日本代表24人 西アジア遠征へ

2006年8月31日

サッカー日本代表24人が西アジア遠征へ向けて今日成田空港を出発した。出発当日のメンバー発表といい、4人の初選出といい、オシムならではの新鮮で意表をつくやり方だった。

中にはよく知らない選手も含まれていて、オシムの選考の基準に興味を抱かせられる。実績や知名度にこだわらない自在な選手選考はJリーグで活躍する選手達には励みになることだろう。過密な日程に対応するために2試合で選手を大幅に入れ換えるという構想もあるようなので、多くの選手が実際にピッチに立つチャンスに恵まれるかも知れない。フレッシュな戦力がアウェイの戦いでどんなプレーを見せてくれるか非常に楽しみだ。


ほかにもいくつかサッカー関連のニュースが伝えられている。

平山相太が所属するヘラクレスから戦力外通告を受けたらしい。事情はよくわからないが、欧州の移籍期限間近にこのような通告をするというのは信義にもとる行為ではないだろうか。

稲本潤一はトルコのガラタサライへの移籍交渉を進めているという。力はありながら欧州移籍以降は実力を発揮し切れずにいた稲本だが、新天地で飛躍を遂げることができるだろうか。

追記:9月1日

稲本はガラタサライ大黒はイタリアセリエAトリノへの移籍が正式に決定した。

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亀田興毅 初防衛戦は10月18日

2006年8月31日

亀田興毅の初防衛戦の日程・会場が正式に決まった

今度ばかりは微妙な判定では世論の猛反発を招くのは確実。となると問題はランダエタがどこまで本気で勝ちにくるのかということになる。KOするしか勝つ方法はないという必死さが試合の中で表れないとすればあらぬ疑いをかけられることになるだろう。彼の戦いぶりにも注目が集まる。

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本田美奈子さん 幻の復帰作 「wish」

2006年8月28日

昨日TV東京系列で放送された『ソロモン流』は編曲家・キーボード奏者として活躍する井上鑑氏の特集だった。録画しておいたものを今日になってから見た。

井上鑑氏というと本田美奈子さんのファンにとってはクラシカルクロスオーヴァーの作品での編曲家として認識している音楽家だが、世間的には寺尾聡さんの「ルビーの指輪」の編曲で知られているようだ。そのほかにも数多くの作品を手がけ、ピンクレディのツアーにキーボード奏者として参加した経験もあるという。普段一般の音楽ファンはなかなか目にすることのない編曲家のスタジオでの仕事ぶりを垣間見ることができて楽しい番組だった。スタジオミュージシャンの演奏する姿というのもほとんど見たことがないので興味深かった。金原千恵子さんなどはCDのライナーに名前がクレジットされているのは数え切れないほど見てきたけどお顔を拝見するのは初めてで、こんな人だったのか、と感心して見てしまった。


番組のハイライトは美奈子さんの復帰作として予定されていた「wish」という曲の録音風景だった。美奈子さんは入院中元気になったらまた歌いたいという願いを込めて井上氏に復帰作の作曲を依頼し、自ら詞をつけるつもりでいた。井上氏はできた曲のデモテープを福山雅治さんのツアーに参加中に作成することを思い立ち、福山さんほかバンドのメンバーの快諾を得て一同で演奏し、そのDVDを病床の美奈子さんに届けることにした。それを見た美奈子さんは号泣したという。

残念ながら美奈子さんはその歌を歌うことなく他界してしまったが、福山さんをはじめ井上氏の呼びかけに応じて集まったミュージシャン達によって演奏され、CDとして発売されることになった。歌詞は美奈子さんが病床で書きためていた言葉を元に作られた。補作者は岩谷時子さんという情報も流れていたが、番組ではライターの「いちくらひろし」さんと紹介されていた。おそらくコピーライターの一倉宏氏のことだろう。


番組では曲の一部が紹介されたのだが、私は歌詞を聴きながら軽い目眩を覚えてしまった。またしても"時"が主題なのだ。

美奈子さんの最後のオリジナル作品「時 -forever for ever-」は美奈子さんが岩谷さんに名前から一字をとって「時」というタイトルの詞を書いて欲しいと直々に発注したのだという。そしてこの言葉はアルバムタイトルにもなった。ここに収録された美奈子さん自らの歌詞による「新世界」も"時"を主題としている。

こうしたエピソードから、私は晩年の美奈子さんは丁度ミヒャエル・エンデの『モモ』のヒロインのように時の秘密を探り当てていたのではないだろうかと推量していたのだ。今「wish」の歌詞の一部を知るに及んでそれは確信に変わりつつある。

そもそも音楽とはあまり縁のなかった私が関心を深めるようになったのは、音楽が時間の芸術であるということに気づかされたからだった。よく生きるとはたゆむことなく流れていく時を愛おしみながら生きることだと考えていた私を、音楽が励まし勇気づけてくれるのではないかと期待したのだ。実際その通り音楽は私に多くのことを教えてくれたのだが、これほどまで音楽と時間との深いつながりに自覚的に音楽に取り組んだ音楽家に出会うことができたというのは極めて幸運なことだ。たとえその人がもうすでにこの世にはいないとしても。

足早にこの世から立ち去った美奈子さんの足跡を辿りながら、おそらく彼女が探り当てていたであろう時の秘密に、私も亀の歩みで近づいていきたいと思う。

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藤川復活登板

2006年8月27日

阪神タイガースの藤川球児が27日のジャイアンツ戦で一軍復帰後初のマウンドに登った。結果は2回1失点、三振5という内容で味方の援護もあり5勝目を挙げた。

右肩に違和感を覚えてチームから一度離れた後首の寝違えで一軍登録を抹消された後初のマウンドなので注目して見ていたが、はじめの2球は抑えが利かずに上ずった球だったので少し不安になった。しかしその後はいつもの制球を取り戻し、急速も好調時に近い数字が出ており、空振りも取れていたのでどうやら完全復活と見て間違いないようだ。

