ロシア大会2010

2010年11月22日

女子シングル

安藤美姫さんはモスクワ入りしてからの練習で男子選手と接触し腰を痛めたとのことで、背中にテーピングした痛々しい姿での演技。SP、フリーともに大技は封印せざるを得なかったが、そんな状態でも大きなミスのない演技をしてしまうところに彼女の強さが見えた。中国大会ではステップでバタバタと足を大きく動かしている割りにはエッジが滑っていないというようなところも見られたが、今回はだいぶ改善されていたような気がする。

鈴木明子さんもフリーでルッツが一つシングルになったほかは大きなミスのない演技。特にフリーではPCSで7点代を揃え、いよいよ彼女もジャッジたちから世界のトップスケーターの一人として認知されるようになってきたことが窺える。ダブルアクセル–トリプルトウループの回転を認定されたのも確か初めてだと思う。

ところでこれはちょっと余談になるけど、@niftyのフィギュアスケート特集の記事で鈴木さんがフリーのストレートラインステップでの観客の手拍子が裏打ちになっていることに関心していたということを知って、サンクトペテルブルクで行われた2006年のグランプリファイナルを思い出した。この時は浅田真央ちゃんがフリーでモンティチャルダーシュを滑ったのだけど、観客のみなさんがサーキュラーステップの大きなアッチェレランドに合わせて手拍子をしていて、それが踊っている当の真央ちゃん自身よりもぴったりと合っているのを見て、さすがに芸術の国ロシアだと関心したのだった。今回は私はTVの放送では手拍子の音を聴き取れなくて気づかなかったのだけど、以前私が感じたのと同じことを鈴木さんが感じていたということに、何だかうれしくなってしまった。


男子シングル

これまで4回転ジャンプを得意としてきたヴェルネル選手が回避してミスのない演技にまとめて優勝した一方で、昨シーズンまでは4回転のなかったチャン選手が果敢に挑んだ結果敗れるという、何とも皮肉な結果となった。

トマーシュ・ヴェルネル選手はいい演技ではあったのだけど、彼の高い能力を知っているだけに少し寂しい気もする。フリーのマイケル・ジャクソン・メドレーはオフ・ヴォーカル・ヴァージョンなのでどうしても気抜けしたような印象を受けてしまう。ただコレオ・ステップは非常に創意にあふれていて、新ルールの趣旨を生かした振付けだと思う。

パトリック・チャン選手はフリーでは4回転を失敗したのだが、SPの4回転–3回転のコンビネーションはなぜこれまでこんな能力を隠していたのかと疑わせるような、実に見事な出来だった。フリーでザヤック・ルールに引っかかって優勝を逃してしまったのはもったいなかったが、彼が本格的な4回転ジャンパーの仲間入りを果たしたことで、今後の男子シングルはより一層スリリングな展開になっていくだろう。

羽生結弦選手は冒頭の4回転を予定したトウループがトリプルになり、この影響でルッツからのコンビネーションがザヤック・ルールに引っかかってノーカウントに。4回転はたとえ失敗しても必ず跳ぶと決めていたようで、今回のように意図せずトリプルになってしまった場合の対応策を用意していなかったらしい。このあたりの対応が不十分なのはシニア一年目としては無理もないことだと思う。

町田樹選手はネーベルホルン杯の優勝が却ってプレッシャーになって本来の滑りができなくなっているらしい。彼の実力はこんなものではないと思うので、早く本来の自分を取り戻して欲しい。

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コメント

真央ちゃんには試練のシーズンですね。
また一回り成長して欲しいです。

-> moonさん

復調への道は遠いですね…。でも真央ちゃんならきっと乗り越えていけると思います!

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