BiSとDorothy Little Happy「GET YOU」

2013年1月31日

お気に入りのアイドルグループBiSDorothy Little Happyとコラボレーションしたシングル「GET YOU」が9日にリリースされた。Dorothy Little Happy(以下“ドロシー”)仙台を拠点に活動するアイドルグループで、既にローカルアイドルの枠を越えて人気を獲得しメジャーデビューも果たしている正統派アイドルである。アイドル界の異端児BiSとのコラボはやや意外だが、オリコンウィークリーチャートでトップ10の経験のない両グループが協力してトップ10を目指そうということで実現した企画だそうだ。

一度聴いたら耳から離れないキャッチーなアイドルポップスで、作曲はBiSのサウンドプロデューサー、松隈ケンタさんが手がけている。日頃のロック色の強い楽曲とは大きく異なる曲調でも強く印象に残るメロディを仕上げるところは、さすがに多彩な才能の持ち主だと感嘆させられる。

歌詞は女の子同士で一人の男の子を取り合う状況を歌ったもので、両グループのメンバー全員が持ち寄ったものをつなぎ合わせて作ったそうだ。いかにも女の子らしいかわいい詞で、特に私は「後姿はもう見飽きたから/追い越して 振り返るんだ」というフレーズが可憐で初々しくて気に入ってしまった。この部分を書いたのが誰か興味があるのだが、残念ながらよくわからない。

歌唱において特筆すべきなのは何といっても私の推しメン、テラシマユフさんの色っぽいヴォーカルで、総勢十人の中で一人だけ明らかに異質な歌を聴かせている。以前はこういうアイドルらしくない声質や歌い回しに自身思い悩むこともあったようだが、この曲での歌唱を聴くと、今はそういった迷いも吹っ切れて、それを個性として確信的に押し出していく方向に思い定めているように見受けられる。

特に「あぁため息まじり」のところの悩ましい歌い回しと、直後に入る色っぽい吐息は、この曲の最大の聴きどころになっている。歌詞とシンクロしているので、この吐息はわざとやっているものと見て間違いない。ここはゆっふぃーの書いた歌詞が採用されているのだそうだが、歌詞とも連動させつつ自身のヴォーカルの特徴を強く印象づけるしたたかな自己演出には頼もしさを感じる。歌割も(たぶん松隈さんが決めているのだと思うが)、そうした表現意欲を前面にフィーチャーしようと意図しているように感じられる。

もう一つの聴きどころは「泣いちゃうなんてねぇ柄じゃないよ」の箇所で、ワキサカユリカさんの不慣れな感じのラップがおかしみを誘う。このラップ、昨年放送された史上最低の呼び声も高いお下劣なアニメ「バックステージ・アイドル・ストーリー」で他のメンバーにツッコミを入れる際のセリフ回しそのまんまというのもあって、何度聴いても笑いがこみ上げてくる。これはけなしているわけではなくて、いかにもなアイドルポップスの中にこうしてゆっふぃーやわっきーの個性的な声が混じっているのがアクセントとして効いていて、それがこの曲の何よりの魅力になっていると思う。



上の動画がこの曲のPVで、BiSとドロシーのメンバーが二人一組になってビンタの応酬をするという、これまた奇抜な内容になっている。この動画でもゆっふぃーの魅力は満開で、リップシンクでの表情のアップはもとより、じゃんけんの際の左手の仕草や叩かれてのけぞった時に大胆に覗く太腿の裏、さらには逆に相手(ドロシーの頼れるリーダー、白戸佳奈さん)を叩く時の嗜虐的な表情など、ゆふぃすと(ゆっふぃー推しのファンのこと)にとっては実にたまらない場面の連続である。

もちろん他のメンバーを推している人にとっても、叩かれてゆがむ表情のアップなどレアな映像が満載で、見どころはたくさんある。中でも特に最後の方に映っているドロシーの富永美杜さんのかわいい泣き顔は貴重で、これはBiSのリーダー、プー・ルイさんが強く叩き過ぎて泣かせてしまったものだという。普段のBiSの楽曲では中心的な位置を占めるプーちゃんも、この曲では声がドロシーのメンバーたちと違和感なく溶け込んでいるためにやや影が薄くなってしまっているが、さすがにこういうところでは抜け目なくいい仕事をしてくれている。ただしプーちゃんはこの後みもりん推しのミチバヤシリオさんに仕返しをされてしまったそうである。ヒラノノゾミさんの登場回数がやや少ないようなのが惜しまれる。のぞしゃんはこの曲でもいつも通り地味ながらハモりで貢献してくれている。


このシングルにはBiS盤とドロシー盤の2種類あり、それぞれにお互いの代表曲のカヴァーと、新曲が収められている。BiS盤収録の「デモサヨナラ」はドロシーの代表曲のカヴァーで、原曲よりもかなり速いテンポで攻撃的な曲調の—松隈さんのいい方だと“爆裂”な—アレンジになっている。曲の性格自体を大きく変えてしまうことも厭わずに自分の世界に引き摺りこんでしまう手腕はさすがに松隈さんならではと感じさせる。

Song for a」は今までのBiSにはあまりなかった感じの曲調で、「デモサヨナラ」と同じくシンセサイザーによる装飾が強く耳に残る楽曲である。作詞はゆっふぃーが手がけているが、これまでのゆっふぃー単独の作詞作品がかなり変態的なものだったので、こういう普通のラヴソングも書けるんだ、というのも新たな発見だった。繰り返し現れる“夏草”というのが何のメタファーなのかが気にかかる。


一方ドロシー盤収録の「nerve」はBiSのカヴァー。この曲は元々BiSのレパートリーの中でも特にアイドルポップスらしいかわいい曲なので、ドロシーが歌っても少しの違和感もなくはまっている。ドロシーはさすがに正統派だけあって高橋麻里さんを筆頭に歌がうまく、ダンスのスキルも高いレベルで揃っているという印象を受ける。アレンジも原曲の雰囲気を踏襲しながらも随処に工夫が凝らされていて、楽しく聴ける。

もう一曲の「壊れちゃう 崩れちゃう」がドロシーの新曲で、これが私はすごく気に入ってしまった。ドロシーは本来はそれほどロック志向の強いグループではないはずだが、BiSの研究員(ファン)にも訴求することを意図してか、ここではロック色の強い楽曲を用意してきている。特にベースの音に存在感のあるミックスがすごく私好みで、「nerve」のシャレたアレンジも含め、ドロシーの制作陣とはサウンドの趣味がかなり合っているのかも知れない。これまで名前を挙げた三人のほかにも大人びた表情が印象的な早坂香美さん、清楚な雰囲気の秋元瑠海さんとそれぞれに魅力あるメンバーが揃ったグループだし、せっかくの機会なので今後はぜひドロシーにも注目していくことにしたい。


シングル「GET YOU」は両グループによる精力的なプロモーションの甲斐あって、目標とした10位には惜しくも届かなかったものの、双方にとって自己最高位となるオリコンウィークリーチャート11位を獲得した。これを足がかりに両グループがさらに飛躍を遂げることを期待したい。また、楽しい企画だったので今後も機会があればこうした取り組みをやってみて欲しいと思う。

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