しかし彼に2イニングを投げさせた起用法には疑問を感じる。元々彼が戦列を離れるきっかけになったのは延長戦で3イニングを放らせたことにあった。リリーフエースにイニングを跨いで投げさせるチームはほかに存在しないだろう。今や彼の右肩は球界の至宝なのだから、たとえ彼が志願したとしても周りが止めるというくらいの慎重さで起用して欲しい。

放送が途中で終了してしまったので9回のピッチングは小久保を三振にうちとったところまでしか見ていないが、二岡にホームランを打たれたのはやはりイニングを跨いだことと球数とが影響しているだろう。残り二人の打者は三振にうちとっているから大した問題ではなかったかも知れないが、今後は1イニング限定というつもりで起用して欲しい。

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静かに広がる「ハチドリの物語」

2006年8月23日

今日新聞のTV欄にNHKのニュースで「ハチドリの物語」についての特集があると書いてあったので気になって見てみることにした。私がこの話について知ったのは今年3月にワンガリ・マータイさんが来日した際にTV番組に出演して紹介してくれた時のことだった。そのことは旧ブログでも記事にしてみた。

今日の特集によるとこの物語が若者を中心に静かな広がりをみせているとのことだった。去年辻信一さんが南米に古くから伝わる話を紹介したのがきっかけだったらしい。どうやらマータイさんも辻さんに教えられたようだ。

その話とはごく簡単なもの。

森に大火事が起こり、ほとんどの動物達は逃げ出したが一羽のハチドリだけは池に行って小さな口一杯に水を含んでは火にかけ続けた。ほかの動物達は「そんなことをして何になるんだ」と嘲り笑ったがハチドリはこう答えた。「私は私にできることをやっているんだ」

ハチドリのように生きたいと考える若者が増えているとすれば地球の未来にもまだ希望があるということ。近頃めずらしい、ちょっとうれしくなるニュースだった。


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終戦記念特別ドラマ「最後のナイチンゲール」

2006年8月23日

本田美奈子さんの歌う「アメイジング・グレイス」を主題歌に採用した終戦記念特別ドラマ「最後のナイチンゲール」(日本テレビ系列で22日21:00から放送)。見たいのだけど二時間半という長さに尻込みしてしまい、どうしようか迷った末、結局途中から見ることにした。

こんないい加減な見方をしてしまったので偉そうなことはいえないけど、平和の尊さを訴えかけるいい番組だったと思う。少し難をいうと出演した女優さん達がみな本土風の顔立ちの美人で、言葉も標準語なので沖縄らしさが感じられなかったこと、女生徒達のキャラクターが現代風の女の子に近かったためにやや時代錯誤にも感じられたことに不満を感じた。もう少し地域や時代に沿った描写なら真実味が増したのではないだろうか。

それからドラマの構成の仕方としては、ヒロインの婦長さんの死の設定が安易だったように思う。泉谷しげるさん演じる鬼軍曹の気まぐれという偶発的な要因による死というのではドラマに緊迫感が生じ得ないのではないか。生きることの尊さを説いた婦長さんが死ななければならないという事態に何か内的必然性が見られるような筋立てにしてあればより深く心に訴えかけるようなドラマになっていただろう。実在のモデルが存在するのなら無闇な脚色は控えなければならないが、フィクションとして制作されたのなら、もっと周到な構成がなされていた方がよかったと思う。ただそうはいってもやはり番組の最後に美奈子さんの歌声が聴こえてきた時には頑丈にできているはずの涙腺もかなり緩んでしまっていたようだった。

「アメイジング・グレイス」は多くの歌手によって歌われているが、元々はアメリカの黒人達が過酷な現実を生きのびるための心の支えとして歌い継いできた大切な歌。この歌がそうした文脈から切り離されて「平和への祈りの歌」として流通している現状を当の黒人達がどう受け止めているのか、正直にいうと私は少し気になっている。白鳥英美子さんはかつて仲間のミュージシャン達から「この歌は生半可な気持ちで歌ってはいけない歌なんだ」とたしなめられていたそうなのだが、最近の音楽界には少しそうしたつつしみが欠けてきているようにも感じられる。

しかしそれはともかくミュージカル「ひめゆり」への出演に使命感を覚え意を決して取り組んだ美奈子さんのひたむきな思いはこの日多くの人の心に真っ直ぐに届いたのではないだろうか。美奈子さんの愛したこの世界、いつまでも美しく輝いていて欲しいと願わずにはいられない。

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亀田興毅 次の試合はランダエタとの再戦

2006年8月23日

亀田興毅の次の試合がランダエタとの再戦に決まったらしい。恊栄ジムの金平会長によるとこの決定は興毅本人の強い意向によるという。

恊栄ジムのホームページでは掲示板の書き込みができない措置がとってあるにもかかわらず亀田礼賛の投稿が増えていくという姑息な情報操作がなされていたので、この説明もどこまで信用していいのかわからない。だがもし実際に興毅自身がそう強く望んだのならなかなかに見上げた根性だと思う。

あの試合を見た限りでは亀田の力不足は明らかで、再戦したとしても楽な試合にはなりそうもないが、堂々と戦いに挑んで欲しい。階級を下げて臨んだ亀田が下から上がってきたランダエタにパンチ力で負けていたということは少し深刻に受け止めた方がいいと思う。ディフェンスの技術やコンビネーションにもっと磨きをかけていく必要があるだろう。

今度こそはフェアな試合になって欲しいものだ。

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ミュージックフェア21 「永遠の名曲 〜心に残るあの歌声〜」

2006年8月19日

今日放送のミュージックフェア21は「永遠の名曲 〜心に残るあの歌声〜」と題して今は故人となった歌手達の名演集だった。出演歌手と曲目は以下の通り。

『愛の讃歌』 越路吹雪
『上を向いて歩こう』 坂本九
『川の流れのように』 美空ひばり
『時の流れに身をまかせ』 テレサ・テン
『酒と泪と男と女』 河島英五
『I LOVE YOU』 尾崎豊
『YOKOHAMA HONKY TONK BLUES』 松田優作
『Time To Say Goodbye』 本田美奈子.

