スケートアメリカ2006 エキシビション
2006年10月31日
BS朝日にて鑑賞。編集についてはいろいろといいたいことがあるけどそれは後回し。
浅田真央ちゃん:カルメン〜ハバネラ
フィリッパ・ジョルダーノさんによる癖のある歌唱によるハバネラに乗っての演技。アイスショーなどで何度も見たプログラムだけど、これまでで一番よく踊れていたように思った。またステップからのトリプルアクセルに挑戦したがこれは失敗。エキシビションでもこれをやるというのはよほど強いこだわりを持っているのだろう。試合で成功する時がくるのだろうか。
キミー・マイスナーさん
フリーに引き続き生き生きとした演技。リラックスして心から楽しみながら滑っていることが伝わってくる。踊れない選手というイメージは捨てなければいけないと思った。
エミリー・ヒューズさん
黒のパンツルックでの溌剌とした演技。やはりこういう色合いの方がこの人には似合うと確信。キミーもそうだけど、アメリカのポップスに乗せての演技は実に生き生きとしている。素のままの自分で踊ることができるからだろうか。十代の女の子の素顔が垣間見られたような気がする。
エヴァン・ライザチェク選手
この人の演技を形容する時はどうしても枕詞のように"長い手足"という言葉を使ってしまうけど、やはり長い手足を自在に使いこなす力量は一級品だと感心させられる。恵まれた体型とはいえそれをいかすにはそれなりの技術が必要だが、彼にはそれが備わっている。このエキシビションでは特にステップにこれまであまり見られなかったような洗練された味わいが出ていたように思う。
デンコワ&スタヴィスキー組
歌詞がわからないので細かい状況はわからないけどドラマ性のある演技を見せてくれた。喧嘩を繰り返しつつも離れることができない男女の腐れ縁とでもいうような、ノエル・カワードあたりが描きそうな筋書きをイメージさせた。椅子を小道具に使ってストーリーを巧みに描いてみせる芸達者ぶりを発揮してくれた。
アルバン・プレオベール選手
フリーではややコミカルなテイストで会場を盛り上げていたが、エキシビションでは帽子を巧みに使って映画の一場面のような雰囲気を演じてみせた。やはりなかなかの芸達者だと思った。若手ながら表現にヴァリエーションがあるのは素晴らしいと思う。
グレゴリー&ペチュホフ組
聴いたことのある歌だけどタイトルがわからない。ムードある演技で思わず見惚れてしまった。とてもよかったと思う。
井上&ボールドウィン組
昨シーズンとは異なりしっとりとした曲に乗せての優雅な演技。怜奈さんのかわいさが引き立つプログラムだと思った。
織田信成選手:Fly me to the moon
SPの曲のヴォーカル入りヴァージョンでの演技。大胆で奔放な振付けで、SPよりもさらに弾けた感じが出ていた。いい意味でのショーマンシップに溢れた選手だということをあらためて認識させられる。少し前まではこんなに優れたエンタテイナーが日本選手から出てくるとは考えられなかったことを思うと感慨深い。
安藤美姫さん:I believe
滑る喜びが体中から溢れ出ているのが感じられる素晴らしい演技。以前ショーで見た時よりさらに数段よくなっていた。もはやジャンプが取り柄の選手ではなく、自分の思いをスケートで表現し、観客から共感を引き出すことのできる選手へと成長しつつあることを感じさせてくれた。ステップはとてもエキシビション用のプログラムとは思えないほどの激しい動きで、ステップが安藤さんの新たな見せ場であることを印象づけるものだった。いつか安藤さんがステップでレベル4を取る日がくるかも知れない、そんなことを考えてしまった。
1時間半あればもっと多くの演技を見せることが可能なはずだけどゆるい編集のために放送されない選手がいたのは残念。真央ちゃんのSPと安藤さんのフリーを放送したのはいいとしても、この大会の放送のために慌ててフィギュアスケートについて勉強した様子がありありとわかるアナウンサー二人のスタジオトークは全く必要なかったはず。半日以上前に行われたショーなのに「準備ができたようです」とか「まもなく始まります」という前振りは白々しいのでやめて欲しい。選手が館内の放送で紹介されるのを待っている様子を長々と映し出す意味は理解できない。
多くの演技が見られて楽しい一時を過ごさせてもらえたのはありがたかった。今後の放送ではシンプルに選手の演技を楽しませるよう、さらに改善されることを望みたい。