲未来ちゃん
スピンでバランスを崩すというめずらしい失敗もあったけど、全体にはまずまずの出来で、足首の疲労骨折からの影響からは順調に回復しつつあるように見受けられた。グランプリシリーズでは初めての表彰台というのは意外だった。フリーの『SAYURI』は中野友加里さんのSP(とエキシビション)があまりに素晴らしかったので、それに比べるとまだまだ印象が薄い感じがするのだけど、これからもっと滑り込んで深い表現を追求していって欲しい。
キーラ・コルピさん
こちらもやや意外な感じはするけどグランプリシリーズ初の優勝となった。周知の通りの美人選手で、実力が伴ってくればさらに人気は高まると思う。今シーズンは両プログラムとも魅力的で、特にSPが素晴らしいと思う。
男子シングル
小塚崇彦選手
冒頭の4回転トウループが両足着氷となったほかはほぼ完璧な内容での圧倒的な優勝だった。PCSは5項目中4項目が8点代で、彼の高いスケーティング技術がジャッジから本格的に評価される日がやってきたようだ。SSに比べると他の4項目がやや低くなっているということは表現力についてはまだ向上の余地があると判定されているということか。まあそれはまた今後の課題ということで、ともかく彼が高橋大輔選手やパトリック・チャン選手と互角にわたりあうような活躍ができるか、非常に楽しみだ。
フロラン・アモディオ
好調な演技で2位に入り、初のグランプリファイナル進出となった。今シーズンはジャンプに安定感があるのがいい結果をもたらしているように思う。表現力はまだまだという感じがするのだが、ニコライ・モロゾフコーチが彼のいい面をうまく引き出そうとしているのが感じられる。フランス伝統の個性的な選手の系列にまた新たな才能が加わろうとしているのは何とも楽しみだ。