これだけの伝説的な歌手達の映像をよくぞ集めたものだと思う。みなその死を未だに多くの人が悲しんでいる人たちばかり。最も長く生きた越路さんでも享年五十六。現代の感覚では早世といってもおかしくない年齢だ。子供のころから活躍していてキャリアの長い人なのでそんな気がしないが、ひばりさんもまだ五十二だった。魂を込めた歌唱というものはそれだけ生命を消耗させてしまうのなのだろうか。

個人的にも本田美奈子さんはもちろんだが、テレサ・テンさん、河島英五さん、尾崎豊も特に思い入れがある歌手達。逆に松田優作さんに歌手としてのキャリアがあるということは知らなかった。越路吹雪さんは美奈子さんが母のように慕った作詞家の岩谷時子さんゆかりの歌手であり、その名声はよく存じていたけれども歌唱についてはあまり知らなかったので今回代表曲「愛の讃歌」を聴けたのは貴重な経験だった。

土曜日の夕方に贅沢な一時を過ごさせてもらった。

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オシムJAPAN 2ー0でイエメンに勝利

2006年8月16日

引き分け狙いで守りを固めるイエメンと暑さを考慮に入れてスタミナ温存を計る日本。予想した通りの重苦しい試合展開になった。スペースがなくて先日のトリニダードトバゴ戦では見られたワンタッチプレーは影をひそめてしまった。こういう試合ではセットプレーが大事になる。闘莉王も健闘していたが、やはりどうしても中澤の不在が気になってしまう。遠藤はボランチの位置で力を発揮する選手だと思うので(決定的なチャンスも何度か演出していたが)私は二列目での起用は疑問に思う。

そんな中で一番光るプレーをしていたのが阿部勇樹だった。個人的にはワールドカップに連れて行って欲しかった選手なのでオシムJAPANでの初出場に注目していたのだが、計算された位置取りから随所で巧みにゲームをコントロールする彼らしいプレーができていた。セットプレーの度に阿部に蹴らせてやって欲しいと思って見ていたら、逆にヘディングで先制点を叩き出したのには驚かされた。しかしこれもペナルティーエリアを斜めに走りながらボールを受ける彼らしい頭脳的なプレーといっていいだろう。遠藤が下がってから一度だけフリーキックを蹴る機会があったがこれは狙いのわからない中途半端なキックになってしまった。それでもこれからは蹴らせてもらえる機会も多くなるのではないだろうか。

一方的に攻めながらなかなか点が入らず、じりじりとさせられた試合だったが終わってみれば2ー0の勝利。新体制になってから初の公式戦としてはまずまず上出来といっていいのではないかと思う。

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If music be the food of love, ...

2006年8月15日

シェイクスピア作『十二夜』の冒頭、オリヴィアに恋するオーシーノー公爵はお抱えの楽師達に「音楽が恋の糧であるなら、続けてくれ」と言って音楽を奏でさせる。音楽を「恋の糧」と形容したのは蓋し名言だろう。音楽には恋する思いをかきたてる力がある。ではその恋する当の相手が優れた音楽家だったとしたらどうだろう…?

朝霞の時もそうだったけど、美奈子さんの追悼イベントに行ってくると心の中を美奈子さんに占領されてしまう。オーシーノーは思いを寄せる人に振り向いてもらえない悩みを「甘い苦しみ」と呼んだが、私がずっと前に彼女から気持ちが離れてしまい、長い間思い出すこともなかったのは、この苦しさに耐えられなくて彼女のことを思い出さないようにしていたからなのではないかと思えてきた。


ミュージカル『十二夜』の「ララバイ」の旋律が耳について離れなくなってしまっている。

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LIVE FOR LIFE IN SHIBUYA 2006 リンク集

2006年8月14日

私が12日に渋谷の追悼展に行った時は会場は閑散としていて、お蔭でゆっくりと鑑賞することができたのだけど、こんな都心で開催されているのに人が少ないというのは寂しくもあった。また原宿のフィルムコンサートの方もおそらく落雷で山手線がストップした影響と思われるが観客は少なく残念な思いをした。

しかし検索をしてみるとこれらのイベントに参加して感銘を受けた多くの方がおられることがわかり、うれしくなってしまった。そこでそうした方々の感想が記されたページへのリンク集をつくってみることにした。数が多くてなかなか大変だけど、美奈子さんが多くの方から慕われていることをあらためて確認できるのは大きな喜びだ。


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"舞輝" Tour 2006-2007 in 原宿

2006年8月14日

LIVE FOR LIFE in 渋谷 2006 からの続き


会場に着くと前売券を持っている人は優先して並ばせてもらえて、全体の3番目に入ることができた。平らなスペースに椅子を並べただけの客席だったので後ろの席が高くなっていないのを見て前の方がいいと判断し、前から3列目の席を確保。幸いすぐ前の席には人が来なくて、ストレスなく見ることができた。


朝霞の時は最初に地元で行われた凱旋コンサートの模様が紹介されたが、今回はそれがなくて代わりに出演したTVCMが放映された。カルビーのポテトチップスなど懐かしいもの、私は見たことがなかったものなどいろいろとあって楽しかった。特に砂浜を駆け寄って来ると思いきや通り過ぎていってしまうポテトチップスのCMは思い入れのあるもので久しぶりに見てうれしかった。またそれよりも古いポテトチップスのCMでバックに流れている歌の最後の部分の歌詞が当時何度聞いてもわからなかったのだけど、今回改めて聞いてみて「It's a crispy, crispy world.」であるのが確認できた。TVに付属のスピーカーの解像度ではどうしても"crispy"と聞こえなかったのだ。長年の疑問が解消できたのは思わぬ収穫だった。

その他のCMで印象深かったのはやはり「つばさ」をフィーチャーしたオッペン化粧品のもの。私には見覚えのないものだった。当時もしこれを見ていたら美奈子さんを再認識するのがもう少し早くなっていたのではないかと思うと悔やまれてならない。映像は化粧品のCMに相応しく、美奈子さんの美しさに満ち溢れたものだった。


肝腎の歌の映像&音声に関しては朝霞の時とほぼ同じだが、Wild Cats時代の「勝手にさせて」と「愛が聞こえる」が新たに加えられていた。あの時は歌声に圧倒されてしまって冷静に見ていられなかったのだけど、今度は少し落ち着いてじっくり鑑賞できた。

