バーバー「アダージョ」 in 東京ドーム
2006年7月14日
今シーズン、東京ドームでのジャイアンツ戦を見ていると度々場内にサミュエル・バーバー作曲の「アダージョ」が流れていて驚かされることがあった。バーバーというと私は「アダージョ」しか知らないのだけど、20世紀のアメリカの作曲家で、進歩の国アメリカで活躍したにも関わらず古風でロマンティックな作品を多く生み出したようだ。代表作はもちろん何といっても有名な「アダージョ」で、レクイエム風の痛切な響きが胸に迫る名曲だ。アメリカでは実際に要人の死去などの際に葬送のために使われることも多いようで、映画「プラトーン」で効果的に用いられたことでも知られている。
そんな荘重で悲しみに満ちたメロディーを野球場で聴くというのは実に意外で、なぜこの曲が試合中にドーム内で流れるのか不思議に思っていた。何度か聴くうちに、ジャイアンツの久保裕也が登板する時に流れてくるということに気がついた。各選手が登場する際に流れるテーマ曲は本人の希望が受け入れられるはずなので、おそらく久保自身の選曲なのだろう。
彼がなぜこうした静かな曲を選んだのか、とても興味深い。普通戦いに挑む前というのは高揚感のある音楽が好まれるように思うのだけど、彼の場合は静かな音楽で心を落ち着けて試合に臨みたいのだろうか。彼の人柄についても関心をそそられる選曲である。
ただ、この曲のせいかどうかはわからないが、今シーズンの久保はセットアッパーとして期待されながら思い通りの活躍ができずにいる。もっと奮起して、この曲が流れてくるとジャイアンツファンがほっと一安心できるような活躍をして欲しいものだ。
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