生誕136周年

2009年4月 1日

今日はロシアの作曲家、セルゲイ・ラフマニノフの生誕136周年に当たる。それを記念して(というわけでもなく完成したのがたまたまこの時期になったというだけなのだが)Wikipediaに「聖金口イオアン聖体礼儀」の項目を投稿しておいた。執筆のために調べ物をする作業もなかなか楽しかった。この曲は結構久しぶりに聴いたのだけど、やはりその美しさには圧倒される思いがする。この作品が正教会から受け容れられなかったというのは私にはちょっと信じ難いところではある。私がロシア人ならこれを聴くためだけにでも教会に通ってしまいそうな気がするのだが…。まあとにかくこの作業が音楽ファンの方々のより深いラフマニノフ理解に貢献できることを願いたい。

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コメント

sergeiさん

無伴奏の声楽曲(ア・カペラ)といえば、ルネサンス時代の音楽家であるパレストリーナのミサ曲やモテット(「教皇マルチェルスのミサ曲」や「ソロモンの雅歌」など)がまず思い浮かびます。彼の作品は実に穏やかで清澄な響き(いわゆるパレストリーナ様式)を特徴としており、19世紀のリストやブルックナーの教会音楽にも多大な影響を与えています。

こうしたカトリックやプロテスタントの教会音楽は比較的なじみ深いのですが、ロシア正教の声楽曲はまだ1度も聴いたことがありません。カトリックの教会音楽(ミサやモテットなど)やプロテスタントの教会音楽(コラールやカンタータなど)と比較するとどのような音楽的特徴があるのでしょうか?

-> ミューズさん

難しいご質問をありがとうございます(苦笑)。不勉強なもので、私は逆に西方教会の教会音楽にはあまりなじみがありません。正教会聖歌についても特に詳しいわけではなく、以下は音楽辞典などからの受け売りです。

正教会の聖歌についてはオクトエーコス(八調と訳されるらしい)と呼ばれる週替わりのシステムや、独特の記譜法が用いられるズナメニ聖歌と総称される単旋律の聖歌が知られています。それが17世紀までには西ヨーロッパのような多声音楽へと変わっていったのだそうです。18世紀にはマクシム・ベレゾフスキーやドミトリー・ボルトニャンスキーによって大いに発展しました。その後さらに19世紀から20世紀にかけてアレクサンドル・アルハンゲリスキーやパーヴェル・チェスノコフなどが活躍しました。

西方教会と最も異なる特徴はやはり無伴奏の合唱を原則とする、というところでしょうか。これは聖堂内では人の声以外の楽器を使用しないという正教会の慣習によるのだそうです。


私に言えるのはこれくらいです。もし何か一曲聴いてみようとお考えになりましたらまずはラフマニノフの「徹夜禱」(「晩禱」と訳されることが多いのですが「徹夜禱」というのが正しいそうです)をお聴きになることをお薦めします。正教会聖歌の最高傑作ともいわれる素晴らしい名曲です。

ラフマニノフは世俗の作品でも古い正教会の聖歌の旋律を引用するなど、正教会の音楽的な伝統から大きな影響を受けていたようです。彼自身はあまり信仰に篤い人物とは見なされていなかったようなのですが、「徹夜禱」などを聴くとやはり彼なりの信仰心を持ち合わせていたのだろうということが推察されます。「聖体礼儀」も「徹夜禱」も正教会やソ連当局から演奏を禁じられるという不幸な目に遭いましたが、現代では幸いにして普通に演奏することが可能になっていますので、これらの作品がより広く親しまれるようになるといいな、と思っています。

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