前回はただただ素晴らしいとしかいえなかった阿蘇山麓の野外コンサートで歌った「つばさ」は改めて聴いて何が素晴らしかったのかが少しわかってきた。特に印象的だったのがファルセットを自在に使っていたことだった。このコンサートがいつ行われたのか正確に知らないのだが、一緒に「Shining eyes」を歌ったそうなのでMarvelousへの移籍後なのは間違いない。美奈子さんはMercury在籍時のアルバム「晴れ ときどき くもり」の頃からファルセットを自身の表現に効果的に採り入れる手応えをつかんだのではないかと思う。この時の「つばさ」でも随所で美しいファルセットを聴かせてくれていた。

もう一つ特徴的だったのは歌い回しが非常に即興的に自由に歌っていたこと。特に音符を長く伸ばすところと短く切り上げるところの対照が曲にメリハリを与えていた。緑濃い屋外で晴れ渡る青空の下、吹き抜ける風を受けて美奈子さんがのりにのって歌っているのがわかり、聴いているこちらの心にも爽やかな風がそよぐのを感じることができた。ロングトーンの伸びなどはスタジオ録音の音源ほどではないかも知れないが、美奈子さんの歌う喜びをじかに感じられる素晴らしい名演だったと思う。


BOSSさんの娘さんといわれているナレーションは改めて素晴らしいと思った。特に「ありがとう」の詩の朗読は自然でありながらなおかつ感情が込められていて、ほとんどプロの技のようだった。美奈子さんも自分の言葉をあのように大切に読み上げてもらってさぞかしうれしかったのではないだろうか。

最後はスタジオ録音の「新世界」をバックに数々の秘蔵映像が流された。終わってから拍手をしたかったのだけど、静かなエンディングだったので何となくタイミングを逸してしまった。それだけが少し心残りだった。

「"舞輝" Tour 2006-2007」と銘打っているからにはこれから来年にかけてあちこちで開催されるのだろう。ぜひ全国の人にこの素晴らしいパフォーマンスを体験していただきたいと思う。

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LIVE FOR LIFE in 渋谷 2006

2006年8月13日

昨日は本田美奈子さんの追悼展に出かけてきた。久しぶりの渋谷だったけど何とか迷子にならずに行ってくることができた。昼過ぎに東急デパート渋谷本店に着くと7階の特設会場へ。朝霞の時は人が一杯であまりゆっくり見ることもできないくらいだったのだけど、意外に閑散としていて少し拍子抜けしてしまった。でもそのお蔭でゆっくり気の済むまで展示を見ていることができた。

朝霞の時に比べて充実していたのは写真パネルだったろうか。特にCDジャケット等ですでになじみ深い旭川の雪の美術館でのセッションは数も多く、美奈子さんの美しさの際立つものばかりだった。できることならこれだけで一冊写真集を作ってもらえないだろうか。本当に貴重なショットの数々だった。

衣装も朝霞の時にはなかったものがあった。『誰でもピカソ』に出演した時のピンクのものとブルーのもの。そして特筆すべきなのは20周年のために準備された一際豪華な衣装の脇に、それを着ている美奈子さんの写真が添えられていたこと。コンサートなど公の場で披露する機会はついになかったのでこれを着せて上げたかったとは誰しも思うところ。サイズの確認などのために試着したことくらいは当然あるだろうと思っていたけど、写真まで残っていたとはうれしい驚きだった。髪をアップにしたヘアスタイルでにこやかに微笑む美奈子さんは正に幸せそのものといった表情だった。一体誰がこの後間もなくこの世を去ってしまうなどと思い至っただろうか。

様々な展示品の中で音楽的に最も興味深いのがアルバム「JUNCTION」の制作準備期間に作成された30巻の「MINAKOエトセトラテープ」。美奈子さんが自分の音楽の方向性を探る上で参考にしたと思われる洋楽の音源がテープに納められている。脇から少しだけ収録された内容が確認できるのだが、サラ・ブライトマン、ダイアナ・ロス、ヴァネッサ・ウィリアムズ、ジュリア・フォーダム、ビョーク、セリーヌ・ディオン、トリーネ・レイン、エルザといった歌手達の名前があった。個人的には特にエルザの名前を見つけた時が一番うれしかった。

会場の外には関連グッズの販売コーナーがあり、その脇には美奈子さんへのメッセージを貼り付けるためのボードがあった。これまでにも例えば東宝のサイトなどで美奈子さんへのメッセージを贈ることができたのだけど、何をいえばいいのかわからなくて書き込みなどはしないできた。今回はせっかく来たのだから何か残しておきたいと思い、やっと思いついた言葉は「いつまでもあなたを愛しています」という陳腐なものだった。いざ貼り付けてからほかのみなさんのカードをちらっと見てみると結構細かい文字で丁寧に書かれたものが多くて、太目のフェルトペンでぶっきらぼうに書かれた私のメッセージはちょっと周りの雰囲気から浮いていたかも知れない。このメッセージボードは追悼展と一緒に全国を巡回するらしいのだけど、みなさんのお近くで開催された時にもしこの間抜けなメッセージを見つけても笑わないで下さいね。

グッズのコーナーではフォトカード5枚組を購入。一番上になっているプール(バスタブ?)につかった美奈子さんのかわいい笑顔に買わずにはいられなくなってしまった。


デパートの外に出てみると外は激しい雷雨だったらしく一面水浸しだった。その時点ではかなり小止みになっていたのだけど油断して傘を持って出なかった私は少し困惑してしまった。しかしありがたいことにスターバックスで軽い食事をとっているうちに雨はほぼ上がってくれた。フィルムコンサートの行われるラフォーレ原宿に移動するために渋谷駅に行ってみたら落雷のために山手線がストップしてしまっていた。地下鉄で表参道経由で明治神宮前に行って無事着くことができたが、このために地方からわざわざ出てきた人などは途方に暮れてしまっていないか少し心配になった。


"舞輝" Tour 2006-2007 in 原宿に続く
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亀田興毅の世界戦について思うこと

2006年8月11日

このブログを開設するにあたっては音楽の話題をメインに更新するつもりでいて、スポーツについてはフィギュアスケートなどの話題を音楽に絡めて紹介し、ほかに気になる出来事があればそれについても少しふれることにしよう、というくらいの気持ちでいた。ところがいざ始めてみるとスポーツ界でいろんなことがありすぎて音楽どころではないような状況が続いてしまった。実際のところ私はスポーツは昔から好きだったけど音楽について関心を深めるようになったのは比較的最近のことなので、スポーツの話題の方が無理せず楽に語ることができるのだ。それでも音楽をメインにしようと思ったのはそうすることが音楽についての勉強に励みになるし、ほかの方からいろいろと教えていただくこともできるのでは、と考えてのことだった。しかしそのスポーツ界の出来事というのがスポーツの理念を根底から揺るがすようなものだったので書かずにはいられなくなってしまったのだ。

亀田興毅の世界戦も記事にするつもりはなく楽な気持ちでみていたのだけど、あの判定を見たら書かないわけにはいかなくなってしまった。あれから少し時間が経ったが自分の気持ちを整理するためにも今思うところを書いておこうと思う。こんなところで論じてみたからといって何がどうなるというわけでもないだろうけど。


なお、この話題は深く知ろうとすると暗澹とした気分にさせられてしまうこと請け合いなので関心のない方は読み飛ばして下さい。


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オシムJAPAN 幸先良い船出

2006年8月 9日

オシム監督が就任して初の日本代表戦はトリニダードトバゴを相手に2–0の勝利だった

就任当初はベテランと若手を組み合わせて起用する方針を打ち出していたようだが、注目の初戦は諸般の事情から若手中心のメンバーになった。前任のジーコが若手の登用に慎重だったこともあってとても新鮮に感じられる日本代表の姿だった。不勉強な私などはよく知らない選手も多数含まれていた。

私にとって最も感慨深かったのは鈴木啓太が先発に起用されたことだった。彼はアテネオリンピックの予選では主将としてチームを牽引しながら、本大会では下から上がってきた今野とオーバーエージで入ってきた小野に押し出される格好でぎりぎりのところで代表から落選してしまった選手。彼のような選手を起用したというのは全ての選手にチャンスを与えるというオシムのメッセージだったのだと思う。

トリニダードトバゴはドイツ大会のメンバー5人も入っていたとのことだが全体に動きに切れがなく、あまりいいコンディションではなかったようだ。そのせいもあって試合は終始日本のペースだった。三都主はさすがの得点力。これでフォワードによるゴールがあればいうことはないのだけど、初戦としては順調な滑り出しだったと思う。オシムの人選や采配がますます注目される。

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DOI2006 BSフジの放送を見て

2006年8月 8日

録画しておいたBSフジの放送を見た感想を、地上波では放送されなかった選手の分だけ書いておこうと思う。

井上はるかさんは演技を見たのは初めてかも知れない。とても表現力のある生き生きとした演技だった。曲は浅田真央ちゃんと同じ「カルメン」から「ハバネラ」だけど真央ちゃんよりも妖艶さを出すことができていたと思う。ショー向きの選手といっていいのではないだろうか。一見すると上半身の煽情的な派手な動きに目を奪われるが、スケーティングは氷に吸い付くような滑らかさ。太田さんと同じく京都の出身とのことなので、このあたりは古都が育んできた奥ゆかしい京女のたたずまいに由来するのかも知れない。

柴田嶺選手もやはりショー向きの選手の一人。競技会での実績では他の出演選手に比べてやや見劣りするが、この日の演技では見事に独自の雰囲気を作り出していた。やわらかな動きでしっとりとしたムードの演技だったと思う。あこがれのジョニー・ウィアー選手と同じ舞台に立てたことはこれからの励みになったのではないだろうか。

無良崇人選手はクリーンに決まらなかったけどトリプルアクセルを跳んだり氷に膝をついた状態から立ち上がってすぐにジャンプを決めてみたりとジャンプへのこだわりを感じさせる演技内容だったと思う。まだ若い選手で今はジャンプが課題と位置づけて練習に取り組んでいるのだと思われる。

東京女子体育大学によるシンクロナイズド・スケーティングはあれだけ人数が多いとどこをみればいいのかわからなくなってしまいそうだけどなかなか壮観でよかった。よくほかの選手と衝突しないものだと思う。

渡辺&木戸組は滑る喜びが伝わってくる楽しい演技。ただみなさんご指摘の通りあの衣装はどうかと思う。二人とも立派な大人なのだからもう少しシックな衣装の方が映えると思うのだけど。

南里康晴選手は昨シーズンのF1レーサーを模したユニークな演技が印象に残る選手だけど、この日はムードのある音楽にのせた本格志向のプログラム。こういうプログラムでも全く違和感なく滑って見せて芸域の広さを証明してみせた。

中庭健介選手は映画「海猿」を模した演技。私は映画に詳しくないのでこういう映画を見ていないと内容がわからない趣向のプログラムは苦手なのだけど、とりあえず演技自体は楽しんで見ることができた。インタビューでは4回転ジャンプへの強い意欲を語ってくれていたので今シーズンの活躍を楽しみにしたい。

アニシナ&ペーゼラ組はムードある音楽にのせた貫禄の演技。アイスダンスという競技は速く正確なステップを見せるために単調にリズムを刻むような曲が使われることが多いのだけど、ショーということもあってのびやかなプログラムを見せてくれたのは私としてはうれしかった。

申&趙組はこのペアならではのダイナミックでなおかつ情感あふれるいつも通りの演技。トリノオリンピックでは正直4位のペアの方がいいできだったかな、とも思ったのだけど、この日はやはり第一人者らしい風格に満ちていた。かえすがえすも去年のツァオ選手の怪我が惜しまれる。

フジTVはBSでは予告通り全選手の演技を見せてくれた。2時間の枠でそれができることは証明されたのだからこれを地上波でも実践して欲しいものだ。

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「パッヘルベルのカノン」

2006年8月 6日

作曲:ヨハン・パッヘルベル 編曲:井上鑑
アルバム「」COCQ-83683(2004.11.25)所収。

本田美奈子さんはクラシカル・クロスオーヴァーの領域に属する録音をアルバム2枚強残している。それらの曲の中でも一際異彩を放っているのが「」に収録された「パッヘルベルのカノン」である。以前ラフマニノフの「ヴォカリーズ」について述べた際に最も本来のクラシックに近い姿と説明したが、この曲は逆に本来のクラシックではあり得ない、クロスオーヴァーならではの試みといえるだろう。

ここに収録された録音では伴奏なしで美奈子さんが全てのパートをヴォカリーズで歌っている。声楽はいうまでもなく純粋な単旋律楽器なので、このポリフォニックな曲の演奏を実現するためにマルチトラックの手法が用いられている。

クラシックの録音現場でもトラックのカット&ペーストは常套手段となっているようだが、 異なるテイクを通時的につなぎ合わせることは認められていても、共時的にミックスすることは(ヨーヨー・マさんの故アストル・ピアソラとの“共演”のような例外はあるが)禁じ手とされているはずだ。「本来のクラシックではあり得ない」というのはその意味である。


同じ人の声によるハーモニーというのは録音という技術があってはじめて可能になる演奏形態だが、独特の音響的効果で人々を魅了する。歴史的に見ると、最初に自分自身の声をコーラスとして用いることで成功した最初のヒット曲はパティ・ペイジさんの「テネシー・ワルツ」なのだそうだ。この手法を最も広汎に使用しているのはおそらくエンヤさんで、ヴォーカル・トラックを幾重にも塗り重ねる独自のスタイルは幅広い支持を獲得している。また最近ちあきなおみさんの「星影の小径」がTVCMで印象的に使用されたこともこの手法の効果を再認識させた。

また“同じ人”ではないが、双子姉妹のザ・ピーナッツや兄弟デュオの狩人の人気の理由の一つが肉親ゆえの同質な声によるハーモニーの独特の効果であるのは間違いないだろう。Winkの成功なども血縁関係はないが声質の酷似した二人によるハーモニーに起因するものと見ることができそうだ。

このように同じ(似た)声によるハーモニーというものは異次元空間に浮遊するような独特の感覚を生み出し、現代の音楽界では頻繁に利用されるが、全曲をアカペラでこの手法だけで演奏した録音というのは極めて珍しいと思う。このような意欲的な挑戦にさりげなく取り組んでみせるあたりは実力派歌手美奈子さんの真骨頂といえるだろう。


クラシックの器楽曲を歌曲に編曲して歌うということ自体は以前から広く行われており、最近とみに盛んだが、この「カノン」のように本質的にポリフォニックな楽曲の声楽のみによる演奏というのもあまり例がないはずだ。スイングル・シンガーズによるスキャット版というのがあるらしいが、私は残念ながら聴いたことがない。私が直接知っているのは女性5人によるアカペラ・コーラス・グループのアンサンブル・プラネタによるものである(アルバム「愛のロマンス」に収録)。

こちらはヴォカリーズではなくメンバーによるイタリア語の歌詞をつけて歌われている。編曲は原曲にかなり近い構成で、精緻で完成されたアンサンブルを聴かせて実に見事な出来映えである。これに比べると美奈子さんによるヴァージョンは原曲よりも短く切り詰められているほか声部も一部省略されており、その点は少し残念である。ただ、通奏低音まで含めて全てのパートを自ら歌った“一人ポリフォニー”の効果は比類がなく、この手法の幻惑的な効果を存分に楽しませてくれるものである。これが美奈子さんの3オクターヴ近い広い声域があってはじめて可能になる試みであるのはいうまでもない。

唱法について注目すると、美奈子さんは普段の歌唱では情感を込めた繊細な歌い回しを持ち味とする歌手だが、ここでは濃密な表情付けを避けてすっきりとした味わいの歌を聴かせているのが特徴である。こぶし、ルバート、ポルタメントといった美奈子さんが楽曲に繊細なニュアンスを付け加えるために多用している技法は影をひそめている。ヴィブラートを抑えているのも見逃すことができない。美奈子さんは通常の歌唱では丁寧にヴィブラートを織り込んでつやのある歌声を聴かせているが、ここでは主旋律となるパートや長めの音符で控え目に音高を揺るがせているほかは平坦な歌唱を通している。

これは一つには楽曲自体が均整のとれた構築美を持ち味とするものであり、濃厚なロマンを楽しませるタイプの作品ではないことによるのだろう。そしてそれと同時に、おそらくアンサンブルとしての精度を高めようといいう意図の表れでもあるのだと思われる。上に列記したような技法は楽曲に情感を与える上では効果的だが、その分アンサンブルの精密さは損なわれてしまうのである。そのためにアンサンブル・プラネタの場合は普段からノン・ヴィブラートを通しているのだが、美奈子さんはこの録音のために通常とは異なる唱法を採用しているのである。楽曲に応じてスタイルを使い分けることができるというのは優れた適応能力の証明といっていいだろう。オペラの二重唱や三重唱などでは個々の歌唱は華麗でゴージャスでも、全体のアンサンブルとしては少しもきれいに聴こえないということも少なくないのを考えると余計にそう思う。


楽曲の完成度だけを単純に比較すればやはりアンサンブル・プラネタによるヴァージョンに一日の長があると見るのが正しい評価だろう。ただ美奈子さんは本質的にソリストであるということは考慮に入れなければならない。キャリアのほとんどをソロ歌手として過ごし、ロックバンドを組んでいた時もリードヴォーカルであった。その彼女が自分自身のクローン達と組んだ即席のアンサンブルで、アンサンブルの専門家集団によるものと十分比較の対象になり得る録音を残したというのは実は驚異的なことなのではないだろうか。

「一人ポリフォニー」というユニークなアイディアを苦心したような痕跡を残すこともなく実行してみせたこの作品は、美奈子さんの音楽的な感性の柔軟さの証左として記念すべき録音といっていいだろう。原曲のもつ愉悦感を声楽によって再現することに成功した、愛すべき作品である。

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パッヘルベル 「カノン ニ長調」

2006年8月 5日

ヨハン・パッヘルベル(Johann Pachelbel 1653-1706)による「カノンとジーグ ニ長調」の第一曲。パッヘルベルはバロック時代のドイツを代表するオルガンの大家。「カノンとジーグ」はエルフルトの教会でオルガニストを務めていた1680年頃に書かれたとされている。もともとは3つのヴァイオリンと通奏低音という編成だったが、現在では普通弦楽合奏と通奏低音によって演奏される。

カノンとは厳格な模倣によるポリフォニー(多声音楽)の形式を指す。ある声部が奏でた主題を他の声部が時差をおいて模倣していくことでポリフォニーが構成される。合唱で行われる輪唱もこの一種。

この「パッヘルベルのカノン」は通奏低音で主題(階名でいうと(上の)ド・ソ・ラ・ミ・ファ・ド・ファ・ソ)が28回繰り返される。その上を3部のヴァイオリンが同じ旋律を時差をおいて演奏する。その巧みに構成された合奏のもたらす愉悦感は比類のないもので、ポリフォニーの持つ音響的効果が見事に活かされている。今日最も人気のあるバロック音楽の一つといっていいだろう。

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DOI2006 TV放送を見て

2006年8月 3日

中野友加里さんは傘を小道具に使っての「SAYURI」の演技。数シーズン前には考えられなかったような情感あふれる演技で魅了してくれた。今シーズンのSPのエキシビション用アレンジということなので、競技会ではさらに密度の濃いプログラムに仕上げてくれることと思う。

恩田美栄さんのプログラムはグラナドスのスペイン舞曲集の第2曲「オリエンタル」。チェロのやさしい音色が心にしみる名曲で、演技以上に音楽に聴き惚れてしまった。こういうプログラムでも違和感なく見られるようになったのはやはり積み重ねた年輪のなせる技だろうか。最後と決めて臨む今シーズン、これまでのスケート人生の集大成となる演技を期待したい。

澤田亜紀さんは若さあふれる元気溌剌の演技。ダブルアクセル4つのジャンプシークエンスは彼女らしい躍動感をアピールするいい演出だった。ただ小道具に傘を使ったのは中野さんと重なってしまって少し損をしていたと思う。またこれからその存在をスケートファンに知ってもらわなければならない立場であることを考えると、小道具の動きのおもしろさで関心を集めるようなプログラムは彼女にとってあまりいいことではなかったのではないだろうか。

武田奈也さんは長身を活かしたスケール大きな演技が印象的だった。まだ特別表現がうまいとは思えないのだけど、体型や身のこなしの雰囲気に宝塚の男役のような独特の存在感があって得をしていると思う。そうした自分の資質にさらに磨きをかけていけばいい選手に成長すると思う。ビールマンスピンのポジションも彼女が一番きれいだった。


ジョニー・ウィアー選手は相変わらずの存在感。プログラムはトリノオリンピックのエキシビションと同じ「マイ・ウェイ」。あの時は少し冗長に感じる部分もあったのだけど、今回は動きにメリハリが効いていてとてもよかったと思う。自分の魅せ方を心得た、風格あふれる演技だった。

織田信成選手は去年までのコミカルな雰囲気とは違う、大人びた演技を見せてくれた。ジャンプの着氷のやわらかさはさすがで、全体に余裕を持って演技している印象を受けた。

一方高橋大輔選手は演技中の厳しい表情が強く印象に残った。これまで長く伸ばした髪の毛や不精髭が悪くいうと少し薄汚く見えることもあったのだけど、この日の演技では精悍さを演出する助けになっていたと思う。やはり織田選手とは対照的な個性をもったライバル同士なのだということを改めて認識させられた。


安藤美姫さんは生でご覧になったみなさんがそろって指摘しておられた通り、しっかり体がしぼられていて、動きに切れが戻っていた。表現力などはまだまだこれからの選手だと思うが、自分を励ましてくれた曲にのって踊る姿からはスケートをする喜びが感じられた。衣装も落ち着いた雰囲気で非常によかったと思う。

浅田舞さんはサラ・ブライトマンさんによるヴォーカル版の「アランフェス協奏曲」。この日の演技では長身を活かしたのびやかさが印象に残った。これまで彼女の演技には大きさを感じさせられることはあまりなかったのだけど、今回はなぜかそのことをとても意識させられた。実際に背が少し伸びたか、長い手足を活かす表現力が身についてきたかのどちらかだと思う。あるいはリンクが小さかったことも影響していたのかも知れない。

太田由希奈さんはご覧になった方のレポートでは怪我からの回復具合がまだ今一つ、といった内容のものが多く、どんな演技なのか期待と不安が入り混じった状態で見ていたのだけど、私は十分太田さんらしさの出た魅力ある演技だったと思う。繊細優美な身のこなしは相変わらず、黒鳥の翼を模した腕の動きも真に迫るもので、他の追随を許さない素晴らしい表現力だった。今の時点でジャンプに精度を欠いているのは仕方ないと思う。怪我と折り合いをつけながらの競技生活は困難に満ちたものになるだろうけど、「スケートは自分を表現する手段」と語る太田さんをどこまでもついていって応援して上げたい、そう思わせてくれる演技だった。


エレーナ・ソコロワさんのプログラムは単調な曲調で今一つじっくりと楽しむことができなかった。でもやはり相変わらずかわいい人で、あの笑顔が見られただけでも大満足だった。

村主章枝さんは大胆なコスチュームでの「カルメン」。素顔とはかけ離れたイメージの役になりきって演じて見せるところに女優魂が活きたプログラムといっていいだろう。観客の男性にじらしながらバラの花を渡す仕草などは実に堂に入ったものだと思う。

ステファン・ランビエール選手は見に行った方の評価がもっとも高かったが、評判に違わぬいい演技だったと思う。仮面をつけた状態での冒頭の動きから実にやわらかい動きで自分の世界を築いていた。これまで彼のプログラムは演技の内容と伴奏の音楽とコスチュームが全くばらばらで、音楽的な感受性に欠陥があるのではないかと思わせられることが多かったのだけど、今回のプログラムはその点がよく統一されていて非常によかった。彼の演技を見ていいと思ったのはおそらく初めてだと思う。最後の何度もポジションを変えた長いスピンも彼ならではのもので、日本のファンへの素晴らしいプレゼントだった。

浅田真央ちゃんは「カルメン」から「ハバネラ」。フィリッパ・ジョルダーノさんの癖のある歌唱が印象的なプログラム。少し大人びた演技を意識しているのだろうけど、妖艶なのかかわいらしいのかどっちつかずの表現になってしまっているように思った。年齢的に今くらいが一番難しい時期にあたるのかも知れない。それでもこの季節にルッツをクリーンに降りて見せるあたりはさすがだと思う。

トリを飾る荒川静香さんはサラ・ブライトマンさん歌唱によるシューベルトの「アヴェ・マリア」。ゴールドのコスチュームに身をつつんだ女王はいつもながらの神々しさ。跪いて祈りを捧げるような仕草には胸が切なくなってしまう。今回いろんな選手のそれぞれに素晴らしい演技を見せてもらったが、やはり自分はこの人の演技が一番好きなのだな、とあらためて確認した。


フジTVの放送の姿勢は事前に危惧されていたけれど、どうしても見せてもらわなければ困ると思っていた選手の演技は一通り放送してくれたので私としては一応満足のいくものだった。真央ちゃんのインタビュー映像がなければ後何人(組)かの演技が放送できたはずだし、真央ちゃんのかわいい笑顔を見ながらいらいらとさせられるのは不本意だが、昨日あまりにも酷い茶番劇を見せられてしまったので、今は大抵のことは笑って許してやりたい心境だ。

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本田美奈子.追悼展 IN SHIBUYA2006

2006年8月 3日

去年11月6日に急逝した本田美奈子さんの追悼展が今月東京渋谷で開催される4月22・23日に朝霞市で行われたものがこれから全国展開されるようだ。

写真展、およびゆかりの品々の展示が4日〜13日、渋谷・東急本店7階の特設会場で、またフィルムコンサートが12・13日にラフォーレミュージアム原宿で行われる。


お近くにお住いの方はお買い物のついでにでもお立ち寄りいただければ幸いです。

朝霞市での追悼展について(展示及びフィルムコンサートの内容などは変更されるかも知れません。):

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亀田興毅 世界初挑戦でチャンピオンに

2006年8月 2日

ここ数年ボクシングの人気は総合格闘技などにおされて低迷していたが、本来のボクシングファンとは違った階層から人気を集めていたのが亀田三兄弟だった。私はどうしてこの兄弟達が社会現象とまでいえるほど注目を集めるようになったのかよくわからないのだが、長兄の興毅がいよいよ世界初挑戦だというので今日の試合を楽しみにしていた。


亀田興毅も対戦相手のフアン・ランダエタもともに左ファイターで比較的似たタイプ同士の戦いだったといっていいだろう。接近戦での打ち合いが多く、クリンチも少ないクリーンな試合で見応えのあるタイトルマッチだった。亀田は実によく戦ったと思う。いきなり1R終了間際に不用意に右フックをもらってダウンを喫し、苦しい戦いになったが最後まで前に出て攻める姿勢を崩さなかった。4R中盤に強烈な左アッパーを受けて足元がふらついていたがそこもよくもちこたえた。11Rはいつ倒されるかとはらはらしながら見ていたが、よく耐えて立っていた。最終ラウンドはKOするしか勝つチャンスはないが迂濶に踏み込んでいけば自分が倒されるかも知れないという苦しい状況の中ひるまずに打ち合いに挑んでいく姿勢は立派だった。

一方のランダエタも粘り強いファイトを見せてくれた。何度かボディーブローを喰らってロープにつまる場面もあったが決定打を与えることなく凌ぎ切った。不安視されていたスタミナも、途中休憩していると思われるラウンドもあったが最後までよくもっていた。最終ラウンドはポイントで上回っていることを確信して相手を軽くあしらうような戦いぶりだった。


理解できないのは2ー1のスプリットディシジョンで亀田の勝利としたジャッジの判定だ。私は試合終了時点で3ー0でのランダエタの勝利を確信していたので二人目のジャッジが亀田にポイントを与えたのが発表されて大いに驚いたのだが、何と最後のジャッジまでが亀田優勢としたのには仰天してしまった。

ボクシングでの疑惑の判定というと鬼塚勝也がタノムサク・シスボーベーを判定で下した試合が思い出されるが、あの時はタノムサクは手数でも有効打でも圧倒していたものの決定打を浴びせることはできずにいた。今日の試合は1Rのダウンばかりでなくランダエタがはっきりと亀田を棒立ちにさせたラウンドがほかに二つもあった。どういう採点をすると亀田の優勢という結果になるのか実に不可解だ。(ほとんど見ていなかったが)試合開始まで一時間半もの前振りを置くという異様な番組編成を敷いたTV局は大喜びかも知れないが、ボクシングファンのはしくれとしてはどうにも納得のいかない結末になってしまった。ランダエタには再戦のチャンスを与えてやりたい。


ただ繰り返しになるが亀田自身はよく戦ったと思う。疑問の残る判定とはいえ勝利を勝ち取ることができたのは最後まで前に出て攻める姿勢を貫いた戦いぶりの賜だろう。結果は納得できないが、やはりおめでとうといっておきたいと思う。

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伊藤みどりさん 人生の荒波にもまれても…

2006年8月 1日

こんなニュースを発見してしまった。私は伊藤みどりさんが結婚していたことさえ知らなかった。(みんなそうなのだろうか。)今年はトリノオリンピックやそれに引き続くフィギュアスケートブームでコメンテイターとして活躍する様子をTVで何度も拝見していたので、プライヴェートでこんなにいろいろなことがあったなんて全く思いもよらなかった。

みどりさんは何といってもフィギュアスケートの歴史に残る偉大な選手。人生の荒波にもまれても末永く元気に活躍されることをお祈りしたい。

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